規定打席に達していなかったとはいえ、
亀井が3割3分、2分あたりをキープしてくれていたおかげで、
どうにかジャイアンツ打線も見栄えが保てていたのだ。
ところが、昨日の試合で亀井は前田健太の前に3打席凡退。
ついに3割を切ってしまった。
あくまでも、規定打席に達していない亀井の話だが、
これはこれで切ない。
と、思いきや、いるではないか! 3割打者。
おぉぉ、アンダーソン! アンダーソン!
アンダーソンが戻ってきてくれてたのだ。
そしていきなりヒット打ってくれたのか。
頼もしい男が戻ってきた。
内野(ファースト)、外野(レフト)、そして左の代打の切り札にもなる。
こうして改めてジャイアンツ打線の控えの選手を眺めてみると、
8月の後半に高橋由伸が抹消になり、
9月の2カード目の途中で原監督が ”最後の砦” と表現した隠善も抹消されている。
隠善の抹消は亀井が戻ったことも関係しているだろう。
しかしこの隠善の抹消によって、
一軍ベンチの中で左の代打の切り札になりうる選手がひとりもいなくなってしまった。
先週のタイガース戦からベイスターズ戦にかけての6連戦は、
ここぞで送り出せる左の代打がいない状態で戦っていたのだ。
ここに、今季の、原監督の腹の括り具合が感じられる。
ベンチで控えているのは、鈴木尚広、矢野、大田、井端、寺内、小林誠司、加藤健、
ほぼこのメンバーである。
鈴木尚広が左打席に立てる以外は、すべて右打者。
このメンバーで、現在、切り札になっているのは井端、矢野、
さらに小林がマスクをかぶったときに阿部がファーストに入ればロペスがベンチに下がるので、
そのときはロペスもカードになる。ただ、ロペスも勿論、右打者だ。
ここぞの場面での勝負強さがあれば、左打者にこだわらず、そういうことだろうか。
そう考えると、やはり井端の存在は大きい。
そして、代打の切り札のように登場する、代走・鈴木尚広という ”とっておき” 。
この二人の存在なくして打てる手ではない。
今は、このふたつの切り札に賭ける。
そう腹を括る。
もっとも、代打の切り札となるような左の野手がいないのも事実。
そんな中、戻ってきたアンダーソン。
俄然、ベンチのバランスが良くなった。
これでヨシノブも慌てることなく調整できる。
順調にリーグ優勝にたどり着けば、CSファイナルステージまではまだ一ヶ月の期間がある。
そうなれば、最終決戦はひとまず、ベストの布陣で臨むことが出来る。
戻ってきたといえば、もうひとり、久しぶりに一軍復帰を果たした男がいる。
高木京介だ。
故障などで6月から2軍で調整していた高木京介が3ヶ月ぶりに一軍に上がった。
今季は出だしからあまりいい状態ではなかったが、
一昨日のベイスターズ戦では江柄子からマウンドを引き継ぎ、
3回を投げて無安打無失点の好投。
緩急自在のピッチングはルーキーイヤーの一昨年の思い起こさせる内容で、
とくにスローカーブがいいところに決まっていた。
8月半ばにイースタンリーグで2ヶ月ぶりの復帰を果たし、
一軍に上がるまで8試合に登板。6回2/3を投げて被安打5の5失点。5奪三振2四球2死球。
打たれたのはひと試合だけ。あとはほぼ安定した内容。
一昨日は4回二死からマウンドに上がり、7回の途中で久保にマウンドを譲った。
ファームでも長いイニングを投げていなかった高木京だったが、
思いのほか内容が良かったことに原監督も面食らったのだろう、
試合後のコメントで川口投手総合コーチは「予想外に良くて、監督が引っ張ったね」と、
うれしい誤算だったことを明かしている。
江柄子もランナーを背負いながらも飄々と投げ続け、
コツコツ経験を積んでいってる感じが頼もしい。
カープとの天王山は、1戦目、前田健太の前に手も足も出なかった。
ジャイアンツ戦で投げているここ何カードかの中では、いちばんの投球だったのではないか。
大詰めにきてのこのピッチングは流石、前田健太。
カープは今回のこのカード、前回の3連敗を晴らす戦いにしなければいけないから、
このあと一つ獲るだけでは物足りない。
カープが3連勝してゲーム差2になると、かなりスリリングになって面白い。
昨日の試合で特筆すべきワンプレイは久保のフィールディング。
7回裏、先頭の石原がヒットで出て、無死一塁。
バッター・前田健太の送りバントはピッチャー前の微妙な当たりだった。
しかし、投球と同時に猛ダッシュの久保は躊躇することなく二塁へ送球。
その動作は、まるでマウンドから一塁へ牽制球を投げているような素早さ。
捕球と同時に身体を素早く回転させ、矢のような送球で二塁をホースアウト。
そのまま余裕でダブルプレイを完成させた。
あんなフィールディングが出来る投手、そうはいないだろう。