MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

<16-1>交渉のタイプ

2005-05-30 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
前回まで、第二部では交渉を分析的に考える上で必要な考え方とキーワードを概観してきました。
こうした概念を理解することは、交渉の現場や準備の際に、必要なことをモレなくムダなく考えるための助けになります。
第二部のしめくくりとして、今回は交渉にはどんなタイプのものがあるのか、基本的な分類について見てみましょう。

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-今回の交渉はちょっと難しすぎるなあ…

ビジネススクールでの交渉の実習で時々感じたことです。
MBAでの授業ではほぼ毎回のように実習をするため、筆者が取った三つの講義累計で30個以上の交渉ケースがありました。
その中で時には冒頭のように難しさに頭を抱えてしまうものもあり、また時には

-今回の交渉はずいぶん簡単だなあ…

と拍子抜けしてしまうものもあったのです。
交渉にもいろんなタイプがあり、またこちらの得手不得手もあるので、毎回ケースの難易度がまったく違って見えたのでした。
こうした交渉のタイプによって、前提となる考え方や交渉の「定石」が変わる部分があります。
そこで今回は最も典型的な分類について考えてみたいと思います。

交渉の内容に関して最もわかりやすいタイプ分けとしては、まず第一に次のものが挙げられるでしょう。


1.Distributive negotiationとIntegrative negotiation

簡単に言うと、お互いの利害が相反したり、決まったパイを分け合う競争的な交渉です。
たいていの場合、こうした交渉の結果は勝ち負けで考えられます。

典型的な例としては例えばバザールでの価格交渉や冷戦下の米ソ交渉が挙げられるでしょう。
バザールの例で言えば、片方はとにかく安く買いたいと考えているし、もう一方はできるだけ高く売りつけたいと考えています。
売り手にせよ買い手にせよ、望みに近い値段で妥結できれば「してやったり、ざまあみろ」と内心勝ち誇るでしょう。
こうした交渉では往々にして、ウソすれすれの情報操作や相手の心理をつく駆け引き、それにBATNAをちらつかせるパワーゲームが展開されます。
バザールの買い物の例であれば、売り手は商品についてウソすれすれに美化して宣伝するでしょうし、買い手は「高ければ別の店に行けばいい」というBATNAをちらつかせて交渉するわけです。

一方でIntegrative交渉とは、お互いの協力によって新たなバリューが発生する(分け合うパイが増える)、協調的な交渉です。
お互い協力した方が得をするとわかっているので、話し合いは穏やかで理解のあるものになりがちです。
交渉人はお互いを敵同士というよりパートナーと見るでしょう。典型的な例としては企業の友好的な提携交渉(場合によってはDistributiveになりますが)が挙げられるでしょう。
こうした交渉では駆け引きのスキルというよりも、相手の話を上手に聞くスキルや話をわかりやすく整理する技術が物を言ってきます。
情報も基本的にできるだけ共有し、不安があれば納得いくまで話し合って合意点を探ることになるでしょう。

皆さんはどちらのタイプの交渉が好きでしょうか?

筆者などは、どうしてもIntegrativeな交渉の方が好きだしより簡単だと考えてしまいます。
しかしビジネススクールでの経験から言うと、これは文化的なバックグラウンドによるところが大きいみたいです。
統計を取ったわけではないんですが、やはり中東系は前者、東洋系は後者を好む傾向があるように思います(欧米系は前者後者どっちも嫌いでない、という感じでしょうか)。

ただし、賢明な読者の方にはご推察のとおり、この分類ははじめから決まっているものではありません。
交渉人の捉え方次第で、同じ交渉もDistributiveにもなりIntegrativeにもなる側面を持っています。
基本的にはDistributiveな要素の強い交渉でも、できるだけIntegrativeなものだと捉えて相手とある程度協力するのが交渉の王道です。
しかしながらモノによってはIntegrativeにするのが非常に難しい交渉もあるので、どちらにも対応できるスキルを備えることが一流の交渉人には求められるようです。

(第16回続く)

フランスの大学生

2005-05-27 | 雑記
掲題の本を読みました(角川文庫)。
作家の遠藤周作さんが1950年から3年間フランスに留学した思い出を書いたエッセイです。

有名なフランス留学モノというと他に永井荷風の「ふらんす物語」がありますね。
「ふらんす物語」は100年前の話、遠藤周作さんの留学も50年前になります。
こうした本を読んでみると、フランスの描写が懐かしいと共に、時代の変化が感じられます。

「フランスの大学生」で言うと、「ああ、分かる分かる」と共感してしまうのがフランス社会の自己認識です。

自己認識の一方にあるのは、とてつもなく高いプライド。
「フランスは全てにおいて世界一で、言うまでもなく世界の中心」だという「信念」です。
今でもこうした考え方はフランスでは「常識」の一部になっていると思います。
今のようなグローバル化が進む前なら、さぞそうした自信は強かっただろうと思いますね。

ところが、自己認識のもう一方に、老衰して将来に不安を抱えた国、という像があります。
現代を考えれば、そうした見方はさもありなんとうなずけます。
米国主導の「グローバル世界」の形成、EUの成立、とフランス一国での影響力が見えにくくなっているからです。
「実は俺たち、自分たちで思ってるほど大したことないんだよね…」
という見方はフランス人MBA学生もホンネとして持っていたようでした。
数百年の間に植民地から収奪した富と文化遺産で食いつないでいるだけ?みたいな感じです。

で、面白かったのは50年前の掲題のエッセイもこの点を指摘していたことです。
当時でさえ、ソ連とアメリカに挟まれ、戦争で国土は荒廃し、「もう我々はダメなんじゃないか」、といった見方があったというのです。

もしかすると、フランスの社会はずっとこうしたアンビバレントな思いを持ち続けているのかもしれませんね。
過剰なまでのプライドを持ちつつ、同時に「本当に実体が伴っているのか?」と悩む、といった感じで。

こうした、同時に相反する何かが並存する雰囲気、というのはフランスの特徴のように思います。

<15-2>キーワード(6):Commitment(続)

2005-05-24 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
Commitmentを上手に使う鉄則、残りの二つを見ていきましょう。


鉄則2:仮説を使って話をする

鉄則1でプロセスへのCommitmentが出来上がったら、いよいよ中身の話に入ります。
多くの場合中身の話になると、余計な言質を取られないようにとか、自分の主張ができるだけ一貫して見えるようにと、特定のPositionやInterestに固執してしまいがちです。
お互いがそうした「頭の固い」態度を捨てないと、いつまでたっても交渉は進展しないことになってしまいます。
この原因は、お互いのCommitmentが強すぎることにあります。
「何か言ったら自分がそれに責任をもたなければならない」という前提でモノを考えているわけです。
そこで、この強すぎる責任感をうまく解きほぐしてやる必要があります。
そのための方法が、「仮説を使って話をする」ということです。

「仮説」とは何でしょうか。要は、話を全て「仮の話」にしてやればいいのです。
具体的には、「これから話す中身は全くの仮想アイデアで責任が伴うものではありませんが…」というルールで話し合うことです。
欧米の会議などでよく使われるブレインストーミングと同じ発想です。
「話し手が発言内容にCommitmentをもたなくていい」というルールを明示してやることで、お互い自由に新しい合意案のアイデアを出すことができます。
あくまでも理屈上そういうアイデアがある、というだけで、どれが自分の立場か表明する必要がないからです。
このように書くと当たり前に聞こえますが、実際の白熱した交渉ではまるで競争のようになって、「合意案を一緒にブレインストーミングしよう」という発想は頭から飛んでしまったりするものです。
Commitmentのスイッチを自由にオン・オフ変更する頭の使い方は、現場では非常に重要です。

また同時に、「仮説」にはもう一つ別の使い方があります。
相手がブレインストーミングに応じなかったとしても、相手のアイデアを引き出させてやる方法として仮説を使えばよいのです。
具体的には、「もし私があなただったら、XXという提案をするはずですが…」とか、「もしあなたにとって一番重要なのがAなら、Bという案が魅力的なはずですが…」といった話法です。
こう持ちかければ、相手はYesにせよNoにせよある程度理由を説明せざるを得ず、そこから新しい案の糸口となる情報が引き出せるのです。
仮説はあくまでも仮の話であるゆえに、Commitmentをあいまいにしてその分話を広げることができるわけです。

鉄則3:相手をプロセスに巻き込む

最後に、鉄則2で広げたアイデアから双方が納得できそうな案が見つかったら、後はむしろ合意に双方の強いCommitmentを持たせて、交渉結果を確実なものにする必要があります。
こうしたCommitment強化のためには、相手を最終合意案まとめのプロセスに巻き込むことが重要です。
相手を巻き込むとは、最終合意案の作りこみに相手の力を借りることです。
どんな交渉であれ、話し合いで細部まで完璧な合意案が完成することは少なく、大意が固まった上で細部は契約書などの形に落とし込むのが一般的です。
この作りこみの時点で、双方の細かい思惑が微妙に食い違うことは頻繁に見られることです。
そこでどちらかが一方的な案を通してしまうと、相手側は交渉の結果全体が「歪められている」ように感じ、それを遵守しようとする意欲が薄れてしまいかねません。
後々まで交渉の結果を有効にしたいと思うなら、最後のツメの段階まで気を抜くべきではありません。
人間は自分が言った意見や自分が関わった案件にはより責任感を感じやすい(Commitmentを持ちやすい)性質があるので、相手に関わりをもたせてやることがCommitmentをうまく使うツボなのです。


以上、今回はCommitmentについて説明しました。
重要なキーワードも一通りカバーしてきたので、キーワード編はこれでいったん完結とします。
次回からは交渉の様々なタイプについて考えてみたいと思います。

<15-1>キーワード(6):Commitment

2005-05-23 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
ここまで交渉を整理して理解する上で重要な概念を、キーワードとして説明してきました。
今回はキーワード編の最後として、Commitmentについて取り上げてみたいと思います。
Commitmentは交渉をまとめていく段階でとても大切な役割を果たします。

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-お前さっきは「Yes」と言ったじゃないか!

交渉していると、こんな叫びを上げたくなることはないでしょうか。
たとえそう口に出しては言えなくても、相手が前に言ったことを無視して勝手な理屈を押してくると、頭に血が上ったりするものです。
また一方で、

-こんなこと言ったら、言質を取られて不利になりそうだな…

とリスクを考えて、言いたい事もあえて言わないことも多いのではないでしょうか。
話す内容にこうした制約をつけていると、どうしても話が核心に入っていけず、時間ばかりが過ぎていきます。
肝心の部分を避けて互いの腹を探り合っていても、うわべの話しかできないものなのです。

交渉につきもののこうした悩みは、Commitmentをきちんと理解して活用することで解決できます。
ここで言うCommitmentとは、話した内容/結果を自分の立場もしくはお互いの合意案として受け入れ、それ以降はその立場/合意を前提にして良い、とする了解のことです。

Commitmentがうまく活用できていないと交渉は先に進まなくなります。
例えば、一方は合意(Commitment)ができたと踏み込んで捉えていても、相手はそう思っていない、などは典型的な状況です(上記の最初の例)。
また、自分に不利な合意(Commitment)を恐れ、腰が引けて本題に踏み込めないこともあるでしょう(二番目の例)。
このように、交渉人がCommitmentに対して積極的すぎたり消極的すぎたりすると、話し合いは空回りしてしまいがちなのです。

では、どうすればCommitmentを上手に扱えるのでしょうか?

Commitmentを効果的に使う鉄則は下のような三つがあります。

鉄則1:まず交渉のプロセスについて合意する
鉄則2:仮説を使って話をする
鉄則3:相手をプロセスに巻き込む

一つずつおさらいしていきましょう。


鉄則1:まず交渉のプロセスについて合意する

最も重要なのは、交渉とそのプロセスを切り分けて考えることです。

交渉で話しあうことには、交渉する内容そのものの話(what)と、その交渉をどう進めるかのプロセスの話(How)が含まれているものです。
価格交渉を例に取れば、「一個いくら」という提案はwhatの話ですし、「まずお互い希望する値段と理由を言って、それから妥協案を考えよう」という提案はHowの話です。
この二者を区別して、まず後者で合意を作ってしまうことがスムーズな交渉には大切です。
何となれば、まず交渉のプロセスの話の方が中身の話よりも合意するのが簡単だからです。
話し合いのプロセスだけであれば、お互いの利害関心が直接ぶつかることはほとんどありません。
ふつう交渉ではどちらサイドもスムーズで理性的な話し合いを求めているからです。
むしろ話し合いの手順が整理されれば、話し合うポイントが分かりやすくなってお互いに利益があるでしょう。

そしてプロセスについて合意ができれば、それだけでCommitmentが発生しているものです。
ここで言うCommitmentとは、「今決めた手順で話し合おう」という了解です。
小さいながらもこうしたCommitmentが発生すれば、お互い少なくとも話し合いの手順については相手が一定のルールに従って交渉を進めてくることを期待できます。
また仮に何か言い争いが起こっても、それがプロセスに関するルール違反であればこのCommitmentにさかのぼって相手を抑制することができます。

ここでのポイントは、プロセスに関するCommitmentと交渉内容に関するCommitmentが切り分けられている点です。
「現時点ではあくまでプロセスについての話し合いなので、中身についての約束事(Commitment)は一切発生しない」というルールを作ってやるのです。
今回の冒頭に見たようにCommitmentにはリスクも伴うものなので、こうしてリスクを限定してやることで交渉者が二の足を踏むことを避けることができます。
また一方でCommitmentを拡大解釈して我田引水する踏み込みすぎの交渉者に対しても、「プロセスはこうなんだ」と明確な合意ができていれば、勝手な解釈で流れを仕切る動きを防ぐことができます。

(第15回続く)

第一部の目次

2005-05-21 | 第一部:そもそも「交渉」ってなに?
栄太です。

本編の量も随分多くなってきました。
どんな話を書いてきたのか一覧できるように、ここまでの目次をつけておきます。
とりあえず第一部。
(<>は第何回なのか、です)


このブログの問題意識/ゴール
<1>「交渉」ってがめつい感じで嫌なんだけど…

交渉に臨む心構え
<2>「交渉」って特別なことなの?
<3>交渉で一番大事なことって何?
<4>プロの交渉人はどんなことを意識して交渉するの?
<5>すぐ妥協してしまうのってダメなの?(1)
<6>すぐ妥協してしまうのってダメなの?(2)

交渉の学び方
<7>MBAでは「交渉」をどう勉強するの?



<14-2>キーワード(5):RelationshipとCommunication(続)

2005-05-20 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
Relationshipと同時に、Communication(コミュニケーションの仕方)も「人間関係のマネジメント」で重要なチェックポイントです。
交渉中のコミュニケーションの理想は、効率的に双方向のやり取りをすることです。
交渉ではどちらかが一方的に話す状況が生じると、互いのInterestの違いが十分に斟酌されない傾向が強まり、お互い納得のいく優れた合意ができにくいからです。
上手なCommunicationの特徴としては、次のような性質が挙げられます。

まず第一に、上手な交渉人は質問のプロフェッショナルです。

ビジネススクールでは、「交渉の基本は質問を繰り返すこと、それだけだ」と言うゲストスピーカーもいました。
情報を吐き出させ、相手の真意(InterestとBATNA)を知り、それに合わせてこちらの対応を変えていく。
質問をすれば自分からは情報をほとんど出さずに相手の手の内を探ることができます。
従って、「自分は質問するヒト、相手はそれに答えるヒト」だという雰囲気を作ってしまえば、交渉が圧倒的に有利になります。

また、当然のことですが相手の発言に対する注意深いリスニングが大切です。

「聴く」姿勢を見せてもらうことで相手はよりスムーズに話せるようになるものですし、相手の発言は情報の宝庫です。
特に発言を途中で無理にさえぎったり、手元の資料を見たまま相手の話を横目で聞いたりすると、こちらの想像以上に相手は不快に思うものです。
悪くするとそうした態度が原因で感情的な対立に発展することも少なくないのです。
優れたネゴシエーターになろうとすれば、必要に応じて「聞き上手」の役を演じられるだけの準備が必要です。
さらに相手の発言を聞いた後、少しでも不明確な点があれば、遠慮なく相手の言う意味や定義を質問してしまうべきです。
互いの発言の正確な理解は、あとあと納得性の高い合意案への第一歩にもなるからです。

最後に、上手な交渉人は沈黙を効果的に使います。

多くのヒトは話し合いで沈黙が訪れると、「何か間をつながなければならない」と考えてしまい、つい不要なことまでしゃべってしまいがちです。
結果として自分側の情報を必要以上に提供してしまい、交渉の主導権を握られてしまうのです。
気まずい沈黙が訪れても、余裕の表情でそれを当然のように受け止めていれば良いのです。
相手の方が焦れて何か話しかけてきて、出さなくてもいい尻尾を出すことになるでしょう。

以上のように、交渉の中身に関わらず相手との「接し方」で注意すべきポイントは多く、交渉で想像以上に重要な役割を果たしています。
次回は、キーワード編の最後としてCommitmentについて説明したいと思います。

<14-1>キーワード(5):RelationshipとCommunication

2005-05-19 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
ここまで取り上げてきたキーワードは、交渉の中で話す内容に関するものでした。
今回からは引き続いて、交渉のもう一つの側面である話し方そのものについていくつかキーワードを考えてみたいと思います。

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-交渉は競争だ。だから交渉相手は叩きのめさなきゃダメだ。

ビジネススクールで、ある同級生は交渉をこんな風に対立的に捉えていました。
勝つか負けるか、勝負の世界に情けは無用、というわけです。
一方で、もう少しソフトに、

-交渉も話し合いなのだから、相手と信頼関係を深めることが大切だ。

と主張する友人もいました。ケンカするだけでは問題は解決しないだろう、というわけです。

どちらの見方にもそれぞれ一理あります。
交渉論では、こうした交渉の人間関係に関わる部分も扱われています。
言い換えれば、交渉とは「議論のマネジメント」であると同時に、「人間関係のマネジメント」でもあると考えているのです。

前者の「議論のマネジメント」としては、既に取り上げたキーワードであるBATNAやInterestなどの概念を工夫することが挙げられます。
こうしたコンセプトを核に「何を話すか」について準備し、交渉中に何が起こっているかを正しく把握し、交渉をうまく支配しようということです。
一方で、「人間関係のマネジメント」とは、「どう話すか」という側面に注目し、円滑に話を進めて交渉をやりやすくするために必要な要素を工夫します。
まずきちんとした人間関係と交渉プロセスがあってこそ、交渉が上手に支配できると考えるわけです。

具体的には、Relationship(交渉相手との関係)とCommunication(話し方)が二つの重要な要素となります。
それぞれどんな意味があるのか、簡単に見ていきましょう。

まずRelationshipとは、平たく言うと交渉相手との人間関係です。
「人間関係」と言ってしまうと仲が良い方がいいに決まっているように聞こえますが、交渉相手と友だちになれば良いというわけではないので注意が必要です。
仲良くなって情で譲歩しすぎては意味がありません。
理想の交渉関係とは、あくまでも交渉をスムーズに(かつ有利に)進めるためのものだからです。

では交渉をスムーズに進めるのに必要なのはどんなことでしょうか。
一番重要なことは、互いに交渉相手としての信頼関係を築くことです。
信頼関係とは、「感情にとらわれすぎない」、「相手にも話をする余地を与える」、「ウソをつかない」といった、理性的に話し合うためのマナーをお互いが守れると期待しあえる状態です。
こうした関係ができていないと、交渉は往々にしてケンカや罵り合いと大して変わらなくなり、話がかみ合わないまま膠着状態に陥ってますますお互いにイライラしてくるものです。

それでは、信頼関係を作るには一体どうしたらいいのでしょうか。

人間関係の常識に照らしても、誠実な態度を取るのが必須なのはもちろんです。
加えて、特に交渉している人が気をつけるべき点としては、頭の中に次の二つの「区分法」をはっきり持っておくことだと思います。

一つには、争点である問題と、交渉相手とを区分して考えることです。

相手を攻撃するのでなく、問題を攻撃するようにするのです。
典型的な例として、相手の主張があまりに強気/非現実的で妥協する気配も全然見せなかったりすると、誰しも「お前は間違っている」式の非難を浴びせたくなるものです。
争点になっている主張と交渉相手その人を一緒に否定することで、強いプレッシャーを与えるわけです。
しかし多くの場合、非難された方も逆ギレして「お前こそおかしい」と怒りの声をぶつけてくるでしょう。
そうした大声競争を避けるためには、代わりに「あなたはいいヒトだがこの問題はこうすべきだ」と状況を定義するべきです。
こうすれば個人攻撃ではないので自己防衛のための反発は抑えられ、「問題」そのものに話をフォーカスできるのです。

そして二つ目には、相手への理解/共感と、相手との合意とを分けて考えることも重要です。

交渉ではともすると、相手の言うことに理解を示したり、まして共感を見せたりすると「相手につけこまれてしまう」と考えてしまいがちです。
相手が図に乗って「あなたも同意してるんだから、こっちの案でいいですね」とたたみかけてきたら、反論が難しいからです。
しかし、相手への理解や共感を示すことは信頼を促し、交渉を円滑に進める上で非常に役立ちます。
だからこそ交渉が上手なヒトはむしろ積極的に理解や共感を表現するのです。
ただし言い方に工夫があり、あくまでも
「XXという事が仰りたいんですね」「もし私が貴方だったら同じように考えると思います(でも私には私の立場があります)」
というレベルに止めることが大切です。
これらの表現はあくまで、相手の発言をきちんと聞いています、というメッセージを発するものです。
一方で「全くその通りだ」「こちらとしても何とかしてあげたい」というレベルまで口にすべきではありません。
相手の言い分が正しいと認めたり、何か譲歩をしてあげる約束をしたと取られかねない発言には注意が必要です。

(第14回続く)

フランス鉄道事情(3)

2005-05-18 | フランス暮らし
とはいえフランスの干渉してこない文化では一つ明らかな利点(?)があります。

何を隠そう、キセルが余裕でできてしまうのです。

まず駅には改札がなく改札員もおらず、誰でもホームに入れます。
セルフサービスで切符をホームにある機械に入れてパンチする決まりになっているからです。
ホームに入れれば当然電車にも乗れます。
電車に乗って移動して、降りてしまえば改札もないので誰でもホームから出ていけてしまうのです。

筆者は渡仏してしばらくしてその事実に気づき、驚いたものです。
ではどうやって切符を買わせるよう担保しているんでしょうか。

答えは簡単。

車内で車掌がランダムに検札に来るのです。
その時切符を持っていないと、高い罰金つきで切符を買わされる羽目になります。
現に「しまったついてねえ」という顔をしてしぶしぶ罰金を払い、車掌が去ってから毒づいているフランス人をしばしば見かけました。

しかしこれにも裏業があります。
電車に乗ってすぐにトイレに入り目的地までこもってしまえば車掌も検札できないのです。
(トイレは各車両にだいたいある)
上級者(?)はこのワザを駆使して無賃乗車を常習しているようでした。
(トイレがずっと空かなかったらまずそういうことだと思います)

筆者と言うと、パリまでの回数券を最初に大量に買ったのでキセルとは無縁でした。
というより結局多く買いすぎて、最後まで使い切れなかったのでした…

フランス鉄道事情(2)

2005-05-17 | フランス暮らし
それで筆者は一度ひどい目にあったことがあります。

その日は日曜日で、パリで夕食をとって夜電車で村に帰ろうとしていました。
当時はまだフランスに来て日が浅く、「停車駅は自己責任で確認すべし」などということは知りません。

とりあえず電車に乗り、列車が走り始めました。
車内はガラガラで、他にはほとんどお客さんが乗っていません。
しばらくすると車掌が改札がやってきました。
車掌に切符を渡すと、車掌はしばらく切符を見ていましたが、黙って切符を返して向こうへ行ってしまいます。
(切符には目的の駅が印字されている)

アナウンスが全くなく、正直その電車が目的の駅で止まるかどうかちょっと不安だったんですが、

「車掌が切符を見て何も言わないんだから止まるだろう」

と思い、そのまま乗っていました。

しかし、気づいたときは後の祭り。
予定の時間を過ぎても電車が走り続けているので不審に思い、フランス人の友人に電話して聞いてみると、何と途中のある駅以降全く停車せずに終点まで行ってしまう特殊な便だというのです!

結局40分で着くはずが2時間以上かけて終点まで連れて行かれ、しかも日曜日は電車は夜10時で終電。
全て手遅れとなり、終点の田舎町であやしいホテルに一泊せざるを得なくなったのでした…

車掌が改札のとき言ってくれればまだ次の停車駅で降車できたのですが、フランスでは見知らぬ人にそんなおせっかいを期待できるはずもありません。
どこで降りるかはその人の自由で他人が首を突っ込む話じゃないし、ダイヤを詳細に確認しておくのが乗客の責任だというのが「常識」なわけです。

日本のような丁寧すぎてうるさいとも思えるアナウンスとどっちがいいか考えさせられた一件でした。

(この話続く)

フランス鉄道事情(1)

2005-05-16 | フランス暮らし
フランスの鉄道事情はどんな感じでしょうか?

今回から「フランス暮らし」のカテではフランスの田舎の交通機関をざっと振り返ってみたいと思います。
(パリ市内は全然別モノなのでまたの機会に紹介します)

さて、鉄道。

路線は基本的にSNCF(国鉄のような会社)一本です。
時々突然運休しますが、非常に時間通りに運行します。ほぼ日本同様と言っても過言ではないです。
大都市の間は新幹線(TGV)も走っています。
料金も日本とそんなに変わらないイメージです。
(例えばパリから一時間郊外に走れば1000円くらい)

乗り方もシンプルで、ローカル線なら一等席も二等席もありません。
駅で自分で切符を機械に入れて検札。
電車が来たら自分で手動ドアを開けて好きな席に乗り込めばいいわけです。

と書くと結構便利でおトクなようです。
実際筆者も週末パリに行くのには車より電車を使っていましたし、
旅行者は電車移動が基本になると思います。

しかしながらそこはフランス。
問題はその列車がどの駅に止まるか教えてくれないことです。

どういうことかというと、同じ路線でも便によってどの駅に止まるかが全然違うんですが、
その説明は大きな駅(例えばパリ市内の駅)の小さい掲示板か、
細かい時刻表を見ないと分からないようになっています。

列車内のアナウンスは基本的に何もありません。
日本式に

「毎度ご乗車ありがとうございます。
 この電車は、AA、BB、CC駅を通過した後DD駅から各駅停車となり、
 X時X分に終点EEに到着いたします。
 FF方面へお越しの方はGG駅でHH線にお乗換え下さい。
 本日は発車が1分遅れお急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしました」

などというアナウンスは絶対にありえないのです。
(特に「ご迷惑をおかけしました」という発想はフランスにはないといっても過言ではありません…)
無言で駅に止まり、誰かが手動ドアを開けなければ何も起こらずそのまま発車していくわけです。

(この話続く)

ダヴィンチコード

2005-05-15 | 雑記
を読み始めました。
ちょっと話題に遅れているかもしれませんが…

驚いたのは日本語版の値段。
洋書で買ったらペーパーバック一冊で(あの物価高の)ロンドンでも1000円ちょいなのに、日本語版だとハードカバー2冊で結構な値段ですね。
考えてみると訳書は原書よりずいぶん割高なんでしょうね。
(それだけ手間がかかっているはずなので)

たまたま去年原書を買っていたので安くついたんですが、ちょっと考えさせられました。

ただ日本の場合、最近では古本屋チェーンがどこに行ってもあるので、そういうところで買えば圧倒的に便利で割安なのかもしれません。
そういえば海外の古本事情ってどうなってるんでしょうね?
向こうではああいうチェーンは見当たらなかったですし。
ただ少なくともヨーロッパでは、「もう要らないからさっさと売る」という発想があまりなさそうに感じますね。
「何でも長く大切に持ってこそ価値があるし、本のような個人的嗜好品なら尚のこと大事な財産」という感じでしょうか。
(想像ですが)

<13-2>交渉の場で注意すべきこと(続)

2005-05-14 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
以下、残り4つの落とし穴を見ていきましょう。


(落とし穴3)InterestでなくPositionにばかり焦点をあてる

Positionは具体的に主張している立場や要求、Interestはその背景にある利害関心です。
Positionに焦点をあてると言うことは、相手が主張した要求を額面どおり受け取ってそれについて話してしまう、ということです。
相手の主張にきちんと対応することは、一見正しい交渉術に見えそうです。
しかしながら、相手のPositionに正面から立ち向かおうとすると、お互いのPositionが相容れない場合は、交渉がこう着状態に陥ります。
例えば価格交渉でお互いの言い値(Position)が大きくずれている場合、相手の言った値段のことばかり話しても、話は平行線をたどるでしょう。

「XX円では高い。YY円にしろ」
「いやYY円では安過ぎる。XX円だ」
「いやXX円では高い…」

といった感じです。
一つ忘れてはいけない関連ポイントとして、「一度表明したPositionは固着性を持つ」ことが挙げられます。
一度あるPositionを表明してしまうと、それ以降はその発言(立場)を守ろうとする力学が働くのです。
要は、例えば価格交渉である値段を一度言ってしまうと、その後(余程の理由がない限り)突然全く違う値段を主張するのが難しくなる。
また、人間誰しも一貫性を保とうと、最初に言った値段は合理的なものだったと自己防衛しようとするものです。
従って、時には相手の言ったPositionをあえて無視して、背景にあるInterestにこそ焦点を当てる必要があります。
価格交渉の例で言えば、価格以外に相手がもつInterestに話を転じて、あらためてそのInterestを満たす(代わりに例えば価格はこちらに有利な)案を提案するわけです。

(落とし穴4)互いの意見が一致する部分ばかり探してしまう

交渉で多くのヒトが避けたいと思うのは、対決のような言い争いでしょう。
逆に、お互いの利害に共通するところが多ければ、仲良くスムーズに話が進みそうなものです。
そこで、多くのヒトは無意識のうちに互いの意見の共通項ばかり探してしまいます。
「ここは意見が同じですよね」「ここは異論がありませんよね」といった感じです。
しかし、意見の一致点ばかり話していても、対立する点が明確にならなければ交渉は進みませんし、利害の違いが解決策を生む場合が多いものです。
言い換えると、個別のInterestに関して利害が食い違うからこそ、Aという点はこちらが取りBという点は相手が取るというOptionが成立するのです。
何となれば、こちらにとってAの価値がBより高く、相手にとっては逆だからこそこうした案が成立しやすいからです。
相手もこちら同様にAを重視してBを軽視していたら、こうした妥協案は成り立たなくなるでしょう。

(落とし穴5)BATNAを無視する

スムーズに交渉をまとめようとすると、「もし合意できなかったら」という話はつい避けてしまいがちです。
しかしBATNA(交渉決裂の際の代替案)を無視しては、本当に良い交渉はできません。
BATNAを念頭に置くことは三つの効用があります。
一つには、BATNAが合意案の良し悪しを測る基準になります。
BATNAより望ましくない合意案を選ぶ位なら、交渉を決裂させた方が良いからです。
二つ目には、お互いのBATNA(が望ましくないこと)を話題にすることで、協力して良い合意案を作る雰囲気を促す効果があります。
「交渉が決裂するとお互いこんなに困ったことになるので、一つ力を合わせて良い案を考えましょう」と話をふり、互いを敵同士というよりむしろパートナーとして位置づけることができるのです。
三つ目に、(こちらのBATNAがある程度魅力的な場合)BATNAを選ぶことを脅迫材料に使うことで、相手に妥協を迫ることができます。
協力的な姿勢と同時に、適度なプレッシャーも相手に与えた方が、こちらに有利な合意が導けるものです。

(落とし穴6)自分のバイアス(偏見)に気付かない

最後に、交渉で危険なのは自分自身の思い込みです。
相手につけこまれず、こちらの要求を強気に押し出そうとすると、どうしても自分の用意してきた戦略に頼りがちになります。
しかし、戦略はあくまでも机上の準備であり、相手の出方次第でどのようにでも状況は変化します。
交渉中にも常に相手を学習し、偏った見方を正していく柔軟な姿勢が求められます。


今回は著名な教授の論文記事を元に、六つの落とし穴を取り上げてみました。
ここまで、第二部では交渉での話し合いの中身に焦点をあててきましたが、次回は交渉のもう少し広い部分について、キーワード編の続きとして取り上げたいと思います。

<13-1>交渉の場で注意すべきこと

2005-05-13 | 第二部:交渉ってどう考えたらいいの?
前回まで四回にわたって、Interest、BATNA、Options、Criteriaと交渉を考える基本になるキーワードを取り上げてきました。
今回は別の視点からそれらをおさらいしてみましょう。
ハーバードビジネススクールのJames Sebenius教授が4年くらい前にHarvard Business Reviewに書いた記事(“Six habits of merely effective negotiators”)を題材に考えてみたいと思います。

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-交渉でやっちゃいけない凡ミスってなんだろう?

交渉を練習していると感じる素朴な疑問です。
あれこれ論文を読んでも、やはり実際に交渉してみると自分がうまくできているのかどうか自分ではよく分かりません。
筆者などは最大公約数的なものでいいから、「これだけはやっちゃいけない」典型的ミスや落とし穴が知りたくてたまらなかったものです。

実際のところ、MBAの講義の中で扱われた教材に、高名なJames Sebenius教授がこの疑問にズバリ答えた論文記事がありました。
非常に示唆深いものですし、一通りキーワードを理解した後での頭の整理にもなるので、今回は彼が提唱した6つの落とし穴をおさらいして考えてみたいと思います。

以下6つの落とし穴は、「二流の交渉人」がよくやってしまうクセとして挙げられたものです。
「一流の交渉人」であれば、こうしたワナにはまることなく、むしろその逆をつくことが必要なのだそうです。


(落とし穴1)相手のInterestを無視してしまう

まずどうしてもありがちなのが、自分側のことばかり考えてしまうことです。

交渉していると、一番自分のトクになるのが何なのか、どの言い方で相手を説得しようかと自分サイドのことばかり必死で考えてしまうものです。
知恵を絞ること自体は悪いことではないのですが、交渉が相手の合意があって初めて成り立つものである以上、説得の仕方は相手の「ツボ」をついたものでないと効果を発揮できません。
「とにかくこの案が一番公正でベストなんだ」と理屈でゴリ押ししても、相手がウンと言わないケースは現実によく見られます。
「理屈の上で正しいか」という判断と、「自分にとってトクになるか」という判断は全く別モノだからです。
相手が首を縦に振らないケースのほとんどは、相手の側に何らかの満たされないInterestがあるためと考えて差し支えないでしょう。
ただし相手も自分のInterestをはっきりとは自覚せず、「言ってる事は正しいんだけど何だかしっくりこない」と迷っている場合も多いものです。
堂々巡りの交渉を避けるためには、障害になっているInterestがあれば話の俎上に載せてそれを明確にしてやる必要があります。

(落とし穴2)一つのInterestに固執する

次に、一番目立つ条件ばかりお互いが主張しあい、話が先に進まないのもよくある失敗です。

具体的には、価格交渉で値段のことばかり主張しあう状況が典型的と言えるでしょう。
「価格交渉なのだから値段が勝ち負けを決める」し、「強気に、粘り強く一貫した主張をした方が勝つ」と考えるのにも一理はあります。
しかしながら、値段のようにお互いの条件がまともに衝突してしまうInterestは、それだけを話していても普通決着がつきません。
良くて物別れ、悪くすると険悪な状況がずっと続くことになってしまいます。
こうした場合、Interestを説明した回でも述べたとおり、なるべく多くのInterestを話しに持ち込むことが大切です。
価格で譲歩した側が、他のInterestでトクをできる合意案が生まれてくるからです。
Interestを交換しあうことで、一気に敵対的交渉が協力的な話し合いに変わることも多くあります。

(第13回続く)

フランスのスーパー

2005-05-12 | フランス暮らし
フランスでは日々の買い物はどんな感じなんでしょうか。
筆者はパリ近郊の小さい村に住んでいましたが、買い物事情は日本の田舎と似ているところもあり違うところもあるようでした。

まず買い物の中心になるのがカルフール。

畑の中にある巨大店舗は結構圧倒されます。
大きな駐車場にマクドナルドなども併設され、店の上にはフードコートも完備。
食料品からカー用品、パソコンソフトまで一通り揃っているのでここに行けばとりあえずほとんどの買い物ができます。
さすがにカルフール発祥のお国だけあって、品揃えや大きさはかなりなものがあります。

しかしながら問題もあって、

まずそこに行くまでに車で30分かかる
営業は21時まで(実質的には20時半まで)
日曜日は休み

といった点がつらいところです。
平日夜までずっと学校がある身からすれば、まず土曜日しか利用できずいまいち使い勝手が悪いものでした。
日曜日が休みではスーパーの意味がないじゃないかと思いますが、法律で日曜日の労働が制限されているらしく、また彼らには「残業」という概念が存在しないので平日の夕方買い物する方が普通なのです。

第二の選択肢は、近くの町(学校のある所)の商店街。

小さめのスーパーやいわゆる個人商店です。
小さめのスーパーは品揃えも食料品を買う分にはそこそこで、日曜日も午前中だけはオープンしていたりして、結局一番頻繁に利用していました。
一方で商店街は、田舎なのにすごくおしゃれなブティックが並んでいたりして「ちょっと買い物してみようかな」と思ってしまうものでしたが…
ほとんどの店は「いつオープンしてるんだろう?」という位いつも閉店しています。
多分平日の昼間(いわゆる普通のヒトが働く時間帯)だけ開いているのかな?と思いますが…

第三の選択肢は、村の店。

と、言いたいところですが店が数件しかない(!)上にこれこそ町の店以上にいつ開いているのか全く不明。
実質的には全く無いのと変わらない感じでした。


便利さという観点からすると、向こうではコンビニも存在しないし自販機もほとんどゼロなので日本とは全く別の世界が体験できると思います。
例えば夜中にのどが渇いても冷たいコーラなど物理的に買えない。
我慢するしかないわけです。
まあ昔はどこの国もみんなあんな感じだったんだと思いますが…
逆に今の日本がいかにすごい所か考えさせられてしまいました。