オカ姉のためいき日記

人生色々、ためいき色々。今日はどんなためいきつくのやら・・・?

「マークスの山」の「北岳」

2010-06-17 14:44:15 | 上川さん
「マークスの山」 読み終えた!

この 「山」とは 南アルプスの北岳だった。
そして「マークスの山」の中での北岳は〝闇〟のオーラをかもしだして
全編に存在している。

若かりし頃、いくつかの山に登り、この北岳にも登った。オトンも一緒だった。
もうどこの登り口だか、どの登山ルートだかもはっきりと思い出せない。
なんせ人任せでワイワイと軽い気持ちで!だったなぁ。

当時、 険しい山=ハシゴや鎖が多い所!というイメージを持っていたので
〝ただただ ひたすら登った〟北岳は私にとっては合っていたかもしれない。
反対にオトンは、このスタイルの登りは苦手でハシゴでも鎖でも最短でと
いう〝短気型〟だった。(思えばこの頃から短気だったのね)

頂上付近は薄く雪があったので、この小説の時期より少し前だったのかも。
そして幸運にもブロッケン現象なるものも見られたのも良い思い出だ。
登りは何とかクリアできたが、下りは恐怖のハシゴと鎖場の連続で
おまけに道を間違え、街につながる道路に出られた時は夜になっていた。 
若いとはいえ無茶をしたものである。
もう今は〝登山〟なんて挑戦したくても無理だろう。
オトンなんて言うに及ばず、私だって駅の階段だけでもヒィヒィだものね。

それにしても北岳は大きく深い山だった。その印象しかない。
独特の山容の槍ヶ岳のように、ひと目でわかるという山でなく
あれが北岳!とはなかなか認識できない山だと思う。

「マークスの山」に描かれる北岳は〝闇〟となっている(お気の毒だが)
おぼろげながらの記憶をたどりながら読むと臨場感は何倍にもなって
本を閉じた後も、登場人物の心の闇につきまとう更なる山の闇が
頭から離れず寝つきは悪くなりと、その度に就寝前には読むんじゃなかったと
後悔しながらの読書となった。

高村薫さんは女性なのだが、この文体は男性的だ。
と、いっても何が女性的、男性的の基準はと?訊かれたら困るのだが
つまりは〝軟らかくない〟文体。とてつもなく〝硬い〟文体なのだ。
加えて、地理、気候、警察内部、人物描写の詳細さなど驚くばかり・・・・
そして文字を追うと同時に、その光景が浮かび上がる。
これは内容に惹きつけられる重要な要素のひとつだとつくづく思えた。

あまりにリアルで息苦しくなりながらも、つい読み進んでしまうのには
合田=上川隆也というイメージがあったからともいえる。
合田が登場するくだりでは、彼の印象として・・・・

「歳のころは30前後だろう。未だ青年の匂いの残る清涼な面差しに比して
無機質な石を思わせる眼光もその声も・・・・・」と、ある。

この無機質な石の眼。 この眼を演じられるのは隆也さんしかおらん!!
台詞がなくても〝眼〟だけで成り立つわ!とさえ思えてしまう。
年齢的には?という声もあるが、今の隆也さんだからこそとも思う。
映像化に期待はたかまるばかり!!

W主役の水沢役も誰なのか早く知りたい。
心も体も、もはや透明としか言い表せないキャラは・・・・松田兄弟のどちらかがいいと思うけんどね~
そしてもうひとり興味をそそられるのは、吾妻警部補。
「MARKS」のRの林原と対峙する緊迫の場面、誰が演じ、観る側を酸欠状態に
してくれるのかと今から楽しみだ。

この物語のキーワードは 「山」と「闇」と「偶然」かな?
読み終えた今も反芻するだけで、確実に体温が下がるような気がする(笑)
今度は体温の上がる内容のものを探そうかな