ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
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タイガースの守備を前へ前へと誘い出したジャイアンツのプレッシャー。

2014-09-10 23:47:48 | 2014年シーズン

タイガースの焦りばかりが目につく試合になってしまった。
エース・メッセンジャーを立てた絶対に落としたくない初戦。
その出端を挫くかのように、初回から坂本が2ラン本塁打を放った。
これが、タイガースに強い焦燥感を与えた。

その坂本からはじまった4回の集中打も、結局は1回に2点先制されているというタイガースの焦りに繫がって見える。
2打席連続で打たれたことに、多少の高ぶりがあったのか、メッセンジャーは次の阿部を四球で歩かせると、
亀井にもストライクが入らず、3ボールからストライクをとりいった外角高めのストレートをしっかり叩かれた。
けっしていい当たりではなかったが、これが三遊間を抜けていく。
無死満塁となったところでタイガースベンチは内野手に前進守備の指示を出した。
これ以上、追加点を与えたくないというベンチの思いは当然だろう。

外野手はバッターが村田修一ということで、この時点でさほど前には出ていなかった。
カメラが捉えた映像では、ほぼ定位置に見えた。
ランナーを還すことだけを考えてセンターから逆方向を意識していたと語った村田。
狙いどおり、放った打球はやや詰まり気味のライナーでセンターの前へ落ちる。
これがタイムリーとなり、1点が入った。
なお満塁。
次のロペスの当たりも会心の当たりではないゴロが前進守備の三遊間を抜けていった。
これで二人が生還してさらに2点追加。

続く片岡もコンパクトに振りぬき、強い当たりが三遊間を抜けた。
また満塁。
コンパクトな振りでコツコツと点数を重ねられてゆくジャイアンツ。
アウトカウントがないまま単打で繫がる打線をなんとか食い止めたいタイガース。
ここでベンチは先発のメッセンジャーをあきらめて二番手の金田をマウンドへ送る。

バッター杉内になって外野もさらに前へ出てきた。
ここで解説の(CS放送)有田修三氏は 「コツンと当てられてまた内野の間を抜かれないように、
あまり内野手も前進しすぎると危険。
4-3のダブルプレイでアウトカウントを2つ獲ることも視野に入れた守りを考えたほうがいい」 と、
徹底して前進守備を敷くタイガースの内野の守備体型を気にする発言。

三振かホームゲッツーを狙いたいタイガースバッテリーだったろうが、
杉内の打球は高いバウンドのセカンドゴロ。
ホームは間に合わないと素早く判断したセカンド上本はファーストへ送球し1つアウトを獲った。
しかしセカンドに投げていても間に合っていたような微妙なタイミング。
上本が捕球したときファーストからセカンドに走る片岡は、まだ一二塁間の真ん中辺りいた。
しかもバッターランナーは杉内。

ところが極端に前進守備を敷いている為、ショートの鳥谷もかなり前に出ていてセカンドベースからは遠い位置にいた。
ゴロを捕球した際、上本には鳥谷の位置が視界に入っていただろう。
ホーム・ホースプレイを狙って前進守備を敷いている以上は仕方のないプレイだが、
タイガースは勝負の綾がうまく噛み合わない。

これでジャイアンツはこの回4点目。
6対0となってさらに一死二三塁。
バッターボックスには長野が入る。
タイガースベンチは変わらず外野の守備を前進させたまま。
全体は見えなかったが、少なくともレフトのマートンは前に出したままだった。
こういう時は得てしてその方向にそういう打球が飛ぶもの。
今シーズンのGT線で原監督が執った内野手5人、外野手2人という作戦は記憶に新しい。
その時も西岡の打った打球はそれをあざ笑うように誰もいないセンターに飛んでいった。
通常なら平凡なセンターへの飛球。あえてそこに打った西岡の技術は褒められるべきだろう。
ただ、投げた投手が、その作戦を活かすようなコースにきっちりボールを投げた上で打たれているのであれば、
仕方がない結果かもしれない。
しかし、そうでなく打たれているとなると、作戦の意味がまったく失せてしまう。
この時のジャイアンツはまさにそれだった。
とはいえ、作戦の意味を無視してそこに投げてしまったわけではないことくらい観ているファンだって理解は出来る。
いくらコントロールのいいピッチャーでも100%はない。
投げるべきところにコントロールできなかった、そういうことだろう。

そしてこの場面でも、いわばそれと同じようなことが起きた。
金田の投げた2ボールからの3球目のシュートはド真ん中。
これを逃さず振りぬいた長野の打球はレフトへ一直線。
打球は前進守備のマートンの頭上を越えてゆく走者一掃の2ベース。
やはりこれも通常の守備位置ならバックして間に合う当たり。
しかし、それも前進守備という作戦を敷いた以上、言っても仕方のないこと。
そこに打たせないような投球をしてこその作戦である。

ただあの場面は、あそこまでレフトを前進させておく必要があったかという疑問も残る。
有田氏が指摘したように、失点を防ぐことばかりに目がいって、
アウトカウントが獲れない状況に自ら陥ってしまった感もある。
どちらの判断が正しかったかは結果論だが、
やや一辺倒な思考に傾いてしまっているようには見えた。

これ以上、点をやれないというその焦りは、
エースを立てて、初回に2点を奪われたという危機感から繫がっている。
初回の坂本の2ランで、ジャイアンツには安堵感が生まれ、
タイガースには焦燥感が芽生えた。
そんな雰囲気があった。

それぞれの打者が冷静にメッセンジャー対策を考慮し、
コツコツとコンパクトにバットを振りぬいて単打を重ね、
タイガースに少しずつプレッシャーをかけていった。
そのプレッシャーが、もうこれ以上は点を与えられないという焦燥感に繫がり、
タイガースの守備を前へ前へと誘い出した。

初回の2点が、最後までゲームの流れを支配しているように見えた試合だった。