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ゾーンに自ら入り込む澤村拓一の習癖。

2014-09-19 23:07:31 | 2014年シーズン

以前は必ず、大田が打席に入るたび、
「ホームラン打たねえかなあ」 などとつぶやいてその打席を見守っていたのだ。
一昨年、初ホームランをドームで放ったときは、まさにその願いが叶った瞬間だった。
2日後に広島で放った2号ホームランは観ることができなかった。
その時は、このペースならまたすぐに大田のでっかいホームランを拝めるだろうと高をくくっていた。

それから早2年が経った。
”大田のホームランが拝めるのはイースタン中継がある日テレG+だけ”
なんだかどっかのキャッチフレーズみたいに、大田のホームランはそんな希少な愉しみになっていた。

一軍に昇格してから、走塁や守備ではいい流れに乗って、なんとなく雰囲気が漂っていた。
そんな贔屓目で見ること約ひと月、懸命に大田の打席を待ち望み、
それでも巡ってきたチャンスで結果が出なかろうと、けっこう今のいい当たりだったなと、
期待を寄せることだけは怠らない。

実際、このところ、おしい当たりが出ていたことは確かだ。
前回のスワローズ戦で山本哲から打ったレフトライナーは、
ラインドライブ気味ながらいいタイミングでボールを捕らえていた。
翌日のスワローズ戦でバーネットから放ったライト前ヒットも、
けっしていい当たりではなかったが振り抜いた結果だろう。
タイガース・歳内から打ったサードライナーは抜けていればレフト線への2ベース。
新井貴のファインプレイに阻まれた。

そう、だから、きっと、兆候は出ていたのだ。
優勝争いがもつれれば、ペナントレースも長く楽しめる、そういったスタンスは変わらないけれど、
大田の出番を考えると、早いとこ優勝を決めて、大田をスタメンで使ってくれないかと、
そんな思いが強くなった、昨夜の大田のホームラン。

本塁打、という言葉よりも、ホームラン、という言葉が似合う大田泰示。
そんなバッターになって欲しい大田泰示。
ホームランバッター大田泰示。



先発の澤村は、久しぶりに ”良くない澤村” にいってしまった

「いい投手であることは間違いない。だが、何というか悪い意味のゾーンも持っている。
ちょっとしたタイミングで、相手のゾーンに入ってしまう時があるんだ」。

原監督の澤村評だ。

言いえて妙である。
流石、現場を仕切る指揮官。
なるほど、そういうことか。

”悪いゾーンを持っていて、タイミングによって相手のゾーンに入ってしまう”
なんだかタルコフスキーの映画みたいな響きだな。


澤村のことはこれまで何度も書いてきたけれど、
澤村の二面性というか、どちらに転ぶか分からない危うさというか、
そういった澤村の特徴をなかなかうまく表現することが出来なかった。
いいとき、悪いときの極端な上がり下がりも、澤村の醍醐味。それが澤村の楽しみ方。
澤村の持っているものの凄さは、投げる球を見れば解るし、
原監督が言ったように 「いい投手であることは間違いない」 という言葉にも素直に頷ける。
今後、澤村に、菅野のような安定感が備わってくれればと、
いつだって心のどこかでそう思いながら澤村の投球を眺めている。

今季、中盤に入ってようやく一軍に上がり、出足こそ良し悪しがハッキリとしていたものの、
ここ数試合は抜群の安定感で、不安要素の高いジャイアンツ投手陣に救世主のような光をもたらしてくれた。
とはいえ、ジャイアンツファンだって、原監督以下、首脳陣が冷静に澤村を見つめるように、
まだまだしっかりと澤村を見ていかなければいけないと、
例年の澤村を思い返せば、ただ楽観的に浮かれているわけでもない。

だから前回の登板で、4勝3敗と一つ勝ち星が上回っても、
まだまだ楽観視せずに、残りの登板をしっかり投げきって、
今季こそ、一つでも勝ち星が上回ってくれればと、
そう願っていたファンもおそらく少なくなかったのではないだろうか。


澤村、1回裏の投球を振り返ると、先頭バッターの木村昇吾への投球は、
いつもよりもさらにストレートがシュート回転し、シュートは外に大きく逸れる。
木村は打ち取ったが菊池を四球で歩かせ、迎えた丸の打席で、
この日澤村が良くないことが、ここでハッキリする。
菊池の打席からフォークボールはどれも抜け球で高めに浮いていた。
それでもここ数試合は、そういった兆候すら小林誠司とのバッテリーが噛み合っているおかげで、
徐々にいい方向に転化する流れが出来ている。
一概に ”悪いときの澤村” と決めつけるにはまだ早すぎるように思えた。

澤村が ”悪いときの澤村にいってしまった” のは、
次のエルドレッドに投げた落ちないフォークボールがやや外寄りの真ん中に入り、
それをレフト前へ痛打されたときだ。
それまでも小林の構えるミットどおりにはいっていなかったが、
このときも、小林は外の低めにミットを構えていた。
これで完全に良くない方にいってしまった

すぅ~っと投げているように見える。
良くないときの澤村を、よくそう表現して書いてきた。
その ”すぅ~っ” というのは、
例えば突然打たれるケースでは無警戒にストライクを獲りにいくような投球を指していたり、
あるいは打たれだしてきたときのそれは、
冷静さを欠いてガムシャラにストライクだけを獲りにいくような投球だったり、
そんなとき澤村は ”すぅ~っ” とストレートを投げてしまっているように見える。

それが何なのか、どういうことなのか、それ以上はうまく表現することはできなかった。
しかし、原監督のこのコメントを見て、胸につかえていたものが取れた感じがした。
いわば、胸の異物が ”すぅ~っ” と取れた感じ。

そうか、そういうことだったのか。
澤村が ”すぅ~っ” と投げているように見えたのは、
澤村が自身の中に持っている、”悪いゾーン” に入ってしまったときで、
執筆人が 「良くない澤村にいってしまった。」 と表現していた ”いってしまった” は、
相手のゾーンに入ってしまったときにそう見えていたのだ。
相手のゾーンに、いってしまっていた、そういうことだったのか。

なるほど、そりゃあ、なかなか戻って来れないはずだ。
勝負事でよく、相手の ”間合い” に入ってはいけない、と言うが、
その相手の ”間合い” は、ようは相手のタイミング。
相手の ”ゾーン” と言えなくもない。

相手の間合いに入ってしまっては打つ手もない。
澤村に限らないが、悪いときの澤村にも言えること、まさに棒線一方な状態。

そこで原監督は交代を決断したということか。
あっ! やばい! 入ってしまってる!
いってしまっている以上は、なかなか戻れない。
いく前に、どうにか乗り切れれば修正も利く。
入ってしまったら、もうどうにもならないのが澤村拓一という投手のクセ。
投手というのはおおかたそういうところがあるだろうが、
澤村はとくにそこの比重が大きいということだ。
いずれにしても、もう勝負は大詰め。ここでイヤなイメージを芽生えさせないためにも、
早めに区切りをつけ、さっさと次のステージを用意することのほうが、たしかに利はある。

では今後、澤村はどうすればこのゾーンに入り込まずに済むのだろう。
今回のように、入ってしまった時点でイニングに関係なく即効、交代する、
というのも一つの手ではあるだろうが、澤村登板のたびに、いちいちそこに神経を使い、
初回から二番手投手を用意してでは、もうその段階で既にローテーション投手ではない。

先日書いたが、結局は、桑田真澄氏が指摘していたように、
制球力をつける、投球術を覚える、そこに終始するのだろうか。
ゾーンに入ってしまわないために、入ってしまっても自力で抜け出すために、
それには制球力、投球術を身につけるしかない、そういうことか。
力で押し切ろうとしても、スピードボールで乗り切ろうとしても、
押し切れるだけの、乗り切れるだけのところに投げ切れなければ、打たれるだけ。
まったく意味がない。

コントロール、緩急、結局、そこに行き着くのだ。
課題は分かっていても、なかなか簡単ではないのだろう。

だがそもそも、なんで澤村はそんな ”ゾーン” なんか抱えているのだ。
その ”ゾーン” 自体を捨て去ることは出来ないのか。
なぜ出来ないのか。
性格か? 体質か? 体格か?

そんな ”ゾーン” に入らないため、抜け出すために、制球力、投球術が大事なことは分かる。
また、入らなければ、ここ数試合のようないい投球が出来るのも事実。
言い換えれば、入る入らない以前に、そんなもんなければ、
そんなゾーンさえ捨て去ることが出来れば、
今のままの投球スタイルでも充分やっていけるということだろう。
今のままでも充分に澤村の醍醐味は楽しめるけれど、
もし今以上の高みを目指すのであれば、先日、先輩の桑田さんが言っていたように、
制球力、投球術を磨くか、もしくは精神修行でもして何か一掴みするか、とにかく何れかである。
向かう方向は見えているぞ澤村拓一。
間違ってもトレーニングジムの方に向かうんじゃないぞ澤村拓一。



あの代打の場面、一死満塁で小林がランナーを還せず、
二死になっていたら(あるいはダブルプレイでちゃんじになっていたら)、
そのまま澤村をいかせるつもりだったと原監督は語っているから、
あの場面で点数が入っていなかったら、澤村はもう1イニングは投げていたのかもしれない。
それも勝負の綾。
結果的に代打のアンダーソンがタイムリーを放ち、1点差に詰め寄ったあと、同点に追いついた。

タイムリーを放った小林だったが、澤村に代打・アンダーソンを送った時点で、
次の守りから小林もベンチに下げ、ファーストの阿部がキャッチャー、
代打のアンダーソンをそのままファーストの守備につかせるかと想像した。
しかしアンダーソンには迷いなく代走を送ったので、
あるいはロペスをファーストに入るかと見ていたが、
チェンジになっても小林をそのまま守備につけた。
まだゲームは前半ということもあっただろうが、
小林が手にしているのは期待だけではなく、
信頼もしっかりと手に入れている証しだと、
その一連の攻防劇を眺めながらそう感じた。