<32-1>いろんな合意案の中でどれがベストか、どうやって判断するの?(1)
前回は協調的な交渉の中で、良い合意案を出す方法を考えてみました。
今回は、複数出した合意案をどう評価するか、評価の方法を考えてみたいと思います。
******************************
交渉では、合意する案の可能性を広げ、最後にどこで合意するか、が大きな山場となります。
その際に、「どの案がベストなのか?」を正しく判断することは、成功の前提条件です。
しかし合意案の評価は、簡単なようで意外に難しい問題です。
ある要素は選択肢Aが良いが、他の要素はBが良い、といった「ねじれ」があるためです。
そこで、交渉以外でも使える「スワップ法」という意思決定の技術があれば、役に立ちます。
例えば、アルバイト探しを例に考えてみましょう。
アルバイト先を探す時には、様々な選択肢があります。
でも完璧な仕事はそう無いので、一長一短ある中で比較して決めることになるでしょう。
例えば、同じ職種で次のような候補があったとします。
・仕事A:時給980円、週4回以上、シフト時間は自由、近くて通いやすい
・仕事B:時給1,300円、週3回、シフト時間は自由、遠くて通いにくい
・仕事C:時給1,050円、週2-3回、シフト時間は指定、遠くて通いにくい
・仕事D:時給1,100円、週2回、シフト時間は指定、遠さは中ぐらい
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤、遠さは中ぐらい
この中で、どれがベストな案でしょうか。
「ベスト」の定義は人によって違いますが、やるべきことが3つあります。
第一に、自分にとって重要な要素を、漏れなく判断材料(Interest)に入れることです。
この例はとても単純化していますが、本来は他にも大切なことがあるかもしれません。
例えば、職場の雰囲気は、アルバイトを続けるのに重要かも。
他にも、忙しすぎないか、休憩は取れるか、交通費支給はあるか、続けたら昇給するか…等。
判断に関係ある要素を全部出し、表にして選択肢を整理することが必要です。
第二に、判断材料を全部出した後、明らかに除外しても良い選択肢を消すことです。
よく見ると、ある選択肢が別の選択肢より全ての面で劣っていることがあるからです。
とはいえ、定性的な条件をそのまま比べると判断が難しくなります。
例えば例の場合、週何回が良いか、昼と夜勤とどちらが良いか、等は人によるでしょう。
そこで、条件表をランク表に変換します。
ランク表とは、各比較要素を、自分にとっての望ましさランキングで順位づけしたものです。
例えば最初の例の表を変換すると、次のようになるかもしれません。
・仕事A:時給5位、勤務回数1位、シフト時間1位、近さ1位
・仕事B:時給1位、勤務回数2位、シフト時間1位、近さ4位
・仕事C:時給4位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ4位
・仕事D:時給3位、勤務回数4位、シフト時間3位、近さ2位
・仕事E:時給2位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ2位
(例えば仕事Eは、時給について5つの仕事の中で2位、勤務回数の望ましさも2位…)
この場合、例えば次のような判断をしたと仮定して、順位をつけています。
・勤務回数は収入のため週に4回は働きたい。4回までの範囲で多い方が良い
・シフト時間は自由なのが一番だが、昼間に時間を指定されるなら夜勤でも同じ
すると、仕事Cは仕事Bより全ての面で順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、シフトの自由度が低い)
また同じように、仕事Dも仕事Eより順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、勤務日が希望より少ない)
そこで仕事CやDのような選択肢を消して、問題を単純化することができます。
(この回続く)
前回は協調的な交渉の中で、良い合意案を出す方法を考えてみました。
今回は、複数出した合意案をどう評価するか、評価の方法を考えてみたいと思います。
******************************
交渉では、合意する案の可能性を広げ、最後にどこで合意するか、が大きな山場となります。
その際に、「どの案がベストなのか?」を正しく判断することは、成功の前提条件です。
しかし合意案の評価は、簡単なようで意外に難しい問題です。
ある要素は選択肢Aが良いが、他の要素はBが良い、といった「ねじれ」があるためです。
そこで、交渉以外でも使える「スワップ法」という意思決定の技術があれば、役に立ちます。
例えば、アルバイト探しを例に考えてみましょう。
アルバイト先を探す時には、様々な選択肢があります。
でも完璧な仕事はそう無いので、一長一短ある中で比較して決めることになるでしょう。
例えば、同じ職種で次のような候補があったとします。
・仕事A:時給980円、週4回以上、シフト時間は自由、近くて通いやすい
・仕事B:時給1,300円、週3回、シフト時間は自由、遠くて通いにくい
・仕事C:時給1,050円、週2-3回、シフト時間は指定、遠くて通いにくい
・仕事D:時給1,100円、週2回、シフト時間は指定、遠さは中ぐらい
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤、遠さは中ぐらい
この中で、どれがベストな案でしょうか。
「ベスト」の定義は人によって違いますが、やるべきことが3つあります。
第一に、自分にとって重要な要素を、漏れなく判断材料(Interest)に入れることです。
この例はとても単純化していますが、本来は他にも大切なことがあるかもしれません。
例えば、職場の雰囲気は、アルバイトを続けるのに重要かも。
他にも、忙しすぎないか、休憩は取れるか、交通費支給はあるか、続けたら昇給するか…等。
判断に関係ある要素を全部出し、表にして選択肢を整理することが必要です。
第二に、判断材料を全部出した後、明らかに除外しても良い選択肢を消すことです。
よく見ると、ある選択肢が別の選択肢より全ての面で劣っていることがあるからです。
とはいえ、定性的な条件をそのまま比べると判断が難しくなります。
例えば例の場合、週何回が良いか、昼と夜勤とどちらが良いか、等は人によるでしょう。
そこで、条件表をランク表に変換します。
ランク表とは、各比較要素を、自分にとっての望ましさランキングで順位づけしたものです。
例えば最初の例の表を変換すると、次のようになるかもしれません。
・仕事A:時給5位、勤務回数1位、シフト時間1位、近さ1位
・仕事B:時給1位、勤務回数2位、シフト時間1位、近さ4位
・仕事C:時給4位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ4位
・仕事D:時給3位、勤務回数4位、シフト時間3位、近さ2位
・仕事E:時給2位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ2位
(例えば仕事Eは、時給について5つの仕事の中で2位、勤務回数の望ましさも2位…)
この場合、例えば次のような判断をしたと仮定して、順位をつけています。
・勤務回数は収入のため週に4回は働きたい。4回までの範囲で多い方が良い
・シフト時間は自由なのが一番だが、昼間に時間を指定されるなら夜勤でも同じ
すると、仕事Cは仕事Bより全ての面で順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、シフトの自由度が低い)
また同じように、仕事Dも仕事Eより順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、勤務日が希望より少ない)
そこで仕事CやDのような選択肢を消して、問題を単純化することができます。
(この回続く)
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