二銭銅貨

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女の歴史

2009-08-12 | 成瀬映画
女の歴史 ☆☆
1963.11.16 東宝、白黒、横長サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:笠原良三
出演:高峰秀子、賀原夏子、星由里子、仲代達矢、宝田明、山崎努

一代記。
高峰秀子のために書き下ろされたかのような女の半生を描いたもので、回想シーンが多用されている。しかし、それほど煩雑な使われかたでは無く効果的で分かりやすかった。

賀原夏子の、のったりした感じが、
高峰秀子のちょっとピリピリした気分と良く調子が合っている。
この人たちの二人芝居とも言える映画だ。

雨、
外は雨、
暗い部屋の中で、
左奥に茫然自失の高峰秀子、
右手前に離れて賀原夏子。
賀原夏子は居眠り。
長い、長い激流の回想からフッと戻ると、
部屋は森閑として、
外にはザッザッと雨の音。

団地に行く道すがら、
雨。
ザーザー降りの大雨で、
傘から落ちる雨のしずくが長く太く糸を引いている。
そんな中を黒い傘の高峰秀子と、
明るい色の傘の星由里子の気持ちが交錯する。
長く冷たい厳しい雨。

最後は明るくライトな感じで終わる。
映画全体もそれほど重苦しくは無く、軽い感じもある。
笠原良三のタッチなのでしょう。
全体に良く構成された脚本だと思った。

草笛光子はほんの少しだがパンパン娘役で、
そうとう崩したメークといでたちで出てくる。
またしても高峰秀子の敵役だ。
ワルの感じが良く出ている。

加東大介は定食屋のおやじ。
こちらもちょっとだけだが、
その顔を見るなり、
私はホッと一安心。

09.08.02 神保町シアター


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