ＮＨＫの水野解説委員を知ってますか？・・・

　ＮＨＫの午後７時からの「ニュース７」、私は月曜から金曜日担当の武田真一アナの声に惚れている。彼は“ＮＨＫの貴公子”という愛称にふさわしく、おしゃれである。スーツはウエストを少し絞ったサイドベンツ、このスタイルはお堅いＮＨＫでは彼１人ではないかしら？　デザインは同じだが、ストライプ柄や、濃紺や黒の無地、グレーのツイード地など毎日変わるスーツ、それに合わせたネクタイもなかなかおしゃれである。
　先週、のどを痛めたとかで４日ほど女性アナが担当したが、やはり武田アナの低音の力強い声が聞こえてこないと物足りない。小柄で、それほどイケメンというのではないが、ニュースはあの声に限る。
　
　それはともかくとして、３月１１日の東日本大震災発生から、ほとんど連日「ニュース７」に登場する水野倫之解説委員をご存知だろうか。福島原発事故のニュースになると登場し、武田アナの質問に対して、落ち着いた語り口で、分かりやすく説明してくれる。保安院の西山審議官の説明より、彼の説明のほうがよほど信頼できそうな気がするのである。
　その水野氏が、一時、原子力・電力関係者から「圧力」をかけられていたというのである。記事によれば、３月１２日に福島第一原発１号機が水素爆発を起こした際、民放を含め各局に登場した“識者”は、それでも「憂慮するような事態ではない」と強調しつづけたが、水野氏はＮＨＫのニュース中に敢然と、「これは非情に深刻な事態である」と断言し、政府と東京電力の対応に疑問があることをはっきり指摘した。
　ところが、事故の深刻度を断言した直後、原子力・電力関係者から『不安を煽っている』と叩かれたという。また、原子力の専門家と称する大学教授や研究者からも、『技術者でもないクセに』と猛批判を浴びたという。要するに、「圧力」がかけられたのである。そのため水野氏も一時はだいぶ落ち込み、元気をなくしていたそうだが、現実は水野氏が警告した通りの方向に進んでおり、いまでは批判していた専門家のほうが黙り込む事態になっているという（ＮＨＫ関係者）。
　水野氏は３月２７日に放送されたＮＨＫの特番中に、「良いことも悪いことも伝えなければならない」と、信念を語ったそうだ。それこそが報道に携わる者の使命であろうと、彼の姿勢を頼もしく思う。

　今回の原発事故では色々勉強させてもらった。原発関連の役所というか、組織は、(1)原子力委員会　(2)原子力安全委員会　(3)原子力安全・保安院　(4)独立行政法人 原子力安全基盤機構などがあり、その下には多くの組織があるということ。これらの団体と電力会社との癒着、そして官僚の“天下り”の温床になっていること…、などなど。
　今の原子力発電所はほとんど自民党政権時代に作ったものである。それなのに、今、自民党は盛んに原発事故に関して菅政権の責任問題を追及している。確かに菅内閣の事故への対応には問題が多い。が、原子力委員会など各組織の専門家たちの手に負えない状況に、素人の政治家に何ができようか。要するに、これまで原発建設のすべてに関わってきた自民党に根本的な責任があるように思うのだが…。

　ある情報サイトに、『原子力行政には産・官・学の“鉄の三角形”があると言われている。一つは東電を初めとする電力会社。二つ目は、それを監視する経済産業省の原子力安全・保安院や内閣府の原子力委員会などの行政機関。そして最後の一角が原子力導入の知恵袋と言える学者たち。彼らは原発を推進するという共通の目的があり、利害関係も一致している。それが癒着を生む温床なのだ』とあった。
　また、情報サイト『現代ビジネス』に「原発事故 元凶は天下りにあり」という記事がある。これを読めば、東電と経産省の癒着の様子がよく分かる。そして、このような企業と官僚の癒着は、いかに政権が変わろうと悪しき慣習となって残るのである。この記事の結びにある、「日本の総点検が必要だ」、このひと言に尽きるのではないだろうか。