ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

金子哲雄のあふれる涙

2013-09-19 11:11:34 | 

金子哲雄氏の「僕の死に方」が、
ようやく、図書館から回ってきた。

彼らしく、前向きな文体だからこそ、
リアルに伝わってくる、壮絶な闘病生活。
残された時間を、仕事で埋めるしかない、
死への恐怖。

4人兄弟のうち、すでに3人が、
幼い頃に、亡くなっている。
長寿遺伝子が、働かないのだろうと、
本人が分析するように、私も、そう思う。

でも、彼のように、人の倍気を遣って、人の倍働けば、
人生は、半分になってしまうかもしれない。

そして、それができるという事が、
彼のエリート意識なのではないかと思う。

皮肉にも、忙しい彼は、在宅医療になって初めて、
「好きな時に好きな事をする」ようになる。

世の中は冷たい

治らない病気に、目も合わせない医師。
ここでも、世の中は弱者に冷たい。

彼の人脈をもってしても、
対応してくれる医師に、たどり着くのは大変なのだ。
名も無き貧乏人なんて、即死だ。

おしゃべりバカは、ここでも最悪で、
金子さんが、やせた事を、「気持ち悪い。」と言う、
ネットの書き込みに対し、
「肺がんで、先が短いから、
あともう少し我慢すれば、見なくてすむようになるよ。」と、
レスがついていたと言う。
ひどい !!

限られた人にしか、話していない事情を、
他人に、しゃべるバカが、必ずいる。
まったく、腹立たしい事だ

あふれる涙

正直、自殺したい。
でも、もう、それもできない。
体が、まったく動かない。

明るい彼から、出るとは思えない、
末期患者の切実な思いに、衝撃を受けた。

本の中の見出しにもある、「あふれる涙」。
これ以上、あてはまる言葉は無い。

一個一個、ブレーカーが落ちるように死んでいく。
奥さんが、彼の最期の呼吸を、読み取る。

ここにも、他人事ではない、深い悲しみがある。

 


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