仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

喜劇 負けてたまるか !

2017年06月05日 | ムービー
『喜劇 負けてたまるか!』(1970年/坪島孝監督)を見た。
物語は、「大学を中退した寺川友三(谷啓)は、ふとしたことから知り合った黒井組の親分・黒井仙吉(高品格)の紹介で、詩人芸術協会を主催する流行作詞家・奥田斗志夫(人見明)を訪ねたが、事務員・良子(浜美枝)を襲おうとしていた男を本人とは知らずに罵ったため、弟子入りはできたものの、"水虫"という有り難くないあだ名を付けられてしまう。危ない所を助けられた良子は、友三を誘い一緒にお酒を飲み、酩酊した友三と一夜を共にするのだが、良子には銀之助(平田昭彦)という夫がいるのだった。また、友三には左右田美智子(柏木由紀子)という一方的に憧れている女性もいたが、銀之助と別れたい良子は、泣き落し戦術で友三を口説き、強引に妻の座に収まってしまう。友三は奥田からクビを告げられてしまうのだが、思い切ってラジオCMの制作会社"放送企画研究所"を起業し・・・」という内容。
詩人芸術協会には若いスタッフが何人かいるのだが、奥田が彼らを「君は天才だな。素晴らしい!!」などと言っておだてて、良いアイディアを出させているのだそうで、「みんないい気になって、アイディアを吸い上げられてるのよ」と良子は冷静に分析する。
(^_^;)
良子は随分としたたかな女性に描かれていて、「あたし、家を出てきちゃったの」とあっけらかんと言い、友三が滞納していた部屋代を全額払ってしまったので、そうなると、いくら友三が「駄目だ。出て行け!!」と言ったところで、「出ていくとすればあなたのほうですよ」と、大家はもうすっかり良子の味方だ。
(^_^)
その良子と夫婦だった銀之助もやはりただ者ではなかった。
作曲担当の越井(小松政夫)ら、社員を味方につけ、友三の会社を乗っ取てしまうのだ。
それでも、「人間、悔しい目にあった時が別れ道だ。駄目になるか、偉くなるか。ラジオが駄目ならテレビがあるさ!!これからはテレビの時代だよ」と、友三はめげないのだが、その台詞にあるように、やはりすでに映画の時代ではなかったようだ。
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日本一のショック男

2017年06月04日 | ムービー
『日本一のショック男』(1971年/坪島孝監督)を見た。
物語は、「東北の寒村・出唐子村。住人は次々に東京に出て行き、遂に巡査・日本一作(植木等)ただ一人になってしまった。それでもパトロールをしている時、かつての恋人・香川花子(酒井和歌子)にそっくりな若い女性を見かける。恋人・前川昭夫(田中邦衛)との結婚を兄・啓太(谷啓)に反対されたことを悲観して自殺しようとしたその女性・山上春子(酒井和歌子/二役)を助けた一作は、辞令が出るのが半年後であることを本署に確認し、彼女の恋の手助けをしようと上京するのだったが・・・」という内容。
バス停に向かう佐藤茶助(加藤茶)と小川三三子(梅田智子)が耕運機に乗っているのだが、明らかに歩くほうが早い。
何とものんびりした村なのだが、蒸気機関車で出発し、東京到着の際は電車という演出になっている。
この当時(1971年/昭和46年)は、田中角栄(1918年~1993年)氏の『日本列島改造論』が発表される前であるし、地方と都会の格差が相当に大きかったのだろうか。
(^_^)
春子と一緒に上京した一作は、春子に手錠をかけ、犯人護送のふりをして無賃乗車するという無茶苦茶な警察官ぶりを見せるが、それは序の口で、その後に訪ねた茶助の勤務先のキャバレー・ポルノでは結果的に無銭飲食になってしまい、働いて返すことになる。
しかも、ボーイ→フロアマネージャー→支配人と出世し、計画的に店をつぶした後は、カネマル化学・八木沢社長(北竜二)の秘書になるという"日本一シリーズ"ならではの出世劇だ。
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所々に、戦争中ではあったものの自分と花子の幸せだった頃に思いを馳せるという場面が出てくるのだが、本作は1962(昭和37)年に始まった東宝の"植木等の日本一シリーズ"、"クレージーキャッツの喜劇映画"の最終作品だったようなので、戦時体験が物語の基本を構築しているという一連の作品も、おそらくこの作品が最後だったのではないだろうかと想像する。
劇中、カネマル化学による環境破壊のエピソードが展開されたりと、すでに戦争を意識する時代ではなくなっていたのだろうと思う。

喜劇・泥棒大家族 天下を盗る

2017年05月11日 | ムービー
『喜劇・泥棒大家族 天下を盗る』(1972年/坪島孝監督)を見た。
物語は、「昭和47(1972)年、閉山した筑豊炭田。賑やかだった炭住長屋は、すっかり過疎の村になっていたのだが、その中に、カラーテレビや電子レンジ、ルームエアコンなどの電化製品を買い揃えている長屋があった。実はこの村は、密かに泥棒村と呼ばれていた。村民二百余人はすべて血縁で結ばれ、その前科は締めて309犯。年に2億円の荒稼ぎを誇る日本一の大万引き集団なのだったが・・・」という内容。
なんとこれは実話を基にした物語で、原作は『東京新聞』に連載されていた「こちら特報部~泥棒村潜入記」(加藤延之記者)という記事なのだそうである。
長屋に住んでいる人達は皆、生活保護を受けているのだそうだが、小学4年生の谷川ノボル(石井聖孝)君の作文で、「ぼくの村は福岡からバスで2時間。昔は黒ダイヤで賑わいました。みんな古い炭住長屋に住んでいますが、冷蔵庫、カラーテレビ、ルームクーラーなどがあるので、家庭訪問の先生は驚きます」などと紹介されているのが笑える。
しかし、民生委員の桜田(桜井センリ)と新しく赴任してきた藤山巡査(米倉斉加年)が家を訪ねようとすると、スイッチ一つで歌舞伎舞台のどんでん返しのように、豪華な室内が貧乏くさい様子にあっという間に変わってしまう。
こういった仕組みが実際にあったかどうかは分からないが、テレビアニメ『ルパン三世』の第20話「ニセルパンを捕えろ!」(1972年3月5日)に似たような演出があったことを覚えていたので、これは当時(1972年)大きな話題になっていた出来事だったのかもしれないと思った。
猪狩時之助(前科20犯/植木等)を親分とする"万引集団・勝ケ瀬グループ"は、長女の猪狩冬子(前科7犯/山東昭子)と夫・門次郎(前科6犯/谷啓)、次女の横川春子(前科8犯/太地喜和子)と夫・長一(犬塚弘)、そして妹アケミ(八並映子)に時之助の世話をさせることでNo,2の座を得た流れ者の馬上千吉(前科13犯/藤田まこと)らが幹部として、東京、大阪、仙台、新潟、福岡と渡り歩く"航海"(デパートを巡る万引き旅行)を仕切っていたのだが、谷川昇作(前科8犯/なべおさみ)、大岡明男(阿藤海)、小西恒夫(小松政夫)ら猪狩と縁戚関係にない若者たちは自分たちの待遇に不満を持っており、三吉(小沢直平)とヨシ子(本田みちこ)の2人は東京の滞在費を盗んで逃げ出すし、その後「いつまでも下積みなんかやってられんぞ」とクーデターも勃発する始末。
成功するか失敗するかは別として、いつの世も、どんな世界でも、溜まった不平不満は暴動として爆発するものなのだろう。
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新入り・草田進(岸部シロー)の教育係になった三女・大鹿夏子(江夏夕子)には、まだ前科がついていなかったものの、まぁこれも時間の問題のようだった。
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ただ、四女・秋子(紀比呂子)だけは村を離れてスチュワーデスをしていて、婚約したデパート社員・白川譲二(峰岸徹)を連れて帰省した際には、彼らの悪徳弁護士・大門米太郎(藤村有弘)のおかげで泥棒村の秘密がばれそうになる。
また、東京の旅館では「本日の成果、896万円!!」などと大騒ぎをしている時、女中さん(塩沢とき)に「まぁ、呉服屋の仕入れって大変ですのね」となどと言われたように、ばれないよう秘密を隠し続けるのも大変なようだった。
何にしても実話を基にしているというのが凄い。

ルパン三世

2016年12月20日 | ムービー
『ルパン三世』(2014年/北村龍平監督)を見た。
物語は、「かつてアルセーヌ・ルパンとチームを組んでいたトーマス・ドーソン(ニック・テイト坂口芳貞/声)は高齢のため引退を決め、盗賊集団"ザ・ワークス"のメンバーであるルパン三世(小栗旬)、峰不二子(黒木メイサ)、ピエール(キム・ジュン小野賢章/声)、ジロー(山口祥行)、マイケル・リー(ジェリー・イェン加瀬康之/声)ら若手に、シンガポール現代美術館に所蔵されている古代オリンピックのメダル強盗を競わせ、新しいリーダーを決定しようとしていた。一方、インターポールの銭形警部(浅野忠信)は、盗賊達を一網打尽にできるチャンスと考え、ドーソンの邸宅に張り込んでいたのだが、かねてからドーソンを恨んでいたマイケルが仲間を裏切って、彼のコレクションの中からアントニウスがクレオパトラに贈ったというジュエリー"クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ"の一部である"光の首飾り"を奪い、さらには、マイケルの傭兵ロイヤル、マリア、サーベルが邸宅を襲撃した挙句、ドーソンはロイヤルに射殺されてしまった。そして、それから1年が経ち・・・」という内容。
モンキー・パンチ(1937年~)の同名漫画を原作とした作品で、アニメはテレビ・映画ともに何作品も作られているが、実写映画としては『ルパン三世/念力珍作戦』(1974年/坪島孝監督)以来2作目とのことである。
ルパン三世、次元大介(玉山鉄二)、石川五ェ門(綾野剛)、峰不二子、銭形警部という主要登場人物達の活躍を描いているわけだが、次元と五ェ門はこの実写作品では初対面。
随分と時代を遡った物語なので、いうなれば"エピソード・ゼロ"という感じだろうか。
(^_^)
アニメと変わらなかったのは「あの女は信用できない」という次元に対して、「裏切りは女のアクセサリーのようなものさ」と言うルパン。
おそらくこれは、原作漫画が連載開始になった1967(昭和42)年以来、まったく変わらない部分なのだろう。