Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

グラーグ57

2012年10月30日 | ミステリ(海外)

10月30日(火)

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
Tom Rob Smith,田口 俊樹
新潮社

チャイルド44を読んで何年も経ってしまって、実は前作のストーリーが思い出せないのですが、

古本屋で見つけ、「まあいっか」と購入。

44をうろ覚えでも全然大丈夫でした。

これだけでも十分おもしろい!

ソビエトはフルシチョフがスターリンを批判したことで、かつての秘密警察、捜査官が逆につかまり始める。元KGBのレオも、かつて自分が捕らえたものから怨まれ、過酷な要求を突きつけられる。

極寒のシベリア強制収容所「グラーグ57」に送り込まれたレオを待っていたのは、厳しい拷問。なんとか任務を果たして戻ったら、裏切り。レオは何があっても家族を守るために突き進む、素晴らしいヒーローなのであります。

養女ゾーヤのささくれだった心と、それを癒したマリシュの儚い恋がよかったなあ。

ラッキーにも次作である「エージェント6」を図書館で借りられたので、次は忘れないうちに一気にいきます。

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
Tom Rob Smith,田口 俊樹
新潮社

ニシノユキヒコの恋と冒険

2012年10月25日 | 現代小説

10月26日(木)

先日息子の個人面談で担任の読書好き、さすが国語教師のK先生とお話。

K先生まだ若いからねえ、あんまり脱線したお話は出来ませんでしたが、お互い川上弘美さんは素晴らしいということを再度確認したのであります。

川上弘美読み込み度では、国語教師K先生にまったく敵わないのですが、私もまた一冊、川上弘美さんの世界を広げてみました。

 

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)
川上 弘美
新潮社

「ニシノくん」「ユキヒコ」「幸彦」「西野君」、ニシノユキヒコさんの中学生から50代までに関わった10人の女性から語られたお話です。

実際に「西野幸彦」さんて同姓同名が全国にたくさんいそうで、申し訳ない感じですが、

女からしたら全くヒドイ男なのであります。

でも、いるんだよねえ、こういう人

見た目良し、気遣いも良し、だけど誰にも本気になれない。

女の人は、それを見抜いてるはずなのに、でもいつの間にか好きになっちゃうみたいな人。

ニシノくんの場合は、高校生のときに亡くしたお姉さんがどうも引っかかっているのか、

それともその気質は天性のものなのか、

華やかそうでいて、とても悲しい。誰といても孤独な呻きが聞こえてきそうなお話です。

女性の側からすると、ニシノくんと関わって、離れて、ちょっと切ないけど、でも今までよりももっと素敵に一歩踏み出しているので、やっぱり女性は強し。

川上さんはいいですよ。好きだなあ。

 


幻影の書

2012年10月18日 | 小説(海外)

10月18日(木)

しとしとと雨が降るのって久しぶりじゃありません?

最近は雨というと雷雨ばかりで、恐怖感が先行ですが、今日のような雨の日はなかなか風情があってよろしいですね。

幻影の書 (新潮文庫)
Paul Auster,柴田 元幸
新潮社

さてさて、今日はポール・オースター。

ポール・オースターはまだまだ勉強不足で、読みこなせていませんが、

訳者の柴田元幸さんのあとがきにもあるように、「ストーリーテラー」として有名です。

ストーリーテラーとは?一応調べてみると、「語り部、筋の面白さで読者をひきつける作家」とありました。

確かにポール・オースターの作品は、作品のなかに作品があったり、

無一文になってさあどうする?だったりと、次の展開がじつに楽しみです。

「幻影の書」、素晴らしい邦題です。読み終わって、うーん、納得。幻なんですよ。

飛行機事故で奥さんと子どもを亡くした私。

絶望の淵にあった私を救ったのは、何十年も前の無声映画。

忽然と姿を消した俳優ヘクター・マン、誰もが死んだと思っていた彼から「私」に手紙が届き、幻の映像にまつわる新たな物語、全てを失った「私」の再生の物語が始まる。

前半の無声映画の描写がやや退屈でしたが、ヘクター・マンの代理の女性が現れた所から急に物語がうねります。

女性のバッグから銃が出てきたとき、「私」には突如狂気が舞い降ります。

「私と一緒にこの部屋で、夜の悪魔たちを狩り出そうとする一万の太鼓のように頭上に叩きつける雨音を聞きながら立っている、不思議な二重の顔を持つ女の目」を見つづけ「撃つなら撃て」となるあたり。

ラストは「公開されない、自分たちの為だけの映画」というちょっと信じがたい部分がありますが、こんなことありか?と思いつつも、妙に感動してるのは、やはり「ストーリーテラー」としての手腕ということなのでしょう。


ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷

2012年10月15日 | 現代小説
ソロモンの偽証 第III部 法廷
宮部 みゆき

新潮社

 

 10月15日(月) 

半月もアップせずに何やってたかしら?日々なんとなくその辺にあるものを読んではいるけど、一冊ちゃんと読み終わらなかった。

というのも、これが気になってたから。11日に発売された第3部!

ひょんな事から、このブログを見てしまった方がガッカリしないよう、ネタバレなことは書きませんが、

宮部さんという方は、期待を裏切らないですねえ。

良くも悪くも、こういう結末だろうなというツボをはずしていません。

私の思ったとおりこうなって欲しかった!というオチです。

全体的におりこうさんで、そこが宮部さんのいいところなんでしょう。

まあでも、読者というのは勝手なもんで、もうちょっと裏切ってくれてもよかったかなあ。

今回1890円×3冊と決してお手頃価格ではないのですが、その値段分はきっちり面白い。

が、もう一回読みたいか、はたまた1890円なんて安い買い物だ!くらい面白かったかというと、そこまではちょっと・・・

ベテランゆえですかねえ。

同じ年頃の子どもを持つ身としては、こんなスーパー中学生いるかよ!と突っ込みつつ、

出番の少ない端役の子どもたちまでもが、学校内裁判を通じて成長していく様はとても頼もしい。