実際に交渉をするとなると、交渉の相手は必ずしもきちんとしたヒトばかりではありません。
中には、様々なだましのテクニックを駆使して交渉相手から最大限の利益をむさぼろうとする輩も多くいるのが現実です。
こうした交渉者に対抗するためには、相手の手の内を予めよく理解し予測しておくことが必要です。
******************************
-交渉相手にするならどんなヒトが信頼できそうでしょうか?
様々な要素が考えられますが、たとえば
+態度がソフトでこちらの話を上手に聞く相手
+世間の相場に合った「適正」な要求をしてくる相手
などは、信頼できそうな印象があるでしょう。
しかしながら、信頼できそうな相手が、本当に誠実で望ましい交渉相手とは限りません。
詐欺師だって、ぱっと見にはウソなど決してつかなさそうな、優しい容貌をしていたりするものです。
交渉で特に注意すべきだましの典型的なテクニックも、上に挙げたような「一見信頼できそう」な姿をしています。
まず、あまりに態度がソフトで過度に聞き上手な姿勢を示す相手は考えものです。
勿論、そうした温和で合理的な姿勢が芯から身についている人もいますが、場合によっては演技(もしくはテクニック)でそうした姿勢を見せている可能性があります。
特に典型的なトリックなのは、ソフトな姿勢で油断させ、こちらの話をうまく引き出させることで交渉を自分に有利に進めさせるものです。
具体的には、必要以上にこちらの手の内(BATNA等、交渉上の機密情報)を話させる技。
またこちらの話を聞いた後にもう一度話をまとめ(アクティブリスニング)、その際に自分に有利なように微妙にニュアンスを変えてしまう技があります。
ソフトな語り口に引き込まれ、いったん相手を受け入れる姿勢を取ってしまうと、普通の人では「ここから先は秘密だから話せない」とか「そんなことは言っていない、訂正しろ」といった、攻撃的な対抗表現を持ち出しにくくなります。
相手の狙いはまさにそこにあり、「なんとなく強くNoと言えない」雰囲気を作り出せばしめたもの。
あとは「いいヒト」の顔で一気に畳み掛けて交渉を自分に有利にまとめようとします。
また、世間の相場に合った「適正な」要求をしてくる相手、というのも無条件に受け入れるべきではありません。
そもそも「適正な」水準とは何なのか、本質的にはどんな交渉でも絶対の基準は存在しません。
何が「適正」なのかを決めることこそが交渉そのものなのですが、だましのテクニックに長けた交渉者の場合、「あたかもこれが適正な水準だ」とこちらの頭に刷り込ませ、それをテコに攻撃を仕掛けてくる場合があります。
典型的には、そうした攻撃は三つの形を取ります。
三つというのは、
1. 罪悪感
2. 脅迫
3. 賄賂
です。
まず「罪悪感」というのは、相手が適正な水準を提示して最大限に努力しているのに、こちらが無理難題を押し付けて交渉を難航させている、という印象を持たせる技です。
実際相手が提示しているのは適正な水準どころか、相当自分に有利な条件だったりするわけです。
具体的にはこんなセリフが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
よそのどの業者をあたったって、これ以上にサービスした価格を出せるところなんかありませんよ。
他ならぬあなたのお願いだったから精一杯値引いて、やっとこの価格でどうにか稟議も通してきたのに。
こちらはいつもあなたの要望にお答えしてきたのに、急にそんなことを言うなんて信じられませんよ…」
次に「脅迫」も、この「適正」な水準を受け入れずにNoなどと無茶を言うなら実力行使も辞さない、その位自分の提案は「適正」だ、と「適正」の定義を押し付けるトリックを使用します。
セリフにすればこのようなものが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
どこの業者でもこの水準が精一杯のサービスですよ。
そんな無茶を言っていたら、この業界で今後やっていけなくなるかもしれませんよ。
業者の横のネットワークはあなたが思っているより強いんですよ…」
最後に「賄賂」というのは、文字通り袖の下を送り、こちらを篭絡しようとする技です。
この際は、相手の提案が「適正」だというよりも、こちらにも利益を食わせることで「適正」な合意案を一緒に作った、という印象を与えることが主眼となります。
セリフにすればこのようなものが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
じゃあこうしましょう。
あなたに個人的にX%のマージンを渡すことにしましょう。
こうすればあなたにとっても損のない話になりますからね…」
今回は典型的なだましのテクニックを考えてみました。
日本人同士ならこうしただましのテクニックも「ああこれだな」とその場ですぐに分りやすい部分がありますが、これが異なる文化圏の交渉者となると、難しさが格段に上がります。
行動や発言のニュアンスを理解する前提が大きく違うため、同じ交渉内容でも多くの誤解が発生するからです。
そこで次回は、海外の交渉相手と信頼関係を作る際に注意すべきこと見ていきたいと思います。
中には、様々なだましのテクニックを駆使して交渉相手から最大限の利益をむさぼろうとする輩も多くいるのが現実です。
こうした交渉者に対抗するためには、相手の手の内を予めよく理解し予測しておくことが必要です。
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-交渉相手にするならどんなヒトが信頼できそうでしょうか?
様々な要素が考えられますが、たとえば
+態度がソフトでこちらの話を上手に聞く相手
+世間の相場に合った「適正」な要求をしてくる相手
などは、信頼できそうな印象があるでしょう。
しかしながら、信頼できそうな相手が、本当に誠実で望ましい交渉相手とは限りません。
詐欺師だって、ぱっと見にはウソなど決してつかなさそうな、優しい容貌をしていたりするものです。
交渉で特に注意すべきだましの典型的なテクニックも、上に挙げたような「一見信頼できそう」な姿をしています。
まず、あまりに態度がソフトで過度に聞き上手な姿勢を示す相手は考えものです。
勿論、そうした温和で合理的な姿勢が芯から身についている人もいますが、場合によっては演技(もしくはテクニック)でそうした姿勢を見せている可能性があります。
特に典型的なトリックなのは、ソフトな姿勢で油断させ、こちらの話をうまく引き出させることで交渉を自分に有利に進めさせるものです。
具体的には、必要以上にこちらの手の内(BATNA等、交渉上の機密情報)を話させる技。
またこちらの話を聞いた後にもう一度話をまとめ(アクティブリスニング)、その際に自分に有利なように微妙にニュアンスを変えてしまう技があります。
ソフトな語り口に引き込まれ、いったん相手を受け入れる姿勢を取ってしまうと、普通の人では「ここから先は秘密だから話せない」とか「そんなことは言っていない、訂正しろ」といった、攻撃的な対抗表現を持ち出しにくくなります。
相手の狙いはまさにそこにあり、「なんとなく強くNoと言えない」雰囲気を作り出せばしめたもの。
あとは「いいヒト」の顔で一気に畳み掛けて交渉を自分に有利にまとめようとします。
また、世間の相場に合った「適正な」要求をしてくる相手、というのも無条件に受け入れるべきではありません。
そもそも「適正な」水準とは何なのか、本質的にはどんな交渉でも絶対の基準は存在しません。
何が「適正」なのかを決めることこそが交渉そのものなのですが、だましのテクニックに長けた交渉者の場合、「あたかもこれが適正な水準だ」とこちらの頭に刷り込ませ、それをテコに攻撃を仕掛けてくる場合があります。
典型的には、そうした攻撃は三つの形を取ります。
三つというのは、
1. 罪悪感
2. 脅迫
3. 賄賂
です。
まず「罪悪感」というのは、相手が適正な水準を提示して最大限に努力しているのに、こちらが無理難題を押し付けて交渉を難航させている、という印象を持たせる技です。
実際相手が提示しているのは適正な水準どころか、相当自分に有利な条件だったりするわけです。
具体的にはこんなセリフが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
よそのどの業者をあたったって、これ以上にサービスした価格を出せるところなんかありませんよ。
他ならぬあなたのお願いだったから精一杯値引いて、やっとこの価格でどうにか稟議も通してきたのに。
こちらはいつもあなたの要望にお答えしてきたのに、急にそんなことを言うなんて信じられませんよ…」
次に「脅迫」も、この「適正」な水準を受け入れずにNoなどと無茶を言うなら実力行使も辞さない、その位自分の提案は「適正」だ、と「適正」の定義を押し付けるトリックを使用します。
セリフにすればこのようなものが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
どこの業者でもこの水準が精一杯のサービスですよ。
そんな無茶を言っていたら、この業界で今後やっていけなくなるかもしれませんよ。
業者の横のネットワークはあなたが思っているより強いんですよ…」
最後に「賄賂」というのは、文字通り袖の下を送り、こちらを篭絡しようとする技です。
この際は、相手の提案が「適正」だというよりも、こちらにも利益を食わせることで「適正」な合意案を一緒に作った、という印象を与えることが主眼となります。
セリフにすればこのようなものが当てはまるでしょう。
「この価格でも合意してくれないんですか?
じゃあこうしましょう。
あなたに個人的にX%のマージンを渡すことにしましょう。
こうすればあなたにとっても損のない話になりますからね…」
今回は典型的なだましのテクニックを考えてみました。
日本人同士ならこうしただましのテクニックも「ああこれだな」とその場ですぐに分りやすい部分がありますが、これが異なる文化圏の交渉者となると、難しさが格段に上がります。
行動や発言のニュアンスを理解する前提が大きく違うため、同じ交渉内容でも多くの誤解が発生するからです。
そこで次回は、海外の交渉相手と信頼関係を作る際に注意すべきこと見ていきたいと思います。
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