ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

オリックス・鴨志田の12年目の初勝利を受け、感慨に浸る。

2013-06-17 22:02:26 | 2013年シーズン

どうしても書きたくて、記事にすることにした。
16日の京セラドーム大阪で行われたオリックス対ヤクルトの交流戦で、
7年前にジャイアンツからオリックスにトレードで移籍した鴨志田投手が、プロ12年目にして初勝利を挙げた。

2005年のシーズン開幕後に立ち上げた同ブログ。
スタート当初は 「がんばれ! キヨハラ!」 というタイトルだった。
大好きなプロ野球の象徴として、清原和博の名前をタイトルに掲げた。
1979年から80年代にかけて人気を呼んだ、漫画家”いしいひさいち”作の4コマ漫画 『がんばれ!! タブチくん!!』 。
そのタイトルをちょっぴりイメージしてつけた。

プロ野球のファンという広義な立場を自称する執筆人だが、根っからの巨人贔屓。
ブログをはじめたきっかけは、当時のジャイアンツのチーム編成に不満が募っていたからで、
10年経っていたFA制度も毎年のようにやって来る大物選手の影響で、
期待していた若手選手をなかなか1軍で見ることが出来ないフラストレーションは、当時爆発寸前だった。
その期待していた若手選手の中に、鴨志田がいた。

彼がジャイアンツから3位指名を受けたのは2001年のドラフト会議。
この年のドラフトは、比較的、高校生に注目の選手が多かったように記憶している。
そんな中で一番の目玉だったのが宮崎・日南学園の寺原隼人。
その年の夏の甲子園は寺原の記録した154キロに話題が集中した。
寺原は4球団(ダイエー・中日・巨人・横浜)から1位指名を受け、抽選でダイエーが交渉権を獲得した。
そのときのジャイアンツのハズレ1位は姫路工業高校の真田裕貴。
そして3位指名(2位指名は選択権なし)が水戸短期大学附属高の鴨志田貴司だった。
ちなみにこのときのダイエーの3巡目(2位指名は選択権なし)は杉内(三菱重工長崎/現・ジャイアンツ投手)だった。

真田、鴨志田と高校生投手を上位で指名したジャイアンツは、全指名選手6人のうち5人が投手。
そのうち4人が高校生で、その中に市立船橋高校の林昌範もいた。
林はこのブログでかなりの回数、取り上げた。林には相当期待を寄せていた。

ブログ開設当初、若手でとくに押していた選手を思い起こすと、2001年入団の真田、鴨志田、林の3投手をはじめ、
2002年入団の長田昌浩(東海大学付属望洋高/内野手)、矢野謙次(國學院大學/外野手)、
2003年入団の西村健太朗(広陵高/投手)平岡政樹(徳島商業高 /投手)、
2004年入団の亀井義行(中央大学/外野手)、
このあたりを頻繁に押していたように記憶している。
とくに投手では林、鴨志田、西村、野手では長田、亀井への思い入れが強かった。
それゆえ、2006年の長田、鴨志田のふたりのトレードには愕然とした。
オリックス・谷佳知との1対2のトレードだった。

鴨志田貴司は甲子園出場こそ果たせなかったものの、
最速152km/hの速球で 「東の鴨志田、西の寺原」 と全国にその名をとどろかせる注目選手だった。
ルーキーイヤーの2002年、シーズン後半に1軍デビューを果たし、
初セーブまで挙げた。それを受け、2003年以降は1軍戦力として常に期待されるもなかなか1軍定着には至らず。
ファームでは重い速球を武器に抑えの切り札として三振の山を築くが、制球難という課題が常につきまとっていた。
コントロールは投手の生命線とはいえ、あのがっしりとした体型から繰り出される重たい速球は魅力的だった。
ジャイアンツ時代の1軍での成績を見ると、投球回数に対して奪三振の多さが目立つ一方、
やはり同じくらいフォアボールの数が多い。
そしてイメージ以上に被安打数も多かった。

オリックスに移籍してからも2年ほどは苦労していたようだが、
3年前の2010年から徐々に成績も上がってきており、
防御率などを見る限りでは制球難も克服しつつあるようだ。
昨年の1軍登板が少ないのは気になるが、ファームでは好成績を収めているらしい。

16日の試合では、6回に登板して打者ひとりを3球で打ち取り、直後に味方が大逆転、
本人も 「うれしいよりも、ちょっと恥ずかしい」 と照れ笑いだったようだが、
それが中継ぎ投手の仕事、どんなカタチであれ1勝を挙げたというのは大きな弾みになる。
今季も登板数は少ないようだからまだまだ立場は厳しいのだろう。
どうにか1軍でのいいポジションを確立して欲しい。

同い年の同期入団だった真田は昨年ジャイアンツに復帰したもののオフに戦力外を受け、
現在は台湾のプロチームに所属している。
林は昨年、日ハムからDeNAに移籍。
シーズン後半から1軍に定着し、今季も少ない登板ながら安定した成績を残している。

ブログを始めたきっかけでもある3投手だから、今後の活躍を心から祈りたい。
プロ12年目の29歳。彼らはまだ若い。


やれば出来る澤村が今後も繰り返しやるべきこと。

2013-06-16 23:58:51 | 2013年シーズン

「やればできるじゃないか、という出来だった。」
原監督は13日のオリックス戦で完封勝利を挙げた澤村をそう称えた。
そう、澤村はやればできる投手、それだけの資質を備えている。
ただそれを継続できるかが、いつもの課題である。
ところで、今回、澤村がやって出来たこととは何だったのだろう?

交流戦に入ってからまったく勝てていない澤村だったが、
この日は133球の力投で9回を投げぬき完封勝利、4月25日以来の3勝目を挙げた。
5安打7奪三振の内容に原監督は 「やればできるじゃないか」 と評価。
先頭打者を一度も出さず、三塁を踏ませなかった堂々たるピッチングを文句なしに称えた。
とはいえ、いくらやれば出来るといっても、そうそう毎回こんな内容の投球が出来るわけもない。
ただ今回は何かを変えようと、澤村は試合前の段階で新たな調整方法に取り組んでいた。
これもやれば出来るの一つといえるだろう。

スポーツ紙によれば、7回1失点と好投した5日の日ハム戦からブルペンでの投球回数を増やし、
この日も2度、ブルペンに入るなど、フォーム固めに集中した。
さらにカメラマンに頼んで投球フォームを撮影してもらい、
何十枚ものカットを見ながら自らのフォームを分析。
それまでどうしていたのかは分からないが、
スポーツ紙が報じたように澤村自身が自ら変わろうとして実践した新たな試みなのであれば、
それもまさに ”やればできる” の、ひとつの実証だろう。
こういった、ひとつひとつの実証の積み重ねがきっと自信になり、確証になる。
野球、スポーツに限らず、どんな世界でもそうだ。

澤村が試みた新たな調整方法も、
それが澤村の身体的な何かに良い影響を及ぼすようであれば、
彼にとってそれは有効な調整方法になる。
それに結果が伴ってくれば、
その調整方法を繰り返して行くことで精神面にも良い効果が生まれるはずだ。

何年か前から、よく、スポーツ界で ”ルーティン(routine)” という言葉を耳にするようになった。
ルーティンとは、不定期、不順で行っていた作業などを、
一連のつながった動作としてパターン化していくことを指すらしい。
スポーツの世界で言えば 「型にはまった一連の動作」 なのだとか。
野球界ではイチローのルーティンが有名だ。
さまざまなジャンルにおいてこのルーティンがもたらす影響が語られているが、
スポーツアスリートに与える最大の影響は、メンタル面にあると言われる。

このところスポーツニュース等で話題を独占している世界最速高校生の桐生祥秀クン。
先日、陸上の日本選手権だろうか8日の100m決勝で1位の慶大・山県選手に続き2位でゴールを切り、
世界陸上の切符を手に入れた。
10秒を切るかどうかで注目を集めていたがタイムは10秒25という記録に終わった。
その日、どこのニュースだったかは覚えていないが、その日の桐生クンのタイムを取り上げて、
100mの現・日本記録保持者の伊東浩司さんに分析を求め、彼が面白いことを言っていた。

彼が100mの日本記録10秒00を記録したのは1998年のアジア大会。
準決勝で伊藤さんは当時のアジア記録ともなる10秒00を出した。
このとき伊藤さんは最後のゴール付近であのウサイン・ボルトがやるように流してゴールを切った。
10秒00のタイムを見た瞬間に次の決勝では間違いなく9秒台を出せると確信した。
ゴール付近でかなり流したにも拘らず出したタイムは10秒00、
肉体的にも精神的にもその時はまだまだ余裕があることを実感していた。
しかし迎えた決勝で伊藤さんは他の選手を抑えて圧勝したものの記録は10秒05に終わる。
大会は200m、400mリレーで優勝を果たし3ツの金メダルを獲得した。

その時、伊藤さんはスポーツにおけるメンタルの重要性を痛感したと語る。
準決勝のとき、たしかにあったはずの肉体的且つ精神的な余裕。
しかし、決勝を迎えると自分でも気づかないほどの微かな緊張がリキみを生んで身体の動きにわずかなズレをつくっていた。
そのわずかなズレによってバランスが崩れる。
わずかなズレによって生じる、わずかなバランスの崩れ。
スポーツではこのわずかズレが結果に大きな影響を及ぼすのだ。

0.1秒の差は100m走での距離に換算すると1mにもなる。この差は大きい。スタートにナーバスになるのも当然うなずける。
ちょとした風や身体の揺れで記録は大きく変わる。それくらい繊細な戦い。

「大事な場面、緊張する場面になると、必ずそういう気持ちがイタズラをする」
100m走のような競技は身体的なことや技術的なことばかりを重要視しがちだが、
そのときはじめて短距離走もメンタルのスポーツであることを実感したと言う。

このイタズラする精神状態というのは、緊張感の漂う、
プレッシャーのかかるような場面に顔を出す例のヤツだろう。
例えば先日の菊池雄星があとツーアウトというところでヒットを打たれノーヒットノーランを逃すといったことや、
昨日の対ホークス戦で菅野があとひとつアウトを獲れば完封勝利というところで失点をするといったような、
そういったことはプロ野球の世界ですら年間で何度も目にする。
内海が100勝を前に足踏みしたのも、不運はあったにせよ、
そういったことが関係しているような気もする。
記録云々にかかわらず、日常的に緊張感の中で戦いを繰り返す選手たちにとってみれば、
プレッシャーは常日頃から隣り合わせ。如何にそれに潰されず、
如何に平常心を保てるか、それは最大のテーマであろう。

緊張感の漂う場面でイタズラする精神状態。
類稀な才能や能力、恵まれた体格を持ってプロの世界に入ってくる多くの選手たちの中で、
ほとんどの選手たちが力を出し切れずにプロの世界から去ってゆく。
大事な場面で無駄な緊張感を呼び起こさず、冷静に自分の力を出し切ることが出来るか。
一流のラインを超える選手になるには、メンタル面を如何にコントロールできるかも技術同様、
大事な要素になってくる。
練習どおりの力が出せるか。練習での平常心を試合でも保てるか。
そういった意味でもルーティンは、
練習時などの精神状態にいつでも一定の手順を得て戻ることができる手段として非常にメリットが高い。
反復することで何某かの安心感や平常心を得られる。

13日、澤村は試合の中でも工夫を凝らしていた。
走者のない場面でクイックを取り入れたり、
投げる合い間に変化をつけて打者のタイミングを外すなど、緩急を心がけた。
試合の中で試みた新たな投球術。
そして試合の前に試みた新たな調整方法。
澤村のナイスピッチングが続いてくれることを願うばかりだが、
今回、彼の試みた調整方法が彼をより良い方向に導いてくれるのであればそれは繰り返すべきであり、
それもひとつのルーティンになるかもしれない。
無駄なリキみを取り除く手段を手に入れることは、
澤村にとって何よりも心強いはずだから。




クリーンナップから外れている村田修一のモチベーション。

2013-06-10 20:01:09 | 2013年シーズン

昨日、菅野がハーラートップタイの6勝目を挙げた。
ここ数試合、なかなか勝ち星がつかなかった菅野。
けっして悪い内容ではなかったが、開幕当初の微妙なコースの投げ分けに、
若干、ズレが出てきているか。

開幕間もないころに解説の江川卓が、
長いシーズン、自分では気づかないような僅かな疲労の蓄積が少しずつコントロールに影響を及ぼすようになると、
1年間、公式戦から遠ざかっていた菅野のブランクを危惧する発言をしていたのを思い出した。
自らもプロ入り前、1年間アメリカへ野球留学していた経験があるだけに、菅野と自らの体験をダブらせての発言だったのだろう。
当時の江川と現在の菅野とでは置かれた状況や環境に違いがあるにしても、
実際ここにきて、疲労からか少し身体が重そうに見えるときが、菅野の動きから感じられるのも事実である。
よく投球イニング数へのこだわりを口にしているが、
まだ1年目、これからである。はやる気を抑えるのも1年目の大事な仕事。


それにしても、100勝を前に内海がなかなか勝てない。
一昨日の原監督の言葉で思い出すが、内海も以前はよくメンタル面を指摘されていた。
マウンド上で見せる精神面の弱さも成績と共にここ2年ほどは目立たなくなっていたが、
前回同様、今回のWBCでもそんな内海が少し顔を出す場面があった。意外と引きずるタイプのような印象がある内海。
どうにか無難にやり過ごしたかと思いきや、100勝という階段をこれほど高くしてしまうあたりが、なんとも彼らしい。


メンタルついでにふれたいのが村田修一。
村田については昨日、少々書いたが、昨日の試合を見ていてもどうも精彩を欠く。
技術的なことか精神面かは素人にはよく判らない。
打率.257、8ホーマーは下位打線ならばさほど悪い数字でもないだろう。
ただ村田がそういう立場に甘んじていていいのかという問題である。
それはきっと本人も感じているからこその今の状態だろう。
この成績だから下位に下げるのではなく、
5番を打つ成績が残せないのであればスタメンから外すというスタンスをとったほうが、
彼のモチベーションも保てるのではないか。

かつてFAなどで移籍してきた4番打者のほとんどが思うような成績を残せなかったことと比較しても、
村田もその例外ではない。クリーンナップを打ち続けてきて、
クリーンナップを打つために移籍してきたにもかかわらずの現状である。
それも実力といってしまえばそれまでだが、例えばクリーンナップを死守することが、
あるいはそれがモチベーションの一部であったり、そういうタイプの選手もいるだろう。
そういったことが許される環境とそうでない環境という違いもあるかもしれない。

村田が下位を打つジャイアンツ打線の層の厚さよりも、
7番、8番を打つ村田の表情に、どうにも威圧感が感じられない。
よく 「与えられた打順で…」 と順番など関係ないような優等生的な言い方があったりするが、
どうもそういうことが当てはまらない選手というのがいるような気がする。
例えば村田修一が、そういう選手のひとりのように思える。
小笠原や谷、由伸のようにベテランであれば思い切ってリフレッシュ、
一度外して休ませることも容易なのだろうが、たしかに、村田のような立場であれば、
外すか、使い続けるか、そんな単純な話ではないかもしれない。

優勝を経験したくてやって来たジャイアンツで一年目からその目的を達した。
思うような成績が残せなかった昨シーズン、今季は自分がチームの中心に立ち、
自分の力でチームを優勝に導きたい、そんな思いは強いだろう。
坂本、阿部、村田、開幕当初のようなこの並びが、
今季、原監督の描く最も理想的なクリーンナップであったろうし、
村田本人も、当然、そのつもりで望んでいたに違いない。
村田が今の打順から徐々にでも成績を上げ、後半戦、クリーンナップに座っているような状況にでもなれば、
ジャイアンツの優勝は間違いないし、村田が今季、描いた理想にもたどり着くことだろう。
そんな泥臭さが出せるか、あるいは最強の7番打者に徹するか、村田のモチベーションはどちらに向くか。


最後に、大きく話は逸れるが、昨日の試合で、田中将大がツーベースを放ったシーン。
二塁に到達した田中が笑顔でベンチの声援に応え、外野方向に向き直ったとき、
ちょうど中継のボールを受け取った坂本が二塁ベースに歩み寄っていて、
田中の顔を見て一瞬、坂本が 「ツーベース打ってるし…」
みたいな顔で笑いそうになったのをうつむいて隠していたのが、
なんとも若者らしいというか、とても面白かった。



小笠原の鋭い眼光に、チームを牽引してきた男の”責任感と潔さ” を見た。

2013-06-09 17:33:33 | 2013年シーズン
彼の言葉を借りれば、そう、たった1本、打っただけ。
あまり興奮しないようにと自分を戒めるのだが、やはり一打一打に一喜一憂してしまう。
この2年の間、小笠原のことを考えると、こっちも一緒になって首を傾げるばかり。
小笠原に一体、何が起こっているのかと、その間、ずっと気に病んでいた。

「あれだけの選手でも、1本の本塁打が力になるんだなと。改めてこの世界、メンタルが大事だと思った」
昨夜の試合後の原監督のコメントである。
あの1本の本塁打ですべてが払拭できたわけでもないだろうが、あの1本の本塁打が大きな力になったことは確かだろう。
サヨナラホームラン後のヒーローインタビューで浴びた大歓声に 「思い出しました」 と感慨深げに笑みをこぼした小笠原。
我々ファンも思い出した。試合の中で見せる、小笠原の力強い表情。一昨日、代打で三振に倒れたときの歯を食いしばったような表情。昨夜の右翼線のあたりでセカンドまで走りきった懸命な形相。そしてあのサヨナラホームランを打った瞬間、右手を高々と揚げ、ベンチに向けた鋭い眼光。いつも戦いの中心にいて、チームの輪の中心で戦う、そんな小笠原の強くて頼もしいあの表情。

あの時、右手を高々と揚げながら、一度ベンチに視線を向け、高揚して弾け飛びそうな気持ちをグッと飲み込むような表情をしながら一塁へ向かう小笠原の、あのクッとつり上がった鋭い眼光は何を語っていたろう。
そこには、自分に陶酔するような浅はかさなど微塵もなく、もちろんベンチに対する鬱憤など欠片もない。そこには、チームに対し責任をまっとうした、男の覚悟のような強さがあった。ベンチにいるすべてのチームメイトに対し 「やったぞ! ひっくり返したぞ!」 という、常にチームの先頭に立って戦ってきた男の、”責任感と潔さ" が凝縮された眼光がそこにあった。

その ”責任感と潔さ” が、「たった1本、打っただけ」 という小笠原の言葉によく表れている。
ここに立ち止まらない、常に次の戦いに挑むプロとしての誇り。
チームを背負って立つという意味を、何よりも理解する男の表情である。
あの瞬間、鳥肌を立てながら、そんな感慨にふけっていた。

昨年、松井秀喜が優勝したジャイアンツに向けたコメントでこんなことを言っていた。
「僕がジャイアンツにいたころは凄い選手が揃っていたけれど、けっして強いチームだったわけではない。今のジャイアンツを見ていると阿部を中心に均整が取れていて本当に強さを感じる」。
その強さを築き上げたのが小笠原であり、ラミレスであり、それは原監督が自らも述べている。
それを見て、共に戦ってきたのが阿部であり、坂本らである。
今、チームの中心となった阿部、坂本、もちろん小笠原もいる、高橋由伸もいる。
そこに当然、長野も加わっているだろうし、その中で、村田修一は何を考え、責任の一端をどう担うのか。
原監督が小笠原に対するコメントの中で述べていた ”メンタル” の重要性。
村田修一は小笠原の背中に何を見るか。

サード小笠原の選択肢が出てきたかどうかは分からないが、そんな思いが頭をよぎるようになったことに、ちょっとホッとしているここ数試合。

小笠原のテーマ曲がPrinceの ”Batdance” になっていることを最近知った。
今季から変えたらしいが、まさにバットマン小笠原にふさわしい登場曲だ。


小笠原は、まだまだやれる。

2013-06-05 23:59:33 | 2013年シーズン
いい角度で、ライト方向へ飛球が舞い上がるイメージをずっとアタマの中で描きながら、
画面の中の小笠原を見つめていた。
増井の速球に負けない豪快なスイングが、本当にライト方向への大飛球を生んだ。
球場のファンも、画面を見つめるファンも、一塁側ベンチも、みなが 「行けぇ~っ!」 と叫んだろう。
小笠原が、一塁側ベンチに向かって右手を高々と揚げたとき、
もう目から涙がこぼれて、拍手以外、なにもいらない。

中井がヒットで出て、立岡があの場面よく走った。打球が左に逸れたなんて言いっこなしだ。
亀井のセンター前、間違いなく間に合うタイミングで、余裕がありすぎたか、あまりにも堅実に、確実に、陽の返球はマウンドあたりでバウンドがどうのこうのとアナウンサーは言っているが、バウンドはそれほど替わっていない。いいバウンドのままドンぴしゃりでキャッチャーのミットへ向かっていた。それが不運を呼んだ。
あまりにもドンぴしゃ過ぎて、立岡のスライディングからのタックルと、ボールがキャッチャーミットに納まるのがほぼ同時。
いくら快速ランナーでもあの当たりでホームインはかなり厳しい。
立岡の足を陽がナメてたわけではないだろう。想像以上に立岡にスピードがあったというのもあるかもしれない。もう少し力のある返球をしていたら、ミットに早くボールが納まっていただろうから、アウトになる確率はさらに高かったはず。球界屈指のセンター・陽だからこそ起きた、あれは明らかに余裕が生んだ返球ミスだった。

8回の同点の場面でもそうだったが、サヨナラのあの場面でも、代走・鈴木尚を使わなかった。アウトカウントと次のバッターとの兼ね合いもあるだろうからなんともいえないが、結果的に阿部の二塁打のおかげでノーアウト2、3塁という状況が生まれ、代打・小笠原が実現した。

お立ち台で最高の笑顔を見せる小笠原だったが、落ち着きをともり戻すたびに、「たった1本、打っただけ。また次に向けて準備する」と冷静におのれのポジションに立ち返る。引き締まった小笠原の表情と、高揚を抑えるように冷静にインタビューに応える原監督の口調から、小笠原という存在感の大きさが窺える。

19歳のスーパールーキーのはるか頭上を、39歳スーパーベテランの大飛球が飛び越えて行った。
解説の元阪神・金本知憲が 「小笠原39歳」 とアナウンサーにふられ、なんのためらいもなくこう言った。
「39歳!? まだまだですね。まだまだやれます。」
そう、小笠原はまだまだやれる。

やはり精度が増している中井大介の野球。

2013-06-04 13:16:35 | 2013年シーズン

やはり、中井の野球の精度は上がっている、
そう実感した2本のタイムリーだった。


待ちに待った西武・菊池雄星との対戦だった。
プロ入団以来、気になっている他球団の若手選手のひとりだったからだ。
4年目の今シーズン、ようやく実力を発揮しだしている。
ここまで6勝1敗、防御率はリーグトップの1点台半ば。
力のある速球とキレのある変化球、球種は多彩だ。

解説の小久保が指摘した通り、初のジャイアンツ相手でやや力が入ったか、
スピードも制球も今ひとつだったようだが、見ていてとても力強いボールを投げていたように感じる。
カラダごと向かってくるダイナミックなフォームで、
同じチームの石井一久のヤクルト時代の全盛期を髣髴させるパワフルなピッチングだった。
渡辺監督も菊池に対し、マウンドで力が入り過ぎないように注意が必要と試合開始前に語っていたようだが、
心配どおりの結果になってしまった。


一方ジャイアンツはようやく連敗脱出。
今日の打線からは絶対にどうにかしようという強い意思が感じられた。
前半、守備でのミスが失点に繫がった。
守備でふたつ精彩を欠いた寺内は4回のチャンスの打席で初球を思い切り叩き、
ピッチャーの足元を抜く痛烈な当たりで二塁ランナーを還し、
バックホームへの送球の間に二塁を陥れた。
その顔つきには二度の守備でのミスを取り返すという強い意思と集中力がみなぎっていた。
追いつき追い越し、また追いついて追い越され、観ていて面白い試合だった。


そんな中、とくに目立ったのが中井大介だ。
トップバッターに抜擢された中井は5打数2安打2打点、
いい場面で右に左にタイムリーを放った。
初回のレフトライナーもしっかりとボールを捕らえ、
あとひとノビ、少しずれていたら左中間を割っていただろう。
あの初回の打席がそのあとの打席に繫がっていった気がする。
二打席目こそ大きなカーブに崩されて三振に倒れたが、
次のタイムリーを打った打席ではその変化球も完全にアタマに入った対応だった。
ヒットを打った二打席とも、追い込まれてからも慌てることなく、
しっかりキメにきた球に対応して、叩いた。

これまで、1軍の一線級の投手に対しては、
初球から追い込まれるまで、完全に相手のペースで勝負が進んでいたように見えた。
今の中井からは、相手投手に一方的に操られるのではなく、
投手と対等に勝負している様が随所で感じられる。

「今日だけじゃなく、この結果を次の試合でも続けていかなければ…」
ヒーローインタビューで結果を出し続けて行きたいと何度も口にした中井が前日にも増して頼もしく見えた。



Gの坂本ジェネレーション、アタマひとつ出た中井大介の集中力。

2013-06-02 23:55:19 | 2013年シーズン

5連敗で首位陥落。
首位陥落はこの際、どうでもよいが、
5連敗の方は若干、気にはかかる。
5試合連続で負けたことが気にかかるのではなく、
続けて負けた5試合の負け方が、どれも似たような感じなのが、
ちょっとだけ、気にかかる。

序盤に先制点を奪われ、常に追いかけるカタチで後手後手になる。
大差のないまま、あと一本が出ない。
ジャイアンツ打線の根幹、長野、坂本、阿部の3人が揃って下り調子なのだから、
打線が繫がらないのもうなずける。
それの加えて、ずっと安定して率を残していたロペスも下降気味。
主軸4人までが低調である。
クリーンアップ以外では、ケガで離脱したボーカーに代わり、
ケガから復帰して上がってきた亀井がずっといい仕事をしている。
松本も2番に定着してから安定感が出ている。セカンドは相変わらず流動的だが、
このところ立岡、寺内が交互に出て、けっして働きとしては悪くない。


5月23日の楽天戦で中井が4年ぶりにホームランを打った。
ここにきて、ようやく若手組の中から中井が一歩抜きん出た。
スタメンで起用されても、代打で出ても、
いい集中力が保てているように見える。
ここ10試合ほどでは4割のアベレージを残しているが、
守備でも内外野をこなし、幅がきいている。

6年目の今シーズン、このペースでいけば例年以上の出場試合数はもう間違いないだろうし、
成績もこれまで以上の結果が残せそうだ。
ここまでの5年間、ファームではタイトルを獲得するなど結果は出してきているのだが、
1軍では5年間トータルで52試合出場14安打1本塁打、
高卒入団といえども、もうそろそろ何かしらの結果を示さないとポジション的にも厳しくなる。
そういった意味では、今、のりかけているこの波をしっかり捉えてモノにして欲しい。


少し前に、坂本の次がなかなか出てこないと書いた。
1軍野手の主力メンバーの中に、もう少し、坂本と同年代の選手がいて欲しいのは事実。
ジャイアンツの坂本ジェネレーションは坂本以降、
どうも伸び悩んでいてなかなか一歩前へ突き出る選手が現れない。
ここでいう坂本ジェネレーションとは、坂本のひとつ下の中井、藤本、
さらにひとつ下の大田、橋本ら、ジャイアンツの同年代の野手という意味だ。
開幕から約2ヶ月強、今季も皆、1軍と2軍を行き来する。


中井もそうだが、橋本もファームでは常に好成績を維持し続ける。
ファームの試合結果をチェックすると、打線の中で橋本の安打数は常に目を引く。
安定して結果を出している若手の中ではトップクラス。
それは中井にも言えることだ。

先日、今季2回目の2軍落ちとなった橋本が悔しさをこう表現していた。
「1軍の投手と2軍の投手ではキメ球の精度がまるで違う。
追い込まれると最後は手が出なくなる。
ただアマい球がまったくないわけではないので、
それを見逃さず一発で仕留められるようにバッティングの精度を上げてゆきたい。
ファームでそれを課題に調整する」 。

自分の課題をしっかり見極めて練習に取り組むのはとても重要なこと。
ファームとはいえ、あれだけヒットを打つ技術を持っている橋本である。
より精度を上げて、あとは1軍の投手に慣れればきっと課題はクリアできるはず。

今、打席の中で集中力が増して見える中井。
去年まではどちからというと、とにかく打って塁に出るというガムシャラさばかりが目についた。
今は冷静にボールを迎え打つ準備が出来ているように感じる。
1日のロッテ戦で見せたホームへの好走塁も、
「暴投や捕逸をイメージしていた」 という本人のコメントどおり、
準備が出来ていてこその好判断だろう。
間違いなく、中井の "野球の精度" が上がった。