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オンディーヌ/ロイヤル・バレエ2009舞台撮影

2010-05-23 | バレエ
オンディーヌ/ロイヤル・バレエ2009舞台撮影

2009年上演
作曲:ヘンツェ、振付:フレデリック・アシュトン
指揮:バリー・ワーズワース
出演:オンディーヌ:吉田都、パレモン:エドワード・ワトソン
ベルタ:ジェネシア・ロサート、ティレニオ:リカルド・セルヴェラ

ゆるやかな風にゆっくりと乗って流れる空気、
薄水色の静寂な水面に、
薄緑色のかすかなもやがかかるように、
オンディーヌは立ち、歩き、座り、そして水に戯れて、
無邪気に妖精の気をあたりに放射している。
なぜか、その、あたりに散らばる音楽はハープで、
なぜか、その、オンディーヌはバレエ足だ。

柔らかいゆっくりとした印象の吉田都。端正で思いやりのある、でもちょっと冷たいところのあるエドワード・ワトソン。恋敵のジェネシア・ロサートは元気良く、小気味良く、活発で、直線的な若い娘を良く演じていた。ただ、ご本人は若い王子の母親くらいに見える方なので、ずっとそう思って見ていた。やけに息子に色目を使うへんな母親で面白い演出だなどと思ってしまった。リカルド・セルヴェラは海の王の役でダイナミックに強い踊りを踊っていた。最後の方で出て来る劇中の舞踏団の踊りのカップルも強くて活発でキビキビした踊りで楽しかった。

劇のラストは、死んで横たわっているパレモンをやさしくいたわっているオンディーヌの哀しい姿。パレモンが死ぬなんて結末は可哀相すぎるので、なんとかして生かしておいてやりたいと思った。

オンディーヌはブロードウエイのミュージカルになっていて、1954年にオードリー・ヘップバーンとメル・ファーラーの共演で上演されている。彼女がどうしてもやりたいと熱望してやった役だそうだ。バレエのオンディーヌの今回のバージョンは1958製作のようなので、このミュージカルの後になる。主演の2人が似ていると言うほどでは無いけれども、この2人はちょっとオードリーとメルみたいな所があって、見ていて当時のミュージカルもこんな風だったのだろうかと思った。

もともとオードリーはバレエをやっていて、プロを断念して踊り子から女優になった人だから、多分、オンディーヌのバレエなんて、もしできたらやって見たかったんだろうなと思った。「初恋」では彼女のバレエが少し見られるし、ミュージカルでは「ファニーフェイス」、「マイフェアレイディ」がある。オンディーヌ風映画に「緑の館」があり、この最後は原作が悲劇なのにハッピーエンドになっている。ひどい改作だと思ったことがあるけれども、でも悲劇は哀しいから、最後は芸術性を無視してでもハッピーエンドのほうが良いのかも知れない。

10.05.15 109シネマズ川崎

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