ブログ、巨人軍。

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見せた井端、見ていた長野。

2014-09-07 23:43:57 | 2014年シーズン

井端が打たせたホームランー
実況席で解説の谷沢健一さんは繰り返しそう言った。

井端のタイムリーヒット。長野の逆転満塁ホームラン。
神宮2日目は、5対2で勝利したジャイアンツが前夜の完封負けの屈辱を晴らした。


スワローズ・石山を打ちあぐね、ランナーが出ても繫がる気配がまったくなかったジャイアンツ打線。
尻上がりに球がキレてきたと、解説の谷沢健一さんと金村義明さんは口を揃えた。

中盤までまったく手が出ず、後半のワンチャンスで打ち崩すという展開は、
前回、石山と対戦した7月15日の東京ドームでのヤクルト戦とよく似ている。
小山、石山で始まった7月15日の対ヤクルト12回戦は、8回表が終わった段階で3対0、
スワローズ3点リードで8回裏のジャイアンツの攻撃を迎えた。
それまで僅か2安打に抑え込まれていたジャイアンツ打線だったが、
一死からフォアボールとデッドボールでチャンスをつくると打線が繫がり一気に同点に追いついた。
試合はその後、延長戦にもつれ込み、12回裏、
橋本のライト前ヒットでジャイアンツがサヨナラ勝ちを収める。

昨日のジャイアンツも6回の攻撃が終わった時点で5安打無失点。
ランナーを出してもその後がなかなか続かずに、2対0でスワローズにリードを許す展開だった。
前回の石山も一死から四球などが絡んで失点を重ねたが、
この日も一死から村田、片岡に連打を浴びると、次の小林を四球で歩かせた。
外一辺倒の攻めを、最後、小林は完全に見切っていた。

一死満塁。ここで代打の井端は2-2からのインコース・ストレートをセンター前へはじき返した。
身体を少し開き気味にしておっつけた強い当たりは、狙い澄ましたようなピッチャー返し。
「冷静に見極めて、打つべき球を打てた」。
そう振り返った井端。
一塁ベース上での険しい表情に集中力の極みを見た。

井端との6球の勝負で、石山は完全に自分のテンポを失った。
井端との勝負のテンポのままで、次の長野を迎え、その流れのままで1球目を投じた。
そのテンポを掴みきっていた長野が、一発でストレートを捉えた。

長野の、一瞬で決まったこの勝負には、井端による、6球の死闘からの繫がりを感じざるを得ない。
”打線の繫がり” という表現をよくするが、 ”繫がる” の意味の深さを、まざまざと見せられた気がした。
集中力、タイミング、スイング…、井端の打席内で起きていた多くが、そのまま長野の打撃に繫がって見えた。

解説の谷沢さんは、井端の粘りが長野に初球のストレートを狙わせたと興奮気味に話す。
「勝負の中でタイミングを計っていった井端を、長野はネクストでじっくり見る事が出来た。
井端のこの粘りで、長野は少しずつタイミングを合わせていけた」。
一発で仕留めた長野を賞賛しながらも、この井端の粘りからの流れに、谷沢さんは感嘆しきりだった。


1イニング必殺のゲームが、今週これで3試合目となった。
なかなかチャンスがつくれない中にあって、ワンチャンスをものにする集中力も、
今季、ジャイアンツの勝利の法則のひとつ。
さほど数のない法則のひとつひとつは、すべて、ギリギリの戦法ばかり。
その重圧につぶれない強さが、チームとしての経験値だろうか。