少年の日々

はじめて考えるときのように

アドルフに告ぐ(1)

2005年08月25日 | Weblog
「本との出会いの心象風景について、具体的な作品を踏まえて書きなさい」

僕の目の前にある原稿にはそう印刷されていた。
30名程度が定員の狭い教室。窓には五月晴れ、いや4月だったかもし知れない。

まだ大学に慣れていない僕は、ゼミの試験と面接という言葉のイメージに気おされていたけれど、一年間予備校であたためた期待と不安の入り混じった感情をうまく空を流れる白い雲に映し出してその場の空気をコントロールしようとしていた。

とにかく、読書なんて興味がない僕に課せられた題目を再度見つめ、シャープペンシルを一回転、人差し指と中指の間で回す。白紙のまま提出するわけにはいかない。

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