Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

刑事マルティン・ベック 笑う警官

2013年09月30日 | ミステリ(海外)

9月30日(月)

9月も終わり。いろいろあったような、ないような。

車をぶつけ、心まで凹んだこと。

同窓会があり、優秀な我が同窓生たちが執筆、編集している本があると知ったこと。

早速購入し、読んでます。

こちらはその第一弾。角川書店にお勤めの編集者お勧めの新刊。

刑事マルティン・ベック 笑う警官 (角川文庫)
柳沢 由実子
角川書店

最近、北欧ミステリ流行りだけど、こんな前からスウェーデンは面白かったんじゃない。

48年前に始まったシリーズが、全て新訳になるとのこと。

この「笑う警官」はシリーズ4作目ですが、エドガー賞を取った作品ということで、新訳版の一号になったようです。

 

40年以上前なので、もちろん携帯電話もコンピューターも捜査には出てきませんが、全然古い感じはしないです。

タイトルに「マルティン・ベック」とあるので、凄腕の警官かと思いきや、意外としみったれたおじさん刑事。

課長とか部長風を吹かせるタイプでもなく、あるいは日本と組織の感じが違うのか、皆が並列のチームっていう雰囲気。

 

さてさて、事件はバスの中で実に9人もの人間が殺され、そのうち一人は同僚の若手警察官。

彼がバスに乗り合わせたのはただの偶然なのか、スウェーデン警察史上初の大量殺人に挑む。

 

ってな感じなんですが、事件を解く鍵となっていくのは人間の性(さが)。

快楽を求める人間の底知れるエネルギーと危うさ、その悲しさ、

あるいは、金や地位、権力を守るためのエゴ、

人って切ないわぁ。

北欧だからかはわかりませんが、事件の湿度といいますか艶っぽい感じが絶妙です。

 

チームの人間関係もどうなっていくのか、全10作、楽しみが増えた。

 

 

 


夜と霧 新版

2013年09月24日 | ノンフィクション

9月24日(火)

いつの間にか日が暮れるのが早くなりました

すっかり秋だなあ。

私ごとでは、今週でブログ開設3年を迎えます。

個人的な日記のようなものではありますが、3日坊主でなくてよかった(´▽`)

最近ではすっかりペースが落ちていますが、細々とでも続けること

さてさて、次の一年にはどんな本と出会えるのでしょうか。

 

夜と霧 新版
池田 香代子
みすず書房

「心理学者、強制収容所を体験する。」

あまりの作品の偉大さに、何を書いたらいいのやら。

裏表紙に「言語を絶する感動」とあるのですが、もうまさにその通り。

 

収容所では感情が消滅し、鈍磨する。

しかし、収容所にあっても完全な内なる自由を持ち続けることはできる。心の有り様はどんな外的な運命よりも強靭なのだ。

 

「生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることが私たちからなにを期待しているかが問題なのだ。」

そう、生きることに何の意味があるのかを問うのではなく、

生きて日々直面することに応えていくことに意味がある。

 

テーマは非常に重いですが、読後感は清々しく、人間の可能性と偉大さに感じ入りました。

もっと早く(若い時に)読んでおくべきだったなあ。人生が違ったかも?!

 

 

 


知の逆転

2013年09月16日 | 自己啓発(海外)

9月16日(月)

台風が過ぎていきました。

この3連休は天気も悪いので、どっーーーぷりと海外ドラマ「24」に浸ってました!

今更シーズン7ですが(Huluでは最新なので)

アフリカの架空の国のテロリストたちが、米国のインフラを守っているCIPファイアウォールに侵入し、

飛行機の衝突事故やら、殺虫剤の工場を制御不能に。

「24」はジャック・バウアーのアクションも見ごたえありますが、

その情報戦、暗号を解いたり、携帯端末を駆使したりのすごさにいつも驚かされます。

さてさて、さすが3連休。ドラマだけでなく、だいぶ前からの読みかけを片付けました。

知の逆転 (NHK出版新書 395)
吉成真由美
NHK出版

著者の吉成真由美さんが、現代最高の知性と言われる方々とのインタビューをまとめたもの。

帯に「10冊分の情報がつまってる」とありますが、まさにそんなカンジ。

おそらく私のような凡人には、それぞれの方の著書を読んでも「???」だと思われるので、

これを一冊読めば十分「こういう頭のいい人たちが世界をつくっているんだ」感が味わえました。

ちなみに6人とは

 

ジャレド・ダイアモンド 生物学者 「銃・病原菌・鉄」がベストセラーに(読んでる最中)

ノーム・チョムスキー 言語学者 「生きている中で最も重要な知識人」

オリバー・サックス 脳神経科医、「レナードの朝」で有名

マービン・ミンスキー コンピューター科学者、人工知能の父 

トム・レイトン 数学者   ネット上最大の会社と呼ばれるアカマイ・テクノロジーズ設立者

ジェームズ・ワトソン 分子生物学者 DNA2重らせん構造の発見者 ノーベル生理学・医学賞

インタビュアーの吉成さん自身もMIT出身で、ノーベル賞の利根川進さんの奥様。

 

「アカマイ」のトム・レイトンさんのことは全く知らなかったのですが、

主要なポータルサイト、大手銀行、動画配信などは全て「アカマイ」のサーバーを経由しているというビッグな会社。

何気なく使っているiPhoneも、海外ドラマを配信で見られるのも

こういう会社や技術があるからなんだなあ。

凡人でもなんとなくわかった気になれる「知」への入門書としてもってこいの一冊でした。


白夜の大岸壁に挑むークライマー山野井夫妻ー

2013年09月13日 | ノンフィクション

9月13日(金)

白夜の大岩壁に挑む―クライマー山野井夫妻
NHK取材班
日本放送出版協会

先月の「凍」に続き、山野井さん。私が読んだのは新潮文庫版です。

「凍」で書かれていたギャチュんカンの後、手足の指を失ってなお岸壁に挑む山野井夫妻のドキュメンタリーです。

 

夫妻の日常と、山に対する思い、結び付きの強さにスポットが当てられた番組だったんじゃないでしょうか。

よくもまあ、こんなにお似合いの二人を神様は引き合わせてくれたもんです。

 

妙子さんの「山が好きだから」というエネルギーの強さ、いさぎよさ。

泰史さんのその先へ上がりたいという強いモチベーション。

先日の為末さんの「遊ぶが勝ち」じゃないですが、

単純に「楽しい」から登るんですよね。

多くの人間は「好きだけど・・・」

仕事や家族の事を考えたり、

そもそも、そこまで「好き」なことがなかったり。

 

でも、次にもの凄いピンチが私を襲ったら、山野井泰史・妙子さんを思い出したい。

クライミングのルート確保は、人生の選択と同じこと。

困難でもまっすぐ進んだほうが近道か、あえて迂回したほうが結果として早いか。

出来れば困難でも「楽しい」道を選びたいものです。

 

山ガールに憧れつつも、高地では頭痛と鼻血に見舞われ、おまけに根性無しの私のような人間にとって、

大岸壁やクライミングの技術、道具は全く未知の世界。

これはぜひ、映像で見たかったなあ。NHKアーカイブスとか、オンデマンドでみられるのかしら?


「遊ぶ」が勝ち 「ホモ・ルーデンス」で君も跳べ!

2013年09月09日 | 書評、エッセイ

9月8日(月)

「遊ぶ」が勝ち 『ホモ・ルーデンス』で、君も跳べ! (中公新書ラクレ)
為末 大
中央公論新社

今日も一日ニュースは東京オリンピック一色でした。

400mハードルの為末さんもよく登場していましたね。

昨日観たテレビ番組で為末さんが「2020年五輪に何を求めるか」という質問に対して、

「スポーツが好きでない人の為にもなる五輪」というようなお話をしていました。

金曜日のNHKニュースWEBでも

パラリンピックをもっと充実させて、文化としてのスポーツ、スポーツから文化を創る

みたいなことをおっしゃっていたような・・・

(HPによると今日は為末さんがネットナビゲーターではなくゲストだそうだ。きょうも夜ふかし)

 

この本は、為末さんが競技で伸び悩んだ時に出会ったホイジンガの名著「ホモ・ルーデンス」を読み解きながら

為末さん自身の経験、未来への思いが書かれています。

「スポーツ」それは、そう「遊び」。

楽しいからやる。楽しいから走る。どれだけ遊べるか、楽しめるかなのです。

日本にはスポーツを遊びと考える歴史的な土壌がないですよねえ。

とても感慨深かったのは、

「茶道、香道なんかの道や、俳句は欧米のスポーツを遊びと捉える感覚に似ているのではないか」

これ目からウロコですよ。

 

オリンピック招致で選手強化も力が入るでしょうが、体罰の問題は早急に対応しないとなりません。

指導者がこういう本を読んで、より質の高い思想を持って指導にあたってほしいです。

中公新書のラクレなので、スポーツをする中高生にも手にとって欲しいなあ。

 

ということで、今日はNHKニュースWEBをみましょう。