仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

ニッポン無責任野郎

2019年01月20日 | ムービー
『ニッポン無責任野郎』(1962年/古澤憲吾監督)を見た。
物語は、「失業中の源等(植木等)は、とにかく調子がよくて無責任な男。自分の不注意から道でぶつかった見ず知らずの男、長谷川武(ハナ肇)を、"先輩!先輩!"と呼び、まんまと只酒にありついた。長谷川が営業部長として務めている明音楽器では、宮前社長(由利徹)が引退するにあたり王仁専務(犬塚弘)と幕田常務(人見明)が後釜を狙って派閥闘争を繰り広げているのだが、それを知った等はチャンスとばかりに両方の派閥をおだてて、なんと社員として採用されるのだった。同僚の丸山英子(団令子)に結婚を申し込み、バーTOKAGEのマダム・静子(草笛光子)と長谷川、中込晴夫(谷啓)と石沢厚子(藤山陽子)の仲も取り持つ。そして、図々しさを見込まれて、長谷川から未集金1000万円の回収担当に抜擢された等は・・・」という内容。
若手で一番早く出世した中込だが、常務が新社長になれば、専務派である中込の将来はないからと、石沢は彼を袖にして常務派の会津(世志凡太)になびく。
中込晴夫「今晩いつもの所でね」
石沢厚子「私、今夜は忙しいのよ」
中込晴夫「どうして」
石沢厚子「暇じゃないから忙しいのよ」
と、とりつく島もないのだが、「そりゃあ女の幸せは結婚で決まっちゃうんですもの。慎重なのは当たり前よね」と、厚子のルームメートである英子もそれにはすっかり同意だ。
本作は昭和37年劇場公開ということで、この辺りはズバリ昭和ど真ん中の感覚なのかもしれないが、「弱い人間の中で情熱と理性が争えば、情熱が勝つに決まってるよ」と言う等には、晴夫と厚子を結びつけるそれなりの勝算があったようだ。
(^_^)
ただ、結婚後に母親うめ(浦辺粂子)と同居を始めた厚子は、結婚退職したことをすぐに後悔する。
二人の洗濯物を洗われたことが気に入らなかったようで、「働いたのに文句を言われることはないと思うよ」と、ウメとの世代間ギャップは埋まらないのだった。
まぁ、こういったエピソードもどんどん利用して自分の利益を積み上げていく等のバイタリティーには驚くばかりなのだが。
(^。^)
これは昭和37年7月に公開された植木等主演『ニッポン無責任時代』(1962年/古澤憲吾監督)が大ヒットしたことを受けての第2作目らしいのだが、第1作の主人公・平均(植木等/二役)が登場するのも面白い。

花のお江戸の無責任

2018年09月26日 | ムービー
『花のお江戸の無責任』(1964年/山本嘉次郎監督)を見た。
物語は、「古屋助六(植木等)は、母親や親戚に促され、父親の仇討のため江戸へと向かうことになったのだが、背中に刀傷があると聴いただけで、相手の素性も名前も一切分かっていなかった。それでも、"さっさと勝負をつけて半年ばかり江戸で遊んで来よう"と意気揚々と出発したのだった。ところが途中で無一文になってしまい、偶然知り合った白井村の権八(谷啓)と共に、侠客・播随院長兵衛(ハナ肇)、女房おぎん(草笛光子)の所に厄介になるのだが・・・」という内容。
幼馴染みの小紫(池内淳子)を身請けするために田舎から出てきた権八は金にうるさく細かい男だが、助六は反対に、何とも大雑把で大胆不敵な性格。
水野十郎左衛門(田崎潤)の屋敷に乗り込んで、青山播磨(有島一郎)、白柄組の加賀爪四郎(藤木悠)に拉致されたお菊(藤山陽子)の救出に成功する。
恐ろしいほどに度胸がある。
これは、クレージーキャッツのメンバー達が出演する喜劇映画(1962年~1971年/確か全30作品)の一つで、1964(昭和39)年制作・公開という初期の作品。
まるで入場行進のように吉原を行列する場面は、東京オリンピック(1964年10月10日~10月24日)を意識したものだったのだろう。
(^。^)
助六はどうにも調子の良い、超前向きな男なので、はじめのうちは厳しかった唐犬の権兵衛(犬塚弘)も、つれない素振りだった揚巻太夫(団令子)も、やがて協力的になっていく。
このように周囲の人を引き付ける魅力、そして、どんどん良い方向への流れを作っていく、導いていくというのも人間として大事な能力の一つなのだろうと思う。
(^_^)
先が読める展開ではあるのだが、そこそこ面白い作品だ。

喜劇・泥棒大家族 天下を盗る

2017年05月11日 | ムービー
『喜劇・泥棒大家族 天下を盗る』(1972年/坪島孝監督)を見た。
物語は、「昭和47(1972)年、閉山した筑豊炭田。賑やかだった炭住長屋は、すっかり過疎の村になっていたのだが、その中に、カラーテレビや電子レンジ、ルームエアコンなどの電化製品を買い揃えている長屋があった。実はこの村は、密かに泥棒村と呼ばれていた。村民二百余人はすべて血縁で結ばれ、その前科は締めて309犯。年に2億円の荒稼ぎを誇る日本一の大万引き集団なのだったが・・・」という内容。
なんとこれは実話を基にした物語で、原作は『東京新聞』に連載されていた「こちら特報部~泥棒村潜入記」(加藤延之記者)という記事なのだそうである。
長屋に住んでいる人達は皆、生活保護を受けているのだそうだが、小学4年生の谷川ノボル(石井聖孝)君の作文で、「ぼくの村は福岡からバスで2時間。昔は黒ダイヤで賑わいました。みんな古い炭住長屋に住んでいますが、冷蔵庫、カラーテレビ、ルームクーラーなどがあるので、家庭訪問の先生は驚きます」などと紹介されているのが笑える。
しかし、民生委員の桜田(桜井センリ)と新しく赴任してきた藤山巡査(米倉斉加年)が家を訪ねようとすると、スイッチ一つで歌舞伎舞台のどんでん返しのように、豪華な室内が貧乏くさい様子にあっという間に変わってしまう。
こういった仕組みが実際にあったかどうかは分からないが、テレビアニメ『ルパン三世』の第20話「ニセルパンを捕えろ!」(1972年3月5日)に似たような演出があったことを覚えていたので、これは当時(1972年)大きな話題になっていた出来事だったのかもしれないと思った。
猪狩時之助(前科20犯/植木等)を親分とする"万引集団・勝ケ瀬グループ"は、長女の猪狩冬子(前科7犯/山東昭子)と夫・門次郎(前科6犯/谷啓)、次女の横川春子(前科8犯/太地喜和子)と夫・長一(犬塚弘)、そして妹アケミ(八並映子)に時之助の世話をさせることでNo,2の座を得た流れ者の馬上千吉(前科13犯/藤田まこと)らが幹部として、東京、大阪、仙台、新潟、福岡と渡り歩く"航海"(デパートを巡る万引き旅行)を仕切っていたのだが、谷川昇作(前科8犯/なべおさみ)、大岡明男(阿藤海)、小西恒夫(小松政夫)ら猪狩と縁戚関係にない若者たちは自分たちの待遇に不満を持っており、三吉(小沢直平)とヨシ子(本田みちこ)の2人は東京の滞在費を盗んで逃げ出すし、その後「いつまでも下積みなんかやってられんぞ」とクーデターも勃発する始末。
成功するか失敗するかは別として、いつの世も、どんな世界でも、溜まった不平不満は暴動として爆発するものなのだろう。
(^_^)
新入り・草田進(岸部シロー)の教育係になった三女・大鹿夏子(江夏夕子)には、まだ前科がついていなかったものの、まぁこれも時間の問題のようだった。
(^_^;)
ただ、四女・秋子(紀比呂子)だけは村を離れてスチュワーデスをしていて、婚約したデパート社員・白川譲二(峰岸徹)を連れて帰省した際には、彼らの悪徳弁護士・大門米太郎(藤村有弘)のおかげで泥棒村の秘密がばれそうになる。
また、東京の旅館では「本日の成果、896万円!!」などと大騒ぎをしている時、女中さん(塩沢とき)に「まぁ、呉服屋の仕入れって大変ですのね」となどと言われたように、ばれないよう秘密を隠し続けるのも大変なようだった。
何にしても実話を基にしているというのが凄い。

ニッポン無責任時代

2012年03月21日 | ムービー
『ニッポン無責任時代』(1962年/古澤憲吾監督)を見た。
物語は、「会社をクビになり下宿代も払えずにいた平均(たいらひとし/植木等)は、BARで偶然に会社乗っ取りの情報を仕入れ、太平洋酒社長・氏家勇作(ハナ肇)に近付く。まんまと総務部社員として大会社に入社した均は大株主・富山社長(松村達雄)の買収工作に成功し、係長に出世したが・・・」という内容。
自分が飲んだスコッチ水割り20杯分の料金を見ず知らずの太平洋酒社員・谷田(谷啓)と大塚(犬塚弘)に言葉巧みに押し付けるなどし、BARのホステス麻田京子(中島そのみ)から「C調先生」と呼ばれるくらいにお調子者の主人公だが、無理難題を突きつけられながらも次々に調子良く乗り越えていく。
ただ、基本的に無責任な男なので煽りを食う者もいるんだが、そういう相手は悪役だったり嫌味な人間だったりするので見ている側はかえってそれが面白い。
(^_^)
1964(昭和39)年の東京オリンピックや1970(昭和45)年の大阪万国博覧会に向けて日本中が行け行けの時代だったのだろう。
調べてみると、このあとの10年ほどは植木等やクレージーキャッツのメンバーを主役にした映画が数多く作られている。