二銭銅貨

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くちづけ

2009-03-09 | 成瀬映画
くちづけ  ☆☆
1955.09.21 東宝、白黒、普通サイズ
監督:筧正典(第一話)、鈴木英夫(第二話)、成瀬巳喜男(第三話)
脚本:松山善三、
原作:石坂洋次郎 『くちづけ』『霧の中の少女』『女同士』
出演:青山京子、太刀川洋一、杉葉子(第一話)、中原ひとみ、
司葉子、小泉博、藤原釜足、清川虹子、飯田蝶子(第二話)、
高峰秀子、上原謙、中村メイ子、小林桂樹、八千草薫(第三話)

第1話は大学のキャンパスを中心にした
若い女子大生と男子学生の恋物語。
この2人の会話が中心で物語が進み、
妙に理屈っぽく観念的に恋愛を議論する。
でもやっぱり最後はそんなんじゃないんだ。

多摩川の土手、青い空、浮かぶ奴だこ。
すがすがしい空気に杉葉子と青山京子。

第2話は恋に恋するお年頃の中原ひとみの興味津々。
姉の司葉子と小泉博の恋に興味津々。
小泉博にドキドキの気持ち。

きゃぴきゃぴの中原ひとみ、くりくりの眼。
元気がいい。
清潔感いっぱいの司葉子と小泉博。
田舎おやじの藤原釜足。
怖い母さんの清川虹子、でも結構気の弱いところもある。
元気いっぱいの飯田蝶子のおバアさん。
役者がそろった。

第3話は高峰秀子、開業医の奥様。
コンパクトに展開するシーンの連続の中で、
舞を舞うごとく、
所作や表情が静かにテンポよく変化して、
小気味良く気持ちの流れが作り出される。

中村メイ子は元気良く、
上原謙はボーっとした感じで優しく、
小林桂樹はお人よしな若者の印象で、
高峰秀子の心の揺れの背景を描き出す。

最後に八千草薫が新しい看護婦の役で一寸だけ出て、
すこしサプライズ。

端正で清潔、明るい感じの筧正典。
ダイナミックで元気、豪快な印象の鈴木英夫。
コンパクトで無駄が無く、
人の心や世のひだひだをさっぱりと描く成瀬巳喜男。
全体に石坂洋次郎の明るさと楽しさにあふれた映画だ。

09.03.04 神保町シアター


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