ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

祝・ガボン独立記念日!

2013-08-17 07:30:30 | アフリカ情勢
アフリカ独立記念日ラッシュの一応のシメを飾るのはガボンだ。日本からみるとあまり聞きなれないかもしれないが、これまた個性を放つ国だ。



◆ガボンはこんな国
ギニア湾に面する小さな国で、人口は153万人。ほぼ赤道直下に位置し、国中がコンゴ盆地の密林で覆われている。世界で最も破壊が進行していないジャングルとされる。いわゆる「西半球の肺」の一部となっていることに加え、貴重な動植物相を残している。

国の主要産業は石油採掘。このため一人当たりのGNIは8000ドル近い。隣国カメルーンが、1000ドルそこそこ、中央アフリカに至っては500ドルを切ることを考えれば、その数字のインパクトがみて取れる。一説には石油も底が見えてきたとも言われているが、これに替わる産業が育っていないのが将来的な懸念だ。

◆歴史と系譜
この国は、政治的にとても特殊な個性を持つ。彼らはアフリカ人でありながら、他のアフリカ人とは同じではないと自負している節がある。他のアフリカ人とは格が違うと思っている、と言った方がいいだろうか。

ガボンはフランスとの関係が密接であった。フランスが、ガボンに三つの重要な戦略的価値を見出していたいたことがその背景にある。

第一は、仏系トータルなどが持つ石油利権。第二は、アフリカにおける緊急展開を可能とするパーマネントな仏軍駐屯地、基地の存在。第三は、ガボンに地域覇権を握らせ、中部アフリカ諸国にうまく影響力を行使することだ。


1960年の独立後、フランスは初代大統領レオン・ンバ氏を支援し、直接仏軍が秩序と治安の維持に当たった。67年にンバ大統領が逝去すると、大統領官房長官であったアルベール・ベルナール・ボンゴ(のち改宗によりオマール・ボンゴ)氏が大統領の地位を引き継ぐ。その後、実に40年余に渡る長期政権が続いた。この背後にはフランスの後ろ盾があった。

しかし2009年、オマール・ボンゴ大統領が逝去すると、後継は三人の有力政治家で争われた。多少の混乱は生じたが、選挙の結果、実子のアリ・ボンゴ大統領が引き継いだ。選挙の過程で、フランスのサルゴジ大統領はアリ・ボンゴ氏を支持すると公言し、物議を醸し出した。


◆アリ・ボンゴ政権の課題
そしてはや任期後半。アリ・ボンゴ大統領の課題は、新しいリーダーシップを発揮し、国づくりを進められるか、そして実績をあげられるかにかかっている。

アリ・ボンゴ大統領は、即位すると程なく「3つのガボン」政策(緑のガボン、産業のガボン、サービスのガボン)を発表、独自路線を示してきた。次回、来年2014年が大統領選挙、国民の審判はいかに。


◆中部アフリカにおけるガボン
中部アフリカ旧仏領諸国を中心とした6カ国は、中部アフリカ経済通貨同盟(CEMAC)を構成している。以前、こちらの記事、あるいはこの論説の過去ログの中で、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)を紹介しているが、これとほぼ同様の機能を有する中部アフリカの地域機関だ。

中部ではCEMACをプラットフォームとして、共通通貨セーファー・フラン(FCFA)が発行されているが、これは西アフリカのFCFA同様、ユーロ(以前はフランス・フラン)固定のレートである。つまり、フランスが通貨を保証する、相当ユーロで買い支える、ということを意味している(→各所で述べている西アフリカの事情に同じ)。

このCEMAC、個性に飛んだ国が多く、国の間の経済格差が大きいこと、紛争国や秩序、当地に難儀する国が含まれることなどから、なかなか水平での調整や政策決定、実現が難しい。以前は、オマール・ボンゴ大統領が長老(doyen)を勤め、あるいはガボン人がある意味仕切ってきた。

しかしオマール・ボンゴ大統領の逝去後、ガボン人に対する風当たりが強くなっている。特に、オマール・ボンゴ逝去後、突如スッパ抜かれた、CEMACパリ支店を舞台としたスキャンダル。相当数のガボン人がやり玉に上がった。

ガボン人に対する急先鋒はオイルバブルに湧く赤道ギニアだ。経済力とオビアン・ンゲマ大統領の押しで、今後の中部アフリカにおけるパワーバランスも変わってくる可能性がある。


◆世界一のガボン・ガイドブック
最後に。この国には青年海外協力隊が派遣され、全国、奥深くまで入り込んで、日々立派な活動を実施している。

そんなガボン愛にあふれる隊員のOG/OBが中心となって、ガボンの隅々にわたる情報をコンパイルした、素晴らしいガボンのガイドブックがまとめられた。その名も『われらの歩き方 ガボン』。



これは隊員のいわば記念として制作されたもので、実費で関係者に配布された。基本的には非売品であるが、お蔵入りさせるのがもったいないくらいよくまとめられていて、またガボン愛が詰まっている。おそらくこれだけ体系的に、またはみ出し情報まで含めてまとめられたガボン・ガイドブックは世界中に他には存在しないだろう。

今日この時もガボンを含めたアフリカ各地で、多数のボランティアが活動する。彼ら、彼女らに敬意を評しつつ、この作品を紹介させていただいた。

(おわり)

◆CEMACを中心とする中部アフリカ関連過去ログ
アフリカサッカー事情(6)~ワールドカップ・アフリカ地区第二次予選(グループA、B編)~中央アフリカ問題に触れています。
アフリカの航空事情(3)~難関!中部アフリカ~CEMACについて触れています。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「地球の歩き方」ぢゃん (hgn (あみん))
2013-08-18 00:01:51
って思っちゃいました^^
 これを見て、昔、ソウルの書店で見た韓国版「地球の歩き方」を思い出しました。韓国版は、「세계를간다(せげぇるる・かんだ=世界を行く)」って言いました。
 それにしても良くできていますね。

 って、本題とは関係ない所に反応してしまい失礼しました。
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Re:「地球の歩き方」ぢゃん (ンボテ)
2013-08-18 06:24:56
こんにちは!

韓国版の「歩き方」知ってますよ~。かっぱえびせんといい、にてるもの多いですよね笑。

ガボンの方は編集委員がノリでこういう装丁にしたてたのだと思いますが、それにしても良くできているんですよ!協力隊のみなさんのガボンへの深い愛と、思い出が詰まっているのです!

非売品なのがもったいないくらいです。
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化けちゃいましたね(^ ^; (hgn (あみん))
2013-08-18 11:50:30
失礼しました。ハングル入れたら、文字化けしちゃいました。

 そうそう、>かっぱえびせん^^ 韓国では「せうっかん」でしたか。
 えびせんは、こちらタイにもあるんですよ。菓子系が「ハナミ」、そしてタイ飯屋で出てくるフワフワ・サクサク系の「えびせんべい」。
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Re:化けちゃいましたね(^ ^; (ンボテ)
2013-08-18 22:24:13
な~るほど、タイにもあるんですね、えびせん。でも韓国のセウカン、パッケージがやばいですよね。似すぎで笑。

かっぱえびせんはもともとは軍需から生まれたと聞きました。なので広島に本拠があったカルビーが開発した経緯とか。

なんにせよ、やめられない、止まらないっす笑。
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