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CSを回顧する.2~カープとのレギュラーシーズン最終戦を妄想する。

2014-11-02 11:28:01 | 2014年シーズン

タイガースとのCSファイナルステージを戦うにあたり、
ジャイアンツの選手はどんな思いで臨んでいたろうか。
自信を持って戦いに臨めた選手はいただろうか。
自信を持っては、少し言い過ぎかもしれないが、
昨年のチームの力には明らかに及ばないことを知っている選手らは、
タイガースとの短期決戦をどう捉えていたのだろう。
くしくもCSを前に強い気持ちを言葉にしていたのは、
今季からチームに加わった井端と片岡のふたりである。

CSが終わってからも、選手個々の言葉はあまり聞こえてこない。
大局を総括するような原監督のコメントはスポーツ紙などで取り上げられているが、
敗軍の将、ナントカと言っている以上、
おそらく細かな部分まではこのあとも語られることはないだろう。
選手らも数日置いてすぐに秋季キャンプがはじまり、
終わったことを今さら振り返っている暇などないはずである。
それでもファントしては、選手それぞれがこの終結をどう捉えているのか、
あるいはCS前のチームの内情はどうであったのか、
やはり気になるところであり、想像も巡らせてしまう。

今シーズン、ジャイアンツに野手でタイトルを獲得した選手はひとりもいない。
投手を含めても菅野が最優秀防御率を獲得したくらいである。
投手に関しては、各部門で何人かが上位に名を連ねてはいるが、
野手に関しては、打撃部門で誰ひとり十傑に入ることが出来なかった。
ジャイアンツでは長野が.297で13位につけたのがトップである。
そんな長野が故障を抱え、唯一のタイトルホルダー、菅野が離脱。
結局、切り札となりうるヨシノブも間に合わなかった。
どこを見ても、投打に拠りどころとなるような選手はいなかった。
そんな状態での1勝のアドバンテージにどれだけの意味があったろう。
「初戦に全力を注ぎ、とにかく先に勝つこと」、
そう発言していた井端の言葉にも今となっては重みを感じる。


そんな中、何となくアタマに残っているゲームがある。
それはレギュラーシーズン最終戦となった、
10月6日のカープとの一戦である。
この試合、カープがジャイアンツを破れば、カープのリーグ2位が確定した。
それはすなわち、CS1stステージを地元のマツダスタジアムで戦えるという、
カープにとっても、ファンにとっても、悲願の大一番になるはずだった。
ジャイアンツはもちろん、この時点ですでにリーグ優勝を果たしていたから、
勝敗には直接大きな影響はない。
いずれにしても、CSファイナルに勝ち上がってくる可能性のあるカープは叩いておきたい、
それが原監督、選手らの戦前の姿勢であり、発言でもあった。

ただこの試合の勝敗で唯一、ジャイアンツに影響が出るとしたら、
どちらのチームが2位になり、どちらのチームの本拠地でCS1stステージが開催されるかということ。
要するに、どちらのチームが優位な状態で戦えるかということだ。
さらに負けて3位のCSと、勝って2位のCSでは当然、勢いに差は出るはず。
それは昨年のカープとタイガースのCSでの戦いにハッキリと表れていた。
順位や開催地以上に、勢いをつけられるかどうかは大きなカギになる。
そうなると、本拠地でやれることの大きさよりも、
どういう状態でCSを迎えられるかが非常に重要になる。
そこに、勝てばリーグ戦の順位が2位、負ければ3位という瀬戸際の心理が絡む。
しかも、先にリーグ戦を終えているタイガースは、
最終戦でカープを降して順位を待っている状態。
ジャイアンツがカープを降し、カープがリーグ戦3位に落ちれば、
CS1stステージは甲子園での戦いになる。
そうなれば敵地ということ以上に、圧倒的にカープが不利な立場になることは間違いない。
カープはすべての面において負けたくない、負けられない勝負だった。
そのキャスティングボードの半分はジャイアンツが握っていたのだ。

先にも書いたように、ジャイアンツはあくまでカープを叩くと宣言。
どちらのチームが上がってきてもCSファイナルはこれまで通りに戦うだけと、
あくまでも、強気な姿勢を貫いていた。

果たして、本意は本当にそうだったろうか。
わたくし執筆人は、この試合、出来ればジャイアンツが負けてくれないかと願っていた。
贔屓のチームを信用していないようで選手らには大変失礼な話しだが、
やはり、少しでも有利な状態でカープにはCS1stステージを戦って欲しかった。
カープが勝って2位になり、
その勢いのまま本拠地マツダスタジアムでCS1stを迎えて欲しいと願った。
タイガースには申し訳ないが、CS1stはカープに勝ち上がって欲しかったのだ。

そこには、タイガースとは出来ればやりたくないという不安があったからである。
今季の、しかも現在のジャイアンツのチーム状態では、
やはりタイガース相手では厳しい。
もちろん、カープも投打に手ごわいことに変わりないが、
やはりタイガースのほうが個々の力は高い。
しかも、勢いづいた中でのタイガースのジャイアンツ戦に向けられるエネルギーは、
今さら説明の必要もないだろう。

本来なら、接戦の、もつれた戦いが、個人的には何よりの望みではあるのだけれど、
今季のジャイアンツは、どう見てもやはり心細い。

そんなことは、おそらく原監督が誰よりも実感していたはずだ。
先の記述の通り、発言は当然のごとく強気なものだった。
しかし、その試合での先発投手が発表されると、
少し雲行きが変わったように思えた。
なんと、予告された先発は今季一軍で2度登板しただけの宮國。
菅野が戦線離脱してCS、日本シリーズでの登板が難しいとされ、
その影響で巡ってきたテスト登板だろうとスポーツ紙は報じた。
本来なら澤村の先発登板が順当だったろうが、
澤村は前の試合のベイスターズ戦で先発・小山とリレー登板。
原監督はあえて澤村を前倒ししてまで、
カープとの最終戦に宮國をもってきた。

これはそのときにも触れたことだが、
この登板の前の宮國はけっして期待の持てるような状態ではなかった。
菅野の離脱で緊急事態だったことは間違いないだろうが、
仮にその試合で宮國がいい投球をしたとしても、
そのあとの登板にまで信憑性があるかといえば、
それにはおそらく疑問があったはずだ。
結果的に宮國はその試合でいいピッチングを披露し、
シーズン初勝利を挙げることになるのだが、
そのあとすぐに登録抹消され、宮崎で登板したフェニックスリーグでは打ち込まれている。

原監督は宮國の初勝利を称え、CSに向けての選択肢が増えたとコメントしたが、
ポストシーズン登板の現実味は薄いように聞こえた。

宮國の登板を知って当初の思いから少し複雑な状況に追いやられた感はあったが、
ひどい内容にでもならない限りは宮國登板はうれしいし、
少しでも来季に繫がる投球をして欲しいという思いは、
多くのファンの願いとなんら変わりはない。
例えこの試合に負けたとしても、
久々の宮國一軍登板ならば、
それでこの試合の敗戦も言い訳が立つ。

もちろん、原監督がそんなことを狙っていたとは言わないが、
ただこの宮國登板を受けて、チームはどういった意識を共有していただろうか。
この試合に対するチームとしての本意は、実際のところ、どこにあったか。

仮にこの試合に勝利すること以上の何某かがあると仮定するなら、
宮國の投球如何、果たしてそれだけだろうか。

あくまでも、チームとしての総意は ”カープを叩く” で間違いなかったろうが、
心理的な面で、そのあとのCSが対カープ、対タイガースで違いはなかったろうか。
今季の、自軍の状態を理解したうえで、
どちらのチームのほうが戦いやすし、
そんな意識はなかったか。

とはいえゲームで手を抜くわけにもいかないから、
いずれにしてもカープ自身に頑張ってもらわないことには仕様がない。


予想以上にカープの選手が硬かったのは明らかで、
前田健太のボークがもっともそれを象徴していた。
あのまま何事もなくゲームが進んでいっても、
ジャイアンツ打線はそこそこヒットも出ていたし、
宮國も充分な内容だったから勝敗は度外視出来たろう。
カープは打線が繫がらなかったので、
そのまま1対0で決められるかどうかは難しいところだったろうが、
あの前田健太のボークによって、
ゲームの中で無意識に保たれていた不文律のようなものが、
なんとなく保ちきれずに崩れていったようにも見えた。

タイガースとの戦いまで見据えていたかどうかはさておき、
8回表のジャイアンツの攻撃でアンダーソンがタイムリー2ベースを放った際、
ホームに戻ってきた坂本と大田の笑みは、
どことなしかカープを気づかうような苦笑いに見えなくもなかった。
7回の村田修一のレフトフライで、
一塁ランナー亀井がベースに戻るのが遅れてアウトになったシーンも、
あの場面で亀井にどんな気の緩みがあったのかは探りようがない。
まさかのロサリオの好返球も見事ではあったけれど、
それにしても通常ではあまり起り得ないような、
亀井の一連の動きは何処となしかぎこちなく見えた。
もちろん、あれが故意であったなどと馬鹿げたことを言いたいのではない。
原監督に猛省を促されたプレイが実際、どんな気の緩みだったのか、
何が動きを鈍らせたのかと思いを巡らせてしまう。


仮にカープがこの試合に勝って2位となり、
マツダスタジアムでCS1stステージが行われていたとしても、
カープが優位にゲームを進められるとは限らない。
カープがタイガースに勝てる保障など何一つない。

ただ、そんな些細な可能性にすら頼らないと、
今季のジャイアンツのポストシーズンは不安だらけだった。

ペナント優勝後、川相ヘッドコーチは目に見えづらいところでの守りの功績や、
目に見えづらい戦略での勝利に胸を張ったが、
最後の最後までそれが徹底できていただろうか。

レギュラーシーズン、最後の最後での王者としての振る舞いが、
チグハグな4連敗を生んだ一端ではなかったかと妄想する。