goo blog サービス終了のお知らせ 

二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

カルメン純情す

2008-05-05 | 邦画
カルメン純情す ☆☆
1952.11.13 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:木下恵介
出演:高峰秀子、小林トシ子、若原雅夫、淡島千景、斎藤達雄、
   三好栄子、東山千栄子

帝国陸軍中将未亡人、佐竹熊子。
議員候補に立候補中。
家の中は軍国調。
にもかかわらずスローガンは再軍備反対。
腹の中に何かあって、どう見てもスローガンは口先だけ。
何にでも突進、すぐにでも突撃。
自称「貫禄」のある、こわばった演説。汗かき。
インパクトの強いギャグ満載のキャラクターは三好栄子。

対して、芸術家の家に住む家政婦は東山千栄子。
いつも原爆の恐怖が頭から離れない。
気骨のある反戦主義で、
いつも芸術家の作る奇妙な服を着せられている。

その芸術家は若原雅夫。
結婚相手が、
佐竹熊子の娘の淡島千景。

「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し」ってな感じ。
腹には何にも無いって感じの、
やりたい放題、言いたい放題、はっきり物言う、
気風のいいストリッパーが高峰秀子。
腹にも頭にも何にも無い。脳天気なおネエさん。
相棒に、男に捨てられ子持ちの小林トシ子。
女剣劇に行っていた。

常に斜めにかしいでいるカメラのフレームの中には、
コンテンポラリーな、前衛的な、芸術的印象と、
選挙運動や世の中を風刺する社会性と、
そして気風いいおネエさんを中心とするコメディのドタバタと、
いろいろまざっています。
おもちゃ箱ひっくり返したようであります。

計算された構図、カメラの動き。被写体をめいっぱい画面の中に取り込んでいる斜めのフレームは、通常のものより水平線が長くなるので、横長のフレームと同じような効果がある。

この映画は木下監督フランスからの帰国第1作だそうで、こうした前衛的な演出には、その影響もあるのかと思う。

リリー・カルメンの性格の中に、後の寅さんのような雰囲気を感じた。そう言えば、寅さんの中の浅丘ルリ子はリリーだし、カルメンみたいな踊り子だし。この映画も山田洋次が演出していればシリーズものとして成功していたかも知れない。とは言うものの、高峰秀子に寅さんのキャラクターはむずかしいかも知れない。リリー・カルメンの役柄と高峰秀子のキャラクターのミスマッチが、何か映画の前衛性をかもし出しているようにも思う。

08.04.19 神保町シアター