仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

叩き蟹 / 三遊亭圓窓(六代目)

2018年12月12日 | エンタメ
落語『叩き蟹三遊亭圓窓(六代目)。
噺は、「日本橋。名物・黄金餅を売る小銭屋という餅屋の主人が、餅を盗もうとした子供を取り押さえ、折檻しようとしていた。通りかかった老人が子供から事情を聞き出し、一緒に謝ろうとするのだが、主人は許さない。"それじゃ私が勘定を払ったらお客だね"と、子供に餅を食べさせ、土産も持たせたのだが・・・」という内容。
老人の言葉に一切耳を貸そうとしない店主は、「情けは人のためならずって言うだろ。無駄になるから嫌だね」と言う。
そこで、子供に餅を三皿食べさせ、さらに土産に七皿も持たせ、お金を払って客になるという面倒な段取りを踏んだ老人だったが、なんと懐に財布がなかった。
(^_^;)
これで再度の立場逆転になってしまったのだが、子供相手には強気だった店主も、老人相手ではさすがに折檻はできない。
さて、演者の六代目三遊亭圓窓師匠は、八代目春風亭柳枝(1905年~1959年)師匠に入門したが、師匠の逝去により、六代目三遊亭圓生(1900年~1979年)師匠の弟子となった。
昭和45(1970)年から昭和52(1977)年までテレビ番組『笑点』の大喜利メンバーとして活躍していたのをうっすらと覚えているが、圓窓師匠が顧問をしていた青山学院大学落語研究会の中から、兄弟子・五代目三遊亭圓楽(1932年~2009年)師匠の鞄持ちを募集したらしいのだが、選ばれた一人が、現在の六代目三遊亭圓楽師匠なのだそうである。
縁というのは面白い。

転失気 / 桂文治(十一代目)

2017年11月22日 | エンタメ
落語『転失気桂文治(十一代目)。
噺は、「あるお寺。2~3日身体の調子がすぐれないという和尚を往診した医師は、下腹部の張りが気になったことから、"和尚さん、転失気(てんしき)はございますかな"と訪ねた。何を聞かれているのか分からなかった和尚だが、知ったかぶりをして、"転失気はございません"と答えたものの、医師がそれを踏まえて薬を調合するというので、不安になる。そこで和尚は、物知り小僧の珍念を呼んで、それとなく尋ねるのだが、珍念も何のことか分からない。困った和尚は、薬を取りに行かせるついでに、門前の雑貨屋や花屋で"転失気"を借りてくるように命じるのだったが・・・」という内容。
これはとても短い噺で、10分ほどの長さしかなく、随分と分かりやすい展開。
エンターテインメントなので強調はされているのだが、この和尚のような、知ったかぶりをしてしまう人というのはどこにでもいることだろう。
(^_^;)
当代の桂文治師匠は、多少しゃがれ声なものの、活舌が良いので聞きやすい噺家さんだ。
そして、この"桂文治"という名跡は、"止め名"ということであり、江戸の落語では、古今亭志ん生三笑亭可楽三遊亭圓生春風亭柳枝林家正蔵柳家小さん等と並び、同じ亭号の中の最高位の名跡なのだという。
初代桂文治は200年ほども前の人のようで、随分と歴史を感じるのだった。