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原監督の言葉に潜むフラストレーション。

2014-09-21 23:59:24 | 2014年シーズン

5番に据えたアンダーソンが初回にはまった。
初回から3番の坂本に送りバントをさせた原監督は、
試合後のコメントで初回の得点シーンを振り返り、
「3番バッターがしっかり送って4番バッターが還せなかった。
そこでアンダーソンが二死から貴重な3ランだったと思う」 と、
あえてアンダーソンへの賛辞のまえに、「4番バッターが還せなかった」 という言葉をつけ加えている。


初回の攻撃、無死一、二塁の場面で、早々に3番の坂本に送りバントをさせた。
一死二、三塁、バッターは4番、阿部。
この状況で空振りの三振に倒れた4番打者。
初回から、3番バッターに送りバントをさせ、4番に託した策だったが、実らなかった。
あえて付け加えた 「3番バッターがしっかり送って4番バッターが還せなかった」 という言葉の中に、
原監督の気持ちに残る引っかかりを感じる。

それは、8回の阿部の本塁打についてのコメントの中からも感じ取ることが出来る。
「初回にいい3ランが出たが、スミなんとかというのはゲームを支配する上では非常に苦しくなる。
そういう意味では慎之助の4点目は非常に大きかったと思う」。
非常に大きかったと称える本塁打への感想の中にも、やはり初回の攻撃が絡んでいる。
とくに初回の阿部の凡退を言葉にしている訳ではない。
4番の凡退を補ったアンダーソンの本塁打を ”いい3ラン” と称えた上で、
8回の阿部の本塁打がゲームの苦しい流れを変えたと評価している。言葉尻はそうだ。
しかし、大きかったと表現したダメ押しの本塁打への感想の中にも、
初回の得点機の状況に触れ、"スミなんとか" というネガティブな意味でよく使用される表現をあえて口にする。
攻守にわたり、今季なかなかスムーズに決まらなかった、たくさんの引っかかりが、無意識に口を衝く。

今シーズンのジャイアンツの戦いも、見ている側は、ハラハラしながら楽しめるが、
やっている方は、ストレスの溜まるしんどいシーズンだろう。
そんなふうに思いながら見ていると、原監督の口ぶりにも、ついついそんな印象を抱いてしまう。

それは選手にしても同じ事だろう。
個々の成績が上がらない中で首位にい続ける苦労は計り知れない。
われわれは簡単に底力などと形容するが、その重圧は想像に余る。
例年になく厳しい表情の続く阿部や村田修一は、とくに気持ちの負担も大きいだろう。

長年、ジャイアンツの看板を背負い続けている阿部と違い、
村田のプレッシャーはまた一味も二味も違ったものではないか。
2年目の昨シーズンは中盤からバッティングの調子もうなぎのぼり、
最終的に自己最多の164安打、5年ぶり2度目の3割達成、日本一は逃したものの、
自身の成績としては満足のいくものだったに違いない。

今季も前半、なかなか調子に乗り切れなかったバットも6月に入ると急激に上昇、
昨シーズンの再来かと思わせたが、そこから夏場を経ても成績は一向に上がらず横ばい状態。
当ブログの6月の記事で(※)、村田が9回に代打を送られたことを取り上げたが、
7月後半にはジャイアンツ移籍後初の一試合欠場を経験し、
自身が続けていた現役選手では2位となる連続試合出場記録もそこでストップした。

先日、某夕刊紙の取材インタビューで村田がそういった一連の起用法について述べている記事を目にした。
ジャイアンツへの移籍を決意した時点である程度の覚悟はしていたと語る村田だが、
今季の打順の変動の多さには少なからず戸惑いはあるようで、
阿部の長引く不調も少なからずそういったことが関係しているのではと漏らしている。

もちろん、不調のいちばんの原因が自身のバッティング技術であることは認めながら、
今季のチーム力について冷静に分析し、チームを引っ張っていく存在であることを忘れてはいない。

原監督は常々、こういったベテラン選手へのケアも怠っていないことを口にするなど、
信頼関係の深さに不安要素なしの姿勢を貫く。
そうであるからこそ、現在のチーム状況でも首位の座に座り続け、
優勝目前となっても、他のライバルチームを引き離すだけの自力を見せつけられるのだろう。

監督の憤りや、看板選手が抱える苦悩など、そんな不安定な要素を抱えながらも、
あともう僅かで、ペナントレースのゴールテープをトップで切ろうとしている。
その裏では、われわれファンの知りえない、表の戦いとは違った葛藤が、
見えないところで繰り広げられていたはずだ。
そんな裏の葛藤も、シーズンが終われば見えてくるだろうか。





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