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本と雑貨と手作りのブログ。

ミルトリン探偵局1。

2006-09-30 | 小説
吉田篤弘・浩美さん夫婦を中心とした制作ユニット・クラフトエヴィング商會の本。吉田夫婦の娘(とされる)、吉田音さんが書いた文章に、坂本真典さんが写真をつけた作品です。ブックデザイン、小説、工作などを行っているクラフトエヴィング商會らしく、装丁などにこだわりが感じられます!

吉田 音, 坂本 真典 / 筑摩書房(1999/12)
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 <目次>
ミルトリン探偵局ができるまで/ミルトリン探偵局1・猫だけが行ける場所/久助/ミルトリン探偵局2・川を眺める/奏者/ミルトリン探偵局3・11時のお茶/箱舟/エピローグ

登場人物は、音さんとその周りの人たち(両親、大家さん、学者の円田さん、カメラマンの坂本さんなど)とシンクやアンゴといった猫。物語は、学者の円田さん家に現れた新入りの黒猫(シンク)が、ある「おみやげ」を持って帰ってきたことから進んでいきます。音さんと円田さんは「夜に猫が身をひそめる場所」を推理し始め、「ミルトリン探偵局」を結成します。

シンクが最初に持って帰ってきたのは、青いボタン16個。その後、小さな鳥の羽、1本の釘などを拾ってきます。そこで、ミルトリン探偵局を知った両親やカメラマンの坂本さんは、猫の拾ってきたもので本を作ることを提案。そうして、この「Think」という作品が生まれます。

どこまでが現実で、どこまでが空想なのか、わからないような不思議なお話。独特の作品を出版しているクラフトエヴィング商會の本なので、<吉田音>というのももしかしたら創作の人物かもしれません・・・。

ミルトリン探偵局1・2・3以外の「久助」「奏者」「箱舟」には、音さんは出てこないのですが、シンクが持ち帰ったモノが登場します。謎は最後まではっきりとは明らかにされないのですが、そこにちょっとしたロマンを感じます☆以前、読んだクラフトエヴィング商會の「つむじ風食堂の夜」のように、ストーリーよりも作品世界に流れる空気をじっくり味わいたい本でした~。