囲碁の上達法は数々あります。その中でも格言や名言は無数にあり、それらの蓄積が囲碁文化の発達・普及につながったものだと思われます。
しかし、それらが無数にあるがゆえに、何を選択・使用すべきか、どれを重視すべきか、困惑する事もある、それも事実でしょう。その中には、信憑(しんぴょう)性があるのかどうか、それすら疑わしい物も混じっています。
私事ですが、これまで囲碁を学ぶ過程でとにかく困った事がありました。それは、
「石を攻めるって、どういう事なんだろう……」
という事でした。本を読んでも、実戦の手直しを受けても、どこか腑に落ちないものがある。その原因はおそらく、
≪囲碁における攻め方が『体系化』されていない為ではないか≫
と考えました。そこで、今までに学んだ事を改めて調べ直す事にしたのです。
そして最近、自分なりに納得できるまでに完成しました。これを読めばすぐに勝てるようになる、そういった代物ではありません。しかし、ご自身の棋譜を調べ直したりする時、囲碁教室などで生徒さんに指導する時、そういった場合にならお役にたてるかもしれません。
一度、ごらんください。
五;自分と相手の石数を比べましょう
↓
四;守られていない、眼形の急所を探しましょう
↓
三;相手の石を、攻めてみましょう~攻めの基本
↓
二;より厳しく、相手の石を攻めてみましょう~攻めの応用
↓
一;相手の石を取れるかどうか、よく考えましょう。
五;自分と相手の石数を比べましょう。
自分の石数が多ければ戦いに有利。相手の石数が多ければ戦いは不利。これはごく当然のことでしょう。しかし、実戦になると、この当たり前の原理をすっかりと忘れてしまうのです。まあ、これは仕方ないでしょうが。
戦いに有利か不利かを判断するための基準は如何に。それは下の数値を参考にするのが良いそうです。
3ケ(自分の石)>2ケ(相手の石) ⇒ 攻めを仕掛ける
2ケ(自分の石)<3ケ(相手の石) ⇒ 守りを選択する
参考文献;『基本の知恵 これだけは』より
四;守られていない、眼形の急所を探しましょう。
盤上に石が次々と打たれていくうち、強い石と弱い石があちこちに出てきます。当然ながら、弱い石には急所があります。急所を守ることは、予測し得ない危険要素を打ち消す効果があり、また後々の戦いを有利に進めることができるかも知れません。
特に囲碁においては、『石の急所』と呼ばれるものがいくつかありますが、その中でも、以下の四つは「急所の基本形」と言えるものでありましょう。
A;ボウシ
B;カタ
C;ミミ
D;アゴ
参考文献;
この四つは、『平野正明の碁スクール』シリーズで取り上げられていました。詳細を知りたい方はこれを読んで頂くのが一番。私自身、平野先生のご高説には感服いたしました。言われてみれば、ごく当たり前の事だったんですね。
ちなみに、AとBは中央への発展を防ぐ場所。CとDは相手の根拠を脅かす場所。私はそのように考えています。
三;相手の石を、攻めてみましょう~攻めの基本
石を攻める方法は、古来より無数にあります。無数にある中から良いものを厳選したとしても、それでもまた限りはありません。
そこで、三つに厳選してみました。
これを、『攻めの三法』と、私はよんでおります。
置碁でも互先でも採用しやすいものだと考えますので、これをご覧の皆様には、ぜひご検討頂きたいと思っています。
≪封 鎖≫ →相手の石を閉じ込める。
≪追い出し≫ →相手の石の根拠を奪う。
≪分 断≫ →相手の石を裂かれ形にする。
参考文献;
囲碁雑誌『囲碁研究』にて、マイケル・レドモンド先生が「ウチコミ」に対する連載をされていました。その時、
「ウチコミには、閉じ込める手と根拠を奪う手をまず考えます」
とコメントされていました。私の提唱します『攻めの三法』は、レドモンド先生のこの連載を参考にさせていただきました。
ニ;より厳しく、相手の石を攻めましょう~攻めの応用
『攻めの三法』より厳しい攻め方として、≪モタレ攻め≫と≪カラミ攻め≫を取り上げます。
なぜ、厳しい攻め方なのか。それは、『攻めの三法』を組み合わせた技であるから、と言うのが理由です。
≪モタレ攻め≫→相手の石を分断しつつ、ある一方の石を封鎖する。もしくは、より厳しく圧力をかける。
≪カラミ攻め≫→相手の石を分断しつつ、ある一方の石の根拠を奪う。
カラミ攻めとモタレ攻めは昔よりある代表的な攻め方ではありますが、指導の際、この言葉はあまり使わないほうがいいかもしれません。この二つの攻めは複合技ですので、実戦で使いこなせるのは大変かもしれません。
一;相手の石を取れるかどうか、よく考えましょう。
「石を取ることと攻めることは違いますよ」
という話、聞いたことはありますか。
石を取れば勝てるだろう、そう思って取りに行ったら、自分の大石を取られてしまった。そういう経験は、特に石取りが好きな方には多いのでは。
考えても見てください。石を取ったら勝てるかも、そんな時相手は、取られないように守りに専念するでしょう。自分の大石を取られるのは、相手だっていやですから。そんなことから作られたであろう有名な格言が、
「取ろう取ろうは取られのもと」
です。しかし、私には違和感があります。これは、碁キチの悪口から派生したような感じがします。それに、
「石を取ることは悪いことだ」
という誤解を生む可能性もあります。それなので、囲碁指導には不向きであると考えているのです。
そこで、この格言の改良案を提示いたします。
「攻めるとは 取るぞ取るぞと 脅すこと」
囲碁の戦いにおいては、必ず石を取れる、そんな保証はありません。そこで、「石を取っていいですか」と、相手に脅しをかける様な手を、何度か打つのです。そこで、打った手に対し、「取られたくない、取られたくない」と守ってきたら、別の攻めや作戦を敢行します。逆に守る手を打ってこなかったら、その時こそ遠慮なく、取りに行けばいいのです。
囲碁上達の心得の一つは『見合い』。『見合い』を使いこなせるようになったら、本因坊秀策先生に近づけるかも知れませんね。
かつて【黒甲将軍】と呼ばれた加藤信先生の名言に、
「相手がドキリとする手を打て」
というのがあったと聞きました。こちらもぜひご参考に。
※「攻めるとは 取るぞ取るぞと 脅すこと」
取るぞ取るぞは、「地所を取る」でもいいでしょうし、「石を切るぞ」に置き換えてもいいかもしれません。
しかし、それらが無数にあるがゆえに、何を選択・使用すべきか、どれを重視すべきか、困惑する事もある、それも事実でしょう。その中には、信憑(しんぴょう)性があるのかどうか、それすら疑わしい物も混じっています。
私事ですが、これまで囲碁を学ぶ過程でとにかく困った事がありました。それは、
「石を攻めるって、どういう事なんだろう……」
という事でした。本を読んでも、実戦の手直しを受けても、どこか腑に落ちないものがある。その原因はおそらく、
≪囲碁における攻め方が『体系化』されていない為ではないか≫
と考えました。そこで、今までに学んだ事を改めて調べ直す事にしたのです。
そして最近、自分なりに納得できるまでに完成しました。これを読めばすぐに勝てるようになる、そういった代物ではありません。しかし、ご自身の棋譜を調べ直したりする時、囲碁教室などで生徒さんに指導する時、そういった場合にならお役にたてるかもしれません。
一度、ごらんください。
五;自分と相手の石数を比べましょう
↓
四;守られていない、眼形の急所を探しましょう
↓
三;相手の石を、攻めてみましょう~攻めの基本
↓
二;より厳しく、相手の石を攻めてみましょう~攻めの応用
↓
一;相手の石を取れるかどうか、よく考えましょう。
五;自分と相手の石数を比べましょう。
自分の石数が多ければ戦いに有利。相手の石数が多ければ戦いは不利。これはごく当然のことでしょう。しかし、実戦になると、この当たり前の原理をすっかりと忘れてしまうのです。まあ、これは仕方ないでしょうが。
戦いに有利か不利かを判断するための基準は如何に。それは下の数値を参考にするのが良いそうです。
3ケ(自分の石)>2ケ(相手の石) ⇒ 攻めを仕掛ける
2ケ(自分の石)<3ケ(相手の石) ⇒ 守りを選択する
参考文献;『基本の知恵 これだけは』より
四;守られていない、眼形の急所を探しましょう。
盤上に石が次々と打たれていくうち、強い石と弱い石があちこちに出てきます。当然ながら、弱い石には急所があります。急所を守ることは、予測し得ない危険要素を打ち消す効果があり、また後々の戦いを有利に進めることができるかも知れません。
特に囲碁においては、『石の急所』と呼ばれるものがいくつかありますが、その中でも、以下の四つは「急所の基本形」と言えるものでありましょう。
A;ボウシ
B;カタ
C;ミミ
D;アゴ
参考文献;
この四つは、『平野正明の碁スクール』シリーズで取り上げられていました。詳細を知りたい方はこれを読んで頂くのが一番。私自身、平野先生のご高説には感服いたしました。言われてみれば、ごく当たり前の事だったんですね。
ちなみに、AとBは中央への発展を防ぐ場所。CとDは相手の根拠を脅かす場所。私はそのように考えています。
三;相手の石を、攻めてみましょう~攻めの基本
石を攻める方法は、古来より無数にあります。無数にある中から良いものを厳選したとしても、それでもまた限りはありません。
そこで、三つに厳選してみました。
これを、『攻めの三法』と、私はよんでおります。
置碁でも互先でも採用しやすいものだと考えますので、これをご覧の皆様には、ぜひご検討頂きたいと思っています。
≪封 鎖≫ →相手の石を閉じ込める。
≪追い出し≫ →相手の石の根拠を奪う。
≪分 断≫ →相手の石を裂かれ形にする。
参考文献;
囲碁雑誌『囲碁研究』にて、マイケル・レドモンド先生が「ウチコミ」に対する連載をされていました。その時、
「ウチコミには、閉じ込める手と根拠を奪う手をまず考えます」
とコメントされていました。私の提唱します『攻めの三法』は、レドモンド先生のこの連載を参考にさせていただきました。
ニ;より厳しく、相手の石を攻めましょう~攻めの応用
『攻めの三法』より厳しい攻め方として、≪モタレ攻め≫と≪カラミ攻め≫を取り上げます。
なぜ、厳しい攻め方なのか。それは、『攻めの三法』を組み合わせた技であるから、と言うのが理由です。
≪モタレ攻め≫→相手の石を分断しつつ、ある一方の石を封鎖する。もしくは、より厳しく圧力をかける。
≪カラミ攻め≫→相手の石を分断しつつ、ある一方の石の根拠を奪う。
カラミ攻めとモタレ攻めは昔よりある代表的な攻め方ではありますが、指導の際、この言葉はあまり使わないほうがいいかもしれません。この二つの攻めは複合技ですので、実戦で使いこなせるのは大変かもしれません。
一;相手の石を取れるかどうか、よく考えましょう。
「石を取ることと攻めることは違いますよ」
という話、聞いたことはありますか。
石を取れば勝てるだろう、そう思って取りに行ったら、自分の大石を取られてしまった。そういう経験は、特に石取りが好きな方には多いのでは。
考えても見てください。石を取ったら勝てるかも、そんな時相手は、取られないように守りに専念するでしょう。自分の大石を取られるのは、相手だっていやですから。そんなことから作られたであろう有名な格言が、
「取ろう取ろうは取られのもと」
です。しかし、私には違和感があります。これは、碁キチの悪口から派生したような感じがします。それに、
「石を取ることは悪いことだ」
という誤解を生む可能性もあります。それなので、囲碁指導には不向きであると考えているのです。
そこで、この格言の改良案を提示いたします。
「攻めるとは 取るぞ取るぞと 脅すこと」
囲碁の戦いにおいては、必ず石を取れる、そんな保証はありません。そこで、「石を取っていいですか」と、相手に脅しをかける様な手を、何度か打つのです。そこで、打った手に対し、「取られたくない、取られたくない」と守ってきたら、別の攻めや作戦を敢行します。逆に守る手を打ってこなかったら、その時こそ遠慮なく、取りに行けばいいのです。
囲碁上達の心得の一つは『見合い』。『見合い』を使いこなせるようになったら、本因坊秀策先生に近づけるかも知れませんね。
かつて【黒甲将軍】と呼ばれた加藤信先生の名言に、
「相手がドキリとする手を打て」
というのがあったと聞きました。こちらもぜひご参考に。
※「攻めるとは 取るぞ取るぞと 脅すこと」
取るぞ取るぞは、「地所を取る」でもいいでしょうし、「石を切るぞ」に置き換えてもいいかもしれません。