肉魔神

野球と本の備忘録

「野球バカ」書評つづき

2010年02月27日 03時05分30秒 | 
桑田のいた中学からは結局、桑田を含む5人がPLのセレクションを受けた。

そのうち2人が合格し、もう2人は不合格の通知があったという。
これが桑田が欲しいPLと、ジョーカー(切り札=桑田)を持つ中学校の間の綱引きの結果だった。

その夜、桑田家が合格発表を待っていると、中学の顧問が「真澄くんもなんとかいけそうやわ」と桑田家に連絡を入れた。「自分の力でPLにいれてやったのだ」という、でっちあげの恩を売ろうとした訳だ。

そこで桑田父は「なんとかやて? それだったらうちは行きません。なんとか入れるぐらいなら、レギュラーにはなれないやろ」と反論した。うそにあきれたのだ。

困った顧問との話し合いは平行線をたどり、教師からの暴力もあり、卒業直前の3学期に、桑田は転校する。そして、1人だけPL入りすることになる。

桑田家では、同じような「セット販売」を前年に、姉の進路決定でも味わったという。姉が四天王寺高校に進学しようとしていると、「O女学院に進んでくれ」と中学から言われたという。そうすれば「あと4人が入れるから」という理由だ。結局、姉は四天王寺高校を受験し、合格したそうだが、中学からは「学年主任と教頭にお礼を持ってきてください」と謝礼を要求されたという。

しかし、ほんの20年数年前は、大阪の下町ではこんな話がまかり通っていたのだろう。

自分の経験でも、教師は信じるに値しない人も、結構な数、いる。もちろん、立派な人も多いのだけれど。

小学校6年の時、栄光学園を受験する、同じクラスのTが、「お願いします」と担任K藤に賄賂(紙ぶくろに入っていた)を渡す場面を目撃した。彼は勉強は確かにできたが、スポーツは同じようにはいかなかった。でも、体育を含め、成績は常にオール5だった。賄賂が効いたのだろう。そして、神奈川の名門、E光学園中学に進んでいった。

でも、それから7年後、同じ大学に同期で入学した。正直「ざまあみろ」と、胸のつかえが少し取れた。今思うと、彼も親から渡されたものを、そのまま渡しただけなのかもしれない、と少し余裕を持って考えられるけど。それでも、子供のころに、大人の汚い姿を見ると、結構がっかりしたものだ。桑田も汚い大人に翻弄され、結構傷ついただろう。

この本では、かなり共感できた部分だ。