ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

大田、橋本、立岡らが一線で戦い続けるために必要な集中力。

2015-06-08 00:28:43 | 2015年シーズン

先日触れた立岡と吉川が交流戦前に一軍登録され、
その立岡と同い年の橋本到を含めた若手三人が東北で躍動した。
特に立岡はそれ以降、スタメン出場する機会が増え、
攻守に存在感を見せている。
吉川も移籍後初の安打、打点をマークし、
先日のオリックス戦で見せた超ファインプレイはチームの窮地を救う大仕事になった。

チームや各選手の成績はさておき、
ようやく ”新成” っぽくなっきてきジャイアンツ。
しかし、本当の新成が貫徹されるには、
先に挙げた若手選手らがしっかりと一軍に定着しないことには一時の付け焼刃に終わる。

一軍に上がって一時の勢いで結果を出し続ける選手は少なくない。
橋本にしても、一軍即スタメン三番起用で見事に結果を出し、
そこから数試合の好成績は一時でもチームを支え続けた。
それはその橋本活躍の数週間後に、
やはり一軍昇格即四番スタメンで数試合爆発し続けた大田も然りである。
その後ふたりとも同じように成績は下降していった。
どうして続かないかとファンは歯がゆくヤキモキする。
一時の5割、4割はないにしても、
どうにか3割くらいはキープしながらと期待するのだが、
どうも急激に内容が悪くなったりする。
それでも一昨年、昨年との違いは、そのままズルズルとは落ち込まないところ。
もう少し我慢して使い続けてくれればと、
多少贔屓目でもそんな雰囲気は間違いなく感じられるようになった。

それにしても、いい調子がなかなか続かない。
常時スタメンで出続ける中堅、ベテラン選手でも、
年間通して調子を維持し続けるのは簡単なことではないし、
シーズントータルで見れば波に上下があるのは仕方がない。
若手選手の立場が厳しいところは、
この波の浮き沈みを実績ある選手ほど寛容に見てもらえないところにある。
もちろん浮いているときはそれなりに使ってもらえるが、
少し沈み始めるとスタメンを外されるどころかすぐに二軍に落とされる。
当然、現在、スタメンで出続けている何人かの一軍選手らも、
そんな熾烈な争いの中でもまれ、ポジションを勝ち取ったのだから、
今の若手選手だけが厳しい条件に晒されているわけでもないだろうが、
実績のある選手が定期的に外からやって来るジャイアンツのようなタイプの球団では、
若手が生き残るのは容易ではない。

デビュー当時からの坂本、長野などを見ていると、
そのとき相応の心技体を、常にバランスを保ちながら携えていたように感じる。

そんなバランスが一つでも崩れると調子は落ちてゆく。
どれか一つでも取りこぼしたり、おろそかにしたり、欠けていたりすると、
なかなか一線では戦いきれない。
それは坂本ら中堅選手やベテラン選手にしても同じことだ。

一線に立ち続ける選手はここの集中力が秀でている。
心技体のバランスを、ある程度のレベルで保ち続ける集中力。
井端が以前話していた 「考えて野球をやる」 も、
この集中力に繫がるのではないか。
ひと言に集中力と言っても意味は広く、深い。
例えば故障ひとつをとっても、仕方がないケース、
運、不運はもちろんあるだろうが、ある種の故障なんかは、
こういったことの欠落が多少は加味している気もする。
金本正憲氏がケガをしないための練習の必要性を解説の中で説いていたことがあったが、
避けられるケガを負わないこともアスリートとしては大事な要素に違いない。

若いから体力があるとはいえ、年間通して身体を張るわけである。
やみ雲に、がむしゃらにやっているだけでは高いレベルを維持するのは困難だろう。
どうすればバランスよく、自分の野球と向き合えるか。
なにも野球やスポーツだけに限ったことではなく、
一般の社会でも同じようなことがいえる。
ごく当たり前の、それでいて耳の痛い、根本的な話である。

ドラゴンズ時代に野球に取り組む姿勢を指摘された吉川、
数年前、大きなケガを負った立岡、
大田も開幕の出遅れなど、ちょっとしたケガがつきまとう。
一軍に定着するために、このあとが正念場、彼らの集中力が試される。





あえて高い壁の前に立つ。坂本勇人はこれを越えるのだろうか。

2015-06-07 23:34:10 | 2015年シーズン

以前のように、全部引っ張りまくってたほうが、
そこそこヒットも出るんじゃないかなんて、
ちょっとそんな乱暴なことまで考えてしまうくらい、
ついこの間までの坂本のスイングは精彩を欠いていた。

プルヒッターに徹していても、
坂本はそこそこ成績を維持できていたろう。
今季の坂本を見ながら、そんなことをふと思い浮かべ、
何年か前に自分が書いた坂本の記事を思い出した。
それまで殆どの安打を左方向に飛ばしていた坂本の打球が、
右方向にも飛び始めたと感じたのが、その記事を書いた2012年だった。
2012年は坂本が最多安打を長野と分けたシーズンである。
前年の2011年は、あの飛ばないボールで多くの打者が苦しんだシーズンだ。
坂本もその年は本塁打、打率と前年を下回って全体的に成績を落とした。
ジャイアンツでは、小笠原、ラミレスも極端に本塁打数が落ち込み、
ある意味、彼らの転換期ともなったシーズンでもある。
ファンにとっても印象深いシーズンになった。

前述したように、坂本はその翌年、見事に盛り返して好成績を残す。
引っ張り専門だった打撃に、幅が出始めたシーズンだった。
しかしその翌シーズンはWBCや故障の影響などもあって成績はやや低迷。
勝負強さとチーム内での存在感が増す一方で、昨年も前年から連続して成績が上がらず、
個人成績としては不本意なシーズンが続いている。

ただ、そんな中にあっても、打球の飛ぶ方向は以前よりも広角になっている。
ここぞの勝負強さが年々増しているのも坂本の凄みだ。
冒頭で書いたようにプルヒッターに徹していてもそこそこの成績は維持できていたように思えるが、
あえてバッティングスタイルの幅を広げ、高みを目指すところは、
ジャイアンツ生え抜きのスター選手という自覚と責任感、
さらに彼の向上心の成せるところだろう。

そんな思いで今季前半の坂本の打席を眺めていると、
反復する凡打の山すら、壁を越えるための足場固めに見えてくる。
坂本の目には、自分が向かうべくビジョンがしっかり見えているのだろうか。

以前、徳光さんが 「坂本はジャイアンツのジーターになれる」と力説していたことがあった。
そんな話をふられた松井秀喜が、いくらなんでもといった表情を浮かべながらも、
「彼にはそれくらいの高みを目指しジャイアンツを引っ張っていって欲しい」 と、
そんなニュアンスの言葉で応じていたのを思い出す。
徳光さんの思いには、当然、坂本生涯ジャイアンツが前提にあるだろう。
そう考えればあながち大袈裟な表現でもないように聞こえる。

原監督のアドバイスで構えたときのバットの角度をやや寝かすように修正したと、
解説者がそう紹介し始めた試合くらいから、坂本にアタリが出始めた。
それが功を奏したのかどうかは知らないが、
つい最近までまったくいいアタリが出そうになかったスイングも、
打ち始めるとバットの出がスムーズに見えてくる。
結果が出ているのだから、実際は振れてきているのだろう。

あえて高い壁をこしらえてそこに挑もうとしている坂本の姿勢。
2014年に記録した25歳5カ月での通算1000安打達成は、
NPB史上3番目のスピードで、セ・リーグ史上最年少の記録になった。
それでも、先の、さらにその先にある大打者としての高みを見据え、
坂本はイバラの道を選ぶ。
ここ何年かのモガキは、そんな坂本だからこそ挑める、
大きなチャレンジだ。

小さな波に飲まれながら、それをことどとく渡りきる若きプリンスは、
この高くて大きな壁をもいつしか飛び越えるのだろうか。
坂本勇人ならやってくれそうな気がする。


そろそろ公文克彦が来てもいいころではないか。

2015-06-06 23:16:02 | 2015年シーズン

田口、平良、メンドーサは仲良しなんだそうだ。
解説者のそんな話に、思わず頬が緩んでしまう。
19歳の二人と、まだキューバでは大学に在学中という21歳のメンドーサ。
キツイ練習にくじけそうになった時も、田口、平良の存在が支えになったと、
やはり解説者がメンドーサのそんなエピソードを紹介していた。
ベンチで隣同士に腰掛け、何かやり取りをしていた二人の姿が微笑ましい。
同じタイミングで一軍に上がれたことが、メンドーサにとっては心強かったろう。

お立ち台で小柄な田口と並ぶと身長さが際立つが、
190センチの長身のわりにマウンドに立つとさほど大きく見えないのは、少し線が細いからだろうか。
慣れない食生活もあるだろうし、まだ21歳という若さである。
昨年日本に来てから焼肉にハマっているらしいから、これからまだまだ体格は良くなっていくのだろう。
マウンドでは慌てる素振りもなく、表情を変えずに二回を投げきった。
ヒーローインタビューのとき帽子をとった顔をはじめて見たけれど、
さすがのラテン系、なかなかの二枚目である。

ただ今後も、彼の扱いが難しいことに変わりはないだろう。
外国人枠の問題で常に微妙な立場におかれることは想像に難くない。
気が早い一部のマスコミは早くもメジャー流出を危ぶむ話題や、
調子に安定感を欠くマシソンとの来季の立場逆転などを取り上げているけれど、
いくらなんでも時期尚早、そんな簡単にはいかないと思う。

メジャー云々はさておき、仮にマシソンの代わりを球団が来季に向け考えたとしても、
そのポジションにすぐメンドーサをあてがうかといえばそれはない気がする。
いくらマシソンが安定感を欠いているとはいえ、まだマシソンとは比較にならない。
球団がマシソンを見切るなら、おそらくメジャーからさらに実績のある投手を連れてくるはずだ。
これまでの実績と、今季ここまでの原監督の起用の仕方を見たって、
ベンチのマシソンに対する信頼はそう簡単には揺るとは思えない。
ポレダ、マイコラスとの絡みか、あるいは野手3人とのほうが入れ替えは容易かもしれない。
現状ではアンダーソンだってうかうかしていられないように感じる。
メンドーサに関しては、まずはもう何回か投げるところを見たい。

外国人選手枠とは関係がないけれど、マシソン、メンドーサと中継ぎ投手の話で思い出した。
先日、ファームの中継で3年目の公文克彦投手の投球を見た。
この春のキャンプ中継で投げている姿を見て以来だったが、
彼がなかなか一軍に上がってこないのも、もどかしい。
本来なら、現在の戸根のポジションに収まっていてもおかしくはない。

ルーキーイヤーのシーズン後半に何試合か投げて力のある投球を披露したが、
翌年の昨シーズンは一軍登板ゼロに終わった。
昨シーズン、ファームでは先発に回ったりもしたようだが、
今季の成績を見ると、また中継ぎでの起用に戻っている。

春のキャンプで戸根のピッチングを見たとき、
真っ先に公文のことがアタマに浮かんだ。
同じ左腕の中継ぎ候補。
スリークォーターから投げる投球フォームといい、
投手として上背はないが打者に向かっていく投球スタイルといい、
似た部分は多い。
学年こそ違えど、生まれ年もいっしょで、
公文が一学年上になる。
戸根もそうだが、公文も実戦向きに見える。
ただ、戸根は気迫を表情や態度に出すタイプだが、
公文はどちらかというと表情をあまり変えずに淡々と投げる。

相変わらず公文のストレートにはキレがある。
その日は変化球の制球も含め、ややコントロールに苦労していた。
制球力では戸根が上回るのだろうか。
ストレートの力は公文も負けていない。
戸根の特徴的で多彩な投球スタイルと比較すると、
公文も、もう一ランク上の特徴的な持ち味が必要かと印象を持ったが、
インステップぎみに投げるストレート、スライダーは左打者にはかなり有効に見えた。

今季はファームで1点台の防御率を維持しているようだから、
決して調子も悪くなさそうだ。
状態のいいときに、いいタイミングで一度一軍に上げて欲しい。
そろそろ、公文の番ではないか。


今年もまた、ヨシノブのホームランが見れる喜び。

2015-06-01 00:11:28 | 2015年シーズン

カッコよかった!
そのひと言に尽きる。
勝とうが負けようが、
そんなことはどうでもいい。
今年もまた、ヨシノブがホームランを打った。
今年もまた、ヨシノブのホームランが見れた。
それだけでもう充分である。

外角高めのストレート。
ヨシノブの得意なコースだ。
対戦相手のライオンズは話題の大阪桐蔭クリーンナップ。
なかでも注目は、小柄ながらフルスイングで本塁打をかっ飛ばす森クン。
腰を沈ませ、のけ反るような豪快なスイングで、
ライオンズファンのみならず、プロ野球ファン全体を魅了する。
オールスターファン投票の中間発表では、
大谷、筒香らを抑えてダントツ1位の獲得票数を得た。
そんな森クンを圧倒する、ヨシノブの「のけ反るような」パワフルなスイング。
しかもバックスクリーン。
一直線、まさにそんな当たりだった。

大概のホームランというのはそのスイングから打球の放物線までが絵になり美しい。
しかし、ヨシノブのホームランは、そのスイングに入る前の構えまで含めて、
総体的に美しい。
そしてさらに、カッコいい。

このカッコいいというところも、とても重要だ。
顔が男前とか、足が長いとか手が長いとか、
そんな上っ面ではなく、
もちろんヨシノブは男前ですが、
そんな表層的なことではなく、
長年、一線でファンを魅了してきた選手の中にあって、
そうそう手に入れられるものではない、このカッコよさは、
限られた人たちだけが持ち得る、特権的なカッコよさである。

ベースを一周してホームに還ってきたヨシノブを迎える坂本がお見事とばかりに小さく頭を垂れ、
両掌をそっと差し出してヨシノブのタッチをこれまたそっと受け止めた。
そんなふうに見えたヨシノブホームインの際の映像を見て、勝手に胸を熱くしてしまった。

そんな坂本の胸中を妄想ついでに、その翌日の試合から、もうワンシーン。

4回裏、2死一、二塁の場面でバッター片岡が左翼線二塁打を放つ。
このアタリで一塁ランナーのヨシノブは一気に本塁まで激走を見せた。
一瞬、ヒヤッとするようなホームでのクロスプレイ。
先にホームインしていた阿部も思わず主審の脇で腰をかがめながら大きく手を広げ、
「セーフ!」 のジェスチャー。判定はセーフ。
好投のマイコラスを援護する貴重な追加点だった。
主審のコールのあともヨシノブはホームベース上で仰向けに倒れこんだままだったが、
そんなヨシノブの両手を阿部が掴み、心なしか力を加減するようにそっと引き起こしたそのシーンにも、
阿部のヨシノブに対する気遣いを垣間見たようで、勝手に心を温めてしまった。

1728安打目の、317号ホームラン。
どちらもまだまだ通過点である。


宮國椋丞の球速と投球テンポ。

2015-05-13 23:44:56 | 2015年シーズン

主軸の故障者が相次いだおかげで、思いのほか昇格が早まったろうか。
4/25のヤクルト戦で今季一軍初登板を果たした宮國椋丞。
後輩・田口の後を引き継ぎ、5回からマウンドに上がって2イニングを1安打無失点に抑えた。
公式戦で途中のイニングからマウンドに上がる宮國はいつ以来だろうか。
ちょっと記憶にないが、テンポのいい投球で好発進をきった。

春季キャンプからオープン戦にかけて、あまりいい結果が伴わなかった宮國。
今季ファームでは教育リーグで1試合、その後、イースタンで2試合、
計3試合先発で投げてからは、3戦続けてリリーフで登板していた。
先発での登板は、特に良くもなく悪くもなくといった内容だったが、
突然、オープン戦3戦目の登板からリリーフに回っていたので、
何の意図があるのだろうと訝っていた。


3/11の教育リーグで先発、4回無安打無失点。
3/19のイースタン初登板は先発で8回を投げ7安打3失点。
4/1に先発登板したヤクルト戦は4回2/3を投げ7安打無失点。
そしてこの登板の5日後、4/6の楽天戦で1イニングを無安打リリーフ。
ここから2試合、リリーフとしてマウンドに上がる。
4/10の西武戦では1イニングを無失点。
4/12も同じく西武戦で、1回1/3を投げ、4安打2失点という結果。
この5日後、4/17に一軍登録される。
亀井の故障に伴う入れ替えだった。

一軍での内容は周知のとおり、ここまで5試合、
中継ぎで投げて未だ無失点、防御率0.00の1ホールド。
あまり目立ちはしないが、きっちりと仕事をこなしている。
そう、目立つような快投で打者をバッタ・バッタではないけれど、
ここまで対戦打者25人に対し、ヒット4本無四球だから、
内容的には申し分ないのだろう。

そんな今季の宮國の投球を見ていると、二点ほど目につくことがある。
ひとつは投球テンポ。
こんなに間髪いれずに投げていただろうかというくらい、
投球間隔が短い。
意識してテンポを速めているように見える。
もう一点は球速。
なんだか、ちょっと速くなったように感じる。
実際、球速表示を見ていると、常に145、6キロの数字が出ている。
もともとそれくらいのストレートは投げていたけれど、
ここ数年、先発で投げている宮國のストレートは、
130キロ台後半から140キロ台前半がイメージである。
リリーバーとしての投球だから、多少は飛ばしていけるのだろうが、
それにしても、コンスタントに速い。

今季はG+でのファーム中継が開幕から4月前半までなかったので、
(この件に関しては言いたいことが山ほどある。)
宮國の登板はキャンプ以降、見れていなかったのだけれど、
youtubeに1試合、宮國登板をアップされている方がおられて、
その方の映像のおかげで今季ファームでの宮國登板を見ることが出来た。

遠方で、ジャイアンツのファームの試合がなかなか見に行けない者にとっては、
こういった方々の地道な仕事っぷりが、非常に助かり、ありがたい。
球団や、オーナー会社の関係者の方々も、
少しはこういったきめ細かな作業を見習って欲しい。
G2プロジェクトもいいが、ジャイアンツファンは近郊の方々だけではない。
ジャイアンツファンは日本全国にいるのだ。

その宮國の映像はコンパクトに編集されたダイジェスト映像なので、
投球テンポまでは判断できない。
球速に関しては、映像の球速表示を頼りにすると、
先に述べたイメージどおり、
130キロ台後半から140キロ台前半といったところだ。
ここ数年の、力感のない投球フォームの宮國である。
やはり、一軍マウンドでのストレートの速さは、
リリーフに回ったことによる違いだろうか。

それにしても今の宮國は小気味よいストレートをテンポよく投げていて、
とてもリズミカルだ。
先発だったら、こうはいかないのかもしれない。

こうはいかないのだろうか。

すぐ、この調子で先発に回ればと、欲をかいてしまうのだが、
今は、いい状態をキープできる居場所に収まっていたほうがいいか。
今は、一軍でいい結果を継続していくことのほうが宮國にとってメリットはあるか。
そう言いながら、今は、今はと女々しいか。

やはり宮國は先発投手で…。

いや、今は、結果を残す宮國を見ていたい。




(追記:文章内で紹介した宮國投手の動画は、こちらです。)




どうか亀井がケガをしませんように。

2015-05-10 23:50:23 | 2015年シーズン

前日まで3番に座っていた亀井がスタメンを外れた4月16日のベイスターズ戦。
前の日の試合で右中間2ベースを放っていたものの、少し調子も低迷期に入りかけかと、
ベンチに座る亀井はその日、出番がないまま試合を終えた。
その試合、ファームから上がってきた橋本到が入れ替わりで3番に座り、
大仕事をやってのけた。
橋本が戻り、これで明らかに本来の状態ではない長野を少し休ませながら使えるのではないかと、
そんなもくろみを勝手に思い描いていた。
その翌日、亀井が一軍登録を抹消された。
下半身の張りのため、スポーツ報知にはそう書かれていた。

ほんとうに下半身の張り程度なのか…。
登録抹消されるくらいだから結構ひどいんじゃないのか…。
こんなに早い時期にもうケガをしてしまったのか…。

亀井の登録抹消は、ちょっとショッキングだった。

春のキャンプ中継の中で行われていた選手の個別インタビューで、
亀井はまるで呪文を唱えるかのようにある言葉を繰り返していた。

「とにかく僕の場合、ケガをしないことが…」
「とにかくケガだけは気をつけて…」
「とにかくケガをせずに一年間、出続けることが…」

そう、本人はもちろん、ファンにとっても、
このケガが何にも増して、亀井に付き纏う一番の不安材料である。
とにかく一年間、ケガをせず、フルに一軍にいる亀井が見たい。
これは多くのジャイアンツファンが願っていることだろう。

あれだけケガをせずにと言っていたのに、
まさかこの時期にもう故障なのかと、
登録抹消の記事を目にしたときは肩が落ちてしまったが、
数日後には軽めの練習ながら調整を始める亀井の姿がネットで確認でき、
それから一週間ほど過ぎた頃には、ファームの試合に出場できるまでに回復していたので、
この時期の、この程度の戦線離脱なら、不幸中の幸いで片付けられそうである。


今季はオープン戦の段階で、一体、誰がスタメンに名を連ねるのかと、
解説者だけではなく、ファンだって頭を抱えるような熾烈な外野手争い。
”新成” のスローガンのもと、一体、どんなハイレベルな争いが見られるのかと、
選手の顔ぶれを見て、期待感が高まる、そんな熾烈な外野手争い。
ところが蓋が開いてみると、それほどワクワク感を伴わない、
なんだか複雑な気持ちの外野手争い。

セペダにはセペダなりの価値があり、存在感があって、
やはり簡単には落とせない事情もあるのだろう。
今季から加わった金城にしても、経験と実績だけではなく、
まだまだ衰えてはいない実力をオープン戦から見せてくれた。
ヨシノブ、タカヒロのピースは、ジャイアンツファンにとっては至宝である。
そんな中で、万全ではないが長野は開幕にどうにか間に合い、亀井もいい状態で開幕を迎えた。
ただその一方で、オープン戦から派手なアピールとまではいかなかったかもしれないが、
やはり橋本到がスタメン落ちどころか、即、二軍に落とされたのはどうもガテンがいかず、
さらに大田は大田で、何で開幕前に故障なのかと憤りの外野手争い。

しかしここにきてようやく、役者がひとまず顔を揃えた。
橋本が戻り、大田が上がってきて、長野の体調は心配だが、
どうにか大事には至らずに亀井も調整を終え一軍に戻ってきた。
この4選手だけとってもみても、誰か一人がスタメンから外れるのだ。
長野、亀井、橋本、大田。
この4人の争いは本当にワクワクする。
亀井はファーストも守れるが、やはり本職は外野手である。
亀井の外野は外せない。
もちろん、長野は今や坂本と並ぶジャイアンツの顔である。
早く復調してもらわなければ困る存在だ。
それでは橋本、大田、どちらかを外せるかといえば、
いまや彼らはそんなレベルの存在ではなくなった。
今季は、チームを背負って立つほどの結果を出している。
ここまでの結果だけを見てみれば、坂本、村田の比ではない。

長野、亀井、橋本、大田。
この4人の争いだけでも、充分に見応えがある。
若手の躍進が、これほどチーム内の争いを激化させ、面白くするのだ。
外野の最前線は、この4人のレギュラー争いだけで他に何も必要ない。

もちろん、ヨシノブ、タカヒロ、金城のベテランの存在感はゲームのそこここで随所に光る。
とくに生え抜きのヨシノブ、タカヒロは別格だ。

アンダーソンも調子が上がってきた。
矢野もファームで結果を出し続けている。
堂上もファームの試合に出始めたようだ。
今季はここまで、この戦力で充分。
ファームにもまだまだ楽しみな選手は多い。
補強の必要など、まったくない。


中井、藤村などが、内野の争いに食い込まなければいけない内野問題もほっておけないが、
とにかくとにかく、手術明けの長野だから、出来れば無理をせず、焦らずにやっていただきたいし、
とにもかくにも、どうか今シーズン、もう亀井がケガをしませんように。







田口麗斗は来たけれど、松本竜也はどこにいる。

2015-05-06 23:05:10 | 2015年シーズン

打線の援護さえあれば1勝2敗という結果にはなってなかったはずだ。
打線の援護さえあれば、おそらく3勝1敗、
高木勇人に劣らぬ注目度で時の人だったろう。
そんな小言でかばってあげたくなるような、田口麗斗のプロデビュー劇だった。

この田口の出した結果には、しっかりとした裏づけがある。
今季、ファームで開幕投手を務めた田口は、
一軍に上がるまでにファームで3試合に登板し2勝負けなし。
20回2/3の投球回数で防御率0.44という好成績を維持していた。
ルーキーイヤーだった昨シーズンからして、すでに今季への伏せんだった気がする。
高卒新人でファーム7試合に登板、2勝0敗、防御率1.75は明らかに今季に繫がっているだろう。

登録抹消された田口だが、このあとまたどこかのタイミングで一軍登板の機会は訪れるはず。
一軍で先発登板した先の4試合の経験と内容は、
間違いなくこのあとのシーズンにも繫がっていくような予感に満ちている。

ファームにはもう一人、田口と双璧のように扱われている平良がいる。
先日彼が先発していたファーム戦中継で解説を務めていた緒方氏が、
この平良の球のキレは田口以上と評価する岡崎二軍監督の言葉を紹介していた。
総体的に見れば田口より課題は多いのだろうけれど、彼も今季、ファームでローテーションを守り、
ここまで3勝1敗と好成績を維持している。


今季、ファームでの開幕投手の座を掴んだのは田口だったが、
昨季、この座を射止めたのが松本竜也だった。
松本竜也も、今季で4年目を迎える。
高卒のドラ1大型左腕と期待され続ける松本も、
同期の今村にはやや差をつけられながら、
昨季のファーム開幕投手という抜擢で期待値は目おとりしない。
その昨年は、結果、3勝10敗という成績で期待には応えられなかった。
今季は自主トレを菅野、大田とともにハワイで行い、4年目のシーズンに臨んだ。

今季、執筆人が松本竜也の投球を見れたのは、
宮崎キャンプでの紅白戦が唯一である。
くしくもこのとき、松本竜也、そのあと二人挟んで田口麗斗へのリレーで、
彼らの組は確か20点以上を奪われ大敗した。
松本竜也は先発2回を投げ7安打6失点。
4番手の田口も7失点といいところを見せられなかった。
かなりの強風もあって、打ち取ったようなあたりがヒットになったり、
不運なエラーも絡んだりとツキもなかった感はあるが、
松本竜也は制球が悪く、あまく入った球をことごとく痛打された。

その後、イースタン開幕前後の松本竜也の登板をジャイアンツのサイトで調べると、
3/7の教育リーグに先発し、6回を投げ8安打4三振4四球8失点。
3/18のイースタンリーグ・ロッテ戦、2回1/3を投げて5安打1三振3四球4失点。
それ以降、フューチャーズでもプロ・アマ交流戦でも、松本竜也の名前は出てこない。

松本竜也は、今、どこにいるのか。

彼の飛躍を楽しみに待っているジャイアンツファンは決して少なくないはずだ。
高卒の左投手というのはなかなか大成しきれないとよく言われるが、
今季は楽天の松井裕樹がめざましい。
高校時代、その松井と比較されたジャイアンツの田口も、
2年目の今季、初勝利を挙げた。

ジャイアンツではここ数年、高校からプロに入った若い投手が、
早い段階で華々しく一軍デビューを飾っている。
宮國、今村がそうだ。
しかしそのあと、なかなか一軍のローテーションに定着しきれない。
高卒2年目でのプロ初勝利という勲章までは田口麗斗も辿り着いた。
松本竜也はその田口の2年先輩、同じ左腕である。

ルーキー当時、和製ランディ・ジョンソンと形容されたように、
193cmの長身からのスリークォーターは魅力に溢れている。
一昨年のキャンプでは金田正一さんも太鼓判を押した大器だが、
この春に見た松本のピッチングは少しダイナミックさが欠けて見えた。
奪三振も多いが四球も多い。
松本竜也にはそんなイメージを持っていた。
制球力と球速はなかなか比例しにくいと、以前、桑田真澄氏が解説していたが、
多少荒れ球でも松本竜也には荒々しさを持った豪快な投球を期待していた。
勝手にそんな願望を持ち続けている。
あの長身からのスリークォーターは何よりの武器であろう。
球界広しといえどもそういるタイプではない。

一昨年のオフにフェニックスリーグ、台湾遠征で飛躍を見せ、
その勢いで臨んだ昨年のシーズン。
多少精度は悪くても、活きのいいうちに一度、
一軍にあげて投げさせてくれないかと思いながらファームでの動向をチェックしていたが、
昨シーズンはそういった勢いすらつかなかったようだ。

今村や、田口とは違うタイプに仕上がって、
一軍のマウンドに昇り詰めて来てくれないだろうか。

松本竜也が待ち遠しい。

松本竜也は、今、どこにいるのか。






大田くんにロックオン! 長野久義を本気にさせる外野手争いのターゲット。

2015-05-03 23:49:17 | 2015年シーズン

せっかく長野がイジってくれていたのに…。

大田の開幕前の離脱のニュースには、またケガかと落胆した。
大田に向けられた今季への期待や希望は、
例年の大田覚醒願望とは明らかにグレードが違っていた。
だからこそ、長野も大田をターゲットに定め、開幕に猛チャージをかけたのではと妄想する。
少なくとも、今季の大田は今までとは違うと、今の段階ではそう言っても大袈裟ではない。

春のキャンプから二軍で調整を続けていた長野が、
東スポの特別企画 「目指せ開幕!チョーノ編集長の巨人ファーム便り」を
東スポ紙上でスタートさせたのは宮崎キャンプ、2月初旬の頃だった。
毎回、何かのテーマに沿って、フランクな内容で二軍のキャンプリポートを伝える、
長野ならではの軽快なおしゃべり文体がとて楽しかった。
インターネットを通じて見ることが殆どだったけれど、
このファーム便りは必ず、長野がお決まりの”お約束文句”でリポートを締めくくる。
それが”大田いじり”なのだ。

まず記念すべき第一回では、自身のリハビリの報告と、
ルーキー岡本和真の印象、二軍キャンプの宣伝ときて、
最後に、 「僕の目標は一日でも早い一軍復帰。大田くんに負けないように頑張らなきゃ」 と、
なにげに大田の名前を出してリポートを締めくくった。
この時点では、大田で締めるこのパターンがお約束化するとは思ってもいなかったから、
大田で締める長野のユーモアにツボをつかれた程度だった。

二軍で調整中に長野が積極的にファンサービスを行っていたことは、
キャンプ中継やスポーツ紙などでも何度か取り上げられていたが、
第二回のファーム便りではまずそのファンサービスをきっちりとリポート。
二軍のひむかスタジアムを満員にするという自らの企画 「プロジェクトH計画」 を紹介。
後半は、今季からジャイアンツに復帰した内田二軍打撃コーチが、
二軍選手にかけていた言葉にハッとさせられたというエピソードを語る。
内田コーチの金言に自らのバッティングを当てはめ感嘆する長野編集長だったのだが、
最後の締めで突然 「ところで大田くんは一軍で元気にやっているのかな。
僕も負けないよう、もっと頑張らないと。」 と第一回同様、大田いじりを続けて見せた。

こうなってくると、こりゃお約束のパターンかと、当然読者も感づいて期待が高まる。
期待通り、第三回でも長野は裏切らない。
二軍宿舎の露天風リポートから宮崎名産の鶏料理と話題は進み、
同じリハビリ組みである矢野、アンダーソンらの近況報告に話が及んだところで、
やっぱり最後は唐突に 「そういえば、一軍では大田くんが大活躍しているようですね。
僕も負けないように頑張らないと」 。

二軍の宮崎キャンプ最終日の夜の食事会の模様から始まった第四回ファーム便りでは、
2月25日に行われたヤクルトとの練習試合(ひむかスタジアム)で
本塁打を放った岡本和真のバッティング技術を絶賛するチョーノ編集長。
自身の練習も徐々に具体的になってきていることを伝えると、
やはり最後はぬかりなく 「大田くんとグラウンドで勝負できるようになるまで、もう少し」 。
大田に堂々の宣戦布告で、外野レギュラー争いを盛り上げる。

そして最終回となった第五回のファーム便りで、長野はついに一軍合流を報告する。
ようやく念願の大田との一騎打ち、そんな図式が長野のアタマには描かれていたろうか。
ファンにとっても、ここまでの大田いじりが長野復帰でどう展開してゆくか、注目である。
ところがなんと、当のライバル大田はその時点で既に一軍不在。
長野が敷いてきたせっかくの伏線が、大田故障という思わぬ方向に着地する。
オチとしてこの展開がどうなのか、ガッカリなのか、
あるいはなんとも大田らしいという納得の結末だろうか。
そんな流れをあたかも見越していたかのような、
単なる長野の ”大田いじり” で今回の伏線は終焉か。
結局今季も ”大田大躍進” は 「おあずけ」 なのかと、我々ファンは肩を落す。

このファーム便りが最終回を迎える数日前、
長野は最終調整となったイースタンリーグ・ロッテ戦に先発出場して3安打を放つ。
その試合を取り上げたスポーツ報知に、長野が一打席目のヒットの際、
一塁ベース上で 「ボールください!ボール!」 と笑顔で声を張り上げたという記事が載った。
これは2011年、大田が楽天戦でプロ初安打を放った際のパロディーである。
このシーン、憶えているファンは多いだろう。
一塁上でソワソワしながら満面の笑みを浮かべる大田の屈託のない表情がとても印象的だった。
そのシーンを、長野は実戦復帰一発目のヒットで再現したのだ。

ここまで徹底した ”大田いじり” 。
大田をターゲット?に絞って臨んだ長野の2015年シーズン。
長野の、この ”大田いじり” の真意を妄想すると、
やはり、今季を並々ならぬ思いで迎える長野の強い決意と結び付けたくなる。
それは、成長した大田に対する、純粋なる宣戦布告でもあるだろうし、
あるいは、手術明けで挑む新たな戦いへの象徴、それが大田泰示なのかもしれない。
さらに深読みすれば、大田に目をかけ続ける原監督に対しての意思表示のようにもとれる。
「泰示よ!昨季後半にちょこっと打った程度で調子に乗るなよ!」 そんな長野のプライド。
そして何より、長野のこの刺激で、大田のプロ意識がより高まることに期待を寄せる。

と、相変わらず妄想を膨らませる。

いずれにせよ、せっかく長野が同じ土俵に持ち上げてくれたのに、当の大田はケガで不在。
本人はもとより、ファンも、原監督もガッカリ、長野も拍子抜けだったのではないか。

今季、”新成” を掲げた原巨人。
これまでのチームをいちど解体し、
より強いジャイアンツを作り上げると宣言した原監督だったが、
いざ開幕してみると、その新成の息吹が見当たらない。
筆頭のはずの大田はいないし、
昨季、開幕スタメンを勝ち取った橋本到はベンチの隅、
開幕カードを終えるとそのまま二軍行きとなった。
どうにか一軍に残った藤村も、その橋本降格の前日に二軍落ちしており、
中井に至っては開幕一軍にすら残れなかった。
小林誠司は開幕でスタメンマスクをかぶったものの、
相川が故障で戦線離脱すると、
緊急事態といって草々に阿部がキャッチャーに戻り、
阿部がケガで登録抹消されるまで、ほぼ控えの状態に甘んじた。

投手陣にしても、宮國、今村ら期待の若手の名前はなく、
救いはルーキーの戸根、高木勇人が開幕一軍に入ったことくらい。
目新しいところでは土田瑞起が10人の枠に残ったが、
2試合の登板で結果が出せず二軍降格となった。

”新成” を掲げたにも拘らず、
蓋が開いてみれば、オープン戦から続いていた主力野手の極度な打撃不振の隙を、
若手は誰一人、つくことができなかった。
オープン戦から安定した結果を残し、
開幕からここまで打線を陰日なたで支えているのは、
唯一全試合スタメン出場を続けている大ベテランの井端である。

井端の活躍は頼もしいしうれしいし、何より見応えがあるが、
チームの根幹を考えれば、けっして手放しで喜べるような話ではない。
井端の働きを評価しつつも、いまひとつ表情がスッキリとはいかない、
原監督の顔つきがその胸のうちを表わしているように見える。

レギュラーを勝ち取れなかった若手野手とは対照的に、
昨年オフに肘、膝と二箇所も手術をした長野は驚異的なスピードで開幕に間に合わせた。
このあたりのプロ意識というか、責任感というか、
そういった部分が大田らと長野との大きな差だろうか。
その差を詰めるには、若手は結果を出し続ける以外にない。

長野だって年齢的にはまだ30になったばかり。
一軍の外野手の中では大田、橋本の次に若い。
実力と実績と存在感で、どうしても大田ら若手との間に差を感じてしまうが、
現実的にはこの三人が、この先もっとも長く先頭に立ち、レギュラー争いを繰り広げてゆくはずである。

これまでは長野、亀井、その次に橋本、大田という図式だったが、
橋本、大田の躍進によっては、この二人の隙を長野、亀井が狙う、
そんな図式も充分に起る得るだろうし、そうなるとまさに ”新成” である。
もちろん、長野、亀井の存在がそんな簡単なものではないことは言うまでもない。


手術明けの長野が万全な状態でないことは素人目にも判る。
気になる箇所を庇うように動けば、違う箇所に負担がかかる。
それは何もスポーツに限らず、一般人の日常にだってレベルこそ違え同じことが言える。
どこかしらに多少の故障を抱えながらプレイするのもプロだと言うが、
長野のケースはどうにか騙し騙しで万全な状態に戻すというようなそんなレベルなのだろうか。
いくらチョー人・長野でも、右肘、右膝の手術である。
長野のバッティングを見ていると、もうひと押し、あともうひとノビ、そんな打球が多い。
どこかを庇っているからインパクトに力が伝わりきっていない、
ある試合でそう解説者が分析をしていた。

亀井の故障と入れ替わるカタチで一軍に戻ってきた橋本到が結果を出している。
長野がライバルに指名した大田泰示もファームで結果を残し、
一軍登録、即4番で期待に応えている。
橋本が活躍すると大田も負けじとのし上る。
大田が打ち出すと橋本の負けん気にさらに火がつく。
同級生、同期入団のこの二人の存在は、見ていてとても面白い。

よく、大きな可能性を秘めた存在、そんな表現で期待の若手選手を形容する。
橋本、大田も間違いなくそんな存在だっただろう。
しかし、今季までに至る二人の道筋と、ここにきてのこの成長をぶり見る限り、
もう秘めた段階を終えた役回りを、既に伴っているように感じる。
チームにとっても、ファンにとっても、もうやってもらわなければ困る、
そんな存在になった。

春季キャンプでのインタビューで、自主トレを共に過ごした後輩の橋本を、
しっかりライバルとして捉えていた亀井のように、
長野が今回、しきりに大田の名前を出して煽ったのも、
長野が本気で大田をライバルと認めたからかもしれない。

外野レギュラーの枠は3つ。
一昨年シーズンまでは、原監督の口から語られる外野レギュラーの枠は、
長野以外は競争が規定路線だったろう。
外野の長野、内野の坂本は、これからのジャイアンツの支柱、象徴といえる。
そんな長野もここ2シーズン、成績の足踏み状態が続く。
当然、自身に焦りはあるだろうし、原監督も全員横一線を口にするようになってきた。
それでも下から台頭してくる突き上げがなければ、
多少の足踏み程度で存在が揺るぐような長野ではない。
いっ時の勢い程度では、皆、長野の前に返り討ちである。

しかし、ここにきて、ようやく自身を脅かす存在が明確に見えてきた。
大田が、長野を本気で脅かす存在になった。
そう長野が教えてくれた。




そんな思いから片岡治大の巻き返しは始まる。

2015-03-03 23:08:49 | 2015年シーズン

「井端さんっすか…」
そう言ったあとの一瞬の沈黙は、
片岡の紛れもない心境だった気がする。


そもそも、今キャンプで原監督が掲げた ”野性味” にしても、
何年か前から原監督が選手に求める ”強さ” にしても、
原監督のイメージするそんな選手の象徴のひとりが、
片岡ではなかったかと思う。

2008年の埼玉西武ライオンズとの日本シリーズと、
2009年のWBCで指揮を執った原監督。
この二つの舞台で強い存在感を放っていたのが片岡だった。
大舞台にも臆することなく、ここぞの場面で持ち味を発揮する片岡は、
どちらの戦いでも試合を動かす役割を果たし、勝敗を左右したキーパーソンだった。
このときの片岡の存在は原監督の脳裏に強く焼きついたはずだ。

沖縄キャンプ中継の中で行われた各選手へのインタビュー。
今季の目標を問われた片岡は盗塁王と断言。
具体的に50盗塁と数字まで口にした。
昨シーズン、思うような成績を収められなかったことを悔やみ、
かなり身体を絞って臨んだ春季キャンプ。
オフの断食はスポーツ紙の記事にもなっていた。
質問のひとつひとつに丁寧に応えていた片岡だったが、
インタビュアーの次の言葉に、片岡の表情がやや崩れた。
「井端さんという存在はどうですか?」。

このインタビューが流れる前、片岡にインタビューしたアナウンサーが、
もうひとりの実況アナウンサーに向かって、このあと流す片岡のインタビューで、
聞きづらかった井端に対する思いに切り込んでいると、少し得意げに語っていた。
そのあと流れた片岡のインタビューを見て、
このアナウンサーが満足げに告知した気持ちも解らなくはないと納得した。
それくらい、片岡の反応が面白かった。
面白かったというのはもちろん茶化した意味で言っているのではない。
片岡が井端をどう見ているか、多くのファンも感心のあるところだろう。
とはいえ、こういった質問は、どんな選手に聞いても、
大概は当たり障りのない反応しか見せないもの。
相手を称えつつ、自分は己の技術に磨きをかけるだけ、
プロスポーツ選手であれば、よほどの実力差がない限り、
弱気な態度など見せないのが一般的だ。

けれど、片岡はちょっと違った態度をとる。
前述で、”インタビュアーの次の言葉に、片岡の表情がやや崩れた”
”崩れた” と書いた。
普通ならこういった場合、表情はこわばるとか、引きつるとか、
あるいは引き締まったりするものだが、
このときの片岡は、やはり、崩れた表情になった。
ニヤけたとか、緩んだとか、そんなヘラヘラした感じでは決してない。
あくまでも崩れた、ちょっと自虐的な笑みとでも言おうか。
思いのほかストレートな反応に、何を言い出すかとコチラも口元が緩む。

「まだセカンドのポジションは固定されていないと思う」
まず、自ら片岡がそう言って、セカンドレギュラー争いについての口火を切ると、
インタビュアーはそのタイミングを逃さず矢継ぎ早に質問を投げる。
「率直に、井端さんという存在はどうですか?」
インタビュアーがそう切り出す。
「いや~、井端さんっすか」
額の汗を拭いながら苦笑いを浮かべると、
そのまま表情が固まった。
そして「う~ん」 と小さく唸り、
ひとしきり考え込んだあと、ゆっくり口を開いた。

「見てすごく勉強にもなりますし、野球もよく知ってますし、
よく打つし、よくファールするし、すべての技術が素晴らしいと見ているんですけど…、
なんかあの、なんていうんですかね…」 と頭をかきながらまた、う~んと小さく唸って首をかしげた。
そして、ライバルというよりは学ぶことのほうが多いと、目上の井端を立て、
最後に「今年はよく話しをしています」 と言った。

この 「今年はよく話をしている」 は、
片岡の心境の移り変わりを上手いこと言い表していて興味深い。
やはり、昨シーズンの開幕当初、
片岡にとって井端は今ほど意識する対象ではなかったのではないかと想像する。
お互い、どういった経緯で入ってきたか、期待のされ方にしても、年齢的にも、
レギュラーを臨まれて入ってきた自分と、
自由契約からジャイアンツが拾ったカタチの井端。
井端を軽く見ていたわけではないだろうが、
それ以上に、片岡のアタマは自分の実力を試すことでいっぱいだったろう。
だからいくら井端がベテランの名プレイヤーであっても、
助言を請うたり、積極的に接触を持とうとは思えなかったかもしれない。

ところが昨季、期待通りの活躍が出来なかった自分に比べ、
井端は思いのほか持ち味を発揮し、
ここぞの場面での存在価値を見せ付けた。
そして今季、横一線で並ぶキャンプからオープン戦にかけても、
井端の安定感には目を見張るものがある。

キャンプの時点での 「今季はよく話しをする」 だから、
練習試合からオープン戦にかけての順調さは差し引いても、
昨季の井端の存在感で片岡の背筋が正されたことは容易に想像がつく。
「まさかここまでやるとは」 が、やはり本音のような気がする。
「まいったなあ、井端さん」 そんな思いが苦笑いの根底にあるかもしれない。


インタビューにはまだ続きがある。
昨シーズンのキャンプで片岡が、
「巨人軍に来なきゃよかったかなあ」 と弱音を吐いたことを蒸し返され、
「今はどうですか、巨人に来てよかったですか?」 と改めて質問を向けられた。
すると片岡は視線を泳がせながら 「いや~、ちょと今もかも…」 とモゴモゴとした口調で含み笑い。
これには取り囲んでいた人たち(カメラには映ってないが)も思わず大笑い。
そして力ないトーンで 「めげずに頑張ります」 と、ひと言。

最後はしっかり盗塁王宣言をして締めた片岡だったが、
結局、茶目っ気なのか、サービス精神なのか、どこまでが本音だったのか。

ただ、あの崩れた表情と、そのあと訪れた沈黙には、
まぎれもなく、井端に対する片岡の素直な心境が表れていたと確信する。
あの感じをなんと表現すればしっくりくるだろうか。
あの表情、どんな言葉で言い表わせばしっくりくるかとひとしきり考えた。
そうだ、ひとつふさわしい言葉がある。
”ぎゃふん” だ。
あれが世に言う ”ぎゃふん” ではないか。

思いのほか高く立ちはだかった井端という壁を前に、
片岡は ”ぎゃふん” と言って新たなシーズンに立ち向かう。
「マジっすか井端さん…」

片岡の巻き返しは、この”ぎゃふん” から始まる。


西村健太朗を後押しするもの~NEXT STAGE へ挑む選手たち④

2015-03-01 23:46:31 | 2015年シーズン

今季から先発に回る西村健太朗。
西村が先発投手の柱になってくれることは、
彼がデビューした当時からの、当ブログにおける願いだった。
ここにきての先発転向は、少し後ろ向きな印象も残らなくはないが、
西村が公言したとおり、ローテーションの一角を掴みとってくれれば、
それで問題は晴れる。

この西村の先発転向と同時に、
今季は澤村がリリーフへ移動する。
この入れ替え、論調としては好意的に捉える意見のほうが多いだろうか。
よく言われるように、精神面や性格などからして、
どちらかといえば西村は気持ちの面でやや弱い部分が指摘される。
かたや澤村は、強気な攻めのスタイルが持ち味のピッチャー。
球種は澤村も決して少ないほうではないが、西村のほうが多彩。
奪三振率は、澤村デビューの2011年からの4年間だけで比較すると、
澤村が7.89、西村が7.36と大きな差ではないが、やや澤村が上回る。
これだけで見れば、この入れ替えも現実的な気はする。

しかし、西村にとっては、2012年シーズンで32セーブ、12ホールド、防御率1.14と、
ようやく一軍での居場所が見えてきた中での、翌年の最多セーブ(42セーブ)獲得だった。
だいたいこの流れなら、そのまま不動のストッパーに定着したってよさそうなものである。
だが、そう上手くいかないところが西村らしい。

こんな言い方は西村に失礼だが、
最多セーブを獲得したとはいえ、
一昨年シーズンの投球が完全無欠な内容だったかと蒸し返すと、
決してそうでなかったのも事実。
ともすれば、途端に追い込まれそうになるモロさも、
西村のウイークポイント。
もちろん42セーブという最多タイトルは伊達ではない。
ただ、どうしても、最後の局面での西村に危うさは拭えなかった。

2シーズン連続の実績は、きっと西村に自信をもたらしていただろう。
弱さを自覚し、敢えて攻めの気持ちを口にして望んだ2014年のシーズンだったと思う。
前年から引き続きクローザーとして開幕を迎えながら、
すでに四月中旬には中継ぎに配置転換された。
そしてそれからひと月も経たないうちに登録を抹消される。
タイトルを獲得した前年のクローザーをこの時期に見切るのである。
原監督の西村クローザー起用も、やはり半信半疑だったのだろうと、
そのときそう実感した。

西村が指摘されがちなメンタルの弱さは、
これまで当ブログでも幾度か取り上げたことがある。
もう少し太太しさがあってもいいのではと余計なお世話を焼きながら、
西村がジャイアンツ投手陣の中心にいてくれることを願っていた。
デビュー後間もない頃から時折見せる、
あの切れ味抜群のストレートに魅せられて、
彼が江川卓のような迫力のある先発投手になってくれないかと、
そんな姿をアタマに思い描いたりした。

ケガがあったとはいえ、昨年の不調でまたイチから出直しのような状態の西村だが、
7勝を挙げた2011年から最多セーブを獲得した2013年までの3年間は、
シーズンをフルに投げ続けて、どの年も防御率1点台と、
シーズントータルでの安定感は、しっかり結果として残している。
その3年間の実績が、昨シーズンの不調ですべて帳消しになるとは思えない。
だからこその、原監督による先発再転向という辞令だと理解したい。

西村も今年で三十歳になる。
十代、二十代前半の若い頃と違い、
男三十ともなれば、もう性格などにたいした変化は起きないだろう。
ゼロとは言わないが、西村が今後、
打者の胸元をグイグイえぐっていくような、
そんな強気なタイプの投手に変貌するかと考えると、
その可能性はきわめて低いように思う。
そんな可能性と、今後、持ち球の精度が上がっていく可能性、
制球力に磨きがかかっていく可能性を比べれば、
西村の年齢からして、まだまだ後者にノビシロはあるはず。
もちろん、どれも等しく困難であることに変わりはない。
だから多くの選手が一流になるのに苦労する。
実際、西村がそう。
プロ12年目、一億円プレイヤーであっても、
なかなか掴みきれないものはある。


今季で12年目を迎える西村だが、
インタビューなどを聞いていると、
口下手な感じは相変わらずだ。
人見知りと本人が公言するだけあって、
あまり目立つような行動も見受けない。
やはり、真面目な印象は強い。
真面目さと、気の強い弱いは当然イコールではないけれど、
そんな真面目な雰囲気がマウンドの西村に投影されて、
気が弱いというイメージに上乗せしているような気もする。

人もそれなりに歳を重ねれば、
多少の図々しさというのは備わってくるもの。
真面目な西村にだって、そういった図々しさくらいあるだろう。
図々しさというとあまりいいイメージではないけれど、
言い方を換えれば、度胸みたいなもん。
これまでに得た自信や実績に、
そんな図々しさが加味していけば、
そこそこのスパイスくらいにはなって、
投球にも味が出てくるんじゃないか。
そんな図々しさが、そのうち西村のピッチングを後押しするようになるかもしれない。

図々しさで乗り切れるような世界じゃないが、
意外とどんな現場でも、我を押し通そうとする図々しさには、
相手をお手上げ状態にする力がある。
「強ぇ~な~」 。
まあ、良し悪しは別だ。

以前、西村が自分の登場曲に、
なんだかのアニメの主題歌を球団に申請したらしいが、
却下されたという記事を目にしたことがある。
それはそれで、なかなかの度胸だ。

ここで言う図々しさは、あくまでも、素の、そのまんまの西村が醸すものだから、
気がどうだこうだと、外野が口を挟む余地などない。
ちょっと肩の力が抜けた感じがして、真面目な西村にはいいエッセンスかも。
どこで投げるにしても、徐々に味が増してくればいいなあ、西村健太朗。



何度でも澤村拓一はリセットして生まれ変わる~NEXT STAGE へ挑む選手たち③

2015-02-24 23:55:20 | 2015年シーズン

原監督の構想は、やはり ”ストッパー澤村” だろうか。

去年の秋季キャンプで原監督が最初に澤村の中継ぎを明言したとき、
「まずはセットアップをめざしてほしい」 と、山口、マシソンらとの競争を示唆した。
この配置転換に対する澤村の反応は意外なほど前向きなものだった。
澤村といえば、以前は先発へのこだわりをかなり明確に口にしている。
それでも澤村はスポーツ紙の取材に 「監督から話しを聞いて心が躍った」 と表現した。
そして、「ポジションが決まっているわけではないから、
キャンプとオープン戦でしっかりアピールしたい」 と意気込んだ。

澤村は抑えかという記者の問いに、
原監督は当初、そんな甘くはないと競争を強調している。
いちばん大事なところ(クローザー)を簡単にハイと任せるわけにもいかないだろうから、
対外的にも、澤村本人のためにも、
先ずは 「セットアップから」 という言葉を命題にしたことは容易に想像がつく。
しかし、あえて澤村を本格的に先発から動かすのであれば、
やはり原監督の腹づもりでは、 「澤村を抑えで」 は規定路線だろうし、
あるいは澤村本人にも、それを臭わすくらいのニュアンスでは説明がついているのかもしれない。
だからこそ、澤村も意欲的になれたのではないかと想像する。

案の定、それからひと月も経たない契約更改の席で、
澤村は 「競争を勝ち抜いてクローザーになれるように頑張りたい」と、
ハッキリとクローザーを口にした。
さらに原監督も、澤村を乗せるように 「夢は澤村のセーブ王」 と吼えて見せると、
それに応えて澤村もセーブ王奪取を目標に掲げ、
はては、理想のクローザーにブレーブスのクレイグ・キンブレルの名前を上げ、
もうすっかりクローザーモード全開状態なのである。

目標値を定めたら脇目も触れずに一直線、
澤村にはそんなイメージをもつ。
そういえば、澤村の座右の銘は ”猪突猛進” と、
Wikipediaに書いてあったな。
ホントだろうか。

これまでのことを自分なりに上手くリセットして、
強引にでも切り替える強さのようなものを、
澤村のインタビューの受け答えに垣間見る。
キャンプに入ってからのインタビューでも、
昨年、ケガで出遅れたことを引き合いに出すと、
当たり前のことがこなせない悔しさを痛感したと語り、
いちばんの課題はケガをしないことと、
それ以前のシーズンのことなど既に忘れ去ったかのように前を見据える。
そういった野太さが澤村にはある。
もちもん精神面や技術面なども多少は課題として挙げはするが、
先ずは、”これまでよりも、これから” それが澤村の真骨頂、そう感じる。

契約更改の席でクローザーを目指すことを口にし、
記者からクローザーへの意欲に目覚めた経緯を尋ねられた返答でも、
ー 自分あってのチームではない。その人その人に適性、ポジションがある。
チーム状態もあるし、社会に出て自分のわがままが通るほど世の中あまくない。
例えば人事部に行けと言われれば行かなければならない。
法務部に行けと言われれば行かなければならない。
そういうものじゃないか ー
言い方はもう少し砕けた感じだったが、こんなふうに言い表した。
一見、達観的に捉えているふうに聞こえるが、
質問に対する応えとして耳を傾けると、
こういった例えも自己主張があってこその表現に聞こえる。

多少強引でも、自分の中でスジを通す、
澤村のそういった野太さ、猛々しさはやはりクローザー向きに思える。
昨シーズン、ストレートだけで抑えるのは難しいと、
コンビネーションにも目を向ける発言をしていたが、
そこに偽りはないだろう。
でも彼の本音はやはり、豪速球でねじ伏せたい、で間違いないはずだ。
小久保監督が適性を認めたとおり、タイプ的にはそのポジションなのかもしれない。
ゲームの流れによってマシソンと入れ替えるなどの曖昧な状態にするよりも、
完全にクローザーの位置に座った方がノッテいきそうな気がする。
原監督に、その辺の計算がないわけはないだろうから余計な詮索だが。

いずれにしても、澤村のクローザーがハマれば、
新たなジャイアンツを築く上での、大きな大きな核になることは間違いない。
うまくいかなかったら、またリセットすりゃいいのさ!
そんでまた、猪突猛進だ!


高橋由伸のコーチ兼任という響きに、私はもう戸惑わない。~NEXT STAGE へ挑む選手たち②

2015-02-22 23:44:12 | 2015年シーズン

と、タイトルで嘯いてみても、やはり、
コーチ兼任というと、なんだか複雑な気持ちになる。

確かに、近年になって現役を長く続ける選手は増えている。
高い技術と身体のケアに対する意識の高さが、選手の寿命を延ばしている。
今年40歳を迎えるヨシノブにしても、
まだまだ周りのライバルを上回る技術に衰えはない。

されど兼任コーチ。
仮にちょっとしたケガや、ちょっとした不調なんかに陥ると、
ひとまずコーチ業に重きを置いて、などとなりやしないか、
つまらない老婆心を巡らせてしまう。
ヨシノブも意外とアッサリしているところがあるから、
そのあたりも何かと気にかかる。

そんな中、昨年、ヨシノブにちょっとした変化を感じた。
巷で言われている、井端効果に関連してのことだ。
傍から見ていると、同い年の井端が加入したことで、
やはりヨシノブにとって何かいい効果が生まれているように見える。

例えば、インタビューなどに対する受け答えである。
勝手にそう見ていただけなのかもしれないけれど、
何年か前から、インタビューなどでマイクを向けられたときのヨシノブの反応が、
素っ気なくなっているように見えて仕方がなかった。

もともと口数の多いタイプではないし、
故障に泣かされたシーズンが続いていたから、
そうそう明るく振舞ってもいられない心境もわかる。
そして、共にジャイアンツの一時代を築いていた松井、上原、二岡、高橋尚ら、
同年代の同僚たちが次々にチームを去ったことも、
何かしら影響があるのではないかと想像したりもした。

もう自分は前に出て多くを語るような立場ではない。
そんな冷めた感じが言動や雰囲気から伝わってくる。

ところが昨年、インタビューに応じるヨシノブの表情や受け答えから、
それまでの冷めたような素っ気無さを感じなくなった。
昨シーズンのブログでも何度か書いたように、
とくにお立ち台に上がったときのヒーローインタビューでは、
とても穏やかな感じで、いつになく饒舌な応え様。
なんだか久しぶりに見た光景のようで、とても新鮮に映った。

コンディションの良さが何よりも大きかったかもしれないが、
なんとなく心にゆとりが生まれ、出で立ちにも余裕を感じる。
良いか悪いかは判らないし、
大ベテランにこんな言い方は失礼だが、
ちょっと貫禄が備わったように見える。

コーチ業を伴うようになると負担が増え、
練習時間が割かれやしないかと気になるところだが、
どなたかがおっしゃってたように、
コーチ業という時間をつくることで、
心身ともにメリハリが出来て、
よい効果も生まれるのではないかといった見方も出来る。
そうなってくれればうれしいが、
例えばちょっとしたケガやスランプなどで選手登録を抹消されても、
コーチとして一軍に帯同できるのだろうから、
試合の雰囲気から遠ざかることもなく、
調整を進められるのではないかと、いろいろ利点を探してみる。

それでも、これまでコーチ兼任となったベテラン選手の多くは、
それと近いシーズンで引退を表明している。
ある程度年齢がいってから就任するのがほとんどだから、
そんな流れも当然の成り行きではあろう。
ただ、日ハムの中嶋聡(45歳)のように、
2007年シーズンからバッテリーコーチを兼任し、
未だ現役を続けているといった稀ではあるがそんなケースだって存在する。
中日の谷繁監督(44歳)だって今季も選手兼任である。
そう考えれば、四月で40歳を迎えるヨシノブの兼任コーチも前向きに捉えられる。
専業と副業を無理なくこなす、
リズミカルな ”二刀流ヨシノブ” の姿も違和感なくイメージできる。


昨シーズンは前半で驚異的な代打成績を上げ、
夏場からのスタメン出場でも好調をキープしていただけに、
右手中指の脱臼は残念でならなかったが、
それ以上に、ヨシノブの活き活きとした姿が見れて、
見ているこちら側も久しぶりに満足感に近い感慨を味わえた。
まあ欲を言えば最後まで出ていて欲しかったけれど、
ただ、昨年のプレイが見れたことで、
ファンはまだまだ充分にいけると確信した。
ヨシノブ自身もそう感じていると信じたい。

引き際の美学などというが、
続けることへのこだわりや執念だって、
そん色なく尊い。

ここまで紅白戦、練習試合、オープン戦ときて、
まだヨシノブの実戦の機会は少ない。
G+の放送を見ていると、試合が終わった後、
外野のフェンス沿いを黙々と走るヨシノブの姿をカメラが捉えていた。
今季は例年にも増して外野の争いは熾烈である。
それでも、昨日のカープとのオープン戦、
代打で放ったライトへの大飛球で確認は出来た。
今季、2015年も、ヨシノブの流線型()は健在である。

いつだったか、松井がヨシノブに宛てたメッセージで、
こんな言葉()があった。
「とにかく、しぶとく一年でも長くやれ」。



坂本勇人のインタビューから見えてくるもの~NEXT STAGE へ挑む選手たち①

2015-02-21 23:36:06 | 2015年シーズン

今季ジャイアンツのキーワードの一つ、
”第2の野球人生のスタート”

先ずこの言葉を明確に口にしているのが坂本勇人だ。
昨年暮れの優勝旅行で原監督から新キャプテンに指名されて以来、
坂本への各メディアのインタビューは必ず新キャプテン就任の話題から始まる。
その中で坂本が決まって口にする言葉が、
”第2の野球人生のスタート”
”初心”
この二つのキーワードである。

その言葉から伝わってくるのは、
やはりキャプテンという立場への決意である。
阿部から引き継ぐという重みと、
26歳という年齢をはばかる思いを口にしながらも、
一方では、ジャイアンツというチームで、
高卒2年目からレギュラーを張ってきたという自負も見え隠れする。
ここまでのプロ野球人生、第一線で培ったキャリアは自信になっているだろう。
そしてその自信が、昨シーズン顕著に見られた、
自らがチームを引っ張るという積極的な姿勢である。
そしてその姿勢は、坂本が意識して背負う、チームに対する責任感だ。
そんな責任を、これからは明確な役割として担うことになる。
その責任がどれほどのものなのか我々には知る由もないが、
インタビューに応じる坂本の受け答えを見ていると、
しっかりとその立場を消化できるだけの意識は既に備わっているように見える。
それゆえの、原監督の指名かもしれない。

そしてもう一つ、この役割をキッカケに、
さらに飛躍して欲しいと願う原監督の思いが汲み取れる。
坂本自身もインタビューで、そんな監督の意図を意識した発言をしている。
だからこそ掲げた ”第2の野球人生のスタート”
”初心” だと理解する。

やはり、坂本のインタビューの端々からは、
この2年間、思うような成績が挙げられていない自身への呵責の思いが伝わってくる。
この2シーズン、坂本が優勝の原動力であったことに異論はない。
とはいえ、坂本のこの2年間の成績は、やはり物足りない。

先日、坂本がインタビューで印象的なことを言っていた。
それは先ごろ行われた日米野球において、
同じ代表メンバーだったある球団の選手らの雰囲気に、
とても触発されたという内容の話だった。
その選手とは福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩と柳田悠岐である。
坂本はチームメートとして彼らと共に戦いながら、
この二人のプレイに躍動感を感じていたという。
例えば打った後の、一塁まで走る姿一つとっても、
その姿勢に勇ましさと力強さがあったと印象を述べ、
坂本自身も、今季はそういったスタイルを貫きたいと決意を明かした。

坂本が松田、柳田から感じたその躍動感は、
このキャンプで原監督がテーマに掲げた ”野性味” に通ずるだろうか。

原監督がこういった意味合いの言葉でチームを鼓舞するのは、
もちろん今回がはじめてではない。
思い出されるのは小笠原、ラミレスがチームに加わり、
当時ケガ人が目立っていた生え抜きの選手らと比べ、
この移籍してきた二人のフィジカル面や精神面の強さが際立ち、
翌シーズンのキャンプのときであったろうか、
原監督は 「弱い選手はチームに必要ない。必要なのは強い選手。」
そう言って選手らに肉体面、精神面での強さを求めた。
当時、ケガに苦しんでいたり故障がちだったヨシノブや二岡をはじめとする、
生え抜きの中堅選手らにはかなり刺激になった言葉だったに違いない。

先日、CS放送の徳光さんの番組でインタビューに応えていた原監督は、
昨シーズンのクライマックスシリーズを振り返り、
とくに自軍の投手陣をこんなふうに表現していた。
「短期決戦を戦うときに、先発投手がすき間をぬって投げるような投球をしていては勝てない。
少々の槍が飛んでこようが、サッ、サッと折るくらいの(飛んでくる槍を素手でパッ、
パッと掴む仕草をして)投手でないと…」。
原監督らしい独特の言い回しだが、ようするに、
大一番で投げる投手が小手先でかわすような投球をしていてはダメ。
どんな相手が来ても逃げずに向かっていく強さが必要。
そんなところだろうか。

昨年のドラフトは、そんな原監督の心情を象徴していたような戦略だった。
1位の岡本(智弁学園高)以外、2位以下は、
最終指名(育成を除いた)の4位まで、大学生、
社会人の即戦力投手で固めた。
なかでも2位指名の戸根千明(日本大)が象徴的ではないか。
戸根はこれまでジャイアンツがあまり指名してこなかったタイプの投手に見えるが、
彼の目立った特徴といえば、なんといってもその風貌だろう。
キャンプを訪れた金田正一さんが ”だるまさん” と例えたとおり、
身長173センチ、体重92キロで胸囲はなんと115センチ。
そして、原監督が獲得を推したといわれる戸根いちばんの魅力は、
内角をグイグイ攻める強気のピッチング。
左のサイドから繰り出される速球は148キロと球威も抜群。
本人が口にするように、どんな打者にも向かっていく投球スタイルは、
原監督が求める野性味溢れる選手像にぴたりと当てはまる。
さらに3位指名の高木勇人(三菱重工名古屋)にも、
同じような期待が込められているだろう。
25歳、即戦力右腕は左打者の内角をえぐるカットボールを武器に、
やはり強気の投球をアピールする。

彼らの獲得は、明らかに昨シーズンのクライマックスSを踏まえての選択だったように思える。
高校生を多く獲得した一昨年のドラフトの影響も勿論、絡んではいるだろうけれど、
やはり昨シーズン、年間通してもろさの目立った投手陣にも、
原監督の求める ”野性味” が、今季は容赦なく反映されるはずである。

そんな原監督の要求に応えるように、
今季キャプテンに就任した坂本は躍動感を意識したプレイスタイルを一つの目標に掲げた。
以前、坂本が何かのテレビ番組で、現役の野球選手で好きなの顔?だったか、
かっこいいと思う顔?だったろうか、そんな感じの質問を受けて、
迷わず千葉ロッテの今江を挙げていたことがあった。
ワイルドな感じがかっこいいとか、選んだ理由は確かそんなところだった気がする。
ちょっとワイルドな厳つい風貌が坂本の理想のようだ。

坂本はどちからといえばハンサムで優しい顔立ち。
ジャイアンツの気風が昔からジェントルマンを指標にしているから、
あまり見た目で前面にワイルドな雰囲気はジャイアンツでは出しづらいかもしれないが、
原監督が野性味という言葉を出してきたからには、
もちろん見た目のことを言っている訳ではないにしても、
そういった要求に、即座に ”躍動感” という言葉で応じて見せるあたりが、
坂本の瞬発力というか、センスのよさというか、
また松井秀喜とは違った意味での大物感を感じるのだ。

そういえば、一昨年あたりから、よく坂本がヒーローインタビューなどの受け答えで、
インタビュアーからの質問に対し、話し始める前に先ず、「うん、そうですね…」
みたいに、アタマによく 「うん」 と付けてから話し出すのが、
なんとなく松井を髣髴させてけっこう気になっていた。
高卒入団2年目からレギュラーを張った松井と坂本は、
スター性の高い生え抜き選手といった観点からも共通点は多い。
しゃべり方まで意識していることは先ずないだろうが、
坂本にとって松井がジャイアンツの生え抜き選手としての手本であることに疑いはない。

まあ、坂本の 「うん」 と、松井の 「うん」 では、かなりトーンに差は感じる。
松井のあのハイトーンとフトコロの深さというか広さというか、
あれは彼ならではの味である。
ただ松井がそうであったように、坂本のインタビューも、
自分の言葉で、真摯に、しっかりと応えていて好感が持てる。
これに松井が併せ持っていたような特有のユーモアでも備わろうものなら、
まさに長嶋、松井ラインのジャイアンツ・スター王道の流れを坂本が踏襲してくれるのだが、
それとはちょっとタイプが違いそうだから、そこまで変な期待を寄せるのは筋違いか。
そういえば徳光さんは 「坂本はジャイアンツのジーターになれる!」 と力説していたな。


それでもやはり坂本への期待は大きい。
しっかりはしているけれど型にはまったような応えばかりが目立つそんな選手が多い中で、
坂本は自分の考えを自分の言葉できちんと話す。
球団のカラーを意識しすぎず、かといって無駄な大口やトンチンカンな軽口は品性を疑う。
必要以上に多くを語らず、もちろん無愛想にあしらうような下品な態度なども、
ジャイアンツの頃から松井は決してとらなかった。
キャプテンという新たな役割と、躍動感というさらなる積極姿勢を引っさげ、
坂本ならばきっと新しいジャイアンツのリーダー像を築き上げてくれるような気がする。

新たなステージの始まりと位置づける2015年、
坂本勇人の今シーズン。
いくつかのキッカケが坂本の心技体に相乗効果を生み、
今シーズンはどんな坂本勇人を見せてくれるだろう。