Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

ヤノマミ

2016年03月06日 | ノンフィクション

3月6日(日)

 先日「ピダハン」というアマゾンの少数民族について書かれた本を取り上げましたが、Amazonで「ピダハン」について調べると必ずこの本もセットで紹介されています。

だもんで、文庫だしと思って購入。

ヤノマミ (新潮文庫)
国分 拓
新潮社

NHKのドキュメンタリー番組で放送されたそうですね。

劇場版にもなっており、それがDVDにもなっているそうです。

実はこの本も読み終わったのが数ヶ月前なので、記憶がおぼろげなのですが、記録はすべき一冊です。

「ヤノマミ」とは彼らの言葉で人間を意味し、アマゾンの奥地に住む先住民。

30人から200人ほどで一つの集団を形成し、広大な森に分散して暮らしている。

NHKのディレクター等がおよそ150日間彼らと過ごした記録。

狩りや漁の様子(狩りにはほとんどついていけない)、集団を形成する家族構成、人物紹介、祭りなどなどが紹介されるが、おそらくもっとも印象的なのは後半に書かれている「子」について。

赤ん坊が人間としてこの世に生を受けるのか、はたまた精霊として森に帰るのかを決めるのは母親。

女は森で出産し、人間か精霊かをその場で決める。精霊だと思えば、つまりは(私の住む社会の言葉で言うと)その場で殺すのだ。

あとがきで著者は帰国後しばらく夜尿症があったと告白している。

衝撃的ではある。

生きるとはそういうことだ、なんていうこともできるかもしれない。

世界には、そうやって生きている人々がいる。

ただその事実を心に留めておこうと思う。

 


ピダハン

2016年02月13日 | ノンフィクション

2月13日(土)

ずいぶん久しぶりになってしまってました…

でも、以前自分が書いたものを読んでみるとその時が蘇ってきて

やっぱりいい気持ちなので、また細々と書かなくてはと思うのです。

この危なっかしい記憶を支えるのは記録。そう、自分のために。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観
屋代 通子
みすず書房

これは敬愛するセンセイにご紹介いただきました。センセイありがとう。

図書館で借りたからもう手元にないし、しかもちょっと前なので、だいぶ記憶が薄れていますが…

 

著者のダニエル・L・エヴェレットさんは伝道師であり、言語学者。

聖書を訳して布教活動を行うため、アマゾンの奥地でピダハン族と生活しながらその言語を習得。

70年代にまだ幼い子供と妻を連れ、アマゾンに住もうなんて、伝道師って凄い人たちですよ。ホントに。

いきなり妻と子供をマラリヤにやられ、大冒険の末病院にたどり着き一命をとりとめますが、

その後もなかなかダイナミックな生活、日々新しい発見。

というのも、ピダハンには数もなければ過去も未来もないのです。

文字がなく、記録しない。自分で見たもの、現存する人から聞いたものまでしか信じない。

でも、でも、待てよ。いや、それでいいんじゃないか?となってくるわけです。

彼は結局キリスト教を捨てます!

「神はいない」という結論に達して。

 

言語学という側面からピダハン的思考について書かれている部分はなかなか難しくて、

チョムスキーなんて名前が出てくるだけで敬遠して飛ばし読みしてしまいましたが、

おそらくチョムスキーが「普遍」といってることが、いやいやピダハンでは違うこともあるよってな感じだったでしょうか。

 

いやはや世界は広いし、自分が常識だ!なんて思っていることのなんとちっぽけなことよ。

これからは行き詰まった時に「ピダハン、ピダハン」と唱えてみれば、きっと、違う自分が見えてくるに違いない。

そういう今日も、だいぶ心がささくれて凹んでいる。「ピダハン、ピダハン…」


追悼 ジョン・ナッシュ

2015年05月26日 | ノンフィクション

5月26日(火)

「ビューティフル・マインド」半分しか読み終わってないのに、ナッシュ博士が事故死のニュース。

ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)
Sylvia Nasar,塩川 優
新潮社

ラッセル・クロウ主演で映画化されてアカデミー賞も受賞してますからねえ。DVDで観たほうがよかったかしら。

残念ながら「ナッシュ理論」がどうスゴイのかまったくわからない為、文庫本ながら950ページの大作を半分で挫折しているところでした。

天才がどう育ったのかに興味があったけれど、天才は天才。天才に育つのではなく、最初から天才。その天才ぶりを理解できる人が周りにいないとね、ただの変人になっちゃうので。

この後統合失調症になり、そこからの奇跡の復活でノーベル賞という場面が見どころらしいので、ニュースをきっかけに再び読んでみようかな。

ご冥福を祈ります。


弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー

2014年03月11日 | ノンフィクション

3月11日(火)

あれから3年、被災地、被災者の方の3年に思いをはせるとともに、

私の3年はずいぶん後退しちゃってるなあ…と深く反省する一日でもありました。

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)
高橋 秀実
新潮社

気分を変えて、今日の読書は「くくっ」と面白い一冊。

野球というスポーツ、部活動の概念を180度変えてくれます。これも頭のよさゆえなんでしょう。

開成高校といえば東大合格数日本一。練習時間も少なく、グラウンドも週一回しか使えない彼らが、東東京でベスト16に。

それもこれも、独創的な監督の采配、それについていく理論武装の生徒たち。

ピッチャーには「コントロールしようとするな、甘い球を投げろ」

バッターには「思いっきり振れ」

極め付けが「野球しようとするな!」

日本の部活動において問題になってる、練習のし過ぎや、体罰、いじめなどと全く反対側にある「部活動」なんです。要は考え方。しょせん野球はゲーム。おもしろくやったもん勝ちでしょ。

これは極端な例かもしれないですが(開成高校という頭脳を持った生徒にしか使えないセオリーかもしれませんが)、団体球技をやるうえでの戦術、声掛けなどに役立つエッセンスがたくさんでした。

単行本が出たときから気になっていましたが、早くも文庫になったのはドラマ化だからですね。二宮君主演だそうで、さて、どんなドラマになるんでしょう。


夜と霧 新版

2013年09月24日 | ノンフィクション

9月24日(火)

いつの間にか日が暮れるのが早くなりました

すっかり秋だなあ。

私ごとでは、今週でブログ開設3年を迎えます。

個人的な日記のようなものではありますが、3日坊主でなくてよかった(´▽`)

最近ではすっかりペースが落ちていますが、細々とでも続けること

さてさて、次の一年にはどんな本と出会えるのでしょうか。

 

夜と霧 新版
池田 香代子
みすず書房

「心理学者、強制収容所を体験する。」

あまりの作品の偉大さに、何を書いたらいいのやら。

裏表紙に「言語を絶する感動」とあるのですが、もうまさにその通り。

 

収容所では感情が消滅し、鈍磨する。

しかし、収容所にあっても完全な内なる自由を持ち続けることはできる。心の有り様はどんな外的な運命よりも強靭なのだ。

 

「生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることが私たちからなにを期待しているかが問題なのだ。」

そう、生きることに何の意味があるのかを問うのではなく、

生きて日々直面することに応えていくことに意味がある。

 

テーマは非常に重いですが、読後感は清々しく、人間の可能性と偉大さに感じ入りました。

もっと早く(若い時に)読んでおくべきだったなあ。人生が違ったかも?!