露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

庭師と野鳥博士とキノコ名人

2010-02-18 01:55:04 | 庭仕事
今日は昨日の続きです。

水鉢にかかる栗の木の筧が、年数とともに朽ちて水が漏れてしまうため、
こちらも新たに作り直します。


今回使うのは、肥松。
雄雄しく風化した肥松に少し手を加えて水を通します。
水の落ちる位置や、溜めしろの調節など、慎重に削って行きます。


肥松と格闘中...。







格闘中....。




お師匠は格闘中ですが、鳥たちは怖がらずにたくさん遊びに来ます。
肥松にはジョウビタキがちょんちょん飛び乗ってみたり...。

カワラヒワやメジロの集団も...
可愛い!可愛すぎる小鳥たち

慌てて携帯カメラで撮影してみるんだけど、やっぱり綺麗には撮れないなー。
野鳥が撮影できるカメラと腕が欲しい。






私は山育ちです。小さい頃から山が遊び場でした。

今でも時々ふらりと歩きにいきます。
たぶん、お気に入りのカフェに立ち寄るとか、露天風呂に入りにいくとか..そんな感覚に似てるかな。

時々無性に山の中を歩きたくなるんです。
あの大地のエネルギーを充電しに行くというか。

日常生活のもやもや感をリセットしたいときにおすすめです





山に入って歩いていると、自然樹形の樹木の重なりや、
ササやシダ類のしっとり感に夢中になります。

植木として平場で作られた樹木にはないやさしさや、
隣り合う樹木との関係にただただ見入ってしまう。



そんな樹木の間を鳥たちが飛びまわり、四方八方から聴こえる
さえずりに幸せ気分いっぱいになります

立ち止まっては上ばかりみて、さえずる声の主の姿を探します。



そんで秋には下ばかり見て歩く
あっちこっちにキノコがいっぱいだから、キノコに夢中~



野鳥に詳しい野鳥博士とキノコに詳しいキノコ名人が居ればな~といつも思います。


居ればな~じゃなくて、自分がなればいいよね。
今年は野鳥とキノコの観察日記をつけよかな。

写真もいいけど、スケッチに色鉛筆か水彩で色をつけると最高です。






そんなこと考えながら片付けしてる間に、お師匠の筧も完成!

水鉢の周りにシダやセキショウなどの下草を植えて、、
今日の作業は終了です




今日も一日お疲れさまでした!





もう、眠いよ~











四ツ目垣と袖垣

2010-02-15 22:40:34 | 竹垣
突然ですが、

「竹垣」...大大大好き!! なんです。


最近は個人邸ではあまり見かけることはなくなりましたが、あの凛とした姿は庭の空気を変えます。
「竹垣」って一口に言っても、いろんな手法があって、オリジナルや創作竹垣も合わせると無限に夢が広がります。

でもやっぱり四ツ目垣は素敵!
シンプルだけど、一番好きだな...。
青竹の清々しさも他に例えようがない気持ちよさです。




今日は古くなった四ツ目垣と袖垣の修復作業です。






気合を入れる今日の手ぬぐいは、かまわぬの「しだれ梅」
冷たい朝の空気に地下足袋と手ぬぐいで気持ちが引き締まります。

早起きでちょっと眠いけどがんばります




お師匠が寸法をとっている間に竹の準備。
切った竹から洗っていきます。



竹は藁でこんなして洗います。


この作業、竹好きの私でもさすがに冬はツライ...
丁寧に洗うと結構時間がかかります。
手が冷たくなりすぎて感覚がなくなるよ~。
でも無心でできるので、心の中はかなりクリアな状態です。






それでは、四ツ目垣の手順をご紹介しま~す


まず、枝折戸の幅を計算して、柱を埋め込みます。

次に柱に胴縁を留め付けます。




胴縁に立子をかきつけて、シュロ縄で結束します。






私の大好きな繊細な袖垣
胴縁はナンテン、立子は青竹の先端を使用しています。






枝折戸を取り付けて、
四ツ目垣と袖垣完成ーー!






換気口の蓋と柄杓置き(?)もお師匠が作りました。
柄杓置きは竹をバーナーであぶって油を出させるんだって..!
初めて知りました。
なるほど~!磨いたらつやつやです









長くなったので、ここで一旦終わりますね。
続きはまた明日書きま~す





私の好きな匂い

2010-02-06 02:59:08 | 日記
季節をいち早く感じる花の匂いっていいよね
ロウバイ、白梅、水仙、沈丁花、、、お庭の中に香りの花木があると、朝窓を開けるのが
楽しみになります。

お庭のお花も素敵ですが、山の中を歩いてるときに、遠くからかすかに漂ってくるやわらかい匂いに、
何ともいえず癒されます。
何の匂いだろうとキョロキョロしてみるんですが、それとわかる花が見当たらないのも
奥ゆかしくていいな~。



さて、今日は大きな桐を伐りました。



木の上のお師匠。





すごく強い意思をもった桐の木には、お神酒とお塩をお供えして手を合わせてから伐らせて頂きました。
この荒れた土地を元通りの美しい空間にしていきたいと思います。
最後まで事故の無いようお守りください...。




伐った枝を燃やしていきます。
枯れ草やヒノキは一瞬で燃えちゃいますが、桐はなかなか燃えません

すごい煙よー。
エホッエホッ。




木を燃やす匂いっていい匂い野焼きの匂いみたい!

野焼きの匂いって、大好き
大好きだから夢中で火の番をしていたら、煙がすごくて私が燻製になりそうでした。



う~、涙と鼻水がとまらん






ここは40年以上前に、食用ミミズ(げーなんだそりゃー)を飼っていたそうです。床下で鶏糞を燃やした熱を利用してたらしいよ。
今で言う床暖だね。
昔の基礎が二重構造になっているので、解体してでてくるブロックの数が大量です。


横から見たら、こ~んな感じ。




でもだいぶん先が見渡せるようになりました。












平成22年2月2日 いよいよスタート!

2010-02-04 12:40:03 | 日記
朝から晴天に恵まれたこの日を特別な思いを持って迎えました。


この土地の所有者であった方のお墓と、土地の神様に手を合わせて
工事の無事をお祈りしました

今日の日を原点として、この初心を忘れないようにがんばります!



いよいよ、事務所建設のための第一歩、整地作業に入りました。

寒いけど快晴




たくさんの木を伐ったため、桐の木がかなり怖がって空気がざわつき始めました。
木は意思を持った生き物であることを改めて痛感します。

一番大きな桐とは、初めて会ったときから約束していたので、伐った後は
私の身近に置ける家具に形を変えてもらいます。



お師匠、よろしくお願いします
捨てないでね



そうそう、桐の木って、コウモリガの幼虫のおうちなんですよ。
まだどの子にも入られていない桐の木を探すほうが大変..ってぐらい、
もれなく入居していたようです。

中には一本の木の幹に2~3個の穴が開いてるものもあります


んんん~~っ。
虫苦手な方にはリアルで怖いかも...







羽化して出た後の抜け殻の様子です。




草を刈ったり木を伐ったりと作業をしながらも、
しゃがんだり寝転んでみたりと観察に夢中の私。
ふふふ..お師匠に怒られないのをいいことに、土地の空気を満喫しています。




草を刈った後の地面の虫を探しにジョウビタキが遊びにきました。
ジョウビタキは、日本で越冬する渡り鳥の代表なんですが、
オスは橙色のおなかが美しくて目立ちます。

この鳥、人なつこくて、庭の土壌改良や植え替えなんかをしていると、
必ず一番に来てくれます。
今まで一人で孤独に作業しているとき、どんなに慰められてきたことでしょう

おおーーーきな声で鳴いて警戒しているのも、私にはラブコールに聴こえます。
ちなみにメスは地味なんですが、ころりんとしててか~わいいんですよ




あっ!!
あっちに白梅発見!!

どの木もつぼみが膨らんできたな..と思っていたら、
一輪だけ咲いてる



ご紹介します、この子がこの辺りで一番敏感な子です。




もう春だね~






おっと、お師匠こっち見てる。
仕事仕事...。


...とか言いながら、猪の掘った穴に入ってみたりして。
は~~!楽しいな~♪





遊んでばかりに見えますが、私以外のところは進んでます。


次回、また現場の報告しますね






雨の中の材木やさん

2010-02-01 04:28:04 | 日記
今日は朝から霧雨です
夜のうちから降ったらしく、地面もかなり濡れています。



予定していた植木の植え替えが出来ないので、
材木やさんに下見に行ってきました。





木って不思議ですね...。
伐られた後も木の意志というか、強い生命力を感じます。
この勢いと、猛るような生命力を庭に使います。




それにしれも...。
雨に濡れるのも気付かないぐらい、夢中で見ているお師匠

頭の中に広がる庭に、どの木が組み込まれていくのでしょう。





ちなみに、私は雨が大好きです。
植物たちの喜ぶさまが五感を通して伝わってきます。

ちょっと変かもしれませんが、雨に濡れながら山道を歩いていると、

「ああー!今、生きてる~!!」って、実感するんです

土砂降りも好きですが、やっぱりしとしと雨がいいよね。
雨音を聴きながら眠るのは気持ちいいし、読書も最高





最近、庭の苔貼り作業をしていて気が付いたんですが、苔に降る雨は静かです。
かなり勢いのいい雨足でも、苔は吸収するんですね。
音もザアザアではなくて、しとしと...。



昔と比べると、優しい雨が少なくなったのは、
雨のせいだけではなくて、受け止める側の地面の問題なのね。


...なんて考えながら、深呼吸して雨の空気を吸収してみるのでした。




私も苔を見習わなきゃね。
いろんな出来事や感情をやさしく受け止められる人になりたいな