4月14日(日)
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 | |
村上 春樹 | |
文藝春秋 |
今日近くのショッピングモールの書店では既に在庫切れでした。
(私は発売日の午前中に買ったからセーフ)
どうしたもんだろう、この人気は!!
村上春樹さんのことは本当に本当に好きなので、たくさん売れるのは良いのですが
ここまで厳重に新刊の情報を秘密にしたり、発売日の夜中に書店に並ぶ人々を
ニュースで大きく取り上げたりすることはいかがなものでしょう?
この作品は春樹さんの中で言えば長編といっても短い。
「1Q84」や「ねじまき鳥の~」のような壮大な物語ではありません。
読み始めて「国境の南、太陽の西」を思い出しました。
TVピープルや、象も出てこないし、井戸に潜ったり、壁を抜けたり、イワシが降ってきたりもしません。
ごくごく普通の(?)30代の男性、田崎つくるくんの青春小説、恋愛小説でした。
だからといって何か悪いわけではありません。
「1Q84」のあとですから、春樹さんにも読者にもインターバルが必要です。
私の率直な感想は、とてもいい作品でした。
じっくりもう一度読もうと思う。
30代の大人の恋愛としてもとても好感が持てるし、
青春時代の苦い思い出を紐解いていく過程も共感できる。
心を病んでしまう女性、何の取柄もないと思っているけど女性には不自由しない主人公など
モチーフはハルキ的ですが、そこにある心の傷や、孤独感に何だか共感できるんだなあ。
田崎つくるくんは高校時代からの親友たちに拒絶されてしまうんだけれど、
そういう経験ってきっと誰にでもあって、誤解だったり、タイミングだったり、
時間が経っても心のなかでオリのように溜まっていることがある(私にはある)。
田崎くんがどう心を持ち直していくのか、そして今、前に進もとする姿、思わず応援したくなる。
でもねえ、これが数百万部売れちゃったらいささか不思議だなあ。
ブームっていうのもねえ、どうもねえ
失楽園とか、ロングブレスダイエットじゃないんだから。
新刊をきっかけに(私のなかで)村上春樹強化月間続いていますが、
次作は昔はあまりいい印象じゃなかった「国境の南、太陽の西」を再読してみることにします。
そして、何度も読んでも飽きられないことか。
最近の新作に登場した曲のCDも購入して、曲を聞きながら、小説を読んで、なんとか、村上春樹さんと同感したような感じをします。おすすめです。
ちなみに、ブログにも感想を書いていた。是非、ご覧ください。
http://classiccat.seesaa.net/