二銭銅貨

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一人息子

2010-12-02 | 邦画
一人息子 ☆☆
1936.09.15 松竹、白黒、普通サイズ
監督:小津安二郎、脚本:池田忠雄、荒田正男
原作:ジェームス・槇
出演:日守新一、飯田蝶子、坪内美子、笠智衆

ぐったりと疲れて、
本当に疲れて、
精神的に疲れたんだろうな、
いつも元気で、
何でも平気なんだけれど、
何か気が抜けたように、
何か魂が抜けたように、
とぼとぼと壁ぎわに歩いていくと、
陽の当たる壁の台の部分に腰をおろす。
ぐったりとうなだれる飯田蝶子は、
それでもちょっと疲れただけなんだ。

劇中、飯田蝶子が映画を見ていて居眠りをするシーンがある。映画は「未完成交響楽」。シューベルトの恋人役カロリーネが歌っている所と、彼女が麦畑のような背丈ほどもある草の中を走って逃げるシーンを長めに使っていた。マルタ・エゲルトばかり写っているシーンだ。小津さんのお気に入りなのかな。

小津監督の初のトーキー。長野の製糸工場のガラガラ言う音、東京の借家の隣の工場の機械の音をかなり意識的に使っていて、ややとげとげしい緊張感を作り出していた。

ジェームス・槇は小津安二郎のペンネーム

10.11.23 神保町シアター

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