Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

女のいない男たち

2014年04月29日 | 現代小説

4月29日(火)

女のいない男たち
村上 春樹
文藝春秋

春樹さん、久々の短編集。

6篇、タイトルの通り、すべて男性の失恋の話ですが、どれもなかなか秀作でした。

うぉーーー!最高っていう感じではないですが、

霧雨しみわたるような、しっとり感がありました。

特に「木野」は絶品。

女房と同僚の不倫現場に遭遇してしまった木野は、仕事も辞め、離婚し、町のはずれでバーを始める。

客とのかかわりの中から、自分の失ったもの、深い悲しみに気づくってな感じのお話。

不吉なものの象徴として「蛇」が登場します。

このあたりは長編へのモチーフかも?と感じさせますが、どうでしょうねえ。

 

すべての作品に漂うのは「喪失感」。

失うことはツラい。

でも逆に考えれば、失って苦しいほどのこと、人がいた時間があるということ。

歳を重ねるということは、そういうことが一つ一つ増えていくということなんだろうな。

 

 


MOZU 百舌の叫ぶ夜

2014年04月15日 | 現代小説

4月15日(火)

百舌の叫ぶ夜 (百舌シリーズ) (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

この表紙につられて思わず買ってしまいましたよ。

西島さんが主役ですから、ドラマも拝見しましたが、多分原作を読んだほうが楽しめそうな感じだったので、改訂版が出ている3作目まで購入。

第1刷が1990年ですから、約四半世紀前の作品とは思えないほど斬新!携帯電話がなかったり、通信機器やコンピューターという点ではドラマとはずいぶん違ってくるとは思いますが、いやいや、やられました。面白かった。

公安の倉木警部、妻が新宿で起こった爆破事件に巻き込まれ死亡。事件の真相を調べるうちに、背景には政治が絡んでいることが明らかになってくる。はたして妻は殺されたのか。

一方で百舌と呼ばれる殺し屋は全く違う視点から同じ事件に結びつく。

この「百舌」の存在が絶妙。後半百舌の秘密が明かされていく場面は切なくてねー、だからって殺人鬼になっていいわけはないのですが…

公安VS政治、公安VS警視庁(または所轄)、組織VS個人といった警察小説のおきまりパターンではありますが、百舌という殺人鬼が(小説としては)とにかく魅力的。

ただラストは何人も死んで、かなり血なまぐさいので、実写のドラマではどうなっていくのでしょうか。

幻の翼 (百舌シリーズ) (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

続けて2作目も読破。1年半後。

「そこまでやるか?」と突っ込みたくなるほどの政治的陰謀。対する公安も「そこまで仕事に身をささげるか?!」で応戦します。例えば倉木警部は悪の巣窟である精神病院に収容され、拷問ともいえるかなりひどい目にあうのですが、それも大物をおびき寄せるため、最初から承知だったとか。

ハードボイルドは読むと面白いんですよ。1作目を読み終わったときはすぐ次が読みたくて仕方ない。

けど、ドンパチ、ドンパチ、あんまり人が簡単に死んでいくので、2作目読み終わった今はいささかハードボイルド酔状態。

もー殺さないで!と思いつつも、あんまりに気になる終わり方だったんで、3作目も続けて読んでしまうことでしょう。

 

それにしても、私ったら逢坂剛さん、読まず嫌いだったのかしら?

たしか「カディスの赤い星」は読んだ記憶があるんだけど、ハードボイルド酔いが醒めたらそれも再読してみよう。

 


ルーズヴェルト・ゲーム

2014年04月06日 | 現代小説

4月6日(日)

花冷えですなあ。

お家でゴロゴロでしたわ。

そんでもって、これ

ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)
池井戸 潤
講談社

こんひな日には持って来いのエンタメ度!

池井戸さんは本当に読者を裏切らない。

会社自体の危機と、会社の野球部の危機。二つの戦いが同時に進む。

読む前から結果はわかってるんですよ。

池井戸さんはいい意味で裏切らないから、この戦いには勝つだろうことは容易にわかってるんです。

どう勝つのか、どこで、どんな言葉でやる気に火がつくのか、危機を脱出できるのか

最初は敵かと思われた専務の笹井が、キーマンだったのではないかと私は思います。

「この会社の一兵卒でありたい」に泣けましたねえ。

私はどんなスポーツも大好きなので、こんなふうに自分の会社に野球部があって応援に行かれたら

そりゃあ楽しいと思う派で、みんなで盛り上がればコミュニケーションも活性化し業績も上がるだろうって単純に思うけどねえ。

企業スポーツが姿を消していることを書きたかったとあとがきにあります。

これもドラマ化されるそうですから、夢をスポーツに託したいという思いはなくなってないんでしょう。


間抜けの構造

2014年04月02日 | 新書

4月2日(水)

新年度になりました!

桜も満開

残念ながら雨が降り始めたので、桜もあっという間に散り始めるんでしょうね。

さて、新年度第一弾はビートたけしさん

間抜けの構造 (新潮新書)
ビートたけし
新潮社

何かで紹介されていたので一番最近のを読みたかったのですが、

どうも間違えてしまったみたいです。

まあでも、やはりたけしさんは面白い。

間抜けな政治家をバカ呼ばわりしてバッサバッサ切るあたりは痛快。

残念ながら最初の50ページくらいでネタが尽きちゃって、あとは繰り返しになってしまっているのでパラパラ読めばいい感じ。

最新の新書は「ヒンシュクの達人」だそうで、機会があればそれも読んでみます。