ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

坂本勇人の次のもう一人、next one の存在は。

2013-04-29 14:36:06 | 2013年シーズン

坂本の次が、なかなか突き出てこない。

開幕前の時点では、やや贅沢な悩みであったかもしれない。
それがある意味、余裕の元にもなっていた。
驚異的な成長をみせる坂本も、今となっては虎の子の存在になってしまった。

ここにきてケガ人が増えたことで、それほど悠長な見方もしていられなくなってくるだろう。
今季にかける亀井がキャンプ早々に離脱、由伸の肉離れ、
好調をキープしていたボーカーが小指を骨折。
気がつけば外野手が若干、手薄になっている。
原監督がとくに必要と言った「左の外野手」は、今、空席といっていいか。

そんな首脳陣の危機感の現れが、”中井の外野起用” だろう。
すでに27日のイースタンのロッテ戦で4番・左翼として出場しており、1軍にも昇格を果たした。
現在、ボーカーの離脱で更に手薄になった外野のポジションは、長野を除き、
矢野、松本、大田、さらにボーカーと入れ替わりで1軍に上がった橋本が加わり、ここに中井が参戦する。
右打者とはいえ、守りさえきっちりこなせればチャンスがないこともない。
一番手はやはり矢野、そして松本が続くだろう。
理想をいえば、この隙間に大田、あるいは橋本などがグイグイ食い込んできてもいい。
そんな時期に既に二人はとうに達している。
内野手の中井にしてもそうだが、いつまでも上が詰まっているからという立場ではない。
今季にしても、決して高いレベルでの争いをしているわけでもないだろう。

それほどチャンスの多くない橋本、中井、
あるいは期待が大きいとはいえ彼らよりは恵まれた立場で争っている大田にしても、
この数年、まったくチャンスを掴み取るタイミングがなかったかといえば、そうではない。
それぞれが、何度か波に乗るチャンスは得ていたはずだ。
想像以上に坂本という素材が際立っていることで、
もはや坂本と比較するのは彼らが不憫に思える。
それほど、野手・坂本は、今やジャイアンツの大事な宝となった。
高卒・野手で、早くからポジションをつかんだ坂本と比較するのは酷かもしれないが、
それにしてもその次の若手筆頭の彼らが突き出てこないもどかしさは、
原監督ならずとも期待と共に年々ストレスは大きくなっている。
それは今季、完全にセカンド争いから失脚した藤本にも言えることだ。


そんな中、ヤクルト3連戦から橋本到が1軍登録、2試合連続で先発出場している。
結果は3試合トータルで6打数1安打1四球1犠打。内容はともかく今季初ヒットを記録した。

このヤクルト3連戦での主な外野手のそれぞれの成績を見てみると以下のような結果になる。

長野 11打数1安打1四球
松本  8打数1安打1四球
矢野  4打数3安打
大田  2打数0安打1四球
中井  3打数0安打
橋本  6打数1安打1四球1犠打


相変わらず長野の不振は続いているが、原監督が言うように彼には代わりはいない。
それ以外では矢野が途中出場、途中交代という条件の中でも群を抜いた成績を残した。
納得のいく成績ではないだろうが1四球1犠打を考慮すれば橋本もどうにか仕事はしただろう。

ちなみにヤクルト戦の前のDeNA戦を見てみると、長野以外は次のような成績となった。

松本 9打数6安打4四球1犠打
矢野 2打数2安打
中井 2打数2安打
大田 1打数1安打


ベイスターズとの3連戦は猛打爆発、大量得点の試合もあったせいか、
皆、きっちりと結果を残しているが、矢野の安定感と松本の仕事っぷりが目立つ結果といえよう。


昨夜のヤクルト戦で先発出場した橋本到。3打数1安打1犠打と結果を出した。
最後の4打席目の遊直も好い当たりだったが、ショート・森岡の好守に阻まれた。
完治後の調整にもよるだろうが、ボーカーの復帰は交流戦後あたりになりそうである。
ただその前に、現在、ファームで調整を行っている亀井が、
ここ数試合で本塁打など長打を含んだ結果を徐々に出し始めているので、
その状況しだいでは橋本のチャンスも相変わらずそうは多くないだろう。
そう考えれば昨夜の3打数1安打1犠打程度の成績は最低でも残していかないと1軍に残るのは難しい。
ただ橋本にしても大田にしても、今回のようなチャンスが今までなかったかといえばそうでもないだろう。
ここ数年のキャンプからペナントにかけて、多くはないが機会は与えられている。
ちょうどチームの変換期に坂本がバッチリはまったように、
今季のこのタイミングはまたとない千載一遇のチャンスだ。

由伸、谷のベテラン組、今季好調をキープし踏ん張っていたボーカーに、
ヤングアダルトの矢野、復帰間近の亀井、そこに首脳陣の期待が大きい松本哲もいる。
長野を除いた外野ふた枠の争いは、本来ならば松本哲を筆頭に亀井、矢野がそれを脅かし、
そこに、ベテラン、外国人選手を押しのける勢いで大田、橋本らの若手が食い込んでこなければいけない。
この構図があくまでも理想といえるのだろうが、
幸か不幸かこの構図をひっくり返していっきにレギュラーを奪い取れる大チャンスが今、
若手に転がり込んできているのである。

解説の田尾安志氏が坂本のバッティングを称し 「アマい球は逃すことなく確実に捕えている」 と舌を巻いた。
橋本や中井らの打席と比較して、そこをポイントにあげる田尾氏の分析。
ファームの投手相手では確実に結果を残している中井、橋本、大田ら期待の若手選手。
1軍の投手はそうはアマい球を投げないとはいえ、どんないい投手であっても何球かは必ずアマい球が来る、
「如何にそこを逃さず叩けるか」 と田尾氏。

好調ボーカーと、ベテラン選手不在の今。
いずれの選手も復帰までにそうは長くかかるまい。
この、かくも短き最大のチャンスの中で、如何に多くを捕られきれるか。

先日の小野淳投手のトレード。
相手はカープの左腕・青木。
カープ前田健太、野村らの戦線離脱による先発右腕不足による、カープからの打診と報じられた。
チームは常に動いているのだと実感する。


快投 澤村 西村、明日はどっちだ。

2013-04-26 23:59:55 | 2013年シーズン

澤村は、このまま突き進めばいいのだろう。

前々回、澤村についてあれこれ書いたが、昨夜の澤村は原監督が称えたようにナイスピッチングだった。
九回の失点は悔やまれるところだが、これまた原監督同様、九回までのピッチングで充分評価に値する。
怪我の功名とまでは言わないまでも、澤村が九回に想定外に打たれたものだから、
急遽、マウンドに上がった西村が、前回登板の危なげなピッチングを晴らすような、
こちらも澤村同様に素晴らしい内容で最後を締めくくった。

前回の2敗目をきっした試合では、
「自分のことしか考えてなかった」と本人が反省するように終始リズムを欠くピッチングで、
投球フォームからまったく柔らかさが感じられなかった。
ストレートも棒線のように見えたし、変化球にもキレがなかった。

しかし昨夜の澤村は非常にテンポがよく、ピッチングにリズムがあった。
ストレートは150キロを何度も計測し、
とくに外角の低めへのストレートはノビがあって打者はまったく手が出なかった。

見ていて気持ちがいいくらいピッチングの一連の動作にリズムがあった。
前回書いたことだが、その筋肉質な身体ゆえか、澤村は時折、
身体中に力が入りまくっているような投球フォームで、バランスが非常に悪く見えるときがある。
投球フォームがぎこちなくさえ見える。前回のときがそうだった。
そして今回、それを即座に修正し、ナイスピッチングを披露した。
そんなことが、昨年も、一昨年もあったような気がする。
新人だった一昨年は目をつむったとしても、過去2年間、11勝11敗、10勝10敗。
この結果が、そのまま澤村のピッチングに直結しているような、
当たり前といえば当たり前だが、数字が如実にそう言い表している。
開幕して約一ヶ月が経過し、そしてここまで2勝2敗。

それでも次回はどんな投球を見せてくれるのだろうと、期待半分、不安も半分。
澤村はきっと、これからもそうやってファンをやきもきさせながら、
そうやってスケールの大きな豪腕投手へと突き進んで行くのだろう。


西村も昨夜は凄い球を投げていた。
外角低めにズド~ンとノビのあるストレートを投げ込み、フォークも低めに決まった。
九回が始まった段階ではブルペンで投げている姿は映っていなかったから、
澤村が打たれ始めた時点でまた慌ててつくり始めたのだろう。
そのスピード感がよかったのかどうか、テンポよくストライクが先行して前回の心配をいっきに吹き飛ばした。
「西村は昨年までとは顔つきが明らかに変わった。
ピッチングに余裕が出てきた。」と解説の立浪氏。
さらに澤村のピッチングにも高い評価をした一方で、
「澤村はスライダーを投げるとき、少しフォームが緩むときがある。
九回に打たれたときもそうだが、そういったときにタイミングがあって大きいのを打たれてしまう。
どれだけ腕が触れるかが課題。」と指摘した。

西村もストライクを難なく取れるときと苦労するときが何登板かおきにやって来る。
もちろん立浪氏が言うように今季は確実にワンステップ上がっているであろうから、
それほど心配する必要はないかもしれない。

だけど ルルルル・・・・・・、
明日はきっと何かあるぅ~、
明日はどっちだぁ~♪


内海、西村につきまとうちょっとした不安感。

2013-04-23 17:47:23 | 2013年シーズン

一昨年、昨シーズンと2年連続で最多勝を獲り、ジャイアンツのエースの座についた内海。
一方の西村は、32セーブ12ホールド防御率1.14という昨年の実績を見込まれ、今季もストッパーの座を勝ち取った。

西村はここまで8Sを挙げ順調だったが、昨日のカープ戦で打たれて負けがついた。
内海はここまで、やや運も手伝っての2勝だ。

何年か前に、内海の立ちあがりの悪さについて何度か書いたことがあった。
最後に書いたのは前回のWBCのあった年だから09年だったと思う。
その翌々年から昨年にかけ最多勝を2年連続で獲得するのだが、
13年の今年は再びWBC開催の年、今回も2大会連続で代表に選出された。

前回のWBC以降のここ2年ほど、内海の立ち上がりの悪さも、
良い部分が先行し勝ち星がついてくるようになったせいか、以前ほど目立たなくなっていた感があった。
ジャイアンツ投手陣の大黒柱として、チーム全体を支える立場にまで成長した。
2年連続の最多勝獲得は名実共にジャイアンツのエースとなった証だろう。
そうして迎えた13年、再びWBCが開催された今季。
ジャイアンツ投手陣を取り巻く状況に、昨年までとは明らかに違った空気が漂っている。
それは、菅野、宮國の存在だ。
この若い二人の、ここまでの安定した投球内容。
とくに菅野はリーグトップ対の3勝負けナシ。
ピッチング内容もルーキーとは思えない投球術で、
さらなる伸びシロの多さすら伺わせる期待感に溢れている。
それは高卒3年目の宮國にも言えるとこだ。
WBCへの選出により、内海、杉内、澤村の表のローテ3本柱が不在だったとはいえ、
この若い二人がきっちり新ローテーションの2枠を堅持。
もうひと枠のホールトンも、オープン戦ではいまひとつの出来だったとはいえ、
開幕にはしっかりと合わせてここまで1完投を含めた3勝、菅野と並んでリーグトップの成績で最高の滑り出しだ。
内海以外の表のローテふたり、杉内、澤村はともにここまで1勝。
杉内は前回の登板でかなり上向きな投球内容ではあったが、澤村はもうひとつ、次の登板に注目したい。

ホールトンの安定した投球内容と、菅野、宮國の勢いが鮮烈であるが故か、
ここまで2勝を挙げているにもかかわらず、内海のピッチングは不安定さばかりがやけに目につく。
それは少し前までの内海について回ったある種の不安感、それが再び現れたのか、
あるいはそれは目立っていなかっただけで常に表裏一体であったかもしれない。
今季の内海は、その裏の部分が常に顔を出す。ここまでの登板にも顕著だに現れている。

21日に登板したマツダスタジアムでのカープとの6回戦は、延長戦の末、西村が打たれて敗戦を喫した。
内海は6回1/3を投げ、5安打3四死球4失点。
初回に3つのフォアボールを出して1点を失い、その後どうにか凌ぐも、7回に連打を許したところで降板。
7日のドラゴンズとの3回戦でも初回から2つのフォアボールを出すが失点には結びつかず。
味方の援護もあって勝ち星を手にするが5回を投げ5安打6四死球4失点、あまりいい出来とはいえなかった。
14日、ドームでのヤクルト三回戦。この日はまずまずのピッチング。
初回に相変わらずフォアボールを1つ出し、2回には死球を与えるも、
それ以降は要所を押さえ7回2安打3四死球失点は0、2勝目を挙げる。

09年のWBC、内海はその後の野球人生に大きな影響を及ぼすかもしれない状況を自ら引き起こす。
それは今回のWBC終了後に放送されたスポーツニュース ”neo sports” の中で、
「内海哲也~人生を変えたワンアウト。」 として紹介された。
自らも振り返るように、バックアップ要員としての選出が色濃かった前回のWBC。
韓国との試合で登板する機会を得た内海だったが、最初のバッターの頭部にデットボールを投じてしまう。
動揺する内海。誰もがここで降板するものだと思っていた。
しかし当時の代表監督だった原辰徳の指示は続投。
このとき原監督は投手コーチにこう懇願していた。
「今後の彼の野球人生が大きく変わってしまうかもしれないから、もうひとりだけ投げさせて欲しい」。
内海は次のバッターを討ち取り、そこで降板。
その後、優勝が決まる最終戦まで登板することはなかったものの、
大舞台での窮地がトラウマにならないよう配慮した原監督による前大会での見事な采配のひとつだったろう。
ただ残念ながらその年のシーズン、内海の成績はあまり奮わなかった。

だからこそ今回のWBCに対する内海の思いは誰よりも強いものだったかもしれない。
それは、まだ代表候補という段階での内海の意欲的な発言や、
自主トレからキャンプにかけての仕上がりの早さからも見て取れた。
しかし今回もWBCは内海にとって厳しいものになった。
予選大会からあまり調子が上がらず、大会途中から中継ぎへ転換、
登板するやフォアボール、ヒット、さらに死球、その後、連打で降板。
結局、リベンジ以前の内容で大会を終えた。

前回のWBCがあったその年の内海と、現在の内海とでは、野球選手としての実績がまるで違う。
ここ2年間の間で名実共にチームの顔に成長した。
しかし、あらたな若い力が台頭し始めた今季。
しかも並大抵の力ではないその若き力を目の当たりにするにつれ、
実はここ数年の内海への信頼感の中には、
実は目をつむってそっぽを向いてきたちょっとした不安感のようなものがあったことを、
このあらたに生まれてきた潮流に勢いがあるがゆえに、ちょっとした不安感が、
今季、またちょくちょく顔をのぞかせていて、少し気になっている。

そして、同じようなことが、西村健太朗にも、少し言える。
西村は入団当初から執筆人が期待して何度も記事にしていた選手だから問題に少し違いはあるが、
西村も昨年大きな実績を積んだとはいえ、やはり内海と似たような不安感が常に同居している。
ただこれまで西村を見てきた中で、今季初めて西村の表情に、闘志、あるいは自信だろうか、
そういった”強い類”のものが表情から見てとれるのだ。
だからといって、西村の中にある、ある種の不安感のようなものが消え去ったかといえば、
そうとも言い切れない。
それはきっと、32Sを挙げた昨年に続き、今季、来季へと、
その実績が積み重なってゆくことでしか消えることはないのだろう。
ただ以前のように、まだ若い、という言葉が通用する年齢ではなくなった。
今季、そして来季、この2年間の内容は、その後の野球人生のすべてを左右する。



澤村の目指す道。

2013-04-20 22:06:55 | 2013年シーズン

「やはり投手はコントロール」
四番手で投げた香月のピッチングを例に、
この日の試合を総括した原監督のコメントである。
もちろんこれは、先発した澤村に向けられた言葉であろうし、
三番手で投げコンロトールが思うように定まらなかった笠原への言葉でもあろう。
この試合の翌日、笠原はファームに落ちた。

3回4安打4失点。試合がまだ3回、前半であったことを考えれば、
澤村には少々、厳しい交代だったかもしれない。
相手が先日から完全に封じ込められている榎田だったということもあるだろう。
3回までジャイアンツは榎田のまえに阿部の死球だけでノーヒットに抑えられていた。

ルーキーイヤーだった一昨年同様、昨シーズンも勝ち数と負け数が同じに終わった澤村だが、
昨年のクライマックスシリーズや日本シリーズで一皮向けたようなピッチングを披露したことで、
当然、今シーズンへの期待は高まり、それがWBCへの選出にも繫がっていったことは間違いない。
澤村のここまで成績は1勝2敗。
この時期に、この成績で評価を下すのはいくらなんでも早すぎる。
しかし、タイガース戦での投球内容を「打たれ方が悪すぎる」と表現した川口投手総合コーチの言葉が象徴するように、
1勝を挙げた4日のDeNA戦も勝ち星がついたとはいえ6回を投げ8安打4失点、
負けがついた試合も含めて今季の澤村は内容がよくない。


1年目以降、澤村には”筋トレ”の文字よくついて回る。
たしかに1年目に比べると、それ以降、
澤村の肉体はユニフォームの上からでも筋肉がかなりムキムキになっているのがわかる。
その熱心さから”筋トレマニア”などと表現されることも多い。
野球選手と筋トレの組み合わせはよく話題に上がる。
野球選手に筋トレは必要か否か賛否両論だ。

筋トレ推進派で近年よく引き合いに出されるのがダルビッシュ。
ダルビッシュに限らず、野球選手が練習で筋トレをしている姿はもはや当たり前のように目にする。
もちろんジャイアンツの長野のように筋トレはしないという選手も多いだろう。
必要以上の筋肉は野球には邪魔、という意見には当然、うなずけるが、もはやスポーツ選手に筋トレは常識にも思える。
結局は多くの専門家が言うように「そのスポーツに合った筋トレ、必要な箇所を鍛える筋トレ」は大切なのだろうが、
やみくもに付けるだけの筋肉はマイナスになることもある、ということなのか。
イチローのそれらしきコメントも何度か目にする。

野球選手に限って言えば、身体を大きくしたことで明らかにケガが多くなった選手はいたし、
不調に陥ったりした選手もいた。
力強さが先行して俊敏さやしなやかさ、身体のキレが薄れてゆく、そういうタイプの選手も少なくない。
もちろん良い部分を削ぎ落とすことなく身体を大きくしている選手もいるだろう。
個人差、適性など、結局のところ、適切な方法とバランスでトレーニングに望みことが最適、という意見に集約される。

アマチュアのころからかなりのスピードボールをもっていた澤村。
これだけ「筋トレと澤村」というイメージが定着してしまい、
さらにいビジュアル的にもそれが明確に見て取れるとなれば、
やはり澤村の求めているものは”剛(ごう)”一直線なのだろうか、と決めつけたくもなるだろう。
今以上に力強いボールを投げることへのこだわりも理解できるが、
監督が発した”抑え候補”を拒否し、自ら先発にこだわったのであれば、
力強さも然ることながら、”球種の質を上げる”という精度の向上に重点を置いたほうが、
現状の澤村にはいいように思える。
もともと力強いスピードボールを持っているのだから。

と、ここまで書いてみるのだが、例えば澤村に、
菅野や宮國と同じようなピッチングを求めるのも、少し違う気もする。
例えば藤川球児のようなキレキレでノビのあるストレートとフォークボールがあったり、
野茂のような重量感のあるスピードボールとフォークボールがあったり、
2種類の球種だけで勝負できるくらいまで澤村も昇りきることができるのであれば、それはそれで充分だろう。
今のスタイルでそこに行き着けるかどうかは何次第なのか、あるいはそういうことではないか。
今の澤村は、とても難しい。

なにはともあれ、原監督の、「投手はコントロール」という指摘は、
その日登板したピッチャーの投球内容にそのまま反映されている。

澤村3回4安打1四死球4失点。
小山2回4安打1四死球1失点。
笠原2回4安打3四死球3失点。
香月2回無安打1四死球無失点。

一番、スピードの出てない香月だったが、一番、コントロールが良かった。



ここぞの場面でキメ球を投げきれる、宮國、菅野の底力。

2013-04-17 22:15:08 | 2013年シーズン

先日、2勝目を挙げた菅野もそうだが、今季初勝利を飾った宮國にも、
ここぞというところで踏ん張りのきく底力のようなものがある。
その底力とは一体、何か。
底力の根幹になるものは、何だろう。
それは緻密なコントロールであったり、火の出るような剛速球であったり、
目もくらむような変化球であったり、あるいは精神力の強さであったりもするだろうし、
例えばいい投手に共通している、伝家の宝刀、決め球を持っているかどうか、これも必須だろう。

菅野には解説者が口をそろえて言う繊細なコントロールと豊富で質の高い変化球、
そして何よりも力強いストレートがある。
アマチュア時代に投げていた150キロ後半の速球はまだプロに入ってからは投げていないが、
ここぞというところで投げる140キロ後半のストレートにはかなりの重量感がある。
出そうと思えば150キロ台はいつでも出せるという余力すら漂う。

本人がプロに入ってからよく口にする、
「150キロ出すよりゲームの中で常に140キロ中盤から後半の球速を保ちたい」という言葉をそのまま受け取れば、
スピードはペース配分を意識したうえでの抑制なのかと期待を寄せてしまう。
例えばアマチュア時代の触れ込みで”150キロ投手”として入団しても、
その後、そこまでの球速を計測することのない投手はいくらでもいる。
実際、一度でも計測されさえすれば”百何十キロ投手”とした代名詞はついてくる。
ただ菅野の場合は、アマチュア時代に安定して150キロ台の速球を投げていた実績があるから、
一度計測したことがある程度のレベルではないことは実証されている。
仮に、そのときほどの球速は今はもう出ないということであったにしても、
今季デビューしてからの彼のストレートを見れば、それでも評価は十分いついてくる。

菅野と同じ背番号19を背負ったタイガースのルーキー藤浪も先日今季初勝利を挙げた。
150キロを越すキレのある速球と大きく曲がる変化球は威力十分だが、
なによりも高卒ルーキーというところに彼の大きな魅力がある。
そんな藤浪のコントロールに対し、ノムさん(野村克也氏)が夜のスポーツニュースでこんなコメントをしていた。
いい投手の条件はバッターのアウトコース低めにボールがキメられるかどうか。
いい投手は必ずそこに投げることが出来るとしたうえで、これまでの投球を見る限り藤浪にはそれがないと指摘。
ただそうはいっても高卒ルーキーとしてはかなりのレベルとの評価に変わりはない。
彼のポテンシャルからすれば克服するのも時間の問題だろう。


一方、菅野の投球を解説した江川卓氏は、「まだ投げられた」とスタミナについてコメントする菅野に対し、
ゲームの後半に差し掛かる場面で”自分では気づいていない”球威の落ちているイニングがあると指摘、
それをどう切り抜けるか興味があると対応力に注目。
菅野はすべてのゲームで後半に一度ピンチを迎えるも、これを見事に切り抜けた。
それは野村氏がいい投手の条件としてあげた投球そのものだった。
力のあるストレートやキレのある変化球を絶妙なコントロールで外角低めギリギリに投げきり、後続を断った。


タイガース戦、3回まででヒット3本4死四球の2失点だった宮國。
立ち上がりから前半にかけ、なかなかテンポ良く投げられないゲームが開幕から続いていたが、
この試合、味方が逆転してくれたあとの4回からはスイッチが入ったように投球にテンポが出て、
コントロールしきれていなかったストレートもいいところに決まりだした。
落差の大きい緩い変化球で低めいっぱいをつき、気がつけば4回以降は無安打無四球、
8回を投げきり初勝利をものにした。
解説の堀内氏はこの切り替わりの早さを若い投手ならではの柔軟性と分析したが、
まさにどこかのタイミングでスイッチが切り替わったかのように、投球にリズムが加わった。
その投球のリズムがストレートにも変化球にも乗り移り、ボールに勢いが増した。
そのタイミングは3回裏に飛び出した阿部の逆転スリーランだったかもしれないし、
その前の、3回2死一、二塁のピンチのときマウンドにきてかけてくれた阿部の言葉だったかもしれない。
「ランナーが出てもバタバタするなよ。調子が悪い日は工夫して投げろ。大胆に攻めろ」。
あるいは、4回のマウンドで宮国自らが阿部に伝えた要求が意識を大きく変えたかもしれない。
「ど真ん中に構えてください」思い切り腕を振るために、コース関係なく投げ込もうと自分の考えを伝えた。
その後、阿部が真ん中に構えたミットをめがけ、直球で押した。最速147キロの力のある直球で相手をねじ伏せた。
高めに浮いていた変化球も低めに決まりだした。
「コース、コースに投げようと意識しすぎて、遠慮しながら投げていた」。
思い切り腕を振ることが、宮國の武器を最大限に活かせる底力になった。

投げる間合いやセットポジションでの首の角度にまでその都度変化をつけて打者やランナーを幻惑する菅野。
テンポよく、リズムよく、腕を振ることで投球に更に幅が増す宮國。
そんな持ち味の中で自分のキメ球を最大限に活かす若い両投手。

キメ球の多い菅野だが、ワンシーム、ツーシームと、
小さい変化の球をコーナーギリギリに投げ込むコントロールは何よりの武器だろう。
それに加え力のあるストレートがここぞというときに控えている。
実際、何度か目にしたピンチの場面、やや強引ともとれるような力のこもったストレートでピンチを凌いで見せた。
それもこれもいいコースに投げきることの出来るコントロールがあってこその力技といえよう。

タイガース戦で見せた中盤からの宮國のピッチングも、キメ球がコントロールよく決まった。
崩れかけても、ここぞの場面で投げきれるストレート、あるいはコーナーいっぱいに投げ込める得意の緩いカーブ。
ギリギリのところでも踏ん張りきれる、その腕の振りこそが宮國の底力だろう。



ファーム便り~振れている橋本到、心配な小笠原。楽しみな左腕・公文克彦。

2013-04-12 02:30:02 | ファーム
1
0日と11日のファームの試合、対ベイスターズ戦をVTRで観戦した。
スタメンには藤村、中井、橋本ら若手にまじって、古城、谷、DHには小笠原も名を連ね、
一方のベイスターズも森本稀哲、多村、後藤、小池と1軍での実績が充分な選手が顔をそろえた。

10日の試合は5対3でリードを許していたジャイアンツが7回裏に中井のスリーランなどで一挙に5点を返し逆転。
そのまま8対5でジャイアンツが勝利した。

~今村信貴~
そんな中、散々な出来だったのが先発の今村だ。
オープン戦で見せた制球力の良かった姿からは程遠く、
ストレートにまったくキレがなかった。
その分変化球も活きず、さらにコントロールはあまい。
5回を投げ7安打3四球5失点。
打ちごろのボールが多かったように見えたが、
完全に捕まっていっきに大量点という最悪のケースは免れた。
得意の緩い変化球でどうにかギリギリ要所は締めることができた。
解説の吉村氏も指摘していたように、やはり課題はストレートだろうか。
ストレートのスピードとキレ、コントロール、ここに力が及ばないとせっかくの緩い変化球が活きない。

~小笠原道大~
やはり、小笠原のスイングに力強さが感じられない。
そんな状態だからだろうか、少し身体が小さくなったようにさえ見えてしまう。
どうしても、”衰え”では納得がいかない、やはり、なにかそれとは違う”何か”があるとしか思えない。
”不調”とか”衰え”とか、逆にそうであってくれるのなら、
それはそれでファンは応援するだけだから小笠原の復調を信じて待つだけなのだが、
どうも、心配である。

~藤村大介~
脇谷の復帰と活躍、安定した寺内の存在感で、完全に影に隠れてしまった藤村。
キャンプ、紅白戦からオープン戦と、課題を持って取り組んでいる姿勢を映像やスポーツ紙などで見るにつけ、
一生懸命まじめに練習に励む姿には好感も持てるし期待もするのだが、何だろうか、
確実性か、あるいは荒々しさか、以前にも書いたことだあるけれど、
小柄な選手でも活躍する選手はすばしっこいだけでない力強さを備えている。
具体的に何処をどうとはいえないが、もう少し攻守に力強さが必要ではないか。
スポーツ選手としての力強さ、野球選手としての力強さ、
そういった部分にもう少し目を向けてみたらどうだろうか。
レギュラーをつかんだ脇谷に緻密さは感じられないし、少し大雑把な印象すらある。
それでも藤村や寺内にない力強さがある。

ファームの試合で2打席とも初球に手を出して内野ゴロに倒れた場面があった。
2打席目のセカンドゴロはランナーの進塁を意識した打ち方で、
けっして悪いことではないがと吉村氏は一定の評価をしながらも、やや含みを残した。

藤村にしても、今1軍にいる大田にしても、ちょっと気になるのは、
初球のそのファーストストライクが難しい球であろうがお構いなしに振りに行くケースが目につくのだ。
もう少しじっくりと、打てる球あまい球を待つ姿勢というのも必要ではないか。
自分の役割に徹するのはある意味大事なことである。
しかしもう少しドッシリとボールを迎え撃つ体勢があってもいい。
翌日の試合でもある打席の中で、
ワンストライクのあと真ん中に入ってきた緩いカーブをセイフティの構えだけをして見逃し、
ツーストライクと追い込まれたあとの難しいボールを引っ掛けて内野ゴロという場面があった。
藤村の場合そういう打ち取られ方をするケースが目立つ。
ピッチャーを揺さぶるという一見、攻撃的な姿勢も、結果的に自分が追い込まれていては意味がない。
そういった面で対照的なバッティングをしているのが橋本到だ。

~橋本到~
ホームランを放った中井もさることながら、このゲームで一番目立っていたのが橋本だった。
開幕後も1軍に帯同、先発投手などの入れ替えでファームに落ちはしたが、
短い期間とはいえオープン戦では明らかに大田より結果を残した。
守備、走塁では十分1軍の戦力にもなる。
大田が残って橋本が落ちるというのもチームの編成上の都合だろうから致し方ナシか。
由伸が抹消されたとはいっても今の1軍外野陣に入り込むのは余程の状態でなければ至難の業。
ただ、間違いなく、ファームではアタマひとつ抜きん出ているバッティング技術。藤村とは対照的に、
打てる球を確実に捕え、振りぬいて、強い打球を打つ。
だからゴロになっても内野の間を抜けてヒットになる。
選球眼もいいから打ち急がない。
やや子供体型なのが頼りなげで損をしている気もするが、
出続けることが出来ればきっと結果を残すはずで、彼は野球センスに溢れている。
坂本をそうしたように、使い続ければきっと大成する。
足も速く、守備力もあり、肩も強い。
先日から何度か書いていた小柄な選手のウイークポイントを、
実はジャイアンツでは橋本到が一番クリアしているのではないか。
今、この年齢のこの状態のときに上に上げられないのが非常にもったいない。

彼が1年目か2年目のときにこのブログで書いたが、本格的にセカンドの練習に取り組むべきではないか。
一昨年のオフだったか、何箇所か守れれば出場機会も増えるという名目で、
セカンドの守備練習をしているという記事を目にした記憶があるが、
そのあと立ち消えてしまっているのだろうか。内野の守備はダメなのか。
今の藤村のおぼつかない守備を考えれば競わせても面白い気がする。

~公文克彦~
11日のファームの試合で最終回に投げた左のルーキー公文が、非常にいい。
ストレートが速く、キレていた。コントロールもいい。
上づえはないのだが、ピュッと糸を引くようなノビのあるストレートを投げ込んでいた。
解説の宮本氏も大絶賛。
課題は変化球だろうか。
ストレートだけだったら今調子を落としている高木京よりいいかもしれない。
先日、高木康が肩の違和感で登録抹消され小山が1軍登録されたが、
もう一枚左となれば彼も有力な候補になるだろう。
とても楽しみなピッチャーだ。
今シーズン中には一度は1軍で見られるかもしれない。


ロペスとボーカー、いい位置での存在感。

2013-04-11 03:32:55 | 2013年シーズン
ロペスとボーカー、もしくはボーカーとロペス。どちらでもいいが、
この二人の外国人助っ人を並べた打順が、妙に打線に一体感を生んでいていい。

それが下位打線だから、尚いい。
しかもそこそこの結果を出しているから、よりいい。

ボーカーは昨年のポストシーズンの活躍が活きているのか、あるいは昨年手こずった日本の野球に慣れてきているのか、実力が出せ始めているのか、なによりロペスの存在が功を奏しているようにも感じられる。
まじめな性格で真剣に練習に取り組む姿勢もいい。それはロペスも同様だ。
外国人助っ人によく見られる、打って守って投げてりゃいいだろ的な雑さがあまりない。
ここまでふたりともそこそこのアベレージできているから気分的にも落ち着いて野球に取り組めているだろう。出たり出なかったりではなく、きっちりスタメンで出続けているのもいいのかもしれない。試合に集中している様が見て取れる。

例えば昨夜のタイガース戦でライト線に放ったヒットでボーカーは2塁を獲りに行った。福留の好守と好返球に阻まれたがまそこは暴走ではなく積極的走塁と言っていいだろう。たしかにあの場面、アウトになったのは痛かったが、あの時のボーカーの走塁には”次の塁を獲る”という迷いのない意思が感じられた。アウトになってしまったら元も子もないが、そんな積極性は次のロペスにも波及する。

ボーカーアウトのあと、センター前ヒットで塁に出たロペスは、リードでしきりにピッチャーをけん制し、ピッチャーに何度も牽制球を投げさせた。しきりにランナーを気にするスタンリッジに対し解説の矢野氏が「おそらく走ることはないだろうからあとはバッターに集中したほうがいい」と指摘。すると次の投球でワンバウンドしたボールをキャッチャーの藤井が前へ落としたのを見て、ややディレート気味にリードしていたロペスは躊躇することなく2塁を陥れた。
このプレイにもうひとりの解説者・金本氏(ご存知アニキ)は「プレイに集中していないと走れるケースではない。隙あらばという準備が出来ていたからこそ走れたロペスのファインプレイ」と賞賛。点には繫がらなかったものの、停滞していたジャイアンツ打線に流れをつくった両外国人選手のアグレッシブなプレイだった。

ベイスターズのラミレスやブランコ、タイガースのマートンらのようにタイトルを獲るような大きな存在にならなくても、この存在感を貫き通してくれれば、今のジャイアンツ打線にあってはこの上ない存在になるだろう。

宮國、勝てる投手への試練。

2013-04-10 03:10:18 | 2013年シーズン

5日のドラゴンズ戦の登板が回避されたとき、
一瞬、ドキッとした。
まさかケガか!?

その後、スポーツ紙で、雨天中止に伴うローテの再編によるものだと知り、胸をなでおろした。
ただ、登板が9日のタイガース戦、中10日ということで、やや空き過ぎではと若干の心配はあった。
いずれにしても7回を投げて6安打2失点。
「少し課題を残したが、いい投球をした」と原監督の言うように宮國のピッチングはまずまずではなかったか。

ただ、いくらWBCの影響があったとはいえ、開幕投手を務めた以上、
今季のローテーション1番手、扱いはエースとなんら変わりない。
対戦相手もエース級とぶつかることが多くなる。
昨夜の能見がいい例であり、いくら好調打線といえども、
いい投手がいい投球をすればそうは点も入らない。
そうなったときにどれだけ相手の好投手と張り合えるか。
味方打線が相手投手を捕らえるまで自分が抑えきれるかがエースの役目である。

かつての上原がそうであったように、斉藤雅樹がそうであったように、
相手がどのチームのエースであっても負けないピッチングでチームを勝利に導くのがエースの役割である。


開幕戦も、昨夜のタイガース戦も、
崩れることなくしっかり試合をつくっているあたりは責任を果たしたと言っていいだろうが、
宮國への期待がその程度でないことは言うまでもない。
あまく入ったところを捕らえられる、高めに浮いたところをもっていかれる、
これらをいかに抑えて相手の投手と渡り合えるか。
6勝を挙げた昨年とは比べ物にならないくらい困難な立場での戦いだ。

負け試合にしない安定感は昨年からここまでの投球で実証済み。
”負けない”から”勝つ”へ。
今季は、エースとして、勝てる投手への試練のシーズンになる。




ラミレス2000本安打~”We Are One ゲッツ!”(ひとりじゃない みんなで一つになろう)

2013-04-08 18:34:04 | 2013年シーズン
DeNAのラミレスが外国人初の2000本安打を達成した。
1695試合での到達は、川上哲治氏の1646試合目に次ぐ史上2位のスピード記録だ。
2001年にヤクルト入団、7年目の2007年に1000本安打を達成し、その2年後、移籍したジャイアンツでは1500安打を達成した。
これはプロ野球史上最速の記録となった。

ちなみに歴代の2000本安打スピード記録は、 1位 川上哲治(巨人)1646試合、2位 ラミレス(DeNA)1695試合、3位 長嶋茂雄(巨人)1708試合、4位 張本勲(東映)1733試合、5位 小笠原道大(巨人)1736試合。
以下、 若松勉(ヤクルト)1757試合、福本豊(阪急) 1790試合、榎本喜八(東京)1830試合、谷沢健一(中日)1835試合、石井琢朗(横浜)1839試合、落合博満(巨人)1849試合、立浪和義(中日)1874試合 2480安打、藤田平(阪神)1875試合、野村謙二郎(広島)1880試合、古田敦也(ヤクルト)1884試合、前田智徳(広島)1895試合。
昨年2000本安打を達成したファイターズ・稲葉は1976試合、ソフトバンク・小久保が1997試合だった。

この結果を見てもラミレスの記録がいかに偉業かと云うことがわかる。さらに小笠原の5番目のスピードにも目を見張る。このブログで何度も書いていることだが、原監督が言うように、ラミレスと小笠原の存在は近年のジャイアンツの中にあってやはり特別だ。

2000本安打を達成した夜のスポーツニュースに出演したラミレスの発言で印象に残った発言があった。
日本に来日し、異文化に戸惑いながらも、外国人が日本で成功するために理解すべきことが3つあることを知った。1つは「しょうがない」。2つ目は「はい、わかりました」。3つ目が「がんばります」。
この言葉の意味を理解し受け入れることが日本の野球に適応する大事な要素だと言う。
よく、日本の文化、習慣、あるいはモノの考え方を独特、などと云う。もちろんこれは外国から見て、という意味でである。それがどこまで独特なのか、本当のところはよく判らないが、たしかに、”個”と”輪”のどちらに重きを置いているかで「はい、わかりました」や「がんばります」の持つ言葉の”ふくみ”は違ってくるだろうから、日本のように同じ言葉の中にもいくつもの意味を含ませている言語、あるいは言葉に重きを置く風習は他国と比べると少々独特なのかもしれない。いわゆる”言霊”文化の国、ならではの発想ということだろう。

なかでも「しょうがない」にとても興味を持った。
「しょうがない」は本来「仕様がない」で、「手段や方法さえない」という意味。のちに、手段がないから諦めの言葉として使われるようになったらしい。これも普段、常用語として頻繁に会話の中で使われる言葉だが、何処でどう使うかによって、そのつど、微妙に意味合いが変わってくる。言い換えれば、この一つの言葉で多くの状況に決着をつけているといことだ。日本語にはそいう言葉が多いだろうか。とすると、外国人から見ると、その言葉一つであらゆる場面(いくつかの場面)を回避する日本人は、やはり曖昧でわかりづらい、ということになるのだろう。
ラミレスがどう「しょうがない」を理解したのか、テレビの短いインタビューなのでそこまで詳しくは語られていないが、日本で成功し、日本を愛し、将来、日本に帰化しようと考えている外国人の発言として、とても興味深かった。

将来は日本人として、日本プロ野球の監督に就きたいと抱負を語るアレックス・ラミレス。
2000本安打を記念し、東北に2000本の桜の樹を植樹する計画を披露した。
東北の震災以降、彼がヒーローインタビューで口にする ”We Are One ゲッツ!”(ひとりじゃない みんなで一つになろう)。
われわれ日本人は、彼のこのメッセージを、外国人スポーツ選手のただの歓喜のパフォーマンスだけで聞き逃してはいけない。

まだまだ現役に意欲を見せる彼だが、この後の現役生活においても、あるいは引退してからも、DeNAはもとより、読売、ヤクルト、あるいはNPBも含め、彼を本当に大切に扱って欲しい。

崩れても崩れ落ちない、菅野の精神的なスタミナ。

2013-04-07 22:27:23 | 2013年シーズン

投手はコントロールが大事だということをあらためて実感した。
どんなに速い直球が投げられてもコントロールできなければ意味がないし、
たくさんの変化球を投げられても操れなければ効果はない。
快速球を引っさげて鳴り物でプロの世界にはいっても、日の目を見ずに消えてゆく投手は数多い。

菅野がプロ初勝利を挙げたドラゴンズ戦。
内、外、高低差をうまく使って5回までを2安打無失点に抑えていた菅野だったが、
6回、先頭の大島にセンター前ヒットを浴びると、
突然球威が落ちことに気づいた解説の江川氏が「球威が急に落ちてコントロールミスが起こりやすくなっている。
カーブが高めに入るとホームランが出やすい」と菅野のスタミナがやや落ちてきている状況を指摘。
すると代打のクラークにヒットを浴び、次の打者のルナに高めに浮いたカーブをレフトスタンドまで持っていかれた。
それまでになかったような高めに浮いたカーブは、明らかな失投、コントロールミスだった。

しかし後続の打者は内野ゴロと内野フライに打ち取り、
どうにか残りの力でねじ伏せた。
勝利投手の権利を持ってその回で降板かと思われたが、
菅野は続投。7回からまたスイッチが入りなおしたように球威も回復した。
江川氏はこの菅野の6回の球威の落ち具合を肩のスタミナ切れによるものか、
あるいは完投を意識したペース配分で、
やや抜いたところをドラゴンズ打線につけ込まれたのかは判断が出来ないとしながらも、
1試合をどういった意識で組み立てているか非常に興味があると菅野の投球術に目を見張った。

8回を投げきり6安打4失点、大きく崩れることなく挙げた初勝利は、
前回のプロ初登板とあわせて上々のスタートを切ったといえる。
試合後の原監督のコメント「まだまだ伸びる要素はたくさんある」も加味すれば、
やはりこれから彼がジャイアンツのエースになってゆくことは間違いない、
そんな片鱗を充分に感じることが出来た。

捕まってもズルズルとのまれることなく修正する力。
崩れても崩れ落ちない、そんな精神面も含めたトータルでのスタミナを見せつけた。

ストレート、変化球の細かなコントロールが出来る上に、菅野には快速球もある。
プロに入ってからはアマチュア時代の157キロは見られない。
自身のコメントで「150キロにこだわるより、140後半から中盤を常に出せるようにしたい」と、
長いイニングを意識した投球へのこだわりを口にしている。しかし、初勝利の試合では最速149キロを計測し、
スイッチが再び入った7回は力のこもった直球で打者を詰まらせた。
8回には147キロを出すなど「まだ投げられました」とスタミナ面での自信も覗かせた。

投手にとって緻密なコントロールは大きな武器といえる。
多彩な変化球をコントロール良くコースに投げ分けるテクニックと150キロを超える快速球を秘めた菅野。
それらに磨きがかかれば原監督の言う「伸びシロ」の埋まる日もそう遠くはない。


ひと試合ごとに信頼を生む菅野のピッチング。

2013-04-03 02:32:02 | 2013年シーズン

カープとの開幕カード第2戦目。
注目のルーキー菅野の初陣は、
勝ち星こそつかなかったものの、
実力通りのピッチングを披露。
7回途中までを投げて1失点の、
上々のデビューだった。


危なげない堂々たるピッチングだった。
紅白戦、オープン戦と投げてきた中で、
この日の投球がそれらに比べ格段良かったわけでもないだろう。
それでも最速147キロの速球は十分に威力があり、変化球のキレもまずまずだった。
今後、もっと凄いピッチングを見せてくれるだろ。
あるいは、この日より調子の悪い登板があっても、
それなりにどうにかゲームを作ってしのいでくれるだろう。
菅野はそうやって、これから先ひとつひとつ信頼を築いてチームのエースへと成長してゆくに違いない。


スポーツニュースでこの日の菅野のピッチングを工藤公康氏がこんなふうに解説していた。
菅野の投球フォームは独特で、左足を上げてから踏み込む瞬間、
打者から見ると菅野のボールを持った右手は身体の後ろに隠れ、
その後、そこから腕を振り下ろすまでのスピードが普通の投手よりかなり速い。
そのため打者はタイミングを狂わされ、
スピードボールにより振り遅れてバットに当たってもなかなかボールを前へ飛ばすことができない。
カープとのオープン戦で、同じようなことを解説席に座ったカープの元ピッチングコーチ清川氏が述べている。
打者は通常、投手が投げた球を捉えるポイントとして、
向かってくるボールに対し身体よりやや前のほうでボールを捉えようとスイングするが、
この日のカープの打者のほとんどはボールが身体の中に入ったあたりでバットとボールのインパクトを迎えていた。
これは菅野のボールが打者の手元で伸びていた証拠で、ほとんどの打者はボールに差し込まれている。
打者の思っている以上にボールが手元で伸びるため振り遅れてしまう。
「菅野は打者の身体の中で打ち取っている」清川氏は菅野のピッチングをそう評価した。

勝ち負け問わず、一試合ごとに信頼感が生まれてゆく、そんな器の大きさを予感させる。