ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

マツダか、甲子園か、決着の一週間。

2014-09-29 15:07:46 | 2014年シーズン

一足先にペナントを制したジャイアンツ以外は、
両リーグともに上位の順位争いが混沌としてきた。

パシフィックはトップの福岡ソストバンクホークスがここにきて5連敗。
この10試合で1勝9敗はまさかの大失速。
一方、2位のオリックスバファローズもこのチャンスをものにしきれない。
せっかく上でホークスがどん底状態であるにも拘らず3連敗。
いっしょになって足踏み状態を続けている。
オリックスにマジックが点灯しても、残り試合と比較すると、
数字は逆にプレッシャーになりそうな値。
傍から見ていても切迫感がある。

3位に滑り込むのは王手をかけている日本ハムファイターズが濃厚のようだ。
今季限りで退任を表明した星野監督の楽天イーグルスは脅威の追い上げを見せたが少し遅かった。


ジャイアンツがペナントを制したセントラルに目を向けると、
ここにきて2位カープと3位タイガースの形勢が逆転しそうな勢いである。
9月に入り、両チームともやや失速気味ではあったが、
この後半にきてその失速感が増しているカープに対し、
タイガースは9月前半のしぼみ具合を、徐々に盛り返して、
どうにか五分以上の雰囲気まで押し上げてきた。

28日(日)までの9月の成績だけ見ると、カープが10勝14敗、
タイガースが11勝12敗と両チームとも負け越しているが、先週だけに限って言えば、
1試合だけ組まれていたカープとの直接対決を獲ったタイガースが3勝2敗と勝ち越したのに対し、
カープは2勝4敗と負け越し。
なによりカープは週末に3連敗、タイガースは週末2連勝。
この差がチームに吹く風をガラリと変えた気がする。


タイガースは球場の雰囲気も含めて、この連勝が停滞ムードを吹き飛ばした。
それまでの敗戦があたかも幻であったかのような盛り上がりで、一気に機運が高まった。

一方、3連敗のカープは抑えのミコライオが足をつって降板。
ロサリオが体調不良、守りの要・キャッチャー石原が首痛で欠場と、
突然、負の連鎖に襲われている。

選手の状態でいえば、タイガースはここにきて福留が好調の波に乗った。
9月の打率は.361、4本塁打、13打点、ゲームを決める勝負強さが目立っている。
そしてなにより注目は松田遼馬がよやく戻ってきたことだろう。
CSでも彼の起用が大きなカギになりそうだ。
若き中継ぎエースの復活は大きい。


カープも悪いニュースばかりではない。
先日、頭部にケガを負った田中広輔と、捕手・会沢翼が一軍登録されている。
田中が戻るのは攻撃面で心強いはず。

会沢も今季前半で名前を売った選手。
突然、名前が聞かれるようになった矢先の故障離脱だっただけに、
他球団のファンからするとイメージは薄いが、
数字だけ見ても61試合(169打数)で.314は、
チームメートの小窪哲也と非常に近い数字(75試合、156打数で.314)。
攻撃面だけで捉えれば石原を優にしのぐ。

さらに20歳の鈴木誠也も起爆剤になりそうな勢いがある。
彼が突っ走れば打線に切れ目がなくなる。
若手選手の躍動はチーム全体を押し上げるエネルギーに満ちている。
堂林も、うかうかしていられない。

スポーツ紙によるとミコライオ、ロサリオは大ごとではなさそうなので、
こちらは一安心だろうが、
カープは投手陣、とくに中継ぎ陣のヘバリが言われているようなので、
そのあたりが勝負を分けるポイントか。


いずれにしても、ここにきての地元甲子園での連勝は、
タイガースにとって追い風以上の突風だ。
タイガースは残り3試合、ベイスターズ2連戦が甲子園という地の利のよさもある。
ラストがマツダスタジアムでの直接対決だけに、
このベイスターズ2連戦は是が非でも連勝し、
2位に浮上した状態で広島に乗り込みたい。
タイガースの何よりの強みは先週末に甲子園で連勝し、
まさに今週からのシーズンクライマックスを甲子園でスタートできること。
ハマ風ならぬ、追い風に乗ったときのタイガースの威力は絶大だ。

カープは残り4試合、すべてホームで戦える利点を活かせるだろうか。

ゲーム差なしではじまるこの一週間の戦いで順位が決まる。





大田泰示のジャンプは近々なのか。

2014-09-28 23:06:13 | 2014年シーズン

”近々未来型” とは大胆発言。
近々、なんて迂闊に口走っていいのか原監督。
こっちもその気になってしまうぞ。

スポーツニュースのインタビューで、
この日4番に据えると事前に宣言している原監督の様子が流れていたが、
その際、原監督はこの日の打線を ”近々未来型打線” と表現した。
リーグ優勝を決めた翌日だから、多少のリップサービスはあるにしても、
ただの願望ではなかなか言えない近々というくだり。
”近未来” で留めておいてくれれば ”近い将来” 程度だろうと聞き流せるけれど、
近々未来、近々、ちかぢか、ともなると、ちょっと話は違ってくる。
ちかぢか、なんて、まるで既成事実のように聞こえるではないか。
もう決定事項と言わんばかりである。
1番橋本到に現実味はあっても、
今や4番大田泰示はジャイアンツファンにとって期待や願望のその先の幻影に近かった。

昨日、4番サード大田泰示を密かに切望したものの、あくまでも近未来への願望である。
大田泰示4番でいいんじゃないか(※)とぶっきら棒に書いてはみても、
突然、「近々あるよ」 なんて言われると、
「いやいや、もう少し様子を見てからでも…」 と怯んでしまう。

「ジャイアンツの4番だけ、何代目と数えるぐらいの重みがある」。
大田が言うように、たしかにそうだ。
第何十何代4番打者。
なんだか横綱みたいである。

そんな重みを感じながら迎えた第一打席は、
高崎の内角スライダーにバットをへし折られ、どん詰まりのシュートゴロ。
折れたバットの先が打球を追うようにシュートまで転がって行き、
これで前へ出きれなかった柳田の捕球が遅れ、送球が乱れた。
結果的にファーストへの送球が少しズレて大田はセーフ。
記録はショート柳田の悪送球となったが、
いい送球が行っててもかなり際どいタイミングだった。

相手のエラーとはいえ4番初打席で出塁し、次のロペスが2ラン本塁打を放って逆転。
これはやはり鈴木尚広大明神のご利益が続いているかなどと浮かれていると、
4打席目にも2点タイムリー2ベース。
三上の内角低めのスライダーに詰まりながらも打球はショートの頭を越してセンター前へ。
バットの根元だったが振りぬいた結果だ。

第一打席の出塁や8回のタイムリーもさることながら、
これまであまり見られなかった打席内での粘りも、この試合では目を引いた。
特に一打席目の10球粘ったあげくの出塁は、相手のミスがあったとしても、
価値のあるしつこさだった。
これまでの大田なら、投手に手玉に取られ、あっさりボール球を振らされて終わっていたようなケース。
どうにかバットに当てて喰らいつく姿は、原監督の言う ”ホップ” と信じたい。

ホップが初の4番、代理の4番なら、ステップは一軍定着、
ジャンプが真の4番大田の誕生だろうか。
優勝の景気づけに、夢は大きいほうがいい。
ジャンプする大田泰示が待ち遠しい。


有終に美をもたらした9回二死からのひと呼吸。

2014-09-27 23:57:52 | 2014年シーズン

こんなにも同時進行でシンクロしながら優勝の瞬間を迎えるとは思ってもいなかった。
マジック対象チームの試合状況がこれほど気になったのも初めてかもしれない。

ジャイアンツが9回裏の守りについた時点では、カープの試合のほうが少し遅れ気味に進んでいた。
両方の試合を交互に見比べながら、慌ただしくチャンネルを行き来させた。
山口鉄也が梶谷をライトフライに打ち取って二死になると、
やはり原監督は昨シーズン同様、最後のマウンドをマシソンに託した。
1シーズン、チームを支え続けた山口、マシソンに対する粋な計らいだ。

この交代に、「これで少し時間が延びます。」 と実況のアナウンサー。
たしかにこの交代で甲子園の試合のほうが先に終わる可能性も高まった。
ジャイアンツの勝利よりも先に甲子園でカープが敗れれば、そこでマジックが1になる。
そのあとジャイアンツが勝利すればゲームセットの瞬間に優勝決定という理想的な流れだ。
先にジャイアンツが勝利してしまうと、ほんの短い時間でもカープの結果を待たなければいけない。
ゲームセットの瞬間に歓喜の輪が生まれれば、優勝のカタチとしてはもっとも美しい。

結果的にこの一呼吸が、シーズンの有終にもっとも相応しいカタチをもたらすことになる。


チャンネルを甲子園のCT戦に切り替えると、呉昇桓が中東と梵を3球で仕留めて二死。
予想通りに追いついた。
両試合とも二死でランナーはいない。
同時進行のような展開になった。

ジャイアンツ戦に戻るとマシソンが下園にヒットを打たれた。
これでCT戦のほうが先に終わる可能性がさらに高まった。
再びチャンネルを切り替えると、代打・天谷のカウントは1ボール2ストライク。
次のボール、呉のストレートを天谷が捉えた。
いい当たりのセンターライナーが大和のグラブに納まり試合が終わった。
すかさずGB戦の実況アナが 「終わりましたぁ! カープ敗れましたぁ!」 と叫んだ。

今日のスポーツ紙の記事によると、ジャイアンツベンチ裏でもこの瞬間、
CT戦の戦況を窺っていた斉藤投手コーチが 「負けたぞ~!」 と絶叫し、
選手らにカープ敗戦を知らせていたらしい。
ベンチから身を乗り出す選手らの姿を見て、
守っていた村田修一もそれに気づいたと語っている。

一方、桑原を空振り三振に仕留めて胴上げ投手になったマシソンは、
打者に集中していて優勝に気づいていなかったとコメントした。
たしかにマウンドに走り寄る阿部らナインとは、ほんの数秒、
テンポがズレたようなリアクションをしている。
そのズレたテンションのままマシソンは歓喜の輪にのみ込まれた。
優勝が決まった今回の試合を象徴するひとコマだった。


監督も、選手たちも、一様に ”苦しかったシーズン” と振り返る。
いろいろ周りから言われた中で、苦しんだ末に掴み取ったペナント優勝。

この試合、解説を務めた槙原寛己氏がこんなことを言っていた。
「監督も、選手も、みんなしんどかったはず。
これで勝てないまま終わっていたら後を引くシーズンになっていただろう。
でも、結果的に優勝出来たことでが、すべてを帳消しにしてくれる。
すべてが自信になり、来季への糧となる」。

チームとしての奥行きが、ひと幅もふた幅も広がったシーズンだったように思う。






大田泰示サード待望論を密かに語る。

2014-09-26 18:30:36 | 2014年シーズン

大田が活躍すると橋本の目の色が変わる。
風が吹くと桶屋が儲かるみたいな言い方だけど、
そんな気概が、入団当初からの橋本にはある。

同期で入団した同級生。
入団当初から、「泰示には負けたくない」 を繰り返していた橋本。
大注目で期待を集めたドラ1の大田に対し、橋本はドラフト4位。
甲子園出場のない大田と違って、橋本は甲子園に3度出場、成績も華々しいものがある。
それでも、入団当初からの注目度、期待度は俄然、大田が上回っていた。
「泰示に負けたくない」 は、スローガンのように橋本の口をついた。

プロ初安打は2011年、同じシーズンに記録した。大田のほうが三つきほど早かった。
守備、走塁、バットコントロールの良さでやや大田を上回る橋本が、一足先に一軍に定着する。
タイプは違えど、同じ外野手、ライバル心が芽生えるのは当然だろう。
「到が一軍で活躍しているのを見ると刺激になる。」
「到に負けないように…」
今季前半、ファームでインタビューを受ける大田の口からも、橋本の名前が頻繁に出るのを耳にした。

守備や走塁で大田にいいプレイが出ると、「泰示が頑張っているので…」 と、
橋本は先ず大田を労いながらも、必ずライバルとして意識する負けん気の強さも垣間見せる。
橋上打撃コーチもあるインタビューで橋本のいちばんの特徴を 「肝の据わった思い切りの良さ」 と言い切る。
そんな気持ちの強さに、大田の活躍が火をつけないわけがない。

23、24日のドラゴンズ戦では、2試合続けてスタメンを大田に奪われた橋本だったが、
両試合とも途中から出場して2四球、投安打と意地の出塁。
昨日は揃ってスタメンから外れていたが、ともに巡ってきた8回の最初の打席では橋本が四球でチャンスをつくり、
その後ランナーを溜めて大田が左中間へタイムリー2ベースを放った。
試合は観れなかったので(怒)その様子は分からないが、
試合後の原監督は 「いいところで到も泰示も、いいバッティングをしてくれた」 と若手ふたりの粘り強さを称えた。

いい相乗効果の中で躍動するふたりを見ていると、ファントしては心が躍る。
ただ現実に目を向けると、ジャイアンツの外野手争いは熾烈である。
持ち場がハッキリとしている鈴木尚広は別にしても、長野が不動で一角を占め、
そこに今季は開幕から橋本が食い込んだ。
長野が不動であることは変わらないだろうから、あとのふた枠をヨシノブ、亀井、橋本、大田、
さらに矢野、松本哲也、そしてアンダーソンらで争う。

来季の布陣がどうなるかは分からない。
ライバルは増えても、減ることは先ずないだろう。
それだけはハッキリしている。


一方、内野陣に目を向けると、坂本のショートは不動。
井端はショートも含め、セカンドでも片岡のバックアップ以上の存在感を出している。
そこに寺内が加わり、ファームからは藤村、中井も隙を窺う。
このふたりは外野手としての可能性も持つが、外野でも厳しい立場であることに変わりはない。

そしてサード村田修一も不動である。
村田のライバルは、誰だろうか。
村田を脅かす存在が、見当たらない。

もちろん、サードを守れる人は多数いる。
井端、寺内など、中井も含めてファームにも三塁手候補は存在する。
しかし、村田の地位を脅かすようなライバルになるかといえば、周知の通り。

そこで、ドサクサ紛れの大田泰示サード待望論。

大田泰示の入団時の登録は内野手。
しかし、2011年の途中から外野手へコンバートされた。
打撃に専念させるためとの発表だったが、内野の守備難も指摘されていたから、
少なからずそこにも原因の一端はあったろう。
サードの守備難に加え、打撃を活かすために外野を守る機会が増えたカープの堂林も似たタイプだろうか。

少なからず難があると指摘された内野守備だから、すぐにどうこうなるとは思わないが、
外野に転向してからの適応力の高さを見れば、あながち非現実的な話でもないように思う。
もともと高校のときは遊撃手だった。
大田にとって、守備力の高い村田のグラブ裁きが近くで学べるという利点も当時はなかったこと。
村田修一にとっても、若くて活きのいい同タイプのスラッガーが後ろから迫ってくれば、さらに尻に火もつくはず。
なにより、生え抜きの若いスラッガーが三塁手に座るというのは、ファンにとっても夢である。

4番、サード、大田泰示。
あまりにも、ではあるが、
夢のような響き。

それでまた打撃に影響が及んでしまっては元も子もないでの、
今季、シーズン終了後の秋季キャンプから準備して、
ワンシーズン、ツーシーズンかけてのプロジェクトが理想的ではないか。


昨日の試合、大田タイムリー2ベースでホームに還ったのは橋本と鈴木尚広。
また、ランナー・鈴木尚広とのカップリングで結果を出した。
2度も続けて鈴木尚広大明神にホームベース上で迎えられ、ハイタッチのご利益を頂いた。
橋本がチャンスをつくり、大田が還すという巡り合せすら、華を添えているように思えてしまう。

そんな勢いに乗じての、大田泰示サード待望論。
少々、浮かれています。



それでも爆発する、力まない大田、力まない澤村。

2014-09-24 23:13:49 | 2014年シーズン

まあまあ、落ち着いて落ち着いてと、まず、そう自分に言って聞かせるところから始めなければ。

盆と正月がいっしょに来たような騒ぎだから、まずは原監督の試合後のコメントで頭を冷やすとしよう。

「このところ非常にいい風が、彼に吹いている。まだホップでしょう。
簡単にはステップはこない。そんな甘いものではない」。

その通り。
われわれ、おっちょこちょいなファンは、すぐに一喜一憂してしまうきらいがある。


ファームで目を見張るような成績を出していたわけでもなく、
例年通り、一定の成績は残していたものの、やはり、外野手の故障者が一気に出たことで、
繰上げ的に上がってきた昇格だった感は否めず。
昇格した当初も、これまで何シーズンかで見てきた昇格と何ら変わらない状態だった。

ただ原監督が言うように、足と守備ではいいアピールが続いていた。
「チャンスを自分で勝ち取った」 という評価は、観ていたファンも今回は納得ではないだろうか。

先日のスワローズ戦での同点弾を振り返る大田のコメントを、スポーツ報知が取り上げている。
「力みなく打てました。ガチガチに力んだ方が、飛ばない。力任せに振って、いいことなんてない」。

さらに、ドラゴンズ戦の試合前には、 「7、8割の力で、今日は打撃練習くらいのつもりで打席に立つ」。
そんな言葉を呪文のように自分に言い聞かせ、
芯に当てることだけに集中してフリー打撃に取り組んだと大田は語っている。
おそらくここ何年ものあいだ、さんざん言われてきたことだと想像するが、
簡単ではないのだろう。


今季のファーム交流戦。甲子園で行われたタイガースとの2連戦で、兎に角、大田はヒドかった。
あまりの内容に、CS放送の中継で解説をしていた掛布雅之氏が、
掛布氏からすれば対戦チームの選手であるにも拘らず、かなり親身な口調で大田の状態を憂いだ。
1試合目は4の0で2三振。2試合目は4打席4三振。その三振の仕方も無残なもの。
キャッチャーが身体を大きく横に逸らして捕球にいくような、完全なボール球の変化球にも手を出す始末。
ピッチャーがボールを手から離すと同時にバットを振りにいっていると掛布氏も驚くありさまだった。

その後、何試合かファームでの打席を目にする機会もあったが、
良し悪しの具合にこれといった変化はなく、
それでもジャイアンツのファーム打線で規定打席に達している打者の中では、
ほぼトップクラスの成績を出し続けていた。
その結果が、8月の昇格に繫がったことは間違いないだろう。

一昨年、プロ入り初ホームランを放ったのもシーズンの後半である。
2試合連続ホームランのあともヒットが続いていたが、
ポストシーズンはベンチ入りできなかった。
原監督は大田の現状に対し、いい風が吹いている、と表現したが、このままいい風に乗って、
今季こそはポストシーズンまで一軍ベンチに残れるだろうか。
CSには高橋由伸も間に合うとの報道もある。
そうなるとよほど状態が良くなければ立場的には厳しいかもしれない。

少なくとも兆候はあった気がすると前に書いたけれど、
ここ数試合の上昇具合には、うれしさと同時に少々面食らうところもある。
原監督ではないが、そう簡単でもないだろう。
でも今回はちょっと楽しみたい。なんといっても2年ぶりだし。
だから、突然の爆発力も大田らしさと捉えよう。
多少の浮き沈みはあっても、豪快なバッティングこそが大田らしさ。

…。
なんだか似たような人がひとりいるな。
そうだ、澤村だ、澤村の愉しみかたも、たしかそんな感じだった。
投手・澤村拓一、打者・大田泰示。
なんとなく、共通点がありそうなふたり。
パワーピッチャーに、パワーヒッター。
力で打者を制圧したい澤村と、フルスイングでスタンドに打球をぶち込みたい大田。
力まずに投げることが課題の澤村。
力まずに打つことを身につけたい大田。

突然、22イニング無失点と快投を見せる澤村に対し、
かたや大田は、一週間のあいだで突然、2ホーマーにタイムリー2ベースと暴れまくった。
今季、派手さのないチームにあって、このふたりはズバ抜けて賑やかである。
今のジャイアンツには欠かせない投打の ”お祭り男” 。
ポストシーズンでも大事な役割を担えるだろうか。


大田の2本のホームランで、両方とも塁にいたのが鈴木尚広だった。
今季、神々しいほどの活躍を見せる鈴木尚広がホームでハイタッチのお出迎え。
これは縁起がいいぞ大田泰示。
最後の打席も死球で大当たりだったし。

そう、この日の大田は、あと3ベースが出ればサイクル安打達成というおまけまでついていた。
当てられても一塁ベース上で笑みを浮かべる大田に、この日、解説を勤めていた牛島和彦氏は、
「こういったケース、打者からすればわざと当てにきたのではないかと威圧的な態度になる選手が多いが、
大田はそんな態度を見せずに立派」 と大田を賞賛。

そういえば、今季、対ドラゴンズ戦で、
あとシングルヒットが出ればサイクル安打達成だったドラゴンズの和田に対し、
ジャイアンツは2打席連続で死球を当ててしまっている。
たしか、東京ドーム。
当ててしまったのは山口とマシソンだったと思う。

わざとではなかったと思いたいが、まあ、大田の死球は仕方がない。
笑顔で一塁ベース上に立つ大田の脇で、一塁手の森野の表情は何とも複雑だった。
後味の悪さが残りそうな瞬間だったが、大田の笑顔が一切を帳消しにした。





戦いの輪の中にいる大田泰示。

2014-09-22 23:09:39 | 2014年シーズン

先週の逆転2ランのときといい、今回の同点2ベースを放ったときといい、
大田が結果を出したあとの原監督の顔が何とも印象深い。
よく零れるようなとか溢れるとかそんな表現をするけれど、
17日の大田ホームランのときの原監督の笑みは完全に顔から零れ落ちて、
あとからあとから溢れかえる勢いだった。

そのあとの勝利監督インタビューでも興奮冷めやらぬ様子。
油断すると笑みが零れ落ちてしまいそうな状態で、いつになく饒舌だった。

21日の同点タイムリー2ベースのときは、うって変わって真剣な表情。
鋭い眼差しで口を真一文字に結んだまま、何度も大きく頷いていた。

両手を叩いて大田のバッティングを称える原監督に、
手放しで喜んだ一昨日のホームランのときのような高揚感はない。
結果がすべてのプロの世界、大田に向けられた視線には、
満足感よりも、その先への期待感が上回っているようだった。

優勝を争う、緊迫したペナントレースの中で、チームの一員として戦っているという実績は、
若い選手にとって非常に意味のある経験であろう。
例えば、散々粘った挙句にセンター前へヒットを放った9回の井端の打席もそう。
原監督は、あっぱれといった感嘆の表情で拍手を送った。
こういったベテランのしぶといバッティングを緊迫したゲームの中で目の当たりに出来るというのも、
一軍にいれてこその経験だ。
大田や橋本にとって、こういった経験が来季に活きてくれることをファンは願うばかりである。


試合が始まる前のベンチ風景をよくカメラが捉えていることがある。
選手らのリラックスした表情や仕草が見れて面白い。
そんな映像の中で、原監督と大田がベンチに座って仲良く会話をしているという光景は、
けっこうおなじみの映像ではないだろうか。
なんだか仲の良い親子のようで、思わず笑ってしまう絵面である。
ただ、大田が一軍にいるときにしか見られないテレビ限定の映像なので、これまでは意外とレアだった。
大田が一軍に定着できれば、そんな光景も数多く見られるようになるかもしれない。
テレビ観戦ならではの、ちょっとした愉しみだ。

今、しっかりと一軍の輪の中に立っている大田にだからこそ言える、ファン、束の間のゆとり。
余裕を持って大田を語れる日が待ち遠しい。



同点の2ベースを放った大田は2塁ベース上でバッティンググローブと肘あてを外しながら、
それを受け取りに来たボールボーイだかガールだかに向かって、
笑顔をみせながら何かひと言、言葉を発した。
「やったねぇ」 大田の口元がそう動いて見えた。




原監督の言葉に潜むフラストレーション。

2014-09-21 23:59:24 | 2014年シーズン

5番に据えたアンダーソンが初回にはまった。
初回から3番の坂本に送りバントをさせた原監督は、
試合後のコメントで初回の得点シーンを振り返り、
「3番バッターがしっかり送って4番バッターが還せなかった。
そこでアンダーソンが二死から貴重な3ランだったと思う」 と、
あえてアンダーソンへの賛辞のまえに、「4番バッターが還せなかった」 という言葉をつけ加えている。


初回の攻撃、無死一、二塁の場面で、早々に3番の坂本に送りバントをさせた。
一死二、三塁、バッターは4番、阿部。
この状況で空振りの三振に倒れた4番打者。
初回から、3番バッターに送りバントをさせ、4番に託した策だったが、実らなかった。
あえて付け加えた 「3番バッターがしっかり送って4番バッターが還せなかった」 という言葉の中に、
原監督の気持ちに残る引っかかりを感じる。

それは、8回の阿部の本塁打についてのコメントの中からも感じ取ることが出来る。
「初回にいい3ランが出たが、スミなんとかというのはゲームを支配する上では非常に苦しくなる。
そういう意味では慎之助の4点目は非常に大きかったと思う」。
非常に大きかったと称える本塁打への感想の中にも、やはり初回の攻撃が絡んでいる。
とくに初回の阿部の凡退を言葉にしている訳ではない。
4番の凡退を補ったアンダーソンの本塁打を ”いい3ラン” と称えた上で、
8回の阿部の本塁打がゲームの苦しい流れを変えたと評価している。言葉尻はそうだ。
しかし、大きかったと表現したダメ押しの本塁打への感想の中にも、
初回の得点機の状況に触れ、"スミなんとか" というネガティブな意味でよく使用される表現をあえて口にする。
攻守にわたり、今季なかなかスムーズに決まらなかった、たくさんの引っかかりが、無意識に口を衝く。

今シーズンのジャイアンツの戦いも、見ている側は、ハラハラしながら楽しめるが、
やっている方は、ストレスの溜まるしんどいシーズンだろう。
そんなふうに思いながら見ていると、原監督の口ぶりにも、ついついそんな印象を抱いてしまう。

それは選手にしても同じ事だろう。
個々の成績が上がらない中で首位にい続ける苦労は計り知れない。
われわれは簡単に底力などと形容するが、その重圧は想像に余る。
例年になく厳しい表情の続く阿部や村田修一は、とくに気持ちの負担も大きいだろう。

長年、ジャイアンツの看板を背負い続けている阿部と違い、
村田のプレッシャーはまた一味も二味も違ったものではないか。
2年目の昨シーズンは中盤からバッティングの調子もうなぎのぼり、
最終的に自己最多の164安打、5年ぶり2度目の3割達成、日本一は逃したものの、
自身の成績としては満足のいくものだったに違いない。

今季も前半、なかなか調子に乗り切れなかったバットも6月に入ると急激に上昇、
昨シーズンの再来かと思わせたが、そこから夏場を経ても成績は一向に上がらず横ばい状態。
当ブログの6月の記事で(※)、村田が9回に代打を送られたことを取り上げたが、
7月後半にはジャイアンツ移籍後初の一試合欠場を経験し、
自身が続けていた現役選手では2位となる連続試合出場記録もそこでストップした。

先日、某夕刊紙の取材インタビューで村田がそういった一連の起用法について述べている記事を目にした。
ジャイアンツへの移籍を決意した時点である程度の覚悟はしていたと語る村田だが、
今季の打順の変動の多さには少なからず戸惑いはあるようで、
阿部の長引く不調も少なからずそういったことが関係しているのではと漏らしている。

もちろん、不調のいちばんの原因が自身のバッティング技術であることは認めながら、
今季のチーム力について冷静に分析し、チームを引っ張っていく存在であることを忘れてはいない。

原監督は常々、こういったベテラン選手へのケアも怠っていないことを口にするなど、
信頼関係の深さに不安要素なしの姿勢を貫く。
そうであるからこそ、現在のチーム状況でも首位の座に座り続け、
優勝目前となっても、他のライバルチームを引き離すだけの自力を見せつけられるのだろう。

監督の憤りや、看板選手が抱える苦悩など、そんな不安定な要素を抱えながらも、
あともう僅かで、ペナントレースのゴールテープをトップで切ろうとしている。
その裏では、われわれファンの知りえない、表の戦いとは違った葛藤が、
見えないところで繰り広げられていたはずだ。
そんな裏の葛藤も、シーズンが終われば見えてくるだろうか。




勝利を手にする方法だって75通りはあるのさ。

2014-09-20 23:46:17 | 2014年シーズン

スワローズとの初戦に勝利し、ジャイアンツはこれで通算成績75勝55敗1分とした。
マジック6となっても原監督は、まだ感知せずの姿勢を崩さない。
原監督は以前から、マジックは5になってからと常々語る。
この日の試合後のインタビューでも、マジック6になったことをインタビュアーに訊ねられていたが、
とくにいつもと変わらぬ姿勢で質問をやり過ごした。
このやり取りに対し、実況アナウンサーが 「原監督もマジック6ではまだまだといった感じでしたが、
やはりマジック5にならないとダメなんでしょうかね」 と苦笑いを浮かべながら、
なかなかマジックに関して語らない原監督の真意を解説の江川卓氏に訊ねている。

優勝への指標となるマジックについて質問を向けるインタビュアーの気持ちは理解できるが、
聞かれる側の立場を考えればマジック20だろうが10だろうが、あるいは6だろうが5だろうが、
1つ1つ減らしていくしかないのがマジックなわけで、それ以上、返答の仕様がないことも察しがつく。
数字が少なくなっていけば、対象チームの動向によって2つ減ったりするケースもあるだろう。
だからといって、ここにきて数字がいっぺんに3つも4つもまとめて減るわけもない。
そんな勝ち方が出来るわけでもないのだから、
いちいち10になりましたが、6になりました、5ですがと聞かれたところで、
そうそう多くは語れないのも当然だ。

そう、いっぺんに2勝、3勝なんて出来やしない。
そんな勝ち方なんて存在しない。
一つ一つ、1勝1勝、積み重ねていくしかない。
今季のジャイアンツも、そうやってここまで75勝を積み上げてきた。
そんな75回の勝利には、様々な勝ち方が存在した。
昨日の試合を、そんな思いで眺めていた。
75回の勝利には、75通りの勝ち方があった、そんな思いに浸った。
自由に生きてく方法なんて100通りあると言ったのは浜田省吾だけど、
勝利を手にする方法だって少なくとも75通りはある。
今季のジャイアンツがそれを教えてくれた。


勝利の方程式という言い方をもう随分前からしているけれど、
今季のジャイアンツに限ってはその方程式もあまり当てはまらない。
これまでの勝ちパターンとは一線を画した勝ち方も少なくなかったように思う。
多かれ少なかれ、勝負の決まり手というのはそういうものだろうか。
昨シーズンのジャイアンツだって、その前のシーズンだって、
いろいろなパターンを積み上げてこれたからこそ、たくさんの勝ち星に繫がった。
それはジャイアンツに限らず、どこのチームにだって言えることかもしれない。

昨夜の試合は内海、加藤健のバッテリーが、前回に引き続き、いい流れでゲームを作り上げた。
前回のベイスターズ戦は完封勝利。この日は8回途中まで投げて自責点2。
コツコツとアウトカウントを積み上げていった内海、加藤健のバッテリー。
打つほうでも加藤健は2安打1四球、先制点を叩き出すなど勝利の立役者となった。


雰囲気というか、波長というか、なんとなく似た感じに見える内海と加藤健。
お立ち台に並ぶ二人は、その姿かたちまでいっしょに見えて、
球団発表の二人の身長・体重を覗いてみたら、なんと二人とも身長186センチ、体重93キロとまったく同じ。
実際は多少の差もあるだろうが、並んでいると縦幅も横幅も本当によく似た感じだ。

体格が似ているから相性がいいわけではないにしても、
シーズン大詰め、ここにきて面白いカップリングが誕生した。

「ここきて調子が上がってきましたね」 というインタビュアーの問いかけに、
「ここにきて…って(笑)、もうシーズンも終わりに近いですけど」 と思わず苦笑いの内海だったが、
最後の最後にきてこういったいい組み合わせが生まれるのも、今季のジャイアンツを象徴しているように思える。

バッテリーでいえば、ここ最近では澤村、小林誠司の組み合わせもそう。
あるいは今シーズン何度かいい結果に繫がったセドン、實松のカップリングもその一つではないか。
鈴木尚広の走塁、井端の技術、ヨシノブの勝負強さ、橋本到、小山の躍進…。
例を挙げれば数多い。
いろいろな組み合わせによって、いろいろな勝ち方が生まれた。

この日の勝利も、75勝のうちの、個性ある1勝。
さまざまな勝利の中で、またあらたな勝ち方を見せてくれた。

今季ジャイアンツを表すシンボリックな一つに、内海、加藤健のバッテリーが加わった。


ゾーンに自ら入り込む澤村拓一の習癖。

2014-09-19 23:07:31 | 2014年シーズン

以前は必ず、大田が打席に入るたび、
「ホームラン打たねえかなあ」 などとつぶやいてその打席を見守っていたのだ。
一昨年、初ホームランをドームで放ったときは、まさにその願いが叶った瞬間だった。
2日後に広島で放った2号ホームランは観ることができなかった。
その時は、このペースならまたすぐに大田のでっかいホームランを拝めるだろうと高をくくっていた。

それから早2年が経った。
”大田のホームランが拝めるのはイースタン中継がある日テレG+だけ”
なんだかどっかのキャッチフレーズみたいに、大田のホームランはそんな希少な愉しみになっていた。

一軍に昇格してから、走塁や守備ではいい流れに乗って、なんとなく雰囲気が漂っていた。
そんな贔屓目で見ること約ひと月、懸命に大田の打席を待ち望み、
それでも巡ってきたチャンスで結果が出なかろうと、けっこう今のいい当たりだったなと、
期待を寄せることだけは怠らない。

実際、このところ、おしい当たりが出ていたことは確かだ。
前回のスワローズ戦で山本哲から打ったレフトライナーは、
ラインドライブ気味ながらいいタイミングでボールを捕らえていた。
翌日のスワローズ戦でバーネットから放ったライト前ヒットも、
けっしていい当たりではなかったが振り抜いた結果だろう。
タイガース・歳内から打ったサードライナーは抜けていればレフト線への2ベース。
新井貴のファインプレイに阻まれた。

そう、だから、きっと、兆候は出ていたのだ。
優勝争いがもつれれば、ペナントレースも長く楽しめる、そういったスタンスは変わらないけれど、
大田の出番を考えると、早いとこ優勝を決めて、大田をスタメンで使ってくれないかと、
そんな思いが強くなった、昨夜の大田のホームラン。

本塁打、という言葉よりも、ホームラン、という言葉が似合う大田泰示。
そんなバッターになって欲しい大田泰示。
ホームランバッター大田泰示。



先発の澤村は、久しぶりに ”良くない澤村” にいってしまった

「いい投手であることは間違いない。だが、何というか悪い意味のゾーンも持っている。
ちょっとしたタイミングで、相手のゾーンに入ってしまう時があるんだ」。

原監督の澤村評だ。

言いえて妙である。
流石、現場を仕切る指揮官。
なるほど、そういうことか。

”悪いゾーンを持っていて、タイミングによって相手のゾーンに入ってしまう”
なんだかタルコフスキーの映画みたいな響きだな。


澤村のことはこれまで何度も書いてきたけれど、
澤村の二面性というか、どちらに転ぶか分からない危うさというか、
そういった澤村の特徴をなかなかうまく表現することが出来なかった。
いいとき、悪いときの極端な上がり下がりも、澤村の醍醐味。それが澤村の楽しみ方。
澤村の持っているものの凄さは、投げる球を見れば解るし、
原監督が言ったように 「いい投手であることは間違いない」 という言葉にも素直に頷ける。
今後、澤村に、菅野のような安定感が備わってくれればと、
いつだって心のどこかでそう思いながら澤村の投球を眺めている。

今季、中盤に入ってようやく一軍に上がり、出足こそ良し悪しがハッキリとしていたものの、
ここ数試合は抜群の安定感で、不安要素の高いジャイアンツ投手陣に救世主のような光をもたらしてくれた。
とはいえ、ジャイアンツファンだって、原監督以下、首脳陣が冷静に澤村を見つめるように、
まだまだしっかりと澤村を見ていかなければいけないと、
例年の澤村を思い返せば、ただ楽観的に浮かれているわけでもない。

だから前回の登板で、4勝3敗と一つ勝ち星が上回っても、
まだまだ楽観視せずに、残りの登板をしっかり投げきって、
今季こそ、一つでも勝ち星が上回ってくれればと、
そう願っていたファンもおそらく少なくなかったのではないだろうか。


澤村、1回裏の投球を振り返ると、先頭バッターの木村昇吾への投球は、
いつもよりもさらにストレートがシュート回転し、シュートは外に大きく逸れる。
木村は打ち取ったが菊池を四球で歩かせ、迎えた丸の打席で、
この日澤村が良くないことが、ここでハッキリする。
菊池の打席からフォークボールはどれも抜け球で高めに浮いていた。
それでもここ数試合は、そういった兆候すら小林誠司とのバッテリーが噛み合っているおかげで、
徐々にいい方向に転化する流れが出来ている。
一概に ”悪いときの澤村” と決めつけるにはまだ早すぎるように思えた。

澤村が ”悪いときの澤村にいってしまった” のは、
次のエルドレッドに投げた落ちないフォークボールがやや外寄りの真ん中に入り、
それをレフト前へ痛打されたときだ。
それまでも小林の構えるミットどおりにはいっていなかったが、
このときも、小林は外の低めにミットを構えていた。
これで完全に良くない方にいってしまった

すぅ~っと投げているように見える。
良くないときの澤村を、よくそう表現して書いてきた。
その ”すぅ~っ” というのは、
例えば突然打たれるケースでは無警戒にストライクを獲りにいくような投球を指していたり、
あるいは打たれだしてきたときのそれは、
冷静さを欠いてガムシャラにストライクだけを獲りにいくような投球だったり、
そんなとき澤村は ”すぅ~っ” とストレートを投げてしまっているように見える。

それが何なのか、どういうことなのか、それ以上はうまく表現することはできなかった。
しかし、原監督のこのコメントを見て、胸につかえていたものが取れた感じがした。
いわば、胸の異物が ”すぅ~っ” と取れた感じ。

そうか、そういうことだったのか。
澤村が ”すぅ~っ” と投げているように見えたのは、
澤村が自身の中に持っている、”悪いゾーン” に入ってしまったときで、
執筆人が 「良くない澤村にいってしまった。」 と表現していた ”いってしまった” は、
相手のゾーンに入ってしまったときにそう見えていたのだ。
相手のゾーンに、いってしまっていた、そういうことだったのか。

なるほど、そりゃあ、なかなか戻って来れないはずだ。
勝負事でよく、相手の ”間合い” に入ってはいけない、と言うが、
その相手の ”間合い” は、ようは相手のタイミング。
相手の ”ゾーン” と言えなくもない。

相手の間合いに入ってしまっては打つ手もない。
澤村に限らないが、悪いときの澤村にも言えること、まさに棒線一方な状態。

そこで原監督は交代を決断したということか。
あっ! やばい! 入ってしまってる!
いってしまっている以上は、なかなか戻れない。
いく前に、どうにか乗り切れれば修正も利く。
入ってしまったら、もうどうにもならないのが澤村拓一という投手のクセ。
投手というのはおおかたそういうところがあるだろうが、
澤村はとくにそこの比重が大きいということだ。
いずれにしても、もう勝負は大詰め。ここでイヤなイメージを芽生えさせないためにも、
早めに区切りをつけ、さっさと次のステージを用意することのほうが、たしかに利はある。

では今後、澤村はどうすればこのゾーンに入り込まずに済むのだろう。
今回のように、入ってしまった時点でイニングに関係なく即効、交代する、
というのも一つの手ではあるだろうが、澤村登板のたびに、いちいちそこに神経を使い、
初回から二番手投手を用意してでは、もうその段階で既にローテーション投手ではない。

先日書いたが、結局は、桑田真澄氏が指摘していたように、
制球力をつける、投球術を覚える、そこに終始するのだろうか。
ゾーンに入ってしまわないために、入ってしまっても自力で抜け出すために、
それには制球力、投球術を身につけるしかない、そういうことか。
力で押し切ろうとしても、スピードボールで乗り切ろうとしても、
押し切れるだけの、乗り切れるだけのところに投げ切れなければ、打たれるだけ。
まったく意味がない。

コントロール、緩急、結局、そこに行き着くのだ。
課題は分かっていても、なかなか簡単ではないのだろう。

だがそもそも、なんで澤村はそんな ”ゾーン” なんか抱えているのだ。
その ”ゾーン” 自体を捨て去ることは出来ないのか。
なぜ出来ないのか。
性格か? 体質か? 体格か?

そんな ”ゾーン” に入らないため、抜け出すために、制球力、投球術が大事なことは分かる。
また、入らなければ、ここ数試合のようないい投球が出来るのも事実。
言い換えれば、入る入らない以前に、そんなもんなければ、
そんなゾーンさえ捨て去ることが出来れば、
今のままの投球スタイルでも充分やっていけるということだろう。
今のままでも充分に澤村の醍醐味は楽しめるけれど、
もし今以上の高みを目指すのであれば、先日、先輩の桑田さんが言っていたように、
制球力、投球術を磨くか、もしくは精神修行でもして何か一掴みするか、とにかく何れかである。
向かう方向は見えているぞ澤村拓一。
間違ってもトレーニングジムの方に向かうんじゃないぞ澤村拓一。



あの代打の場面、一死満塁で小林がランナーを還せず、
二死になっていたら(あるいはダブルプレイでちゃんじになっていたら)、
そのまま澤村をいかせるつもりだったと原監督は語っているから、
あの場面で点数が入っていなかったら、澤村はもう1イニングは投げていたのかもしれない。
それも勝負の綾。
結果的に代打のアンダーソンがタイムリーを放ち、1点差に詰め寄ったあと、同点に追いついた。

タイムリーを放った小林だったが、澤村に代打・アンダーソンを送った時点で、
次の守りから小林もベンチに下げ、ファーストの阿部がキャッチャー、
代打のアンダーソンをそのままファーストの守備につかせるかと想像した。
しかしアンダーソンには迷いなく代走を送ったので、
あるいはロペスをファーストに入るかと見ていたが、
チェンジになっても小林をそのまま守備につけた。
まだゲームは前半ということもあっただろうが、
小林が手にしているのは期待だけではなく、
信頼もしっかりと手に入れている証しだと、
その一連の攻防劇を眺めながらそう感じた。



2011年の中日ドラゴンズとの類似。

2014-09-17 23:52:08 | 2014年シーズン

広 島 1-7 巨 人

菅野は初回、逆球が多かった。
失点は制球に苦労する立ち上がりの隙をつかれた。
打線も5回まで、どうにかランナーを出すが二度の併殺とイヤな流れだった。

そんな流れを断ち切ったのも、菅野のピッチングだった。
2回以降、逆転してもらった6回裏の守りまで、菅野が許したランナーは四球で歩かせたエルドレッドひとり。
とくに、6回に点を獲ってもらったあとの守りで、きっちり三者凡退で終わらせているところがいい。
この流れが、次の回からの3イニング連続得点に繫がったように思う。
今季のジャイアンツの戦いは、打線や投手陣に強さがない分、この ”流れ” で勝利を引き込む。
そしてそのプロセスが、これまでのどのシーズンよりも、ハッキリと目に見えて鮮やかだ。

今季、これまで以上に取り上げられることの多い原監督の采配も、
時には ”非情” という言葉と共に語られる。
打線を動かしすぎるといった意見や、選手との信頼関係を危惧する捉え方もあったりで、
否定的な見方をする解説者も少なくない。

チームバッティングを重視するような向きは、何も特定のチームに限った考え方でもなく、
今やそれもひとつの支流になっているといえるだろうが、
例えば3、4、5番打者のクリーンナップにも逆方向への流し打ちを求めたり、
あるいは原監督が時折見せる3番、4番打者にもバントのサインを出すという采配などは、
もっとも評価の分かれるところだ。
そんな野球は面白くない、王道ではない、そういった批判的な意見も見聞きする。

先日、ジャイアンツのOBでもあり、ヤクルトや西武などでも監督を務めた球界の重鎮、広岡達朗さんが、
これらの原采配について、「信念が見えない」 と痛烈に批判していて、
「優勝の資格もない」 とまで言い切る断罪ぶり。

ただ、今季の原監督は徹底してこれらの采配を貫いてきた。
広岡さんだけでなく、打順をコロコロ変えてブレていると発言する評論家の声も其処此処から聞こえてはくるが、
ある時期から原監督は腹を括って ”今季はこれでいく” という信念のもとに決断を下している。
「本意ではないが、今季のジャイアンツ打線はこれでいくしかない。」
そんなニュアンスのことを言葉に出してしっかり宣言しているのだ。
そこの信念については、ある意味、まったくブレていない。

物事、どちらの方向から見るかで見え方は変わってくるから、
どっちがどうだは簡単な話でなくなってしまうのでこれ以上はやめておくが、
いずれにせよ、どちらの方向から語ったとしても、
最終的に目指す場所が "勝利" という到達点であることに変わりはない。

原監督が振るう采配への評価も、最終的に結果がどう出るかで変わってくるだろうし、
あるいは結果はどうあれ、雇われ監督である以上、裁定を下す上層部がどう判断するかでまた、
評価の意味も違ってくるだろう。


ここでふと思い出すのは、2011年中日ドラゴンズの落合監督退任劇である。
2011年のドラゴンズは故障者続出でペナント中盤過ぎの時点でBクラスだったが、
後半に向けて怒涛の追い上げを見せ、最終的には2年連続のリーグ優勝を果たした。
もちろん、そのときチームを率いていた落合監督の手腕は評価されるところだが、
そのシーズンは落合監督何年契約だかの最終年にあたり、
球団はチームが苦境にいるリーグ戦中盤の真っ只中、落合監督の任期満了による退団を発表した。

表向きは任期満了と発表されたが、
落合監督の勝利至上主義の采配がたびたびマスコミでも取り上げられ、
勝つこと優先で面白さ度外視と揶揄されるなど、
年々減少しているナゴヤドームの観客動員数の問題や、人気の低迷といったことまで、
あたかも落合采配が関係しているかのように報じられ、
球団内の意見も落合降ろしに向いているとスポーツ紙などは書きたてた。

当時球団も、人気回復や、観客動員数の増加を意識したコメントをたびたび出しており、
落合監督に代わる次期監督選出も、人気のある生え抜きのOBと大々的にぶち上げていたが、
そうそうに発表されたのは、高木守道氏の17年ぶりの監督復帰だった。

似ているというほどでもないが、
落合監督が2年連続リーグ優勝という成績で退任したそのシーズンのチーム成績と、
今季ジャイアンツのチーム成績に思いのほか通じるところがある。
成績というよりは、傾向といったほうが正しいかもしれない。
先ほども記したとおり、2011年のドラゴンズは故障者や不調に陥る選手が多かった。
後半の凄まじい巻き返しで、優勝を決めたのは142試合目というまさに大詰めだった。
そんな選手たちの状況もあって、チーム打率.228、得点数419得点は共にリーグワースト。
この両部門がワーストでリーグ優勝を果たしたのはプロ野球史上初のことらしい。

今シーズン、まだペナントの行方が決まっていない状況で比べるのは勇み足ではあるが、
とりあえず今の現状で見比べてみると、数字的にはそこまで低くはないものの、
ジャイアンツのチーム打率はリーグ最下位、得点数も5位と限りなくワーストに近い数字。
ちなみに投手成績を比較しても、その年のチーム防御率1位はドラゴンズ。
現在、セントラルのチーム防御率1位はジャイアンツである。

勝ち上がり方などに違いが有るから、よく似ているというのも語弊はあるが、
チームのタイプは近いかもしれない。


結局、高木監督は契約満了というカタチで2年で退任。
ベンチ内でのゴタゴタばかりが取りざたされていた印象だが、
そのあと谷繁兼任監督への流れは承知の通り。
落合氏も2年間のブランクを経てGMという肩書きのもと、再びドラゴンズに戻ってきた。

そういえば原監督も第1次監督期は1年目、日本一、
2年目、3位という成績だったにもかかわらず、2年で辞任に追い込まれた。
そしてそのあとを引き継いだ堀内氏が2年間、迷走を続け、
その後、再び、2年のブランクを経た原辰徳が監督の座に返り咲いた。

チームを勝利に導くために、監督は何が最善かを考えて采配をふるう。
投手がガンガン投げて勝ち星がうなぎのぼり。打者がガンガン打ちまくっていつでも大量得点。
そんなんだったら監督なんて必要ないだろう。
投手がなかなか勝てなかったり、打者がなかなか打てなかったり、
そんな状況の中でどうすれば勝てるのかを考え策を興じるのが監督の腕の見せ所である。

今季のジャイアンツの野球は、たしかに王道野球ではない。
それでも、必勝パターンをどうにか作り出し、
派手さはないけれど、プロフェッショナルな野球を随所で見せてくれる。

王道野球でなくても、スリリングな展開に持ち込み勝利をもぎ取る。
どんな野球だって懸命に勝ちにいっていれば充分に面白い。



アンダーソン復帰でバランスが戻ったジャイアンツベンチ。

2014-09-16 23:19:43 | 2014年シーズン

規定打席に達していなかったとはいえ、
亀井が3割3分、2分あたりをキープしてくれていたおかげで、
どうにかジャイアンツ打線も見栄えが保てていたのだ。
ところが、昨日の試合で亀井は前田健太の前に3打席凡退。
ついに3割を切ってしまった。
あくまでも、規定打席に達していない亀井の話だが、
これはこれで切ない。

と、思いきや、いるではないか! 3割打者。
おぉぉ、アンダーソン! アンダーソン! 
アンダーソンが戻ってきてくれてたのだ。
そしていきなりヒット打ってくれたのか。
頼もしい男が戻ってきた。
内野(ファースト)、外野(レフト)、そして左の代打の切り札にもなる。

こうして改めてジャイアンツ打線の控えの選手を眺めてみると、
8月の後半に高橋由伸が抹消になり、
9月の2カード目の途中で原監督が ”最後の砦” と表現した隠善も抹消されている。
隠善の抹消は亀井が戻ったことも関係しているだろう。
しかしこの隠善の抹消によって、
一軍ベンチの中で左の代打の切り札になりうる選手がひとりもいなくなってしまった。
先週のタイガース戦からベイスターズ戦にかけての6連戦は、
ここぞで送り出せる左の代打がいない状態で戦っていたのだ。

ここに、今季の、原監督の腹の括り具合が感じられる。

ベンチで控えているのは、鈴木尚広、矢野、大田、井端、寺内、小林誠司、加藤健、
ほぼこのメンバーである。
鈴木尚広が左打席に立てる以外は、すべて右打者。
このメンバーで、現在、切り札になっているのは井端、矢野、
さらに小林がマスクをかぶったときに阿部がファーストに入ればロペスがベンチに下がるので、
そのときはロペスもカードになる。ただ、ロペスも勿論、右打者だ。

ここぞの場面での勝負強さがあれば、左打者にこだわらず、そういうことだろうか。
そう考えると、やはり井端の存在は大きい。
そして、代打の切り札のように登場する、代走・鈴木尚広という ”とっておき” 。
この二人の存在なくして打てる手ではない。
今は、このふたつの切り札に賭ける。
そう腹を括る。

もっとも、代打の切り札となるような左の野手がいないのも事実。

そんな中、戻ってきたアンダーソン。
俄然、ベンチのバランスが良くなった。
これでヨシノブも慌てることなく調整できる。
順調にリーグ優勝にたどり着けば、CSファイナルステージまではまだ一ヶ月の期間がある。
そうなれば、最終決戦はひとまず、ベストの布陣で臨むことが出来る。


戻ってきたといえば、もうひとり、久しぶりに一軍復帰を果たした男がいる。
高木京介だ。
故障などで6月から2軍で調整していた高木京介が3ヶ月ぶりに一軍に上がった。
今季は出だしからあまりいい状態ではなかったが、
一昨日のベイスターズ戦では江柄子からマウンドを引き継ぎ、
3回を投げて無安打無失点の好投。
緩急自在のピッチングはルーキーイヤーの一昨年の思い起こさせる内容で、
とくにスローカーブがいいところに決まっていた。
8月半ばにイースタンリーグで2ヶ月ぶりの復帰を果たし、
一軍に上がるまで8試合に登板。6回2/3を投げて被安打5の5失点。5奪三振2四球2死球。
打たれたのはひと試合だけ。あとはほぼ安定した内容。

一昨日は4回二死からマウンドに上がり、7回の途中で久保にマウンドを譲った。
ファームでも長いイニングを投げていなかった高木京だったが、
思いのほか内容が良かったことに原監督も面食らったのだろう、
試合後のコメントで川口投手総合コーチは「予想外に良くて、監督が引っ張ったね」と、
うれしい誤算だったことを明かしている。
江柄子もランナーを背負いながらも飄々と投げ続け、
コツコツ経験を積んでいってる感じが頼もしい。


カープとの天王山は、1戦目、前田健太の前に手も足も出なかった。
ジャイアンツ戦で投げているここ何カードかの中では、いちばんの投球だったのではないか。
大詰めにきてのこのピッチングは流石、前田健太。
カープは今回のこのカード、前回の3連敗を晴らす戦いにしなければいけないから、
このあと一つ獲るだけでは物足りない。
カープが3連勝してゲーム差2になると、かなりスリリングになって面白い。


昨日の試合で特筆すべきワンプレイは久保のフィールディング。
7回裏、先頭の石原がヒットで出て、無死一塁。
バッター・前田健太の送りバントはピッチャー前の微妙な当たりだった。
しかし、投球と同時に猛ダッシュの久保は躊躇することなく二塁へ送球。
その動作は、まるでマウンドから一塁へ牽制球を投げているような素早さ。
捕球と同時に身体を素早く回転させ、矢のような送球で二塁をホースアウト。
そのまま余裕でダブルプレイを完成させた。
あんなフィールディングが出来る投手、そうはいないだろう。



この苦境のその先に、ベイスターズのクライマックスは存在する。

2014-09-15 23:24:22 | 2014年シーズン

いつも、このあとが問題の中畑ベイスターズである。

8月の初旬のジャイアンツとの3連戦に3連勝し、
さあここから一気にというムードも、結局、頭打ちだった。
8月最後の週でようやくグリエルが戻っても、
あの3連勝から数えると、ここまで16勝16敗の五分。
いいんだかどうなんだか、微妙な結果。
現在の順位を基準にするならば、奮闘で間違いないのだろう。
だが、CS進出を前提にするなら、決して満足のいく結果ではないはずだ。

上位3チームに決め手がなく、それでもこの終盤にきて、
ジャイアンツの底力が下の2チームを凌駕し、ゲーム差をコツコツと引き離し出した。
この3連戦を1つ勝ったことで、ベイスターズはジャイアンツとの対戦成績を10勝9敗とした。
しかし、肝心の目の上のチームには、ここまで散々の結果である。
カープには7勝13敗、タイガースに至っては5勝14敗と完全にお得意様状態である。

ならばせめて上のチームが負けているときにと思うのだが、
9月に入り、この肝心な時期になかなかそうならない。
一昨日の試合も、せっかくひとつ上のタイガースが甲子園で大量リードを許し敗戦濃厚状態だった。
しかもベイスターズはモスコーソが抜群の内容。
タイガースの敗戦はほぼ間違いないことが途中経過で分っていたのだから、
是が非でも獲りにいきたいゲームだった。
中畑監督は3戦目勝利後のインタビューで、この勝利はデカいと何度も繰り返していたが、
ジャイアンツ3連戦の最後の1つを獲ったデカさよりも、
2戦目を獲れなかったことのほうが明らかにデカい。

今月はじめにタイガースが名古屋で3連敗したときも大チャンスだったはずだ。
そのときも付き合いよくベイスターズはカープに1勝2敗。
そうそう都合よくいかないのは当然だが、なかなか縮められないもどかしさ。
などと言っていられない。

9月に入り、これでベイスターズは5勝7敗。
問題はこのあと、このあとだ。
ドラゴンズ3連戦、1日空けて、カープ3連戦、
そしていよいよ、その翌週から怒涛の14連戦が始まる。
その前半が、いきなりクライマックスである。

タイガース3連戦、ジャイアンツ3連戦、そして再びタイガースとの2連戦。
最初のタイガース戦、ジャイアンツ戦を横浜スタジアムで戦えるというのもいい流れと捉えたい。
この6戦を終えた段階で、上のチーム、当面はタイガースなのでタイガースと想定し、
2ゲーム差まで詰めてタイガース2連戦を迎えたい。
敵地甲子園を考えたらそれでも心もとないが、
その2連戦、連勝で同率なら、残りにの6連戦へ俄然、弾みがつく。

相手の動向もあるから言うほど簡単ではないのは分っているけれど、
今シーズンのこのチャンスは、簡単に逃してはいけない。
この苦境を乗り越えることが、来季への自信に繫がり、
きっと、チームに ”底力” という蓄えをもたらしてくれるはず。
それは今季の上昇カープが証明している。

中畑ベイスターズ、手負いの虎を追い詰められるか、
あるいは最後も虎に粉砕か。
9月末決戦が見どころになる。






歴代18番からの、小山、澤村に向けたメッセージ。

2014-09-14 22:09:47 | 2014年シーズン

昨日のベイスターズ戦でのこと。
ゲームセットを迎え、いつものように原監督らがベンチ前でナインを出迎える。
順番にハイタッチを交わし、そのまま客席の歓声に応えるため、
一塁線の付近に向かって全員が歩き出す。
その後ろ姿を捉えたカメラ映像に中で、ひとり、背中に憔悴感を漂わす選手がいた。
背番号9。
ほんの数秒程度の映像だったけれど、明らかに、亀井は身体全体が重そうだった。
少し身体を斜めに傾かせ、若干だが、足を引きずっているようにも見えた。
やはり、まだ故障した箇所が完治していないのだろうと、そう思いながら見ていたのだが、
それにしても疲れていた。

今日の試合のスターティングオーダーに、亀井の名前はなかった。
体調不良でベンチからはずれ、すでに帰宅の途についたと実況アナウンサーが伝えた。
登録抹消ではなく、帰宅しているということは、先日の足の故障に関係したことではなく、
何か他に突発的なことが起きたのだろうか。
昨日の試合後の亀井のうしろ姿を思い出し、大ごとでなければいいがと案じる。

ここ数試合、バッティングが下降線に入ってきたかと少し心配しながら見ていた。
亀井は調子が落ちてくると、上半身の動きが目立ち出すイメージがある。
重心のしっかりしたフォームが、なんとなくフワフワしてくるような感じだ。
器用な打ち方が目立ってくると、調子が落ちてきたのかと心配になってくる。
ここ数試合、そんな雰囲気があったので気になっていた。

スポーツ選手の体調不良というと、つい骨折や肉離れといった故障をイメージしてしまうのだが、
考えてみればスポーツ選手だって一般の人と同じように、普通に身体に変調をきたしたり、
もともと持っている持病や生活習慣病があったりもするだろうから、
何がその選手に起きているのかなど赤の他人は知るヨシもない。
大ごとにならぬよう、少し欠場してでも体調を整えて欲しいと、ファンは心から願う。

先日のタイガース戦で3回の守備から退いた井端は、翌日もベンチに入っているので、
大事には至らず一安心だが、この時期のケガはシーズンを棒に振る可能性もあるし、
ましてやベテランともなれば大ごとにもなりかねないので、ファンとしても本当に肝を冷やす。


それにしても、まさに今季ジャイアンツの勝ち方だった。
攻撃の糸口もつかめぬまま、8回のワンチャンス、
終わってみればジャイアンツが勝っていた、そう解説の堀内氏が表現したとおり、
どちらかといえば、ベイスターズに流れがあったような、そんなゲームではなかったか。

前回も打ちあぐねたモスコーソだったが、少なくとも、このあともう一回は対戦があるはず。
これからのペナントの成りゆきによっては、なかなかスリリングな対戦になりそうで、
これもまた楽しみだ。


小山はランナーを背負ってもひるまずに要所を締めるピッチング。
フォークボールの多さが相変わらず目立つが、解説の堀内氏もその辺りを指摘していた。
「彼が今後、15勝出来るような投手を目指すのであればフォークの多投は禁物だと言いたい。
7、8勝どまりの投手でいいのなら何も言わないが」。

この日の投球は好投だったと褒めながらもそう注文をつけた堀内氏。
「小山にはすばらしい素質と大きな可能性を感じる。スタミナ面を考慮すると、
この試合も後半にいくにしたがって指の力が落ちてボールに抑えがきかなくなっている。
先発で高みを目指すのであれば、
もう少しストレートや他の変化球の精度を上げるように努力して欲しい。」 と期待を込めた。


先日の甲子園でも、これに似た指摘を桑田真澄氏が澤村にしている。
桑田氏は、以前、澤村が、「打者を力で制圧したい」 と発言していたことを引き合いに出し、
これまで澤村が制球に苦しんできたこと、その試合でも制球があまり良くないことを対比させ、
「スピードとコントロールは両立しない」 という持論をもとに投球術の重要性を説いた。

今投げているストレートでも充分に威力はあると認める桑田氏だが、
「澤村くんにはもっと高いところをめざして欲しい。
それには、カウントや打者によって、ここはコントロール重視でいくか、
あるいは力で押すのか、そういった計算をしながら投げる駆け引きを身に着けていって欲しい」。
それも大事な投球術だと繰り返した。

ジャイアンツのエースナンバー18。
歴代の18番から新たなエース候補ふたりに対する、ならではのメッセージだった。



加藤健、16年の信頼と実績。

2014-09-13 22:59:50 | 2014年シーズン

加藤健というキャッチャーは不思議な存在だ。

この日、内海とバッテリーを組んだのは16年目の加藤健。
新潟県の新発田農業高からプロの世界に入った加藤健は1998年のドラフト3位。
ジャイアンツのその年のドラフト1位は上原、2位は二岡というそうそうたる顔ぶれ。
同年のドラフトは松坂大輔に沸いた年である。
高校から入団した選手らは、いわゆる松坂世代と呼ばれる選手たち。
加藤健もそのひとりだ。

プロに入ってからの加藤健といえば、
そのほとんどが3番手以降の控え捕手として、その立場に甘んじている。
加藤健がプロ入りした99年は、まだ村田真一が正捕手として君臨していた時代だ。
そしてその2年後に、阿部慎之助が即戦力ルーキーとして鳴り物で入団してくる。

その後、阿部が球界を代表するキャッチャーに成長し、
オリンピック、WBCと、日本代表に選ばれる機会が増えたことで、
加藤健が一時、2番手の座をつかみかけた時期もあった。
しかしトレードによる鶴岡一成(現・阪神タイガース)の加入や、
その数年前にやはりトレードで移籍していた實松の存在などもあって、
なかなか一軍定着には至らなかった。
(實松も98年のドラフトで高校からドラ1で日ハムに入団した松坂世代のひとり)
そして16年目を迎えた今季も、ジャイアンツには阿部の次と期待される小林誠司が入団、
一軍に定着している。

そんな苦境に身を置きながらも、加藤健の存在感を示すひとつの例がある。
加藤健が入団した99年以降、阿部入団の2001年を経て、2010年に鬼屋敷正人(ドラ2)、
河野元貴(育成2位)が入団するまでの約10年の間で、
ジャイアンツに入団した捕手は延べ7人(加藤、阿部、鬼屋敷、河野を除く)いる。
だが、99年の加藤健以降、鬼屋敷らが入団する前年、2009年までの11年の間に入団した捕手は、
すべて引退か移籍などによる退団を強いられている。
現在までジャイアンツに在籍しているのは、加藤健と阿部慎之助の二人だけである。

そんな多くのライバルたちと競い合い、
一定の立場から弾かれることなく、
16年目を迎えた今シーズンも、
大事な時期にスタメンマスクを任されている。
それは、原監督が表現した 「チームでもっとも献身的な選手」 という言葉が示すとおり、
ここまでの経験と信頼が、チーム内でもしっかり評価されているという証拠だろう。

ファームでは攻守にわたり、ある程度の結果は残している。
だが、一軍での成績については、出場試合数においても、
打撃の面でも、ほとんど目立った数字は残していない。
捕手としての技能も、特にどこかが秀でているというタイプでもない。
それでも16年間、チームに必要とされて、現在もその役割をまっとうしている。
加藤健の実績は、控え捕手として、16年間チームを見守り続けている経験そのものだろう。

チームでは、18年目の鈴木尚広、17年目の高橋由伸に次ぐ在籍年数である。
年齢からしても、まだまだいける。



粘りが増して、よりタフになったG投手陣。

2014-09-12 23:13:14 | 2014年シーズン

終わってみればジャイアンツの3連勝。
甲子園でタイガース3タテは15年ぶりらしい。
そんなにしていなかったのか。
逆のパターン、ドームでの3タテは毎シーズン喰らってるような気がするが、どうだろう。

この3連戦を振り返ると、ジャイアンツが挙げた得点は3試合で17得点、安打数は24。
これに対しタイガースは3試合で5得点、安打数は20だった。
如何にジャイアンツが効率よく点を獲り、投手は打たれながらも粘り強く投げていたかが窺える。

タイガースは初戦のメッセンジャーで獲れなかったのが最後まで尾を引いたろうか。
1戦目をしっかり獲れていたら、2戦目の、初回で先行していて勝てなかった試合は、
ある意味、あの勝ち方は今季ジャイアンツの勝ちパターンでもあるから、
負けが仕方がないとは言わないが、おそらく引きずる必要のない試合だったと思う。
やはり、初戦獲れなかったのがすべてか。
初回から四球がらみで坂本に先制2ランを浴び、
メッセンジャーでリードを許すスタートとなったことが、
チーム全体に焦りをもたらしたように感じた。

ジャイアンツ側から見れば、先発投手、中継ぎ投手の粘りが、3戦ともに光っていた。
調子が上がったというよりも、”粘り強さが増した” といったほうがしっくりくる気がする。
シーズンとおし、苦しみの中で投げ続けてきた積み重ねが、
ここにきてのタフさに繫がっているのではないか。

1戦目の杉内、西村、江柄子のリレーにはドッシリとした重みがあった。
西村はまだ多少、制球にままならない感じが残っているけれど、
ストレートに体重が乗ってきたように見える。
江柄子もストレートにノビがあった。

昨夜の青木のピッチングが象徴するように、緊張感の増してきた中でも、
これまでとまったく変わらない淡々とした仕事ぶりが何とも頼もしい。
チームとしての経験値が根幹でチーム全体をしっかりと支えている。


先日のスワローズ戦を解説していた谷沢健一さんが山口鉄也の復調具合について触れていた。
今季不調の一端が勤続疲労であることは疑いようがないとしながらも、谷沢さんは山口の左腕の位置に注目。
ドラゴンズ・山本昌を例に出し、山口不調のもう一端を分析した。

今季、山本昌は開幕前にカットボールを覚えた。
しかしその一方でストレートがまったくいかなくなってしまう。
苦悩の末、その原因がカットボールであることに気づく。
カットボールを覚えたことで、自然と左腕の位置が下がっていたのだ。
それに気づいた山本昌は、ひとまずカットボールをあきらめ、
左腕の位置を元に修正し、ようやくストレートに球威が戻った。

「山口も今季、シュートを投げるようになって左腕が下がっていたが、
ここ数試合を見ていると腕の位置を戻した感じがある。
山本昌のように、それに気づいたのかもしれない」。
谷沢さん同様、いっしょに解説していた金本義明氏も、
ここにきて山口のストレートに球威が戻ってきた気がすると口をそろえた。

たしかに9月に入ってから、若干、ストレートにキレが出てきたようにも見えなくはないが、
やはり例年のキレではない。
ここまで積み重ねてきた経験を元に、
今季は最後まで探り探り、だましだまし、
といったところではないか。
とにかくこのオフは、少し肩を休めて、
ゆっくりと来季に向けて調整して欲しい。
間違ってもあらたなWBC候補に引きずり出されないよう。
チームがきっちりとプロテクトしてくれることを願う。

2試合目に投げたマシソンは、今季一の出来だったのではないか。
それほどストレートの精度は高かった。
開幕当初からずっと高めに上ずっていたストレートだったが、
10日の投球では、ほぼ真ん中から低めに抑えられ、
160キロを計測したストレートは糸を引くような球道で抜群の走りだった。
今季、記憶にないくらいの完成された火消しだったマシソン。
ゲームセットでナインとハイタッチを交わし、ベンチに戻って引き上げる際に、
グランドのほうに向き直り、帽子をとって一礼した表情には、安堵と満足感が満ちていた。
山口同様、マシソンも、今季は最後まで微妙なバランスの中で投げ続けるしかない。


インタビュアーが10勝は通過点かとの問いに、
菅野は躊躇することなく 「最低ラインです」 と言い切った。
菅野がこの状態で戻ってこれたことで、大竹の抹消がかなり和らいだ。
もちろんそれは、澤村の現在の状態があってのこと。
その日の出来の良し悪しは別にして、
完投能力の高いふたりがここにきて出揃ったことは、
中継ぎ投手の負担を考える上でも非常に大きい。


あとがないと言いつつも、やはり全体的に淡白さが目立つタイガース。
西岡にしても、3戦目で呼び寄せることが出来た状態だったのなら、
初戦からベンチ入れておいたほうが、
流れや勢いをつける意味でもよかったのではないかと感じてしまう。
いろいろ事情はあるのだろうけれど、
最後の3連戦、ここで叩かなければという戦いのわりには、
チーム全体としてのプレッシャーが薄い3連戦だった。
上本の粘り強さと、歳内の好投が光っていた。