ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

横浜グリエル、ジャイアンツ戦はじめまして。

2014-08-30 23:05:17 | 2014年シーズン

やっと見れた。
ようやくジャイアンツ戦登場のベイスターズ、グリエル。
ジャイアンツ戦以外の試合でプレイする姿はこれまでにも見ているので、
よく打つことは分かっていたけれど、ひと試合じっくり観ると、ほんとうによく打つので驚く。
これだけしっかり成績を出してくれれば、多少、お休みが多くても中畑監督も辛抱は利くだろう。

それにしても、居並ぶラインナップにあらためて目をやると、かなりの迫力である。
この打線に筒香が加わる。現在、どういう状態にあるのかは分からないが、多村、荒波もいる。

この日のクリーンナップはグリエル、ブランコ、バルディリス。
外国人選手三人でクリーンナップを組むのは本意でないと中畑監督がコメントしているとおり、
本来なら5番に筒香が座るのがベストなのだろう。
成績もバルディイスより筒香のほうが上回っているから、まったく見劣りしない。
筒香の飛躍はほんとうに大きい。彼の成長はチームにとっても安堵だろう。

グリエル、ブランコがシーズン通してフルに働くベイスターズを見てみたい。
ベイスターズファンならずとも、そんな期待を来季に寄せるプロ野球ファンは少なくないはず。
しかしキューバの選手は基本、一年ごとの契約らしいから、
各選手が来季、今所属する日本のチームでプレイするかどうかはまったくの白紙。
来季、グリエル、セペダ、デスパイネらが違うチームで活躍する可能性も大いにあるわけだ。

これだけの成績を見せられれば他の球団も黙ってはいないだろう。
もうすでに報道ではさまざまな憶測が記事になっている。
ベイスターズも残留に向けて躍起になるだろう。
願わくば、グリエルには、来季もベイスターズでプレイして欲しい。
まだ今シーズンが終わったわけではないから、あまり先走ってもしょうがないが、
この打線には他球団の打線を凌ぐくらいのワクワク感がある。
ピッチャーがもう少し整備されれば、一気に登り詰めるだけの重量感は既に備わっている。

ここから上位チームの潰しあいが起きれば、ベイスターズにもまだまだチャンスはある。
ただ、今月前半にジャイアンツを3タテしたあと、一気に駆け上がるチャンスだったにもかかわらず、
その後、いまひとつ勢いに乗れなかった。
ジャイアンツに3連勝したところから昨日のドラゴンズ戦まで9勝8敗と勝ち越しはしたものの、
善戦した程度ではペナント最終決戦に向けたイニシアチブはつかめない。
ドラゴンズ戦を3つ獲って臨んだ昨日からのジャイアンツ3連戦。
少なくとも勝ち越さないことには弾みもつかない。
グリエルが戻り、筒香もそろそろだろうか。
役者が揃って、打ち勝つ試合が増えてくれば、ベイスターズ浮上の期待はさらに高まる。



8月23日のドラゴンズ戦での大竹完投を受け、
なかなか完投投手なんて出るもんじゃないと書いた矢先、
大竹から数えて実に一週間の間で3人の投手が完投勝利を収めるという ”ここぞ” のジャイアンツ。
しかもタイガース戦の澤村、この日の内海は完封というおまけまでついた。
選手個々の成績に見栄えがないまま首位をキープするジャイアンツだが、
こういった大事な局面で見せる底力こそが、首位に留まっていられる最たる理由だろう。

中継ぎ投手を休ませることが出来たということよりも、
チームに、完投できる投手が三人も存在するという事実が大きい。
この頼もしさが、きっとチームに自信と勇気をもたらしてくれる。




そりゃいい投球だってするサ!澤村拓一。

2014-08-29 23:01:09 | 2014年シーズン

2安打完封勝利なのだ。
澤村拓一なのだ。

しかも、相手はタイガース。
こんなに力強い澤村を見たのは、
憶えにない。

「90%以上の力は出し切ったと思う。心技体そろえばこういうピッチングができる」。
本来なら、これくらいの力は持っている投手なんだと、
原監督は大見得を切ってもそう言いたいはずだ。
この原監督のコメントも、90%以上の云々の前に、
彼の100というのは測りづらい100ではあるけれど、という前置きがついている。
これまでの澤村の道筋を踏まえれば、原監督が少し控えめに言葉を選ぶのも仕方がない。
「今日の投球を続けてくれれば」 の次で、何度もコケてきた澤村。
でもそれが澤村の醍醐味なんだと、以前、そんなことを書いたことがある(※)
そんなときも、こんなときも、すべて澤村。
どちらに転ぶかハラハラしながら観るのも、澤村の愉しみ方。
昨夜は、最高の澤村が観れた。

初回の澤村は、内角に構える小林誠司のミットより少し真ん中にボールが寄っていた。
左の今成、鳥谷への投球は、それが顕著に出ていた。
2回に入り、福留への投球から、少し様子が変わったように見えた。
福留を三振に仕留めた4球目の151キロのストレートは、
小林の構えた内側の厳しいコースから、ホームベースギリギリいっぱいのところへズバっと切れ込み、
これには福留もまったく反応できなかった。

この三振で弾みがついたか、次の伊藤隼太は3球三振。
最後の球は真ん中よりやや内側に寄った高めのボール球。
152キロのつり球に思わずバットが出てしまったような、
伊藤隼太はそんなスイングだった。
前半で掴んだこのテンポそのままに、
中盤から後半にかけてストライクが先行するようになった澤村は、
4回以降、無安打ピッチング。
結局、9回を投げぬき、2安打2四球10奪三振という圧巻の完封劇を演じた。

先日来、よく取り上げている、投手のアウトコース低めへのコントロール。
澤村もそうだが、昨日の小山、そして西村と、
今季は3投手ともインコースへ投げ込む球の精度は上がっているように見える。
しかし、アウトコース低めへのコントロールには少し、苦戦しているだろうか。
西村のアウトコース低めへの制球難は、昨日の試合中、解説の武田一浩氏が指摘している。
今季の西村不調の要因を、この外低めへの制球の悪さと分析する。
その試合で先発した小山は、今季、内角へしっかりいい球が投げられるようになったことが、
ひとつの成長の証しと言えるだろう。
ただ一方で、アウトコース低めに決めきれないケースも多々ある。

今季この3投手への個人的なイメージがある。
アウトコース低めに投げ込んだ投球に対し、球審の手がなかなか上がらない。
観戦していて 「ボールかぁ~」 と思わず反るような思いを何度もさせられている気がするのだ。
言い換えれば際どいところに投げ入れているというふうにもとれる。
ただ判定はボール。
あくまでもイメージ、そんな印象が強い。


テンポ良くストライクが取れていたゲーム後半は、小林の構えとは逆球も多くあった。
それでも9回表まで衰えることのなかった澤村のストレート。
最後の打者、鳥谷を三振に仕留めたストレートは151キロを表示した。
結局、タイガース打線は最後までその球威に差し込まれていた。
解説の江川卓氏は、澤村の外へ逃げる球筋を内へと修正した小林誠司のリードを何よりも称えていた。





復調の目安は、アウトローへのコントロールだぞ西村健太朗。

2014-08-28 23:58:00 | 2014年シーズン

山口、マシソンでの敗戦だから、どうにも悔やみようがない。
原監督が言い切るように、これがジャイアンツの戦いかた。
小山も、6回まで無失点できていた中でのあの回の連打である。
二死まで漕ぎつけての交代はもったいなかったが、
そのあとを引き継いだ青木が福留を抑え、あの回を1失点で終わらせたのだから、
小山の交代も仕方がないとあの時点では充分に納得がいった。

この日の小山の出来を振り返ると、初回の鳥谷への投球が象徴的だったと思う。
小山の今季の特徴のひとつは、内角へストレートをしっかり投げきれるようになった点がよく言われる。
初回の鳥谷との勝負も、内側ギリギリのところへストレートを投げ入れ、しっかりとストライクがとれた。
その反面、外へのストレートがあまく入ることをよく指摘されるが、
この試合でも外のストレートがあまく入るシーンは何度か目にした。
フォークボール、内へのストレートでストライクが取れ、その上、
外の低めにストレートがしっかり投げ込めるようになれば鬼に金棒だろう。

アウトローは投手の生命線とよく言われる。
よくノムさん(野村克也さん)も、
ピッチャーは外角の低めでストライクが取れるかどうかだと言い切る。

一昨日のタイガース戦で、この外の低めで苦労するある投手が、
解説者の目によってクローズアップされた。
指摘したのは解説者の武田一浩氏。
されたのはジャイアンツの西村健太朗だ。

26日の試合、8回表の先頭バッター・大和に西村は手こずる。
初球148キロのストレートは外角低めに決まるが、
ここから西村はなかなかコースに球を投げきることが出来ない。
今季、西村の不調の原因は、
ひとつに外角へのストレートが思うようにコントロール出来ていない点だと武田氏は言う。
1ストライク後、トータルで14球粘られて、うち9球をファールでカットされた。
ベースの半分しか使えていないからファールで粘られると武田氏。
「当てられてファールにされているのは、ほとんどインサイドにあまく入っている球。
阿部が外角低めに構えてもなかなかそこにボールがいかない。
きちんと投げていればおそらくセカンドゴロに打ち取れるはず」。
武田氏がそう言った矢先、14球目にようやく初球に投げた外角低めのストレートとほぼ同じ球がいった。
結果はセカンドゴロ。
「初球から数えて13球もかかるのだから確率が悪い」。
コースに投げきれず、ボールがあまく入る。あまく入った分、
ファールで粘られて、結果、3ボールまでカウントを持っていかれる。
指摘されている通りの流れが、今季の西村のここまでの姿だ。

そんな中、26日の西村は杉内のあとを次いで2イニングを2安打無失点で抑えた。
これも先日の逆転勝利に繫がる、貴重な流れのひとつだったろう。

昨夜の試合でも、タイガースに1点返されて、
3対1となった7回表からマウンドに上がり、1イニングを三者凡退できっちり抑えた。
2週間ぶりに一軍に戻った22日からは、それ以前の悪かったときのピッチングを感じさせない内容が続いている。
山口、マシソンでの4失点は悔やんでも仕方がない。
ここに西村も加えて、昨シーズンの後ろ三枚の不調は、開幕からとうとうここまで来てしまった。
先発、中継ぎ、抑えと、すべてに決め手を欠いた投手陣。
打線も同様に決め手のないまま故障者まで続出している。
そんなチームがこの時期まで首位に座り続けている。
他球団も黙ってはいないはずだが…。

こうなると俄然、ベンチのやり繰り、采配に注目がいく。
昨夜の試合は、もちろん4番阿部の仕事っぷりが大きかったことは間違いないが、
そんなベンチの采配が巧妙に光った逆転劇でもあった。

長野が思いのほか長引いている中で、高橋由伸の離脱。
ポストシーズンには間に合う可能性が大きいとのことだが、大事に至らなかったことが何より幸いである。
こうなると、中井、大田のアピールの薄さが歯がゆく、もどかしい。
今、こういうときに突き出なければ、来季も同じポジションである。
走って、守ってと、大田も奮闘はしているが、バッターボックスで、もっとギラギラした貪欲さを見せて欲しい。


流れを断つか、呼び込むか。GTベンチの決断。

2014-08-27 23:53:31 | 2014年シーズン

見所の多い好ゲームだった。
これまでどおり、序盤から力でメッセンジャーに抑え込まれていた。
試合は明らかにタイガーズペースで進んでいった。

今季、完全にジャイアンツ・キラーとなっているメッセンジャー。
ここまで11個の勝ち星のうち、実に4勝をジャイアンツから上げている。
ジャイアンツも手をこまねいてばかりではない。
前々回の対戦後に原監督は 「1点しか獲れなかったが、多少、対策的なものは出たと思う」 と、
若干ではあるが手ごたえのようなものを口にした。
それでも攻略までには程遠い。
今季、不調な打線だが、メッセンジャーの前ではその不調さもより際立って見える。
26日の試合も、阿部の2ランが出る6回まではまったく付け入る隙もなかった。

先日来、このブログでも ”試合の流れ” や ”テンポ” などといったキーワードを頻繁に使っているが、
リーグ戦も佳境に入ってくると、これらの要素が勝敗の行方により繊細に係わっているように見える。
そのひと踏ん張りや、その小さなミスが、最後のコンマいつくつかの差に直結する。

このゲームでも、そんな流れやテンポに繫がったポイントが、いくつか見て取れる。
まずは、実況でも解説者らが口をそろえていた杉内の粘投。
4回、5回と失点を重ねた杉内。
4回は通算成績でもカモにしていたは4番ゴメスにあまいスライダーを本塁打された。
5回は逆にカモにされている新井良太に内角低めのストレートをレフトスタンドにもっていかれた。
得意な打者、不得意な打者の違いはあれ、細やかさに徹しきれなかったという点では共通のミステイクだったろう。

さらにこの5回にもう1点失った杉内は、その裏の攻撃で打順が回ってくることから、
この回を投げきったところでの交代も充分にあり得た。
しかし杉内はその裏の攻撃でもそのまま打席に立つと、当然、次の回もマウンドに上がる。
この杉内続投が、ひとつの流れを生んだ。

5回、6回と失点したものの、杉内は5回で8個の三振を奪っていた。
これは5回7奪三振のメッセンジャーを1つ上回るペースだ。
その後、杉内は6回、7回を投げぬき、さらに4つ三振を奪って、
最終的に7回12奪三振という内容でマウンドを降りた。
3点リードを許した中でのその攻撃的なピッチングが打線にも波及し、
阿部の2ランで点差を1点に詰めた。
この1点という点差が、結果的には勝負のあやとなった。
3点差のままであれば、9回裏もメッセンジャーがそのままマウンドに上がったかもしれない。
1点差で9回裏を迎えたことで、タイガースベンチは定石どおり、オ・スンファンをマウンドに送る。
どちらの投手がよかったかなどということではなく、ここでひとつの流れが生まれたことに注目したい。


その間、これ以外にも、ゲームに流れをつくるようなプレイはいくつか存在していた。
例えば2回表のタイガースの攻撃で、4番ゴメス、5番マートンの連続三振のあと、今成が中前安打で出塁した。
バッターは杉内を得意としている新井良太。ここで今成はカウント2B2Sから二盗を試みる。
判定はセーフ。
チャンス拡大かと思われた次の瞬間、スライディングの勢いのまま立ち上がろうとした今成は、
そのまま勢い余って足がベースから離れてしまう。これ見逃さなかった片岡がすかさずタッチ。
チャンスは一瞬にして消えてしまった。
バッターが杉内を打っている新井良太だっただけに、もったいないミスだった。
こういったミスが流れを生むこともあるだろう。
その裏、ジャイアンツは守りで掴んだこの流れを引き継ぐかのように先頭バッターが出塁。
二死一、二塁までカタチを作るも、ここでバッターは杉内。これも勝負の流れだろうか。
結局、ジャイアンツもこのチャンスを活かすことは出来なかった。

さらに盗塁がらみでもうひとつ。
5回裏のタイガースの攻撃。2点目となる新井良太の本塁打のあと、
二死から上本が内野安打で出塁する。
上本はリードを大きくとって杉内を揺さぶり、
牽制球、ウエストとかなり警戒される中、3球目にスタートをきった。
バッテリーはこのスタートも見越してウエスト。
阿部はいい体勢で二塁へ送球。しかし上本の足が勝り盗塁成功。
ここでバッター・大和がセンター前へタイムリーヒットを放ち、
タイガースは二死から一、二番でつくったチャンスで1点をもぎ取った。

この3点目がメッセンジャーのテンポをさらに上げて、
その裏は2三振を含む三者凡退。
これでタイガースが完全に流れを掴んだかに思われた。
しかし、その次の回に杉内がゴメス四球の後、マートン、今成、新井良太を3者連続三振に仕留める。
この杉内の粘りの投球がタイガースに行ったと思われた流れを辛うじて引きとめた。

この杉内の粘投のあと、阿部の2ランが生まれる。
どちらに傾くか分からないこのゲームの流れは、この時点ではまだ右往左往していたのだ。

杉内のあとを引き継いだ西村が2回をしっかりと抑え、
ここでもいいテンポをつくる。
だが、8回のジャイアンツの攻撃で、
橋本の放ったあわや右中間真っ二つという大飛球をライトの福留がグラブギリギリでランニングキャッチ。
最後の最後、このファインプレイで勝敗が決したかと思った。
しかし、ここで終わらなかった。
このあと、両チームに1イニングずつ、チャンスの波が打ち寄せる。

先ず、最初に訪れたのはタイガースだった。
9回表の攻撃で、
タイガースは二死から前の回の守りでファインプレイを見せた福留がレフト前へヒットを放ち、出塁した。
相手のチャンスの芽を摘んだ福留の出塁には、何某かの流れを感じた。
ここでバッターは梅野。
その後ろで関本がバットを振りはじめた。
梅野に代打かと思われたが、梅野はそのまま打席に向かう。
梅野が出たら次のピッチャー・メッセンッジャーのところで代打の関本を送る作戦をベンチはとった。
これに解説の小早川毅彦氏は、疑問符を投げた。
リードはわずか1点。ここは1点を獲りに行くべきとの主張。

タイガースはこの試合を含め、ここまで捕手二人制をとっている。
ベンチには鶴岡が控える。さらに今成も元は捕手。緊急時には対応可能だろう。
そう考えれば、あの場面、関本を送らなくていいのかと、
観ているファンも少なからずそう思ったに違いない。

小早川氏は梅野のバッティングがいいことも認めた上で、
この場面は勝負にいくべきではないかと力説する。
「ベンチにはまだ好調の伊藤隼太も残っている。
関本を使わないのであればこの場面は伊藤を送り、
伊藤が仮に出塁することがあれば、メッセンジャーのところで関本、
あるいは新井貴もいる。
点差はわずか1点。ここはもう1点、狙いにいきたい」。


結局、打席にはそのまま梅野が立ち、結果は三振。
守備力などを考慮してのベンチの梅野選択とひとまず理解したが、
なんとタイガースンベンチはその梅野をベンチに下げ、
9回裏はキャッチャー・鶴岡を守備につけた。
こういったケースの裏には、おそらくベンチにしか分からない理由や意味が存在するはずだから、
闇雲に批判めいたことを言うつもりはない。
オ・スンファンとの相性のようなものもあるのかもしれない。
ただ、9回表のこの攻撃で、タイガースベンチが攻めの流れを一つ、やり過ごしてしまったのは事実だ。

このピンチを凌いだジャイアンツは、9回裏の先頭打者・阿部が2ベースで出塁する。
ジャイアンツベンチはここで迷うことなく代走に鈴木尚広を送った。
代走の切り札とはいえ、1点入ってもまだ同点。
延長に入ってからのことを考えれば、4番阿部への代走はそれなりにリスクもある。

しかし、くしくもタイガースベンチの決断とは対照的となったこの采配が、ゲームに流れを生んだ。
ノーアウトで二塁にランナー・鈴木尚広を背負ったオ・スンファンの投球に異変が起る。
ストライクとボールがハッキリし出し、2ボール2ストライクからの6球目、
オ・スンファンの投げた球はホームベース付近でワンバウンド、
鶴岡はこれを捕球できずワイルドピッチ、無死三塁となる。
ワイルドピッチで三塁に進む前、無死二塁で村田修一にバントの可能性もあったが、原監督は打ての指示。
このサインに村田が見事に応え、ライトへの犠牲フライ。
痛烈な当たりに福留も懸命なバックホームを試みるが、
ここでもランナーを鈴木尚広に代えておいたことが活きた。
タイミング的にはいい球でもセーフだったろうが、少し返球が逸れたぶん、クロスプレイは免れた。
おそらく阿部の足では厳しいジャッジになっていたかもしれない。

さらに流れはここで途絶えない。
矢野が四球で出塁すると、ベンチは代走に大田を起用。ネクスト・バッターは隠善。
この隠善の打席でタイガースバッテリーはまたもワイルドピッチ。大田は二塁へ進んだ。
隠善、凡退後、バッターはロペス。
3ボール2ストライクまでもっていったロペスは、オ・スンファンの7球目、
低めのややボール球、148キロのストレートに喰らいつき、センター前へヒットを放つ。
やや滞空時間のあるスライス気味のライナーだったことも幸いしたか、
二塁ランナーの大田は快速を飛ばしてホームへまっしぐら。
いい球が還ってきたが大田の足が勝ってサヨナラ。大田の代走はこの試合最後の選手交代。
その大田の起用が最後、勝敗を決したといっても言い。
この試合、ジャイアンツが土壇場で逆転勝利を収めた。

くしくも、9回表裏の攻撃で、両チームに等しくチャンスが訪れた。
ジャイアンツベンチの攻めの姿勢が、最後の最後で流れを引き込んだ。
原監督は奇蹟のようなゲームと呼んだが、その奇蹟を呼び込んだのは、
選手とベンチが築いたいくつもの流れによるものだ。

ゲームには勝ったが、ジャイアンツは6回裏に2点とって追い上げムードになりながら、
そのあとの7回、8回は、やはりメッセンジャーに攻め入れなかった。
タイガースとは9月に今季最後のカードが組まれている。甲子園での3連戦である。
最終的にこの2チームが、ペナントをどういうカタチで終えるかは分からないが、
おそらくこの両チームがCSで対戦することは間違いなさそうだ。
少なくとも、ジャイアンツは今季あと2回はメッセンジャーと対戦しなくてはならない。
メッセンジャーへの対応が、最後の最後までカギになる。


中継ぎ投手、選別と入れ替えのタイミング。

2014-08-25 23:51:13 | 2014年シーズン

やはり、ドラゴンズの中継ぎ投手陣には質の高さを感じる。
球界一のクローザー・岩瀬、リーグナンバーワンのセットアッパー・浅尾。
そんなふたりを欠いた中でも強固な布陣に揺るぎはない。
今季、さほどズバ抜けた成績の投手がいるわけでもないのだが、
それでも出てくる投手に皆、力強さがある。
抑えの福谷、3年目の田島慎二、ルーキー・祖父江大輔、
さらにもうひとりのルーキー・又吉克樹はここまで中継ぎながら8勝を上げ、
今季新人王有力候補のひとりだ。

故障者さえ戻れば、中継ぎ投手の力強さは数年前の絶頂期に引けを取らない。
やはり問題は先発投手だろうか。
エース・吉見一起の不在はあまりにも大きい。
先発投手の駒不足はジャイアンツにも通ずるところがある。

そんなジャイアンツの投手陣は、先発陣に留まらず、中継ぎ投手らにも不安要素は多い。
昨夜の試合、悪いほうで一気に注目を集めてしまった久保裕也。
3者連続の押し出し四球で3失点。
コントロールのいい久保からは考えられない内容だった。
一体、何があったのだろう。

この日はセドンが3回で降板したため、この久保の前に西村、
その前で江柄子がマウンドに上がり、久保の後を青木が引き継いだ。
セドンは初回、大島に10球粘られながらも、
どうにか内外、高低を意識しながら投げていたように見えた。
10球中7球がストライク。
すべてがコースに決まっていたわけではないが、球も適度な散らばりで、
どちらかといえば最後、大島のうまさが勝ったという対決だった。
ただそのあと、盗塁を警戒して最初に牽制球を入れていたにもかかわらず、
1球目であっさり決められてしまう。
その後、犠牲フライで大島は三塁に進み、
ルナのセンターへの犠牲フライで即効、1点を先制された。
大田のダイビングキャッチでタイムリーヒットこそ免れたが、
あっという間の先制劇だった。

ジャイアンツもその裏、先頭の片岡がショートへの内野安打で出塁。
牽制を掻い潜り2球目に盗塁を決めた。
ここで橋本は1ボール1ストライクからセイフティぎみにバントを試みるが失敗。
そのあとヒッティングに出るが結局、三振に終わる。
次の坂本もレフトフライで片岡を進塁させることが出来ず、
阿部が四球で歩くも村田が倒れ同点のチャンスを逃した。

ドラゴンズとは対照的に初回のチャンスを掴み切れなかったジャイアンツ。
前日の試合では初回の失点をその裏の攻撃ですぐに追いつき追い越したことで、
試合の流れを引き戻すことが出来た。
これも大竹がそのあと乗っていけた大きな要因だったように思える。

初回に続き、2回も連打で2点を失ったのセドンは、
3回も四球でランナーを出すがここはどうにか無失点で切り抜けた。
しかし4回に入っても投球は落ち着かず、先頭打者を四球で歩かせると、
一死後、藤井にレフト前へヒットを打たれ一死一、二塁のピンチ。
ここで堪らずベンチは交代を告げる。
いいときのセドンはテンポがいい。
ストライクを取るのも、アウトカウントを稼ぐのも、いいときはテンポよく流れる。
テンポが出ないときは良くないとき。
この日は初回から相手がテンポ良く得点したため、自身の投球テンポは出ばなで奪われた。

その後もヒットに四球が絡むなど制球が定まらず、テンポを引き戻す間もなかった。
8月に復帰して以来、いいときも含めセドンの交代は比較的早い。
本人もそれは分かっているだろうから、良くないとき、
早く修正しなければという気持ちの焦りが余計に力みを生んでいるのかもしれない。

セドンからバトンを引き継いだ江柄子は7月15日に一軍登録されてからここまで、
予想以上に安定した投球を続けている。
目立つような投球はないが、大崩れするような不安要素もなく、
現状では先日抹消された笠原や土田と比べてポカが少ない分、安心して見ていられる。

そして3連続の押し出し四球で原監督から 「恥ずかしい投球」 と叱責を受けた久保。
コントロールのいい久保からは想像もつかない光景だったのでどこか身体の箇所に問題があるのではと勘ぐった。
久保も故障明けのシーズンであることを考えれば、もうそろそろ連投のひずみが出てきてもおかしくはない。
今回のこの崩れ具合を見ていると、イヤでもそれと関連づけてしまう。
久保に万が一の事態が起こってからでは遅い。
先日抹消されたばかりだが、田原誠次の内容が良かったことを考えると、
田原誠次の身体にどこも問題がないのであれば、このタイミングでの田原と久保の入れ替えも考えられる。
9月のアタマには田原誠次の昇格も可能なはず。
あまりにも踏ん張りの利かなかった久保に、何かしら対策の必要性を感じてしまう。

この日のような試合を想定すると、前日、大竹が9回を投げきったことの意味も深い。
よく中継ぎ投手への休養効果として、先発投手が完投すると ”これは大きい” といった表現をすることがある。
大竹が完投した後の原監督も 「とても大きい」 と大竹を称えた。
現在のジャイアンツのチーム事情を考えると、その言葉もさらに重みが増す。

ここからの30数試合、スケジュールが過密になるにつれ中継ぎ投手陣への負担はより厳しくなる。
先発投手の完投など、そう期待できるものではないが、
先発投手に長いイニング任せられるような試合を如何に多く作れるかというのも、ここからは大きなポイントになる。
中継ぎ投手陣に不安を抱えるチームはなおさらのことだ。
首位争いをするジャイアンツ、タイガース、カープの中でもとくにジャイアンツはその不安要素が大きい。
タイガースも先発、抑えの間に若干の不安があることは否めない。
そういった意味では、若干ではあるが、カープが上位チームでやや上を行っている感じもする。
とはいっても前田健太の状態や中継ぎ投手陣の頭数を考えると、たいした余裕でないことも確か。

中継ぎ投手の使い方が、ここからは非常にクローズアップされてくる。
”レギュラー、控え、二軍選手も含め、チーム一丸となった戦い”
原監督は今季、このフレーズを何度か口にしている。
一軍経験のない若手投手をこの時期に大胆起用するようなことは先ずしないだろうが、
そんな驚きの起用もファンは少なからず期待したりもする。
あるいは先日のファームの試合で先発を試した西村を、
どこかの時点で先発にあてがう可能性もないことはない。
その空いた枠に、満を持して星野真澄はどうだろうか。
ファームでその星野と共に、同じ左腕の須永英輝も着実に結果を出し続けている。

実績ある投手らの調子を図りながら、どうまわしていくか。
あるいは新たな力を積極的に投入するか。
ここからの投手起用の人選や、一、二軍の入れ替えのタイミングは、
チームの最終成績により直結してくるだけに、かなり注目して見ていきたい。


攻守歯車の潤滑油となった隠善智也のフルスイング。

2014-08-24 13:56:47 | 2014年シーズン

久しぶりに一軍の隠善智也がドームのフィールドに立った。
東京ドームでの先発出場は6年ぶりらしいが、
ということは入団2年目で育成から支配下登録された2008年、
一気に一軍のステージに駆け上がったあのシーズン以来ということになる。
当時、隠善より1年先に支配下登録されていた松本哲也、山口鉄也と共に、
この三人が先駆けとなって育成からブレイクするという潮流を築いた。
彼らの活躍によって、その後の育成選手への期待も広がった。


隠善と松本哲也は同い年で左投げ左打ちの外野手という共通点を持つ。
さらに育成からの支配下登録というよく似た境遇でここまできている。
一軍での実績は松本哲也に水をあけられているが、
打撃に関しては負けない自負がるのではないか。

一軍での打撃成績こそ2008年以来、まったくといっていいほどパッとしないものだが、
ファームでは着実に実績を残してきている。
2012年は打率.327でイースタンリーグ首位打者を獲得。
その前年の11年も首位と5厘差の好成績だった。
昨シーズンも一軍出場こそ一試合に留まったが、ファームでは3割近い打率を維持。
今季もここまで昨季同様に3割近い打率をキープしていた。

激しい外野手争いに、チャンスも決して多くはない。
そんなジャイアンツにあって、ファームでの実績が増せば増すだけ、
トレードは直接チャンスに繫がる。
隠善なら行った先できっと活躍できるだろうと、年々、そんな思いが増していた。

そんなタイミングが現実に巡ってきたのが、昨シーズンオフの大竹寛のFA移籍である。
カープは大竹の移籍に伴い、ジャイアンツから人的補償を受けることができる。
そして隠善は広島出身で高校も大学も広島とまさに広島づくし。
これはまさしく縁ではないかと、おそらくそう予想したファンも少なくなかったのではないか。

カープもここ数年の躍進の中で、外野手争いを勝ち抜くのは決して容易ではないだろう。
しかし隠善の実力なら可能性は少なくない。
そう勝手に予想を立てひとり興奮していた矢先、意外とすぐにその予想は当てがはずれてしまう。
カープの希望は若い投手。カープからのコメントとしてマスコミがそう発表したのだ。
そして選出されたのは、まさに若い投手、一岡竜司だった。

FA選手の人的補償というと、ファンの目からすれば、
やや、 ネガティブシンキングとして捉えてしまいがちだが、
チャンスになかなか恵まれない有望な選手たちからすれば千載一遇の機会を得たようなもの。
とくに年齢的に後が迫ってきている選手にはなおさらだろう。
現在所属する球団で活躍できればそれに越したことはないと多くの選手はそう考えるのかもしれないが、
一軍で活躍できてナンボの世界、チャンスはそうそうないのが現実。一岡にしても、
それが大きなチャンスであることに違いはない

久しぶりに上がった一軍で、さっそくスタメンで起用され、
しっかり結果を出したことは、何につけ良い印象を残したことに変わりない。
よほどの成績を出し続けない限り、そのまま一軍に残るのは難しいかもしれない。
実績のある故障者が戻ってくれば必然的に中間に漂う選手から下へ落とされる。
ただ、先の先を見越していうならば、もちろん今所属するチームで活躍できることが最良だったとしても、
現実的に先を見越していうならば、二軍でそこそこ打ち続けているよりも、
こうやって一軍の記録に残るステージで、しっかり記憶に留まるような結果を見せ付けることのほうが、
はるかに意味があるだろう。
それは、そういう選手ら自身が、部外者に言われるまでもなくいちばん解ってプレイしていると思う。

隠善は3,4打席の安打もさることながら、2打席目のレフトライナーもしっかり捉えていた。
1打席目のセカンドゴロもあわや内野安打のタイミング。
盗塁も決めた。
持ち前のフルスイングが、この日の起用に懸ける思いと重なって見えた。


試合は4対1というスコア以上に、ジャイアンツにとって内容の濃さがあった。
完投勝利の大竹寛。ドラゴンズ戦だけはなぜか踏ん張りが利く。
この日はゲーム後半に入っても、あまり打たれる雰囲気はなかった。
7回の二死一、二塁の代打・高橋周平の場面も変わらぬテンポで大竹主導の勝負に映った。

攻守の歯車が噛み合うという表現どおりの、いいシーンが繫がった。
初回、ルナの本塁打で先制を許したが、その裏、
24打席当たりのなかった坂本に2ランが飛び出し、すかさず追い抜いた。

大西外野守備走塁コーチが1点獲ったのと同じ価値があると絶賛した、
3回の橋本のファインプレイは二死二塁のピンチを救った。
村田修一も3回の三ゴロダイビングキャッチを含め、再三、いいプレイで大竹を助けた。
そして6回のヨシノブの本塁打。
ゲームの中でタイミングの良さが光る貴重な追加点となった。
亡き父へ向けられたヨシノブの眼差しが、チームへの更なる追い風になった。
そしてそのヨシノブを尊敬し、自主トレも共にした隠善が、チームのいい潤滑油になった。

2時間37分というテンポの良さは、攻守のリズムによる賜物であろう。



西村健太朗、ファーム先発という前哨。

2014-08-23 15:52:34 | 2014年シーズン

スワローズ主催ゲームであったにもかかわらず、
1戦目はBS1、2戦目はBSジャパンでも放送があったので、
ありがたいことに中継を見ることが出来ました。
しかし3戦目は相変わらずのフジ放映。
観戦はなりませんでした。
残念。


登板のたびに ”背水” が枕詞のようについて来る印象の、今季、澤村。
ダメなら即、二軍、と、登板前からスポーツ紙などで取り上げられる中でのピッチング。
初回に2四球、タイムリーで1点先攻されるも、その後、2,3,4,5回は三者凡退。
打線に4点獲ってもらい、3点リードで迎えた6回裏、
バレンティンに2ランを浴びて1点差に詰め寄られと、続く雄平にもヒットを許し、ここで降板。
後を受けた田原誠次も勢いを止められずさらに2ランで逆転を許す。
と、なんだかいつぞやのリプレイを見ているような聞いているような、
何度か目にしているような澤村のパターン。

試合後、川口投手総合コーチは、
「やられ方がいつも一緒。状況を考えて、流れを読んで投げないといけない。」 と厳しい口調で叱責。
一方原監督は、澤村の勝負勘の鈍さを指摘しつつも、全体的には悪くなかったとまずまずの見方。
つねづね原監督は、球界でも屈指の速球派スターターになれる存在と、澤村への期待をそう表現する。
どうにか澤村を一人前にしたいという思いが伝わる。

延長の末、どうにかスワローズ3戦目も勝利したジャイアンツ。
菅野の復帰にもう少し時間がかかるなら、澤村を簡単に即二軍というわけにもいかないだろう。
残念ながら誰ひとり、安心して見ていられる先発投手がいない現在。
昨日のドラゴンズ戦で一軍に戻ったばかりの西村が2イニング、いい投球を見せたが、
西村は15日のイースタンリーグ・ファイターズ戦で3年ぶりに先発マウンドに立った。
ファームでの調整とはいえ、この時期にあえて先発で投げさせるということは、
明らかにここから先を見越しての試験的登板であることは想像がつく。
結果的には5回を投げて6安打無四球3三振で失点2。
失点は、2本の短打に失策が絡んでの1点と、ソロ本塁打を浴びての計2点。
なんとも微妙な内容。
それでも西村の先発としての大成を何年も前から望んでいた執筆人にとっては、
久しぶりに野望が再燃し、現実味を探ってみたくなる。

実際、上での先発起用が実現するかは分からないが、
22日のドラゴンズ戦での2イニングの内容は久々に貫禄のある球がいっていた。
7回からのマウンド、先頭のルナに打たれたフォークは落ちなかったが、
次の平田を三振に仕留めたフォークは2球続けて低めからワンバウンドすれすれのいいところに落ちた。
さらに森野を追い込んだ内角へのストレートは絶妙なコースに決まった。
今季の西村にどこかいいところを探すとしたら、この内角へのストレートではないか。
とくに左バッターへの内角ストレートは、今季、いいイメージがある。
三振に仕留めたのは内角へのフォークだったが、少し内に食い込むような落ち方に見えた。

堂に入った投球をしていた田原誠次を落としての西村昇格だから少々めんを食らったが、
この2イニングを見る限りでは、ここまでの田原誠次の役回りは担えそうな、
西村本来の球質が戻っているようにも見える。
ただ、これが続かないのが今季の西村なのだ。
非常に短いサイクルで悪い西村が顔を出す。

ストッパーのポジションをまっとうした昨シーズンを含めても、
もともとそんなタイプの西村にあって、
それにしても今季は上がり下がりのサイクルは非常に短く、とくに下がるのが早い。
来週のタイガース3連戦でおそらく投げる機会が出てくるだろうが、
そこでの投球がひとつの見極めになるのではないか。
そこでいい結果が続けばその後への期待も高まるだろうし、
また同じように躓くようであればあるいはまた田原誠次との入れ替えも考えられる。


前日のスワローズ戦での延長戦勝利に続き、この日の延長戦を制したのはロペスのサヨナラ犠牲フライ。
あの当たりが右中間を抜けず、深いとはいえライトの犠牲フライに留まるあたりが今季のロペスらしい。
その前の打席、10回裏の二死二、三塁の場面で打ったショートライナーも、
大ジャンプの三ツ俣のグラブギリギリに納まった痛烈な当たりだったが、
三ツ俣の好守とはいえあれが越えていかないのも何かここまでのロペスを象徴しているように感じる。

その場面、ロペスのショートライナーであわやサヨナラをお膳立てしたヨシノブのツーベースで、
まずその前に一塁に四球で出ていた村田は代走を送られずそのままだった。
あそこで鈴木尚広を代走で送っていたら、
あの一塁線を抜けていった打球のスピードなら生還できていたのではないかと勘ぐった。
実際に見ていて、ヨシノブの打球をライトの平田が捕球した時点で、
村田でも還ってこれそうな微妙なタイミングに見えた。
実際は村田の足では間に合わなかったかもしれないけれど、
それくらいの微妙なタイミングだったので鈴木尚広なら間に合っていたのではいかと、
そのとき一瞬そう感じてしまったのだ。

もちろん、たらればだから無駄な想像ではあるけれど、試合後の、
鈴木尚広の起用どころを問われた原監督のコメントに、
「今日は迷うところがあった」 と述べているあたりに、
そういった葛藤があったことも想像できる。
ただそれに加えて 「最後のランナーとして、よく我慢できたと思う」 とも述べている。
たしかに12回の三塁ランナーが鈴木尚広だったことが、
ロペスに外野フライで大丈夫という余裕を持たせたともいえるだろう。

シーズンも少しずつ佳境に近づいていくと、
そういったひとつひとつの葛藤も、
よりスリリングで面白さが増してくる。





片岡治大の復調でスピード感ある攻撃力が目覚める。

2014-08-21 23:10:40 | 2014年シーズン

スワローズ・ナープソンの前に7回までノーヒット。
小山は5回途中、2失点で降板。
原監督が話したように、少しリズムがよくなかったかもしれない。
無安打で抑えたイニングもすべて四球でランナーを出しているし、
得点を与えたイニングも安打に四球が絡んでいる。
5回表のイニング終了までナープソンが投じた球数が76球だったのに対し、
小山は5回途中降板の時点で110球を投げていた。
このリズムの悪さでは、自軍の打線を勢いづかせることは難しいだろう。
相手のナープソンの好投を考えれば致命的だ。

小山も、まだ、一試合ごとに好不調の波が若干見られる気はするが、
その不調なときの波の幅が、以前よりも俄然、小さくなっていることは見ていても明らか。
それは数字にもしっかりと表れている。
相手投手との兼ね合いや、打線との絡みもあるだろうが、
この日のようなリズムの悪さをもう少し修正していければ、
もっと勝ち星もついてくるのではないか。


昨日の試合から一軍に戻っている片岡。
途中出場ながら1安打を放ち、復帰一戦目からまずまずのスタートをきった。
抹消される前の打撃でも、凡打の当たりすべてが悪かったようには見えなかった。
捉えていた打球が内外野手の正面をつくことも少なくなかった。
芯で捉えているように見えても打球が押され気味だった打席も何度か目にしていた。
移籍後、久しぶりのスタメン出場増加でやや疲れが来ているのは、
本人のコメントの端々からも感じられたことなので、
調子を取り戻すという名目での2軍調整は、心と身体をリラックスさせる意味でいい期間だったのではないか。

ナープソンのノーヒットノーランから免れた8回の片岡のヒットは、
思い切りのいいスイングで片岡らしい当たりだった。
右打ちの上手さがクローズアップされがちだが、
片岡の思い切りのいい引っ張りはライオンズ時代からよく見られたバッティング。
内角の球を強振し、左方向へ強い当たりを放つのも片岡の持ち味だろう。
不調の頃はつなぐ意識が強すぎたのか、あるいはヒットを打たなくてはという焦りがあったのか、
右打ち一辺倒を思わせるスイングに偏っていた気もした。

5回に四球で歩いたときも二盗を決めているが、
8回のチーム初ヒットで出塁したときも2球目にすかさず盗塁を決めた。
その後、2アウトとなるが、長野のセンター前で片岡がホームに還り、1点差に詰め寄った。
打順の並びにこそ違いはあるが、開幕当初から原監督が期待していたであろうスピード感のある攻撃が、
片岡の復調で再度、よみがえった。




宮本慎也氏、スワローズの守備意識の薄さを憂う。

2014-08-20 23:02:22 | 2014年シーズン

ジャイアンツ・杉内、スワローズ・村中の左腕対決。
両投手ともに序盤から ”らしさ” の出た投球内容。
制球のいい杉内と、やや制球に難のある村中。
杉内は制球の良さを活かし6回まで2安打1失点の投球。
7回に連打でを浴び、一死一三塁となったところで降板。

村中はキャッチャー中村の構えたところとは逆球ばかりの内容だったが、
多少の荒れ球とボールが低めにいっていたことが幸いして、
6回までに12個の内野ゴロを積み重ね、結果、5安打1失点という内容。
先頭打者だったその裏の攻撃で代打を送られたが、
ジャイアンツ打線の攻め切れていなかった状況を考えると、
打順の巡り合せとはいえ、少し残念な交代だった。


この日の解説者は、与田剛氏とスワローズOBの宮本慎也氏。
この試合も逆球ばかりの村中の投球を解説した宮本氏は、
自身の経験を交えながら、捕手の構えが見やすい二遊間を守る場合、
ある程度、打球の飛んでくるコースを予測しながら守っていたと話し、
村中に限ったことではないがと前置きした上で、
「コントロールの悪いピッチャーの後ろで守るのは大変。
村中の場合もほとんどが逆球だったので守りにくかった」 と、実況席で苦笑い。
一方で、低目への投球を意識しすぎて小さくまとまらないようにと、
キャッチャーの配球も含めて注意を喚起。
左のエースとしての期待も口にした。

ここまでのセントラルの戦いで、1チーム蚊帳の外と、置いてけ堀状態のスワローズ。
リーグナンバーワンの破壊力を誇る打線を有しながら、投手力の弱さが最大の問題点と大方は評価。
だが宮本氏は、そういった投手面での弱点だけが勝てない理由ではないと厳しい見方をする。

宮本氏が指摘するのはスワローズの守りのミスの多さ。
今シーズン、宮本氏が解説を務めたゲームだけでも何度も目にしていると嘆く。


1対1で迎えた7回表のジャイアンツの攻撃。
マウンドにはこの回から松岡が上がる。
先頭のセペダを四球で歩かせた後、犠打、内野ゴロで二死三塁。
ここで長野がセンター前、1点を先制した。
続くバッター・橋本のところで、牽制を何度か入れて警戒しながら長野に二盗を許す。
そして橋本の放ったややライト寄りのセンターフライをセンター飯原が捕球できず、
ジャイアンツはさらに1点追加。
記録はヒットとなったが決して捕球できない打球でもなく、
「こういったところが投手力の問題だけではないという部分」 と宮本氏。
そして 「とくに難しい打球でもなかった。落下点に入っているので、
あれくらいは捕ってあげないと投手がかわいそう」 と、
センター・飯原の守備が目一杯のプレイでなかったことも付け加えた。


さらに一塁ランナーの橋本が初球に盗塁を成功させる。
すると宮本氏は、一球目の変化球でスタートを切った橋本の洞察力を褒めた一方で、
「一球目から変化球を投げるのであれば少なくとも一、二度は牽制球を入れて然るべき」 と、
牽制球を一度も投げることなく初球を投じたスワローズ・バッテリーをバッサリ。
またこういう場面で、誰一人マウンドへ駆け寄らず、
盗塁への注意を喚起できない内野陣に対しても 「ベンチからの指示にいちいち頼るのではなく、
野手それぞれが流れを感じてやっていかなければ勝てる試合も勝てなくなる」 と、
野手ひとりひとりに主体性のあるプレイを求めた。
とくにキャッチャーの中村には手厳しく、その前の長野の盗塁の際にも、
警戒していた中でストライクの送球が出来なかったと苦言を呈した。


そういった守りに対する意識の弱さが、
くしくも最終局面になって、ベンチの判断というカタチで勝敗を決することとなった。
7回の裏、3点を取って逆転し、1点リードで迎えた9回表のスワローズは、
守備に難のあるバレンティンをそのままレフトの守備に残した。
次の裏の9回の攻撃がバレンティンからだったので、
追いつかれたケースを想定しての策だったようだが、
その弱気な姿勢が悪い意味で的中してしまう。

代打のロペスがヒットで出て、代走・大田泰示。
二死一塁、バッター長野。
ここで長野はバーネットの149キロのストレートをフルスイング。
痛烈な当たりは高いバウンドとなって三塁線をぬけていった。
打球はレフトのファールゾーンからフェンスをつたって最深部まで。
やや捕球にもたついた感じはあったものの懸命に中継へ返球するバレンティン。
しかし一塁ランナーの大田泰示は俊足を飛ばしてそのままホームイン。
スワローズは土壇場でジャイアンツに追いつかれた。

長野への2球目のあとに、スワローズベンチから外野の守備陣に指示が出された。
センターを少し右に寄せる指示と実況アナウンサーは伝えたが、
レフトのバレンティンもこの指示で少しセンター寄りに動いていただろうか。
長野が打った瞬間、中継のカメラが切り替わり、その打球を追ってレフト方面を映したとき、
その時点ではレフトのポジションあたりにまだバレンティンの姿はなかった。
すぐに全力で打球を追うバレンティンの姿が映像の中に飛び込んでくるが、
通常の位置だったとしたらいくらバレンティンとはいえ遅い気がした。

いずれにしても少し捕球にもたついたところがあったのは間違いない。
その回が終わった後、ベンチでバレンティンの守備に小言を言ったバーネットが、
バレンティンと小競り合いを起すおまけまでついた。

バレンティン以外にも強打者が揃うヤクルト打線。
あの1点差の場面でバレンティンを守備に残したベンチの判断。
7回表の拙守によって広がった失点シーン。
1点を守り抜く守備意識の希薄さ。
得点能力が高いチームならではの問題点。
守備の職人でもあったOB宮本慎也氏だからこそ憂う部分だろう。



来季を、山口鉄也のストッパー元年に。

2014-08-18 23:53:49 | 2014年シーズン

この3連戦、カープ中継ぎ陣の踏ん張りに目を見張るものがあった。
このジャイアンツとの連戦に限らず、それ以前からもちろん活躍はしていたのだろうが、
今季、中継ぎ投手にやや不安を抱えたままのジャイアンツと見比べると、
その勢いに多少なりとも差を感じてしまう。


第3戦のカープ先発は福井ということで楽しみにしていたが、
観戦し始めたときにはもうすでにマウンドから降りていた。
録画していたVTRを見た感じでは、それほど悪いボールを投げていたようには見えなかった。
ただ2回の集中打の場面では、ストレートを多投したことで完全にそれを狙い打たれた。

井端、村田と打ち取った二死までは、それほど偏った配球ではなかったが、
8番・實松に対してはストレートで押す。
投じた6球中5球がストレート。
3ボール2ストライクからの6球目のストレートをセンター前へ弾き返された。
続くピッチャーの江柄子にも3球ストレートを続け、3球目をやはりセンター前へ持っていかれる。
8番、9番ということもあったかもしれないが、このあともストレートに偏る。
長野には初球のストレートを狙い打たれセンター前。
橋本には5球のうち2球はスライダー、フォークと変化球を混ぜるが、
5球目のストレートをセンター前へ打たれる。
坂本も狙い澄ましたかのように初球のストレートをレフト前へ弾き返す。
ここでようやくピッチングコーチがマウンドへゆき、
次の阿部にはスライダー、フォークと変化球で攻め、一塁のファールフライに仕留めた。

ストレートの球速は、140キロ台中盤から後半の表示で走りも悪くなかったから、
2回の投球は少しもったいなかった。
1軍に上がってきてからはいい投球をしていたようなのでもう少し長いイニングを期待していたので残念。
野村監督も2回での交代は多少迷ったと試合後のコメントで言っていたが、
流れを呼び戻すための決断と下した早めの継投策が、結果的には功を奏した。

福井がジャイアンツからのドラフト指名を断った2005年。
あれから9年が経つ。
当時、そのことをこのブログでも取り上げた(※)
1年浪人してからの早大入り。
そんなイキサツもあってか、今でも気になる存在のひとりだ。


野村監督の早い決断に応えたのが、若手を中心にした中継ぎ陣たち。
3回以降、戸田隆矢、中田廉、横山竜士が無失点リレー。
一番後ろには磐石のミコライオがいる。
3回からマウンドに上がった戸田。
先発も中継ぎも左が手薄な印象のあるカープに、こんな活きのいい中継ぎ左腕がいたのか。
高卒3年目で1年目、2年目と数試合は登板経験があるようだが、
実質的には今季からが実働のようなものだろう。
スライダーのキレがよく、ストレートのスピードもまだまだ伸びそうな雰囲気がある。

今季の中田廉の活躍は言うまでもないが、
一岡の抹消で登板過多がちょっと心配になってきたところで、
中崎の存在感がグンと増してきているのではないか。
昨夜の登板でも2回を完璧に抑えた。
ストレートも何球か150キロを計測している。
体格がいいので球も重そうに見える。彼も22歳と若いのでこれからさらに楽しみな投手だろう。
前半、大活躍だった一岡の穴を、この中崎あたりが完璧に埋めてくれそうな感じがする。

ただカープもここにきて先発投手の不安は尽きない。
一昨日の前田健太。大瀬良は昨夜、久しぶりに勝ち星がついたが、まだまだ不安はぬぐえない。
九里も苦しんでいるようだが、現在はどういう状態なのか。
先発では野村祐輔に、この日先発の福井も不安要素は多い。
カープではいちばん気にかかるのは今村猛。
本来なら前述の中継ぎ陣以上に活躍していなければいけないはずだが、
なかなかいいところで名前が上がってこないところをみると、やはりまだ暗中模索なのだろうか。

万全な状態でないままどうにか首位をひた歩くジャイアンツ。
投打にリーグ1の決め手を誇るタイガースもなかなかジャイアンツを抜け切れない。
上位2チームがそんな状態であっても、結局、カープも追い越せないでいる。
やはり、前述した投手陣の不安材料の多さが祟っていることは間違いないだろう。

ただ先発陣が不調な反面、中継ぎの布陣がまた揃いつつある。
さらに打線もロサリオが加わったことで繋がりが良くなった。
エルドレッドの離脱は痛いが、打線の繫がりを考えれば ”渡りに船” といえなくもない。
ジャイアンツに勝ち越して、いい流れに乗った。


山口鉄也も心配するほどの状態ではないように見えた。
打たれたのも悪い球ばかりではなかった。
とくに最後の堂林に打たれた球は、内角低めのいいコースに投げたストレートだった。
あんな難しい球をあんなに上手く打つ堂林を見たことがないと野村監督が言うくらい見事なバッティングだった。
たしかに、あんな打ち方出来るのかと驚いた。あれは打った堂林だろう。

ただ今シーズンの山口鉄也は変化球にこれまでのようなキレを感じない。
やはり、投げすぎてきたツケが、多少、出ているだろうか。
一昨年、シーズン終了からそのままWBCの流れに入り、
そこから昨シーズンも日本シリーズまで目一杯投げた。
見方によっては、山口鉄也がジャイアンツ投手陣の大黒柱といっていい。
今後のことや、肉体的な負担を考えると、本来なら、抑えがいいと思うのだが、
何年か前に一度失敗しているからか、完全移行は試みない。
ケースによってはマシソンとの順番の入れ替えはあるにしても、
それも余計に負担がかかるように思える。
徐々にでも移行していったほうが、長く一線で活躍できるような気がする。
潰れるようなことだけにはなってほしくない。
クローザーよりセットアッパーのほうがいいと、以前、本人は発言していたようだが、
そこは首脳陣、担当コーチが上手いこと様子を見て、徐々に慣れさせるというテクニックを駆使できないものか。
来季を、山口鉄也のストッパー元年に。
今からでも、岩瀬に近づけると思うのだ。

まっ、少しでも長く活躍してくれればそれでいいのだが。



セントラル団子状態が産んだ? ”いついつ以来、勝ち星のない” 先発投手たち。

2014-08-17 16:48:24 | 2014年シーズン

勝ち星から遠ざかっていたカープ大瀬良が、約2ヶ月ぶりの勝利で7勝目を挙げた。
今シーズン、よく目にする ”約何ヶ月間、勝ち星から遠ざかっている” というフレーズ。
勝ち星から遠ざかっている先発投手に対してのものだが、今シーズンはこのフレーズをよく目にする。
各チームに必ず一人二人は存在していそうな頻度で耳にするのだ。
ひとまずセントラルに限っての話であるが、各球団、成績が拮抗し始めている証であろうか。
団子状態にあるセントラルリーグの状況を象徴する現象かもしれない。

ジャイアンツでも現在、杉内が1ヶ月以上勝ち星がない状態。
菅野も離脱前、一時からそんな状態に陥っている。

カープは昨日登板の前田健太が、やはり1ヶ月以上、勝ち星がついていない。
さらにカープは野村祐輔が約2ヶ月、勝ち星がないらしい。
ベイスターズの井納も、ずいぶん前にセリーグトップで10勝に到達と取り上げられてから勝利数に上積みがないので、
おそらく上記の投手らに匹敵するくらいの期間、勝ち星がついていないのではないか。
くわしく調べてみると、もう少し存在しそうだ。
長いシーズンを考えれば決してめずらしいことではないだろう。
ただ、今季はやはり多い気がする。
夏場に入るくらいの頃から、このフレーズをしょっちゅう目にしている。
この状態に陥るローテーション投手を如何になくしていけるか。
これも、今後、混戦から抜け出るチームを見極める上でのひとつの指標になるかもしれない。

各チームの実力差が拮抗しているためか。
絶対的エースが少なくなっているのか。
登板間隔が空いていることで、何試合か勝てないとすぐに一ヶ月くらい経ってしまう。
あるいはそんなことも関係しているだろうか。


ジャイアンツは、5対2、あるいは7対2、というところで後半の攻撃を迎えたかった。
仮に得点を挙げられずに終わったとしても、このスコアの状態のままであれば、
このカード、1勝1敗のイーブン、翌3戦目をニュートラルな状態で迎えられる。
しかしゲーム後半の7回、8回で打線が繫がり大量得点を挙げたことで、
ジャイアンツのダメージ以上に、カープの打線、あるいはチーム全体に勢いをつけてしまったように見えた。

7回表の田原誠は先頭の堂林に四球を出したのが痛かった。
田原誠のボールカウント・スリーは、そのカウントになっても決して逃げるようなピッチングにはならず、
そこからさらに強気の攻めが出来ることで、ある意味それも田原誠のひとつの持ち味のように見ることが出来ている。
しかし、それが後半の大事な局面で、しかも先頭バッターに四球という悪いほうに転がってしまうと、
やはり結末は厳しい結果となって表れる。
ああいう場面で最後、いいコースにキメダマがしっかり決まるようになると、
今よりもさらに信頼度も増して、不動のセットアッパーになっていけるはず。
丸に2ランを浴び、そのあとランナーを出しても、いいコースにボールを投げて分け、後続を断った。

いろいろな意味で福田はやや不運だった気がする。
8回、5点ビハインドの時点で、ベンチはもうこれ以上、ピッチャーは投入したくなかったろうから、
福田があの場面は踏ん張る以外なかったし、翌日の試合を考えれば、
どうしてもあそこで食い止めて欲しかったのがベンチの本音に違いない。
だが、今季、いまひとつ調子が上がらず、土田らと入れ替わるカタチで緊急昇格した福田と、
今季ここまで、着実に力をつけているカープ打線とでは、勢いに明らかな差があった。
失点や安打の数ほど球がいっていなかったようには見えなかったが、
途中、一塁への牽制球が大きく逸れそうになるなど、制球も気持ちもやや上ずっていた。

悪い流れが随所で不運を起こす。
中東の盗塁を刺しにいった小林の二塁への送球がめずらしく大きなワンバウンドになり、
これを坂本が捕球できずに後逸、ランナーは三進。
木村のセカンドゴロも打ち取った当たりだったが高いバウンドがいいところに転がった。
井端が捕球して二塁ベースに入った坂本に急いで送球したが間に合わなかった。
赤松にストレートの四球を出したところで通常なら交代だったろう。
満塁で次の梵をレフトライナーに打ち取り、これで長かった守りもようやく終了かと思いきや、
レフトのヨシノブがこれを捕球できずに倒れこんだ。照明が目に入ったようだった。走者一掃の2ベース。

結局、福田はこの回7失点。
翌日、一軍登録抹消となった。
緊急昇格で慌ただしく一軍に合流し、いやな雰囲気を引きずったまま再度、ファームへ。
この日解説の槙原寛己氏も重なった不運な状況に同情しつつ、
「若いピッチャーと違って福田はキャリアのある投手。なんとかしないといけない」 と手厳しいが、
いずれにせよ不憫な登板になってしまった。

8回一挙7得点、12対2となったところで、
もう先発が誰だったかすら忘れてしまったなどと遠い過去を思い出すかのように振り返ってみると、
最初のマウンドに立っていたのは大竹寛。
そういえば大竹も7月の初旬に ”5月のいついつ以来、2ヶ月ぶりの白星” などと記事になっていた。



試合の結果とは関係ないが、とても印象に残ったシーンがある。
8回の大量失点の場面だ。
ニ死満塁で梵の放った打球はライナーでレフトへ一直線。
そのまま問題なくヨシノブのグラブに納まって攻撃終了。
のはずだったが、照明が目に入ったヨシノブは打球を捕ることが出来ずに後逸。
これが走者一掃の2ベースとなってしまった。
躓くように膝から倒れこんだヨシノブだったが、
このあと、膝の辺りの土を払いながら息を整えているヨシノブのそばにセンターの長野が寄り添い、
ヨシノブの身体を手で支えるような仕草をしながら、
覗き込むように腰を落として 「大丈夫ですか?」 とヨシノブを気づかっていた。
この長野の様子がツボにはまってしまい、ひとり、画面のこちら側で感激しきり。

流石、イバラの道を歩んできた心優しきジェントルマン。
物腰柔らかく、先輩を気づかう大人の長野。
なんだかわからんけど、テレビの向こうの長野に向かって 「ありがとう」 とお礼を言ってしまう。





攻めずに耐える~内海哲也、境地から見えた今後。

2014-08-16 15:41:04 | 2014年シーズン

悪天候と最悪のグランドコンディションに集中力が維持できなかったろうか。
調子の上がらない自身のピッチングへの苛立ちに、悪天候が拍車をかけたようにも見えた。

出鼻を挫かれた1回表の坂本の本塁打。
打球がフェンスを越えた瞬間、前田健太は何かつぶやいていた。
ガッカリした表情で、ひと言、短い言葉を発した。
首をがくりと落としながらつぶやいた一瞬の映像だったので何と言ったかまでは読み取れなかったけれど、
ままならない投球に釈然としない思いが表情に表れていた。
ただ、この時点でコントロールできていなかったのは制球にとどまっていた。
だがそれも、悪天候に集中力を阻まれ出すと、最終的には精神面までまったくコントロールできなくなっていた。

今シーズン、前田健太は、対坂本勇人に13打数4安打(本塁打1)で.308という対戦成績。
これはこの試合を含めての成績だが、それまでは11打数2安打、打率.181と前田健太が抑えている。
昨シーズンの対戦成績も11打数2安打(本塁打1)、打率.181と、この試合までの今季の対戦成績とまったく同じ。
数字上ではとくに打たれている感じはない。
通算でも81打数18安打、打率.222、本塁打4だから、分は前田健太にある。

この日解説の山本浩二さんはこの対戦カードの結果が意外だと感想を述べている。
もう少し、坂本が打っているイメージだということだが、執筆人も同じような印象を抱いていた。
この二人の対戦もまだこの打数だから、あと数本、安打がプラスするだけで数字はガラリと変わる。
どの程度のイメージだろうかなどと無駄な想像を膨らませ、
なんとなく2割7分くらいのイメージだろうかなんて漠然としたイメージで適当に数字を割り出してみるが、
2割7分だとしたら現状よりプラス4本打っていればだいたいその数字になる。

プラス4本だと22安打。
81打数22安打。
実際は81打数18安打。
81打18安打。81打数22安打…。
そんなに違いは感じないか。
まっ、しょせんイメージなんてそんなもんだろう。
あっ、山本浩二さんのイメージということではありません。
あくまでもわたし、執筆人の漠然としたイメージについてです。

坂本は今季、カープ戦でいい成績を残している。
70打数22安打.314はチームでは長野(.317)に次いで2番目の成績。
しかし本塁打6本はチームトップ。
この成績が直接、対前田健太へのイメージにも繫がっているのかもしれない。

坂本に本塁打されたことが前田健太の乱調に直接係わってはいないだろうが、
坂本に初回から本塁打された、初回に打たれたというのは、
現在の前田健太にとってはかなりの精神的ダメージに繫がったのではないかと想像する。

この試合まで3戦連続で勝利を手にしていない前田健太。
5年連続となる二桁勝利がなかなか遠い。
前回の登板は味方に3点先制してもらいながらタイガース打線に逆転を許した。
その前はジャイアンツ菅野との投げ合いで、1点先制から同点に追いつかれ、
その後1点勝ち越されると今度はチームが追いつき、結果、延長12回で同点引き分け。
その前のタイガース戦も2点のリードを守りきれず追いつかれて降板。
最後の勝ち星が7月12日のドラゴンズ戦。
オールスターを挟んで実にひと月以上、勝ちをつかめずにいる。

それにしても、この試合での前田健太の集中力の乱れはあからさまだった。
たしかに集中打を浴びた3回の時点で、雨はかなり本降りに達し、
グラウンドの土の部分には完全に水が浮いた状態になっていた。
しかもけっこう打たれたものだから、打者や野手の活発な動きで内野は泥んこ状態に近かった。
マウンドへの土の補給やロジンバッグの交換を要求しても一向に態度や表情に冷静さは戻らない。
さすがに解説者席の山本浩二さんも前田健太の集中力の欠如を気づかい、諭すような口調で奮起を期待したが、
もう少し厳しい論調だったのがもう一人の解説者、池谷公二郎さんだった。

池谷さんはこの日の前田健太に対し、あえて基本中の基本といえる投手の根本を説いた。
「野球は個人種目ではなく団体競技。
チームメイトを信じ、打線を信じてマウンドで投げ続けることがプロであっても大事な部分。
その気持ちがあれば、自分の調子が悪いときや精神的に切れそうなときでも粘りのピッチングは出来る。
ダメなときに、あれだけあっさりしたピッチングをされると打つほうにまで影響が出てしまう」。
その影響が12安打を浴びせながら2得点しか上げられなかったこの日の打線だろう。


前田健太とは対照的に、8回141球の粘投で淡々と仕事をしたのが内海だった。
内海本人がちょっと打たれすぎたと振り返ったように、
12安打で2失点だから相手の拙攻に助けられたのも事実だろう。
それでも粘り強く、悪条件にひたすら耐えながら投げ続ける姿は、
今季のどのピッチングよりもらしさが際立った。
思い通りにいかないもどかしさの中でのピッチングという点でも、
前田健太以上に内海は恒常的な意味で経験値が高い。
お手の物、といったところ。
いろいろな意味で四苦八苦のピッチングに慣れているのが内海の強みではないだろうか。

池谷さんが今季ここからの内海について、
今シーズンはもう攻めにいかず、如何に耐えて勝ちに結びつけるかを考えたほうがいいと持論を展開した。
この日の内海のピッチングを振り返ると池谷さんの視点に説得力を感じる。




今季のチーム力を象徴する小山、セドン。リーグ戦後半の役回り。

2014-08-15 11:03:11 | 2014年シーズン

「實松との息が合った」 。
今や決まり文句のようになったこの台詞。
セドンのテンポ良いピッチングには實松の存在が欠かせない。
そんな相性の良さは現時点でセドンの投球を支える最も重要なファクターになりつつある。

6回、二死から鳥谷に2ベースを浴びたところで交代を告げられたセドンだったが、
次の打者がこの日、本塁打を含む2安打とタイミングの合っていたゴメスだったことで原監督は石橋を叩いたのだろう。
セドンはもう少し投げたそうな顔をしていたし、実際、まだ84球だったから余力もあったろうが、1勝1敗で迎えた3戦目。
6回で1点勝ち越している状況。点を獲られて流れを絶対に持っていかれたくない場面だ。

さらに今後の対戦を考えれば、セドンを少しでも手ごわいイメージのままで終わらせておきたいはず。
そのインプットに敗戦の事実が加われば言うことはないだろう。
ペナントが佳境を迎えるまえに、そんな印象を与えておけば次の直接対決でもセドンが大事なカードになる。
そのことはタイガース・和田監督もかなり意識しているようだ。
試合後のコメントで初対決となったセドンに対し 「この時期に見られたことが何よりも収穫」 と、
発言は明らかに今後を見据えている。

原監督も危惧するように、セドンの勝ち星は今のところ皆、初対戦相手からの1勝ずつ。
セドンを中6日で使っていくとすれば、今月の終わりにもう一度、
ドームでタイガースとのカードがあるが、その3戦目に登板が回ってくる。
菅野がその時期になって戻ってきていれば、また少し状況も変わるかもしれない。
昨日、小山もタイガース相手に好投している。

身長の高いセドン。
強力なタイガース打線を相手に、高低差を上手く使ったピッチングで要所を抑えた。
前日の小山も高い位置から投げ下ろすタイプ。持ち味の高低差の効いたピッチングが冴えていた。
タイガースの強力クリーンナップの4番、5番が外国人選手であることを考慮すれば、
このセドン、小山の高低差は今後も有効だろうか。
もちろん、ゴメス、マートンは並みの選手ではないので、
この日のゴメスのようにのせてしまったらは手のつけようはない。
だが、今季、絶対的な柱と呼べる存在が希薄なジャイアンツにあって、
この両投手の存在はけっこういいところで結果を生んでいる。
ここまでのジャイアンツのウリとなっている ”チーム力” でいうところの重要なキーパーソンである。
この両投手がペナント後半の大事なところで、重要な役回りを担ってくれることを期待したい。


                       ★


それにしても、今季の鈴木尚広の走塁は神がかっている。
迷いのない好スタートをきったとアナウンサーは実況したが、
カメラはその瞬間を捉えていないので、ホームでのクロスプレイのタイミングを見る限りでは、
鈴木尚広の分は悪かった
分が悪いは、先日の鈴木尚広がヒーローインタビューで口にした名調子、
そうあのセリフはもう ”名調子” の域に達していると思うのだが、
この日と同じくタイガース戦で二盗を決めたときの状況を聞かれて自ら語った言葉、
「分は悪かったが、技術が勝った」 というアレだ。
この日のホームでのタイミングも若干、分は悪く見えた。

ホームでのタッチプレイに慣れていない投手・筒井の隙をついた上手いスライディングと解説の堀内恒夫氏は関心する。
たしかにホームベース頭上の天井カメラからの映像には、その一連の流れが余すことなく捉えられていた。
倒れこむようにタッチにいく筒井。その筒井の伸ばしたグラブの位置を確認しながら滑り込む鈴木尚広。
そして鈴木はそのグラブとの距離感を意識するように滑り、絶妙なタイミングで左手をホームベースに差し入れた。
超スローVTRに映し出された、一瞬の、ギリギリのテクニックだった。

「36歳のおっさんなんで、巧さも備わってきたんじゃないかなと思います」。
鈴木尚広は静かな口調でそうおどけるが、責任を負う覚悟のような風格が、
態度や顔つき、言葉の端々ににじみ出ている。
今や、押しも押されもせぬチームの顔のひとりになった。
ちょっと気の早い話だが、今季、もしジャイアンツが優勝し、
そのジャイアンツからMVPを選ぶとするならば、鈴木尚広で異存はない。
1987年のセリーグMVP、山倉和博(ジャイアンツ)以来の薄い成績によるMVPである。
技術と存在感によるMVPだ。そんな妄想が沸くほどの存在感が、今季の鈴木尚広にはある。

鈴木尚広、ヨシノブ、井端。
ベテランの巧みさが随所で光った3連戦だった。


阿部慎之助、フィールドの中心に居てこその存在感。

2014-08-14 23:48:52 | 2014年シーズン

併殺打にこそ倒れたものの、8回の大田泰示の三塁ゴロは強い当たりだった。
建山のシュート回転したストレートにまんまと内野ゴロを打たされた感はあるけれど、
もう少しズレていたら三塁線。
あの感じで捉え、望ましくは打球にもう少し角度がついて上がっていれば言うことはない。
振れてるぞ! 捉えてるぞ! いけるぞ大田泰示!


ところで、長野の腰と、橋本の調子については、いらぬ心配でよかった。
一昨日はこのふたりの状態を案じる記事を書いた。
その長野と橋本が初回から小山を援護する先攻でチームは攻撃のリズムを掴んだ。
2回、先頭の井端の2ベースを無駄にせず得点に結びつけた攻撃も長野、橋本が繫がった。
この初回と2回の攻撃が、試合の源流になった。
早い回に得たチャンスをこぼさずに掴んでいると、やはり試合は優位に進められる。

その初回の攻撃が気分良く入れたのも、
立ち上がりの小山がタイガース打線を3人でピシャリと抑え、
いいリズムをつくったことから繫がっていたといえるだろう。

翌日のスポーツ報知の記事で、
初回が始まる前のボール回しの際に、最後の阿部から小山に渡った返球が全力だったので、
阿部からのメッセージと受け取った小山は改めて気を引き締めることが出来たと語っている。
原監督も 、元々立ち上がりが上手なほうではないと前置きしながらも、
「本来の自分のピッチングをしようとしていた。いいものは出たと思う。」 と、まずまずの評価。
前回登板の横浜戦ではボールが高めに浮き、初回からから苦しいピッチングとなった。
それでも逃げるような弱気なピッチングになることもなく、
常にランナーを背負いながらも慌てる素振りは一切、見せなかった。
そういったあたりが、今季に賭ける小山の気持ちの表れだろうし、
ここまで無傷で3勝しているという自信と成長の証しではないだろうか。


前回のベイスターズ戦、小山は4回で降板することになるが、
その前の攻撃、3回表の打席でキャッチャーの阿部がベンチに下がり、
そのことがスポーツ紙などで話題に上がった。
この試合では長野も途中から退いているが、この中軸ふたりが下がった後に、
ジャイアンツは8回、9回で5点差を追いつき、延長戦までもつれる接戦に持ち込んだため、
そういった記事では ”阿部の衰え” だとか ”世代交代” といった見出しが躍ることにまでなった。

その翌日の試合は杉内とのコンビで阿部がスタメンマスクを被ったが敗戦。
翌試合、宮國とのバッテリーで小林がスタメンマスクを被り大敗するも、
その試合からキャッチャー・小林、一塁・阿部が、ここまで6試合で続いている。

今季、阿部の守備を指摘する声は、開幕した直後くらいから聞こえていた。
実際、前半の中でボールを後逸するシーンはけっこう目にしていたのも事実だし、
ありえないようなミスも何度か犯し、集中力を指摘する記事もあちこちで見られた。
それを調子云々や年齢的な限界などと結びつける論調もあったが、
何人かの解説者はどう見ても体調不良 (どこかの箇所に故障を抱えているため) によるものと言い切っていた。

動ける以上はゲームに出てチームを引っ張るのが阿部の立場。
出場している以上、故障については本人もチームも口には出さないだろう。
出場しながらどうにか立ち直るのを待つ (あるいは回復するのを待つ) というスタンスでどうにか前半を乗り越えた。
なんだかんだと言われながらも、交流戦を優勝、オールスター明け、中盤からの戦いも首位でスタートだ。
前半に比べればたいぶいい状態に戻りつつあるというのが多くの専門家の見解。
それでもやはり本調子からはまだ遠い、というのも合わせた見方だろう。

実際のところ、体調面に問題があるのか、あるいはまったくの不振によるものなのか、
それとも一部で言われているように衰えが出始めているのか。
ただ、はっきりと数字で示すならば、阿部はまだ35歳。
キャッチャーというポジションで、さらに積年の蓄積疲労を考えれば、
そろそろ出場の仕方を考え始めなければいけない年齢に差し掛かってきているのも確かだろう。
チーム内における存在感の大きさゆえか、若い投手との関係性を不安視する見方もあるが、
冒頭で挙げた小山への気合のメッセージからも見て取れるように、
戦いの中で絶対的に必要な緊張感や集中力というものを、
ある意味、阿部によって堅持されていると見ることも出来る。

そして何よりも、阿部がチームの中心に据わると全体的におさまりがよく、打線が締まる。
8月に入ってから4番に定着した阿部の成績は、
37打数13安打(2本塁打)1四球で打率.351と安定感が出てきている。
7日のベイスターズ戦から一塁についている阿部。
守備面で不慣れな部分が露呈したが、まったく経験がないわけでもなく、
原監督に至ってはハッキリと 「慎之助はうまい」 と断言する。

小林誠司の現時点での実力と、さらに今後へ向けた経験を考慮するならば、
今の阿部一塁は打撃優先という意味でベストな布陣なのかもしれない。
阿部をはじめ、レギュラー選手が本来の実力を発揮してさえいれば、
やはりキャッチャーは阿部慎之助。
まだまだ阿部のほうがランクは高い。

阿部だけに頼っていてはいけないと、
坂本、長野への移行をほのめかす原監督の発言に偽りはないだろうが、
これはほぼ彼らを鼓舞するために用いられた言葉であって、
現実にはまだまだ阿部が中心というのが原監督の本音ではないだろうか。
ベンチでドッカリと腰を降ろし、いざとなったら試合に登場なんてまだまだ早い。
フィールドの中心に居てこその阿部慎之助である。


そろそろ石井義人なんじゃないのか。

2014-08-13 23:00:14 | 2014年シーズン

いい投げ合いで後半の展開に期待をしていたのだが、
杉内の5回、6回の失点はもったいなかった。

もっともったいなかったのはジャイアンツ6回裏の攻撃だろう。
結果として、3三振で終わってしまったのは仕方がない。
無死満塁のところで井端が何かしら動かしてくれたらいちばん良かったろうが、
個人的にちょっと残念に思えたのは、セペダ代打のところは、
石井義人が見たかった。


昨シーズンは一昨年の好成績とうって変わって苦しんだ一年になった。
ヒットの数が極端に減ったわけではない。
明らかに違ったのは打点の数。
勝負どころでの一打が昨シーズンはまったく出なかった。
それに比例して三振の数が倍に増えた。

しかし、ここにきてその勝負強さに復調の兆しが見え始めている。
規定打席には達していないが、イースタンリーグでの打率.321、
出塁率.448はチームトップクラス。


9回の代打の場面は先頭打者として登場。
結果的には三振に倒れるのだが、石井義人の持ち味を考えると、
ノーアウト・ランナーなしの対オ・スンファンよりも、
ノーアウト満塁の対メッセンジャーの場面のほうに、
石井義人の ”存在意義” を感じるのだ。


そう、記憶に新しい、2012年のCSファイナル5戦目。
9回裏一死満塁の場面、代打で登場した石井義人がサヨナラヒットを放ち、
ジャイアンツがCSステージを制した。
その一打がキメテとなって石井義人がCSステージのMVPに輝く。


そこまであの6回の場面がドラマティックだったとは言わないが、
もしあそこで起用されていてヒットでも打っていたなら、
2012年のシーズンの、あのたくましい石井義人がまた戻ってくるかもしれないと、
密かに期待を寄せていたのだ。


後半に向け、左の代打の切り札がもう一枚出来るのは心強い。
あるいはヨシノブが今日のようにスタメンで出場していたら、石井義人がとっておきのカードになる。
セペダはどうしてもあの内角のストレートに手が出ない。
ロペスもなかなか打ち損じとミスショットの軌道修正が出来ずにいる。
そう考えると、早めに、石井義人を緊張感のある場面で慣らしておいたほうがいい。