終わってみればジャイアンツの3連勝。
甲子園でタイガース3タテは15年ぶりらしい。
そんなにしていなかったのか。
逆のパターン、ドームでの3タテは毎シーズン喰らってるような気がするが、どうだろう。
この3連戦を振り返ると、ジャイアンツが挙げた得点は3試合で17得点、安打数は24。
これに対しタイガースは3試合で5得点、安打数は20だった。
如何にジャイアンツが効率よく点を獲り、投手は打たれながらも粘り強く投げていたかが窺える。
タイガースは初戦のメッセンジャーで獲れなかったのが最後まで尾を引いたろうか。
1戦目をしっかり獲れていたら、2戦目の、初回で先行していて勝てなかった試合は、
ある意味、あの勝ち方は今季ジャイアンツの勝ちパターンでもあるから、
負けが仕方がないとは言わないが、おそらく引きずる必要のない試合だったと思う。
やはり、初戦獲れなかったのがすべてか。
初回から四球がらみで坂本に先制2ランを浴び、
メッセンジャーでリードを許すスタートとなったことが、
チーム全体に焦りをもたらしたように感じた。
ジャイアンツ側から見れば、先発投手、中継ぎ投手の粘りが、3戦ともに光っていた。
調子が上がったというよりも、”粘り強さが増した” といったほうがしっくりくる気がする。
シーズンとおし、苦しみの中で投げ続けてきた積み重ねが、
ここにきてのタフさに繫がっているのではないか。
1戦目の杉内、西村、江柄子のリレーにはドッシリとした重みがあった。
西村はまだ多少、制球にままならない感じが残っているけれど、
ストレートに体重が乗ってきたように見える。
江柄子もストレートにノビがあった。
昨夜の青木のピッチングが象徴するように、緊張感の増してきた中でも、
これまでとまったく変わらない淡々とした仕事ぶりが何とも頼もしい。
チームとしての経験値が根幹でチーム全体をしっかりと支えている。
先日のスワローズ戦を解説していた谷沢健一さんが山口鉄也の復調具合について触れていた。
今季不調の一端が勤続疲労であることは疑いようがないとしながらも、谷沢さんは山口の左腕の位置に注目。
ドラゴンズ・山本昌を例に出し、山口不調のもう一端を分析した。
今季、山本昌は開幕前にカットボールを覚えた。
しかしその一方でストレートがまったくいかなくなってしまう。
苦悩の末、その原因がカットボールであることに気づく。
カットボールを覚えたことで、自然と左腕の位置が下がっていたのだ。
それに気づいた山本昌は、ひとまずカットボールをあきらめ、
左腕の位置を元に修正し、ようやくストレートに球威が戻った。
「山口も今季、シュートを投げるようになって左腕が下がっていたが、
ここ数試合を見ていると腕の位置を戻した感じがある。
山本昌のように、それに気づいたのかもしれない」。
谷沢さん同様、いっしょに解説していた金本義明氏も、
ここにきて山口のストレートに球威が戻ってきた気がすると口をそろえた。
たしかに9月に入ってから、若干、ストレートにキレが出てきたようにも見えなくはないが、
やはり例年のキレではない。
ここまで積み重ねてきた経験を元に、
今季は最後まで探り探り、だましだまし、
といったところではないか。
とにかくこのオフは、少し肩を休めて、
ゆっくりと来季に向けて調整して欲しい。
間違ってもあらたなWBC候補に引きずり出されないよう。
チームがきっちりとプロテクトしてくれることを願う。
2試合目に投げたマシソンは、今季一の出来だったのではないか。
それほどストレートの精度は高かった。
開幕当初からずっと高めに上ずっていたストレートだったが、
10日の投球では、ほぼ真ん中から低めに抑えられ、
160キロを計測したストレートは糸を引くような球道で抜群の走りだった。
今季、記憶にないくらいの完成された火消しだったマシソン。
ゲームセットでナインとハイタッチを交わし、ベンチに戻って引き上げる際に、
グランドのほうに向き直り、帽子をとって一礼した表情には、安堵と満足感が満ちていた。
山口同様、マシソンも、今季は最後まで微妙なバランスの中で投げ続けるしかない。
インタビュアーが10勝は通過点かとの問いに、
菅野は躊躇することなく 「最低ラインです」 と言い切った。
菅野がこの状態で戻ってこれたことで、大竹の抹消がかなり和らいだ。
もちろんそれは、澤村の現在の状態があってのこと。
その日の出来の良し悪しは別にして、
完投能力の高いふたりがここにきて出揃ったことは、
中継ぎ投手の負担を考える上でも非常に大きい。
あとがないと言いつつも、やはり全体的に淡白さが目立つタイガース。
西岡にしても、3戦目で呼び寄せることが出来た状態だったのなら、
初戦からベンチ入れておいたほうが、
流れや勢いをつける意味でもよかったのではないかと感じてしまう。
いろいろ事情はあるのだろうけれど、
最後の3連戦、ここで叩かなければという戦いのわりには、
チーム全体としてのプレッシャーが薄い3連戦だった。
上本の粘り強さと、歳内の好投が光っていた。