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【101118】食い荒らす鳥獣を食い尽くせ 名物料理化の新ビジネス「環境警備隊」

2010年12月21日 | 獣害-利用

~ 転載 ~

 最近、野生動物が餌を求めて人里に下りてくるケースが目立つ。中でも田畑の作物を食い荒らすイノシシやシカなどは農家にとって悩みのタネだ。有害鳥獣対策として、和歌山県日高川町が発足させた「環境警備隊」の取り組みが注目されている。猟銃免許を持つ町民が駆除を担当し仕留めた動物は町が整備した施設で食肉に加工。今月から町内の宿泊施設で名物料理として提供を始めた。町ぐるみの新ビジネスに迫った。

 10月27日午後、環境警備隊の宮所(みやどころ)信之さん(62)らのパトロールに同行した。宮所さんは元会社員で猟銃歴35年のベテラン。軽トラックで移動しながら動物の被害に遭った所がないか確かめる。

 日高川町は紀伊山地のほぼ中央の人口1万1千人の町。9割が森林で農業が主要産業だが、昨年の農作物被害は約3千万円に上る。

 この日午前中のパトロールで、宮所さんは稲が食い荒らされた田んぼを見つけた。イノシシが被害防止用の柵を乗り越えて侵入したらしい。同様の被害に遭ったという農家の鳥居美里さん(65)は「経費はかかる、収穫は減る。(農業を)いつやめようか」とあきらめ顔だ。

 普段は1日平均約100キロ走り、4頭の動物を捕獲したこともあるというが、この日は猟銃が火を噴くことはなかった。

 環境警備隊は、大手電機メーカーの営業マンだった玉置俊久町長が発案した。猟銃免許を持つ人12人を隊員に任命。猟期以外の時期に2人1組でパトロールし動物の駆除や被害状況を調査する。隊員には5500円の日当と捕獲1頭あたり1万5千~5千円の報償費が支払われ、雇用対策の側面もある。玉置町長は「被害という言葉が独り歩きしがちだが発想の転換で、駆除した動物を資源にできれば生産意欲につながる。『天然物』の獣肉を特産にしたかった」と説明する。

 今年5月には、約4千万円をかけ町立の食肉処理施設「ジビエ工房紀州」を建設した。ジビエは狩猟で捕獲した野生鳥獣を意味するフランス語。最近はジビエ料理が静かなブームだ。

 今月、町内の宿泊施設でジビエ料理の提供が始まった。メニューづくりには地元の主婦グループも加わり、イノシシ肉のチャーシューやシカ肉のローストなど、肉のうま味が楽しめる料理ができた。きのくに中津荘の中澤秀紀料理長(38)は「創作意欲をかき立てる食材」と話す。

 現在は中津荘など2施設が1泊2食1万2千円でジビエ料理を提供。イノシシ肉は高い物ではキロあたり約9千円だが、中澤さんは「安定供給と需要掘り起こしが進めば値下げが見込める」と期待する。


産経新聞


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