先週の逆転2ランのときといい、今回の同点2ベースを放ったときといい、
大田が結果を出したあとの原監督の顔が何とも印象深い。
よく零れるようなとか溢れるとかそんな表現をするけれど、
17日の大田ホームランのときの原監督の笑みは完全に顔から零れ落ちて、
あとからあとから溢れかえる勢いだった。
そのあとの勝利監督インタビューでも興奮冷めやらぬ様子。
油断すると笑みが零れ落ちてしまいそうな状態で、いつになく饒舌だった。
21日の同点タイムリー2ベースのときは、うって変わって真剣な表情。
鋭い眼差しで口を真一文字に結んだまま、何度も大きく頷いていた。
両手を叩いて大田のバッティングを称える原監督に、
手放しで喜んだ一昨日のホームランのときのような高揚感はない。
結果がすべてのプロの世界、大田に向けられた視線には、
満足感よりも、その先への期待感が上回っているようだった。
優勝を争う、緊迫したペナントレースの中で、チームの一員として戦っているという実績は、
若い選手にとって非常に意味のある経験であろう。
例えば、散々粘った挙句にセンター前へヒットを放った9回の井端の打席もそう。
原監督は、あっぱれといった感嘆の表情で拍手を送った。
こういったベテランのしぶといバッティングを緊迫したゲームの中で目の当たりに出来るというのも、
一軍にいれてこその経験だ。
大田や橋本にとって、こういった経験が来季に活きてくれることをファンは願うばかりである。
試合が始まる前のベンチ風景をよくカメラが捉えていることがある。
選手らのリラックスした表情や仕草が見れて面白い。
そんな映像の中で、原監督と大田がベンチに座って仲良く会話をしているという光景は、
けっこうおなじみの映像ではないだろうか。
なんだか仲の良い親子のようで、思わず笑ってしまう絵面である。
ただ、大田が一軍にいるときにしか見られないテレビ限定の映像なので、これまでは意外とレアだった。
大田が一軍に定着できれば、そんな光景も数多く見られるようになるかもしれない。
テレビ観戦ならではの、ちょっとした愉しみだ。
今、しっかりと一軍の輪の中に立っている大田にだからこそ言える、ファン、束の間のゆとり。
余裕を持って大田を語れる日が待ち遠しい。
同点の2ベースを放った大田は2塁ベース上でバッティンググローブと肘あてを外しながら、
それを受け取りに来たボールボーイだかガールだかに向かって、
笑顔をみせながら何かひと言、言葉を発した。
「やったねぇ」 大田の口元がそう動いて見えた。
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