Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

海賊と呼ばれた男

2014年09月29日 | 現代小説

9月29日(火)

秋の夜長でございますね。めっきり涼しくなり、読書にはもってこいの日和。

文庫になっていたので、この話題作、読んでみました。

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)
百田 尚樹
講談社

百田尚樹さん、大人気ですよねえ。

私は天邪鬼なので、あんまり人気なのはちょっと・・・ですし、

百田さんは、最近政治の場面でよく発言されているのもちょっと・・・

なので、いいお話ではあるんですが、なかなかスピードが上がらず、上下巻読むのにずいぶん時間がかかりました。

舞台である国岡商店は「出光興産」であり、主人公・国岡鉄造は創始者の出光佐三氏だとのこと。

伝記ではないので、どこか脚色されている部分はあるんでしょうが、見事な男っぷり。

「社員は家族。社員を信頼しているので、タイムカードも就業規則も必要ない。」

いいお言葉ですが、実践するのは並大抵のリーダーシップでは足りません。

「この人のためなら!!」

と思わせる吸引力がある方だったんでしょうねえ。

戦後、英国の支配下にあったイランとの取引の場面、数々の妨害、船長の機微、そして鉄造の決断は圧巻でした。

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)
百田 尚樹
講談社

でもねえ、

集団的自衛権問題がまだまだタイムリーななか、

「日本のため」「お国のため」という台詞にどうも鼻白んでしまうんだなあ。

 


還るべき場所

2014年09月01日 | 現代小説

9月1日(月)

にゃーーー、にゃんと久しぶりでございます。4か月ぶり。

言い訳をしますと、8月末にとある資格試験を受けました。

読書も控え、真剣に取り組んだけど、世間はそんなに甘くないので、出来は悪い…

試験終了後の帰り道、本を読んでもいいんだ!と舞い上がっていっぱい文庫を買ってきました。

まずは、帯の推薦文が私の大好きな児玉清さんだったので、これ。

夏になると雪山の表紙に惹かれ、山岳小説をよく読んでる気がする。

笹本さん初体験です。

還るべき場所 (文春文庫)
笹本 稜平
文藝春秋

K2の未踏ルートに挑み、最愛のパートナー聖美を失った翔平。

事故から4年、登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うが、そこには様々な困難が待ち受ける。

 

最初の数十ページは、山での悲劇をぐだぐだ感傷に浸ってるばかりで、やや食傷。

2章に入って、神津という会社社長が登場し事態は急変。

神津は自社の心臓ペースメーカーを入れ、自分が広告塔になり8000M級の山に登るというのだ。

一度は山を捨てた竹原も、神津の秘書としてヒマラヤを目指す。

かつては鍛え抜かれた登山家だけが登ったヒマラヤ、

翔平は商業登山のガイドとして登ることに疑問を感じながらも、

ヒマラヤ、K2に還ってきて、4年前の真実「聖美は自ら命を絶ったのではない」事に気づき、

悲劇から解放される。

 

思いっきり寒さを感じられるお話ですね。

先週は肌寒かったからねえ、もっと暑い時に読むのがよかったかな。

しいて言えば、あと100ページ少ないともっと読みやすかったかも。