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写楽・・話楽・・・な日々

誰かにではなく 自分のために読む絵本

2019-03-16 23:05:16 | 小さなおはなし


絵本の読み聞かせをしていると この子どもの年齢には合うけれど 

この年齢には無理とか 分かってしまいます  

大人の感覚でかかれた絵本も多いので そういう本は選びません 

でも 「子どものおはなし会」を3月でやめ 自由な立場で もう一度 絵本に目を向けると 様々な絵本を読みたいと思うようになりました 

例えば この絵本 

「 ジェーンと キツネと わたし 」 

イザベル・アルスノー 絵  ファニー・ブリット 文  西村書店 

カナダのモントリオールの 小学5年生のエレーヌ 

しばらく前から 友達の輪から外されています 

それは あの子がエレーヌとしゃべっちゃダメと命令しているから・・ 

ひそひそ笑いや 悪口が聞こえてくるたび 

エレーヌの胸のなかに また一つ穴が開きます  

エレーヌが逃げ込むのは 「ジェーン・エア」の本の世界の中です  

*****

シャーロット・ブロンテの小説「ジェーン・エア」が出てきて 

ちょっと びっくり 

私が子どもの頃に読んだ本ですもの・・ 

刊行された1847年当時 自立した女性として描かれたジェーンの物語は 画期的なものだったのです 

長い年月が経ちながらも読まれるのは 普遍的な内容だからでしょう  

最近 ミュージカルにもなっています 

*****  



エレーヌの家は お母さんと 弟が二人 

このお母さんが働き者で 昔の日本のお母さんをほうふつとさせます 

一日中働き 子どもの世話をし 夜はエレーヌの服を縫い・・・ 

みんな寝静まってから お母さんは思わず誰かに聞いてほしくて 声に出します 

「 ああ もう疲れて 死にそう 」
 

夏になり 5年生全員が英語特訓合宿に行くことになりました 

(モントリオールは英語と仏語が公用語 エレーヌはフランス系ですね)

幾つかのグループに分かれる時  

エレーヌの戦術は なにか探すふりをしてカバンをゴソゴソします  

そうしたら 友達のいない子はみんなゴソゴソやっていて 

その子たちと一緒のグループになりました 

その夜 みんなの前で傷つけられ ひとりぼっちでいたエレーヌの前に キツネが現れました 

エレーヌは 心の中で祈ります 

( あなたが 私の手に触れてくれたら すべてが良い方に変わるのに ) 

キツネは 少しずつ エレーヌに近づき あと一歩というところで 

女の子の叫び声に 姿を消してしまいます 

もう すべて ダメ・・・! 

そう思ったエレーヌの前に ジェラルディーヌという女の子が現れます 

「 あっちのテントから追い出されちゃったの ここで寝かせて 」 

そして てんでんバラバラの友達のいない子たち 一人一人に話しかけ 

みんなは 名前で呼び合う仲良しグループになりました 

エレーヌは お母さんに言います 

「 わたしは太ってて ソーセージみたいだし・・ 」



 エレーヌは気づき始めていたのです 

自分が気にしなければ 悪口は悪口でなくなっていくと 

それに おかあさんも エレーヌの年頃には同じようだったのね! 


「 わたし 将来は作家になろうと思うんだ! 

ジェラルディーヌ『それはいいね』って 」 


「 だれなの ジェラルディーヌって?」


「 わたしのいちばんの友だち 」 


*****

この絵本は ティーンエイジャー向けでしょう? 

豊田市の小6の女の子2人が マンションから飛び降り死亡する事件がありました 

悩みを抱え込み 外からは気づき難い年齢の子どもたち 

本を読むことで 自分だけではないこと  

そして 道はいくつもあるという事を知ってほしいと思うのです

 

コメント (4)
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