露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

伽藍石の据え付け

2015-02-25 22:30:50 | 庭仕事
3か月ぶりに現場に復帰しましたら紅梅と白梅が咲いていました!


梅は風情がありますね! 香りもほのかで気品があります。

病気や害虫を心配されることも多いですが、日当たり、風通しの良い場所で育った健康な状態の老樹はほとんど病気しません。

幼樹のときは旺盛に伸びようとするので、病気や害虫にもあいますが、人間と一緒で樹もそんなことを経験しながら強くなっていくのです。

むやみに病気や害虫を怖がるのではなく、樹種にあわせて病気や害虫を発生させる環境をさけて植えつけることが大切です。




こちらの梅は年数をかけて剪定でふんわり仕立てて行く予定です。




今日は待ちに待った伽藍石の据え付け。


「伽藍石」ガランセキとはお寺などの大きな建築物の柱の基礎石として実際に使われていた石です。

コンクリートのない時代、建物を支えるため大きな石を加工して使っていましたが、先人の技術と美意識には頭が下がる思いです。

主に飛び石の踏み分け、景石として使われます。






一年前の三月、京都の資材やさんで親方が選んで来られた伽藍石。



最近では造園用資材として作られた小ぶりなものも出回っていますが、

こちらは本当にお寺の柱の基礎石として使われていた歴史ある滋賀県の伽藍石です。


お餅のようにふっくらと手掘りで彫り込まれたラインが美しい!




大きさを強調するため、建物から離さず近景を作ります。







滝口の石組調整。



O先生、Y子さま、長らくお伺いできず申し訳ありませんでした
年末のぎっくり背中からバラ苗の植え替えに突入したため、3か月ぶりにお会いできました。

お元気そうなご様子に安心しました!
やっと新年のご挨拶ができました!





古材の板石も少し詫びて馴染んできました。


工事がスタートしてから丸一年が経過しました。

親方がコツコツと作る庭は冬から春へと表情が変化し、完成に近づいています





松の剪定と消毒終了!

2015-02-24 22:11:13 | 庭仕事
半年前からお声を掛けて下さっていたお宅の松の剪定が終わりました。



数年剪定を飛ばしてしまったため、内枝は枯れていましたが雄大な曲の素晴らしい松でした。





写真はありませんが、この他にも6~7mの立ち松と門掛け松、小ぶりでも仕立ての良い松等、松だけですが時間がかかりました。



長らくお待たせしてしまいましたが、とても喜んで下さったので一安心



剪定が終わった枝には小鳥たちが集まってきます。

メジロを観察していると、松の芽の切り口から出てくる樹液を吸って回っているのでした。

真ん中あたりにいるのがメジロ。


ジョウビタキ


エナガは必ず集団でやってきて大騒ぎ。




剪定していると通りかかりのおばちゃんからキムチを頂きました


あまり辛くなくてやさしいお味ありがとうございました



のどかな沼隈・・





植木とバラの消毒、石灰硫黄合剤と施肥もあらかた終了しました。



昨年11月より、別現場と剪定、新店舗の準備に追われていましたが、

明日からなんと!3か月ぶりに岡山の現場に復帰します!!




親方がコツコツ進めておられた庭が、どんなに変わっているのか楽しみです~~


明日から朝が早いので、今日は早く休みますね、おやすみなさい



山桜の移植。

2015-02-22 20:34:19 | 庭仕事


今日は朝から雨がパラパラ降っていましたが桜の移植、無事に終了しました。

湧水が流れるお寺の境内から小高い丘の上に移植。

境内は重機が入らないので二人で手掘り・・ガラ土に手こずりました





丘の上は好きなだけ大きくなれますが、風や日当たりは今までよりも強くなります。

土壌も改良しましたが、しばらくは水やりが必要です・・やってもらえるだろうか・・。





親方が桜に向かって一言。


「がんばれよ」


夕方から土砂降りになったので、桜にとっては恵みの雨になりました






保育園の手すりとベンチのリフォーム(アコヤベンチ)

2015-02-11 20:52:20 | アコヤの施工例
昨秋リフォーム工事が完成しました保育園の庭。



ベンチの座板には外部で強いアコヤ材を使用。
地上で50年もつといわれるアセチル化木材です。
ノンビス工法なので肌にビスが当たることもありません。



手すり部分もアコヤ材を使用。
角を面取りしてあるので手にもやさしい


既存の鉄骨柱とアコヤを止める金具はフジオさんに依頼!特注で作って頂きました。



7年前、完成しました保育園の庭。
子どもたちが触れるものなので、なるべく自然素材を使ってほしいという施主様のご要望でした。


完成当時の様子、座板は杉材。



手すりは天然木。






天然素材はナチュラルで風景に溶け込みますが、どうしても経年で傷みが出てきます。

今回のリフォームにあたって、子どもたちの安全とメンテナンスを考慮すると擬木のほうが良いのか悩みましたが、

ベンチに座って遊んだり、手すりをつかんだりした時に受け取る感覚は大きく変わります。

落ち葉が降り積もったり、斜面からの排水で傷んだりとベンチにとっては過酷な環境ではありますが、

アコヤならやってくれる!!と信じてベンチに使用しました。

もちろん、無塗装です。











施工中、子どもたちが下の園庭から興味津々で話しかけてきます。

おじちゃん、おばちゃんコールとなんでなんで質問


日曜日にはお散歩中のガアガアさんも寄ってきます。




ベンチの間の植栽スペースにはランタナが植わっていましたが、夏に暴れすぎるため花壇に植え替え、

かわりに2センチほどの小さな花をつける四季咲きナデシコを植えました。





施工後、一か月ほど経って暖かい日に伺ってみると、ベンチの上で日向ぼっこしてるネコに出会いました。

ベンチの上にはヨーグルトのカップが二つ置いてあったので、中をのぞいてみると、

水を少し入れた中に小さなナデシコの花がそれぞれ一輪入ってました。





落ち葉に埋もれてひょっこり咲いたナデシコを摘んで、カップに水と花を入れた子どもたちの姿を想像してほっこり




保育園で遊ぶ時間が楽しい思い出になりますように





アコヤ材他施工例はコチラ


団地の中の「夏木立の庭」

「アコヤの無塗装デッキ完成しました」











天然川石の延段

2015-02-08 22:35:36 | 庭仕事
先週より親方は岡山の現場を再開しました!


O先生、長い間伺えず大変申し訳ありませんでした


親方は集中してできる環境にしてから伺うと決めていたようでしたので
福山の現場に専念して参りました。

私は福山の現場が終わった後も新店舗準備のため、岡山について行けませんでしたが、
先日、現場の親方からメールで画像が届きました



4日かかって川石の延段が完成したそうです!






う・美しい!!!


手前みそになりましょうか・・でもこの苦労がわかるだけに感動!!

石の合端を合わせるために選りすぐるのですが、用意した石の三分の一ぐらいしか使えなくて、
あとの三分の二は延段には使えない石だそうです。





川石は全て天然、岡山県高梁川産と京都で仕入れた鉄錆石です。

昨年のお正月明けに、高梁川の採石場で朝から晩までかかって選り集めた備中石。


延段用の小さい石は私がせっせと集めました。
石は小さく見えますが一個がずっしり重く、ヒーヒーフーフー
まん丸なのは結構あるんですが、延段や差し石に使うような角のあるものはなかなか見つかりません。


親方は巨大な石山の上によじ登り、前石や役石、飛び石になりそうなサイズの石を集めておられました。
川石は投げ落とすと傷がつくので、重い石を抱えて降りたり上がったり・・・。

「ウブじゃから傷つけちゃあいけん」

ツルツルで滑りそうな川石の山から落ちなくて良かった


さすがの親方も帰りは足がガクガクになっていました。





天然の川石は業者の方にお金を払って購入します。

「トラックいっぱいになるまでつみゃーえーがー(積んだらいいよ)」と言ってくださるんですが、

一日中集めても三分の二にも満たないぐらいの量にしかなりません



現在は川石の採石は禁止されていますので、今ある在庫で終了です。

いづれはどんなにお金をつんでも手に入らない貴重なものになります。





石選びや石の合端を合わせるために時間をかけ、想いの詰まった延段になりました








団地の中の「夏木立の庭」

2015-02-03 01:24:32 | お庭の施工例


先日完成しましたM邸、団地の中の「夏木立の庭」




今は真冬ですが、夏の庭で子どもたちの思い出を作れたらという思いから構想を膨らませました。



春秋は外で楽しいのは当たり前ですが、夏こそ植物が旺盛に茂り、虫や生き物が活動する一番楽しい季節!

昔の夏は子どもの楽しみが溢れていましたが、最近の住宅事情や温暖化、綺麗好きで虫嫌いの親が増えたせいか、

夏は冷房の効いた部屋に閉じこもってゲームに熱中する子どもたちが増えています。


ゲームより自然観察を!

冷房より木陰の涼しさを~!

庭にプールを出して遊ぶ~遊んだ後の水で庭の植物に水やりして植物を喜ばせる。

コンクリートや真砂土だけの炎天下ではプールも暑いです。

水遊びで熱中症になるやもしれません


真夏に安心して外で遊べる環境を庭の中に作れたら子どもたちは楽しいだろな。



夕方には家族でデッキで夕涼みしたり、テラスでバーベキューや花火。

毎日聞いてる虫の声が夏の虫から秋の虫に変わっていく瞬間にもYくんは敏感に気づくんだろう。




施主様ご夫妻の育児に対する考えにはとても共感します。

長男のYくんはジブリの作品の中から抜け出してきたみたい!純粋でエネルギーに満ち溢れた男の子です。

工事の間中親方と私はYくんの笑顔と言葉に癒され、毎日新しい発見がありました。

本当にピュアで可愛くて大人顔負けに頭の回転が速い!Yくんロカゲキに登場してほしい~

次男のAちゃんは最初の打ち合わせのころにはまだハイハイもできませんでした。

コロコロ転がって膝元にニコニコできてくれていましたが、半年でみるみる成長!!

スピードハイハイと段差の上り下り、伝い歩きでアコヤデッキとパーゴラベンチを移動できるようになりました。



育った環境で子どもたちの感受性は大きく変わると思うので、これからも庭が感性を育ててくれることを願います







沓脱石は親方のノミ切り御影石。



犬走りのコンクリート下打ち。


ミキサーが入らないので手練りです。




テラスの縁石加工。親方の好きな石仕事。






犬走りの三和土風仕上げ。
すぐに固まる材料ですが、低温のため中々硬化せず、夜10時すぎまでかかってなんとかカキ落とし終了


カキ落とした後に水洗いしますが、水洗いを始めたころから雨が降り出しました。
ギリギリセーフで間に合いました




御影石の縁石を据えた中にアンティーク鉄錆レンガを敷き並べます。


目地が入るとこんな味のある風情になります。






濡縁風デッキは外部で無塗装でも強いアコヤ材を使用。



経年で色はグレイになっていきますが、塗装のメンテナンスフリーの天然材のデッキです。

急ぎの無理を聞いてくださった大工のモリさん、ありがとうございました!


アコヤデッキについての施工例他記事はコチラ





デッキの上でお勉強。




お絵かき・・・おっこちないでね~



今度はパズル



二人でお絵かき




パーゴラはウエスタンレッドシダーを使用。
さりげなく目隠しの役割とつる性植物を這わせて夏の木陰を作ります。


アンティーク仕上げにするため、塗装は2色使い、4回塗り重ねます。


下地のブラウン塗料。

剪定が終わって帰ってきてから里山工房で夜の部、材木の塗装スタート。

ブラウンが乾いた後仕上げのホワイトを二度塗りします。


パーゴラ組立、サンの取り付け。



木目を出すように布ペーパーで表面をこすります。


幕板は木目の綺麗な高温乾燥材サーモウッドを使用。
外部に強く反りや割れが入りません。


親方の表面仕上げに興味津々の二人








キャ~~可愛い~~~






パーゴラには2,5mのウィーピング仕立てのコーネリア。

春が楽しみ



ブルーベリーにも期待が高まっています。




花壇の植栽。お客様を迎えるシンボルに奥様の優しいイメージにぴったりのライラックを植えました。





親方とYくんの共同制作のベンチにちょこんとすわるAちゃん。
水やりに夢中のYくん。


Yくん制作のプレゼント


飛び石。



飛び石から延段。春には緑に芽吹く小道。



春に芽吹いて夏にはデッキにもパーゴラにも木陰ができる。

団地の中ではお隣や近所にはみ出して成長しては困りますよね。

そんな団地でも樹をたくさんは植えられなくても、木陰を作ることはできます。


少ない樹でも夏木立の中にいるような緑に覆われた空間になっていきますように・・



Mさま、剪定と別工事で当初より工期が長くなり、ご迷惑をおかけしました。

いつも笑顔で温かく迎えてくださって、ありがとうございました!!

これからもYくんとAちゃんの成長と庭の植物の成長を楽しみに折々訪ねてみますね