Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

今年最初は「冷血」

2013年01月04日 | 現代小説

1月4日(金)

今年もよろしくお願いします

なんと、元旦に川べりで我が市の鳥「カワセミ」をみました!

それってかなりラッキーです。いい一年になりそうだ!

さて、今年の一冊目、年末から年始にかけ、じっくり読みました。

冷血(上)
高村 薫
毎日新聞社
冷血(下)
高村 薫

毎日新聞社

素晴らしかったですよ。やっぱり合田さん、あなたは素晴らしい。

高村さんの政治家一族のシリーズは私には難しすぎて、新リア王なんかは読めなかった・・・情けなや・・・なのですが、

この「冷血」は久々に庶民の私でも読める作品でして、淡々と語られ、そして深い素晴らしさでありました。

クリスマス前に一家4人が殺され、キャッシュカードが奪われる。というと、ちょっと世田谷を思い出しますが、

 この犯人はいたるところに痕跡を残し、やがては捕まる。

が、犯行の動機がはっきりしない。金が目当てではないのか、なぜその一家なのか。

人はなぜ人を殺すのか、そもそも感情とは何なのか、人は感情をどこまで言葉で表すことが出来るのか。

 

あっけなく殺された家族、死へとむかう日々を過ごす犯人たち、死へと送り出す側の刑事たち。

刻々と揺れ動いているはずの感情、それを表す術のない言葉。そこには本当に何もないのか。人を死に至らしめたのに、何の感情も沸かなかったのか。

言葉の裏にあるものを取り出そうとする刑事たちが、奮闘しますが、人とはなんと複雑な生き物なんでしょう。

人間の奥深くを覗き込んで、結局なんにも分からなくて絶望し、あるいはその多様性をみて、ちょっとほっとするような、嗚呼、それでもこんな作品に出会えてよかった。

今年もいい読書一年になりそうだ。