先日、こちらの記事でアフリカを写した動物写真家、前川貴行氏の写真展のご案内をさせていただいた。それにちなんで、というわけではないが、きょうから西アフリカの動物事情シリーズを少々。
よく一般の方に「アフリカのイメージ」をお聞きすると、だいたい「ライオン!」「キリン!」 「象!」という答えが返ってくる。
(こんな感じ。写真:(c)Kevin Pluck)
しかしそれはアフリカでもサファリパークや保護区、自然がたくさん残っているところでのお話。都会でいつも出くわすようなことはない。特に西アフリカでは。
さて、当のアフリカ人。やはり動物はアイデンティティ。さらに負けず嫌いときた。そうそう「動物がいない」などと口にするわけがない。かくしてアフリカは、動物王国であり続けている。笑
例えばセネガル。この国のシンボルはライオンだ。まず国の形がライオンの横顔である。
(セネガル地図)
またサッカー代表チームの愛称は'Lion de téranga'、訳せば「テランガの国のライオン」である。ちなみにテランガとは、「お・も・て・な・し」を意味する。
そんな彼らが「セネガルからライオンがいなくなった」「絶滅した」などということを認めるわけがない。私は何度もセネガル人に尋ねた。
ンボテ「セネガルには本当にライオンがいるのかい」
セネガル人「いるに決まっているだろう」
ンボテ「どこにいるんだい?俺見たことないけど。動物園とかなしだよ。」
セネガル人「バカにしちゃいけない。ニョコロコバの国立公園に行ってみろ。ちゃんといるから。」
ンボテ「俺、何度も通過しているけど、見たことないなあ。。。」
セネガル人「おれは森林学専攻だ。その俺が言うんだから、絶対いる。」
懐かしい会話を思い出していると、AFP通信よりこんな記事のアップがあった。
A peine 250 lions adultes encore vivants en Afrique de l'ouest
(西アフリカに棲息する成人ライオン、わずか250頭)
そしてほどなくナショナルジェオグラフィックの日本公式サイトに、元ネタを同じくすると思われるこんな記事が現れた。
西アフリカのライオンが絶滅寸前
記事の要旨をみてみよう。
「西アフリカのライオンはかつて、セネガルからナイジェリアの約2500キロ以上の範囲に生息していた。しかし今回の実態調査では・・・およそ250頭が確認されたのみだという。計4カ所に分断された生息域は、セネガル、そしてベナン、ニジェール、ブルキナファソの国境地帯の4分の1に各1区、2区がナイジェリアに存在している。50頭以上が確認されているのは、3カ国にまたがるドゥブルベ・アルリ・ペンジャリ区だけに追い込まれた。」
ライオン、確かにいるはいるのだ。しかもセネガルに。しかしそれは、まるでニホンオオカミやトキのような存在だ。
「国際自然保護連合(IUCN)は現在、西アフリカのライオンの分類を見直している。最近の遺伝子研究で、南部アフリカと東アフリカの約3万5000頭とは、別の亜種である可能性が浮上している。・・・亜種となれば、レッドリストで「絶滅危惧IA類(絶滅寸前)」に指定される可能性が高い。」
「西アフリカ全域に広がっていた本来の生息域は、土地利用の大規模転換に伴って激減した。農地開拓や森林伐採、狩猟によって追い詰められ、今や保護区だけが頼みの綱となった。」
確かに動物は保護区、自然公園でも滅多に見られなくなっているとの証言に符合する。
「多くの国は保護区の惨状を把握していない。調査費用がなかったからだ。」
「最近は、保護区のライオンが地域住民の家畜を襲撃し、殺害されるケースも頻発。さらに、本来ライオンのエサである野生動物が密猟され、ブッシュミートとして市場に出回る深刻な事態も日常化している。景気不振と漁業資源の枯渇による食糧不足で、保護区内での違法行為に手を染める人々が後を絶たない。」
「報復的殺害や密漁の防止対策には資金が必要。6カ所の保護区では運営資金が枯渇している。南や東の大規模な保護区と比べれば、21カ所すべてが人員不足だった。名ばかりの保護区では、組織的な密猟者に太刀打ちできない」
なるほど。保護行政も手薄で、これを強化することが第一としてもそれだけでは不十分。地域住民との共生、収入生計の向上、環境と開発の調和など、一体的に解決を図っていく必要がありそうだ。
西アフリカのライオンの運命は、「遅くとも今後5年間で決まるだろう。十分な資金、そして政府機関や国際機関の協力が欠かせない」とヘンシェル氏は力説する。
セネガルには確かにライオンがいた。疑って悪かった笑。しかしそれは風前の灯だ。開発が進む希望の大地ですみかを失いつつある。アフリカの象徴、ライオン。アフリカがアフリカ性を色濃く持ち続けるためにも、ライオンの保護はアフリカ人の威信にかけて取り組むべきテーマなのだ。
(つづく)
よく一般の方に「アフリカのイメージ」をお聞きすると、だいたい「ライオン!」「キリン!」 「象!」という答えが返ってくる。
(こんな感じ。写真:(c)Kevin Pluck)
しかしそれはアフリカでもサファリパークや保護区、自然がたくさん残っているところでのお話。都会でいつも出くわすようなことはない。特に西アフリカでは。
さて、当のアフリカ人。やはり動物はアイデンティティ。さらに負けず嫌いときた。そうそう「動物がいない」などと口にするわけがない。かくしてアフリカは、動物王国であり続けている。笑
例えばセネガル。この国のシンボルはライオンだ。まず国の形がライオンの横顔である。
(セネガル地図)
またサッカー代表チームの愛称は'Lion de téranga'、訳せば「テランガの国のライオン」である。ちなみにテランガとは、「お・も・て・な・し」を意味する。
そんな彼らが「セネガルからライオンがいなくなった」「絶滅した」などということを認めるわけがない。私は何度もセネガル人に尋ねた。
ンボテ「セネガルには本当にライオンがいるのかい」
セネガル人「いるに決まっているだろう」
ンボテ「どこにいるんだい?俺見たことないけど。動物園とかなしだよ。」
セネガル人「バカにしちゃいけない。ニョコロコバの国立公園に行ってみろ。ちゃんといるから。」
ンボテ「俺、何度も通過しているけど、見たことないなあ。。。」
セネガル人「おれは森林学専攻だ。その俺が言うんだから、絶対いる。」
懐かしい会話を思い出していると、AFP通信よりこんな記事のアップがあった。
A peine 250 lions adultes encore vivants en Afrique de l'ouest
(西アフリカに棲息する成人ライオン、わずか250頭)
そしてほどなくナショナルジェオグラフィックの日本公式サイトに、元ネタを同じくすると思われるこんな記事が現れた。
西アフリカのライオンが絶滅寸前
記事の要旨をみてみよう。
「西アフリカのライオンはかつて、セネガルからナイジェリアの約2500キロ以上の範囲に生息していた。しかし今回の実態調査では・・・およそ250頭が確認されたのみだという。計4カ所に分断された生息域は、セネガル、そしてベナン、ニジェール、ブルキナファソの国境地帯の4分の1に各1区、2区がナイジェリアに存在している。50頭以上が確認されているのは、3カ国にまたがるドゥブルベ・アルリ・ペンジャリ区だけに追い込まれた。」
ライオン、確かにいるはいるのだ。しかもセネガルに。しかしそれは、まるでニホンオオカミやトキのような存在だ。
「国際自然保護連合(IUCN)は現在、西アフリカのライオンの分類を見直している。最近の遺伝子研究で、南部アフリカと東アフリカの約3万5000頭とは、別の亜種である可能性が浮上している。・・・亜種となれば、レッドリストで「絶滅危惧IA類(絶滅寸前)」に指定される可能性が高い。」
「西アフリカ全域に広がっていた本来の生息域は、土地利用の大規模転換に伴って激減した。農地開拓や森林伐採、狩猟によって追い詰められ、今や保護区だけが頼みの綱となった。」
確かに動物は保護区、自然公園でも滅多に見られなくなっているとの証言に符合する。
「多くの国は保護区の惨状を把握していない。調査費用がなかったからだ。」
「最近は、保護区のライオンが地域住民の家畜を襲撃し、殺害されるケースも頻発。さらに、本来ライオンのエサである野生動物が密猟され、ブッシュミートとして市場に出回る深刻な事態も日常化している。景気不振と漁業資源の枯渇による食糧不足で、保護区内での違法行為に手を染める人々が後を絶たない。」
「報復的殺害や密漁の防止対策には資金が必要。6カ所の保護区では運営資金が枯渇している。南や東の大規模な保護区と比べれば、21カ所すべてが人員不足だった。名ばかりの保護区では、組織的な密猟者に太刀打ちできない」
なるほど。保護行政も手薄で、これを強化することが第一としてもそれだけでは不十分。地域住民との共生、収入生計の向上、環境と開発の調和など、一体的に解決を図っていく必要がありそうだ。
西アフリカのライオンの運命は、「遅くとも今後5年間で決まるだろう。十分な資金、そして政府機関や国際機関の協力が欠かせない」とヘンシェル氏は力説する。
セネガルには確かにライオンがいた。疑って悪かった笑。しかしそれは風前の灯だ。開発が進む希望の大地ですみかを失いつつある。アフリカの象徴、ライオン。アフリカがアフリカ性を色濃く持ち続けるためにも、ライオンの保護はアフリカ人の威信にかけて取り組むべきテーマなのだ。
(つづく)
でも、こと都市部ではライオンやゾウ、キリンを生で見たコトある人は少数派だって聞いたことがあります。
ジャングルを想像してアフリカの首都に降り立った人が、林立するビルに言葉を失ってしまったとか……(^ ^;
ひょっとすると、そういう動物を生で見たことあるのは、我々の方が多いのかもしれませんね。
タイでのゾウの方が身近な存在かもしれませんね。未だに、バンコクの飲み屋街に(禁止されているのに)出現することもありますので(^ ^;(参考:http://blog.goo.ne.jp/hgn_jp/e/e836039f827f73ca3bd22945b5c36b24)
※ブックマーク、ありがとうございます^^
しかし西アフリカでは象やライオンはなかなか見られなくなりました。野生動物はアフリカ人生のルーツ。今後の共存が急がれています。