二銭銅貨

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武蔵野夫人

2006-12-11 | 邦画
武蔵野夫人  
1951.09.14 東宝、白黒、普通サイズ
監督:溝口健二、脚本:依田義賢、原作:大岡昇平
出演:田中絹代、森雅之、片山明彦、轟夕起子、山村聡、進藤英太郎

取りすました、
気取った雰囲気の中で、
溝口健二がねこを被っている。
いつものクレーンでのダイナミックな構図や
カメラワークは随所に見られますが、
ねちっこさ、ねばっこさ、強さ、辛さは
あまり強く出ていません。

田中絹代は武蔵野夫人、
武蔵野、そのもの。
やさしくて、清潔で、自然にのびのびと、
あるがままに素朴に生きています。
そういう純で無垢な役です。

失われつつある武蔵野の自然への惜別。

大岡昇平のやや理屈っぽい物語を背景に、
人々の茨のような心を写し取ろうとする溝口健二、
健気さを健気に演じようとする田中絹代。
三人三様といった感じのする映画です。
06.12.02 NFC


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