最近の紅白歌合戦はすっかり若者向けの番組に様変わり、AKB48だの、ジャニーズ系だの、数で勝負するアイドルグループは邪魔くさい。いつものことだが、なぜこの人が出場するのか、選定基準に疑問符の付く人も多い。知らない歌手に知らない歌、ちんぷんかんぷんでババはつまらない。年寄りに馴染みの深い演歌・歌謡曲の枠が少ない。しかもその少ない枠のほとんどがベテランで占められており、昔の歌を何度も聞かされるのにはうんざり。中堅・若手の中にもうまい歌手、いい歌がたくさんあるだろうに…。
ネットに、いっそのこと演歌・歌謡曲とポップス枠は半々とし、出演者全員を国民の投票で決めたらいかが? という意見があった。そうなれば昔のように、紅白出場が一つのステータスとなって、ベテランも中堅・若手もみんな紅白を目標に頑張るだろう。国民的行事とまでいわれた紅白歌合戦、家族みんなで楽しんだ子どもの頃がなつかしい。
というわけで、大晦日は5時からのテレビ東京『年忘れ! にっぽんの歌』を観ることにした。五木ひろしや森進一、氷川きよしなどの紅白出場歌手は早い時間帯にそれぞれのヒット曲を披露。そういえば40年ほど前、新幹線が全線開通したので東京へ遊びに行って、有楽町を歩いている時、たまたま見かけた「五木ひろしと殿さまキングス」のショーを観た。今や大歌手の五木ひろしも、当時はまだ当日券で入場できる程度の人気だったということだ。
また、今は亡きフランク永井、鶴田浩二の懐かしい名曲を映像で聞いて、高校2年の修学旅行を思い出した。自由行動の日、従兄が有楽町の日劇で公演中のフランク永井ショーへ連れて行ってくれた。2人の歌を観光地への移動バスの中で歌ってにぎやかしたことも…。東京タワーは建設中で3分の2ほどしかできていなかった。今から57年前のことである。歌には人それぞれの思い出がある。中堅や若手歌手が歌う昔の古い歌にはなじみの歌が多く、一緒に口ずさんでいると懐かしさに胸が熱くなった。
スペシャル版では、由紀さおりがオーチャードホールで行われていた『東急ジルベスターコンサート』第1部に出演、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で「夜明けのスキャット」を歌った。バックのイケメンのバレエダンサーの華麗な舞いもすてきだった。また、鳥羽一郎が男子高校生グループの新体操をバックに「兄弟船」を歌うという異色のコラボもあった。今回、ゲストの勢関というお相撲さんを初めて見た。色白のイケメンで歌もプロ級、元増位山関と一緒に「雪国」を熱唱、すてきだったネ。
CMの合間に紅白歌合戦をのぞいて見たが、続けて見ようという気にもならず、9時半までの4時間半居眠りもせず、『年忘れ! にっぽんの歌』を十分に楽しんだ。会場はこの番組に応募した人たちで満員、おそらく期待を裏切らなかったと思うネ。紅白歌合戦もこうでなくちゃあ…。そういえばどっちが勝ったのかしら?
11時半からは『東急ジルベスターコンサート』第2部で年越しだ。今年は第20回だそうだが、ババは8回目。今年のカウントダウン曲はシベリウス作曲交響詩『フィンランディア』。12時ジャストに終了すると場内には紙吹雪が舞い、観客は総立ちで新年を祝った。フィナーレのラヴェル作曲ボレロではバレエと演奏のコラボ、20回記念特別バージョンだそうだ。アンコールとして、椿姫の「乾杯の歌」とラデツキー行進曲。第2部で演奏された曲目はどれも私が持っているCD「名曲アルバム」10枚中にあり、耳に馴染んだ曲ばかりだったので楽しかった。いい年の暮れだったよ。
アイドルグループの知らない曲には興味も湧かないし、ダンスやパフォーマンスは論外の老女の大晦日はFMラジオから流れる静かなクラシックで更けてゆきましたよ。
すてきな年越しだったようですね。
マンションではFMラジオが入りにくいらしく、わが家ではベランダでないとラジオは聴けません。
歌謡曲にクラシック、年越しも色々ありますが、お独りさまの年越しは静かなものです。