二銭銅貨

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08国立劇場2月/二人禿、ひばり山姫捨松、壺坂観音霊験記/文楽

2008-03-10 | 歌舞伎・文楽
08国立劇場2月/二人禿、ひばり山姫捨松、壺坂観音霊験記/文楽

(第2部)
二人禿(ににんかむろ)

 明るい日差しの中、2人の少女の遊びを踊りにした出し物で、羽根つき、手まり、やんちゃで元気な楽しいひととき。それに美しい赤の衣装。2人の禿。人形は勘弥、清三郎。


ひばり山姫捨松(ひばりやまひめすてまつ)
中将姫雪責の段

 どーん、どーんと降る雪の、断続的に天井から、ばらばら、ばらばらと、降る雪の、細かい白い紙の雪、ひらひら落ちる紙ふぶきの、その下で、じゃらじゃら、じゃらじゃらと、鳴る、情け容赦の無い割り竹の音、2人の奴の振り上げる、2本の割り竹。姫様の打ち掛けを剥ぎ取られ、白無垢になって、ひざまずかされ、折檻に耐える中将姫。痛い、寒い、切ないと思うけれども、それでも、義理の母親に謝罪する中将姫は健気で、奴の持つ割り竹にも憐憫の情が浮かぶ。義理の母親、岩根御前の打ちおろす割り竹には容赦は無く、厳しく冷たいが、それでも中将姫の善良なこころねには、すこし手加減しているようには見える。2人の侍女のやさしい心、おもいやり。降る雪にも、優しい心づかいがあって、劇場全体を柔らかく包みこんでいる。
 人形は中将姫が文雀。薄く混じりけなの無い、純白な姫の心、それでいて薄く赤も入っているような情熱も感じられる。純情だけれども、高貴で強い、気の強い側面もあって、さっぱりと、きっぱりと、シャープな印象。すっきりとした中将姫、柔らかく降り積もった雪と良く調和している。

壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき)
土佐町松原の段
沢市内の段
山の段

 出だしは蓑助のお里が裁縫をする姿。熱心に集中して縫い上げるその姿は職人のようだ。しっかりものの女房のお里。夫は目の見えない沢市。人生経験の少ない若者で、弱気なところと気の短いところとあるけれど、純情な若者だ。動きが活発でストレートだ。
 薄黄色く、こがね色とも言うべきか、ボーッと出てくる観音様が優しい。敬虔な信心のこころ。素朴に奇跡を願うこころ。
 沢市は勘十郎。
08.02.23 国立劇場


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