Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

冬の作品 その1

2015年04月25日 | 手芸

4月25日(土)

春過ぎて、初夏も近い感じですが、この冬の作品全然載せてなかった。一応毎年載せてるから、やっておこう。

 

これが一番のお気に入り。

使用糸 パピープリンセスアニー 5号 3号棒針

 

出典はずいぶん古い本ですが、デザインは風公房。上着を着るわけではないので、丈が若干短いか。

次も風公房さんで

 

使用糸 ハマナカアメリー

出典は

24色の糸で編むニットウェアとこもの
風工房
文化出版局

アメリはアクリル混なのでとっても軽く、混紡ですがきしみ感もなく編みやすかったです。フェアアイル調にするには糸が太いかな。

職場で活躍するので、今年は自分のベストばかり編んだけど、袖がないって本当に楽ちんだわ~

 


鳩の撃退法

2015年04月24日 | 現代小説

4月24日(金)

鳩の撃退法 上
佐藤 正午
小学館

昼下がりの美容室。カラーリングの待ち時間はこの本を読み終わるのにとってもぴったりだったに違いない。上下巻で1000ページ!

なかなかに複雑で難解なお話なので、公式の内容紹介をちょっと引用しますと

「かつての賞作家・津田伸一は、いまはデリヘルの送迎ドライバーとして暮らしている。ある日、明け方のドーナツショップで顔見知りになった男が、その日の夜を境に妻と幼い娘ともども失踪するという事件が起きる。
それから一年と二ヶ月が過ぎた頃、以前から親しくしていた古書店の店主・房州老人の訃報とともに、津田伸一のもとへ形見のキャリーバッグが届けられた。中身は、数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札の山!」

一家三人が失踪するのが2月28日。その夜は大雪で、津田の周りで起こる様々なことはすべてこの日に端をなしている。

何故難解で複雑なのかと申しますと、佐藤さんお得意の誰が語っているのかわからない書き方だから。

1,津田が自分の身に起きているフィクションをもとに書いているノンフィクション、と

2,この小説の中でのフィクション

がランダムに繰り返されるから、「はて?今のは1と2のどっちだろう?」となる。

鳩の撃退法 下
佐藤 正午
小学館

そう!津田は物語の中で、起死回生の小説を執筆。時には1のノンフィクション部が先行し、2で後から真実が分かったりもする。1は草稿だから何度も書き直されるし、2の物語上現実の津田が空想したりもするので、まったくもって何が真実???と惑わされるのである。

佐藤さんの伏線の張り方、文章を操る力はスバラシイ!!

津田が後から思い起こす2月28日は、最後の50ページでちゃんと一本の線でつながっていく。房州老人のお金の謎も、「鳩」とは何か?も。消えた家族がどうなったのかだけは謎のままだけど、まあそこは津田のノンフィクションでいいや。

ですが、大絶賛で星五つとなるかというと、そうでもなくて、津田真一という男に全く感情移入できなかったんだなあ。

いつもの好みの問題ですが、女好きのセックスべたと評される主人公津田が私の好みの男でないのですよ。この話のもう一つのポイントは津田と女たちのコミカルなやりとりだと思うんだけど、いま一つ笑えない。

もう一つ笑えないのが仕上がった私の髪型?!こんなに切ってなんて言ってないよーーー!!怒!!ってイケメンの美容師さんには言えなかったけど

 いずれにしても小説の醍醐味が味わえる作品です。センセイ、共に読んでくださってありがとうございました


低地

2015年04月22日 | 小説(海外)

4月22日(水)

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)
Jhumpa Lahiri,小川 高義
新潮社

ジユンパ・ラヒリの長編というので、超期待したのですが、期待値が高すぎたかしら。いやいや、そういう書き方はよくないな。
文章、訳、作品は文句なく素晴らしい。テーマに興味が沸かなかった感じです。

インド、カルカッタ郊外で育った兄弟スバシュとウダヤン。成長し、弟ウダヤンは革命運動に身を投じ、殺される。残された身重の妻を兄スバシュは妻に迎え入れ、留学先のアメリカで夫婦として暮らし始める。

生まれた女の子が成長し、子をもうけ、スバシュが老年に差し掛かるまでの家族の時間が描かれます。ジュンパ・ラヒリの描く心の揺れるさまは本当に上手。好きになれるかもと思った瞬間に失望し、失望している自分にまた失望する。長い時間の中で夫婦が壊れていく、そもそもこの二人は最初から夫婦ではなかったか。弟ウダヤンの存在が死んでも離れない、でもウダヤンが生きてたなら、幸せだったというのだろうか。

妻ガウリは結局娘を捨て家を出ていく。仕事をし、地位を得、女性との刹那な関係を持つこともある。小川さんの訳はとても淡々としていて、そうだでも毎日ってこんな風に淡々と過ぎていくものだと思う。事件はは毎日起こるわけじゃなく、日々の小さな心の揺れが積もっていく。

インドの民主化運動が重要なポイントなんですが、そこがようわかってないので、楽しめきれてないんでしょうねえ。うーーん、長い人生を語って、最後がウダヤンの死のシーン。喪失からの再生、失ったものとどう生きていくかといった物語といいますか、難しかったなあ。

まあでもこうして振り返ってみると、読みどころは満載でやはり秀作です。


漁港の肉子ちゃん

2015年04月19日 | 現代小説

4月19日(日)

肉子ちゃん、すごいタイトル&表紙がね、肉感的でよろしいんです。

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)
西 加奈子
幻冬舎

西加奈子さん、直木賞取って、売れてますねー。全然読んでなかったもんで、慌てて一作読んでみました。

なるほど、これは西さん人気があって当然。読みやすい面白い。ストレートに涙腺に訴える作品です。

男にだまされっぱなしの肉子ちゃんこと菊子。娘の喜久子とともに流れ着いた漁港の焼肉屋。奔放で明るくて、ダサくて不器用、それでいて愛嬌たっぷりで憎めない肉子ちゃんと、難しい年頃の美人な娘の生活は、漁港の人々の温かさに支えられ過ぎていく。

娘キクりん、小学校高学年女子特有の人間関係に悩むところなんぞは「おーー女子とはこういうものよのう」と妙に納得してしまったり、ダサい肉子ちゃんに振り回されながらも、ところどころ肉子ちゃんの底抜けの愛情が見え隠れして、やっぱり憎めない。

この似ていない親子の出生の秘密がラスト明らかになる。そうだろうなと思ってはいたものの、これだけ深い愛情を示せる肉子ちゃんは、底抜けのバカのか、はたまた器の大きい人間なのか。些細なことにこだわるのがバカバカしくなるハッピーな一作でした。


身の上話

2015年04月14日 | 現代小説

4月14日(火)

4月というのに雨ばかり…春の気分がしないままに初夏になりそうだわ。

今日はこれまたずいぶん前に読み終わってるので、お話若干忘れてますがコレ

身の上話 (光文社文庫)
佐藤 正午
光文社

佐藤正午さんは、名前は知っていても手に取らなかった方。これ、最後の一行にやられます。

主人公ミチルは地味に書店で働く女の子。お使いの途中で、何を思ったか不倫相手を追いかけ、そこで買った宝くじが当選し、あれやこれやと人生が狂っていく。

東京で頼った友人が結局殺人が起こしてしまうし、しかも連続で次々と人がいなくなってしまうし(つまり、一番害のなさそうだった後輩が最も怖いキャラ?!)

「ひょんなことから」とありますが、そんなひょんなことってある???と思ってしまう場面は多々あります。

が、その後のミチルが落ち着いた先で伴侶となった方の登場で、語りがこの現在の夫ということが判明し、ここまでくると「あーなんて上手なお話」となりました。

つまり、みんなが犯罪者。殺すつもりはなかったかもしれないけど、大なり小なりみんな罪を犯してるのです。

そして最後の一行!痛快です。うーん、これは愛だわ。