ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

アフリカサッカー事情(6)~ワールドカップ・アフリカ地区第二次予選(グループA、B編)

2013-06-19 07:30:30 | アフリカサッカー・スポーツ
シリーズでお届けしている「アフリカサッカー事情」。前回よりワールドカップ・アフリカ地区予選の第二次ラウンド、第五節を終えた状況についてレビューしている。きょうはグループA、Bにフォーカスする。

◆グループA~南ア敗退、エチオピアが最終予選へ!
南アフリカ、ボツワナ、エチオピア、中央アフリカからなる、グループA。こちらは、なんといっても南アフリカが大本命だ。ワールドカップには1994年から5大会連続出場。アフリカカップでも金、銀、銅を一度ずつ。しかし前回のワールドカップ南ア大会では開催国の地の利を生かしきれず。またアフリカカップでも不完全燃焼がつづいている。下馬評でも、クネ、チャバララ、パーカー(いずれも国内リーグ)など主軸選手の経験が強みとされ、巻き返しが期待されている・・・はずだった。

しかし第五節を終えての結果は、こちら。

(Wikipedia仏語版'Eliminatoires de la coupe du monde de football 2014 : zone Afrique'より引用。小さくてごめんなさい!!)

なんと大本命の南アは、最終戦を待たずして敗退が決定。かわりに決勝進出を確定させたのは負けなし、わずかに南アのアウェーで引き分けただけの「無傷」の首位、エチオピアだ。第五節、ホームでの対南ア直接対決を制した。

エチオピアはサッカーではほとんど無名といっても過言ではないだろう。アフリカカップでは銀メダルの栄光はあるが、いにしえの昔。FIFAランキングは106位、アフリカ順位でも29位。今回の予選も、第一次ラウンドからの勝ち上がり組だ。この辺に、アフリカサッカーの「番狂わせ(→こちらの記事をご参照! )」の恐ろしさ、そして楽しみがある。

実はこのグループ、ンボテ注目のカードは、南ア対中央アフリカだった。一件関係なさそうな二カ国であるが、政治的にきわめて熱い。十余年にわたって混乱から抜け出し切れていない中央アフリカ。2012年より武装勢力の連合であるセレカ(Seleka)による攻勢が強まり、政変が発生。フランソワ・ボジゼ大統領が国外に脱出。現在、暫定政権が統治を担うとともに、国内の治安・秩序回復が大きな課題となっている。

中央アフリカ問題には中部アフリカ経済共同体(CEEAC)諸国が仲裁を試みているが、ここに治安維持・回復の目的で派兵をおこなっているのが、隣国チャド、そして南アだ。なぜ南アかといえば、南ア、もっといえばジェイコブ・ズマ大統領が、この国のダイヤモンド利権に深く関わり、ボジゼ大統領を支持してきた関係があるからだ。そして派兵された南ア兵には犠牲が生じているが、このことは南ア世論に大きな疑義を喚起した。利権の行方、この国の将来に対する責任、派兵。「中アゲート」は、南アでも大きな政治問題だ。

さて、このマニアックな注目のカード、南ア×中央アフリカは、5-0(H2-0、A3-0)で南アが貫禄を見せつけた。ちなみに中央アフリカのホームゲームは、治安上の理由から隣国カメルーンの首都、ヤウンデで開催された。

話題は大きく脱線したが、このグループAは、新星「エチオピア」が強豪南アを押さえ、勝ち抜けが決定した。


◆グループB~チュニジアが盤石、決勝リーグ進出!

グループBは、カーボベルデ、赤道ギニア、シエラレオネ、チュニジアの四カ国。

このグループはなかなか興味深い。過去4回ワールドカップ本大会に出場しているチュニジアの優勢は揺るがないが、これに対し、2012年アフリカカップサッカーの開催国(※ガボンとの共催)、決勝リーグ入りを果たした赤道ギニア、2013年アフリカカップサッカーで決勝リーグに進出したカーボベルデと、2つの「極小島嶼国」が挑む。

中でもンボテ注目のカードはこの極小島嶼国対決、赤道ギニア対カーボベルデ。赤道ギニアは人口65万人、旧スペインの植民地、そして今でもスペイン語を公用語とする唯一のアフリカの国だ。島嶼国といっても、アフリカ大陸の領土、バタをあわせ持つ。オイルバブルに湧くギニア湾の国、ガバナンスの悪さについては、わたしのブログでも再三述べている通りだ(→アフリカのサッカー事情(3)遅読みJeune AfriqueNo.2735など)。

これ対するカーボベルデ。人口約50万人、アフリカ大陸西端のセネガルのさらにはるか沖に浮かぶ火山群島、約10の島からなる。資源に乏しいどころか、水を確保するのも大変な国だ。旧ポルトガルの植民地で、独立に難儀。独立後もギニアビサウとともに不幸の歴史を辿った(→「キューバのアフリカ遠征」、「アフリカのサッカー事情(4)」参照)。しかしその後、わずかな観光資源と、100万人とも言われるディアスポラ(海外移民)からの仕送り、そして政府のグッド・ガバナンスへの努力で外貨を稼ぎ、あるいは外資導入を図り、急成長の途上。一人当たりの国民所得が3,000ドルを超えるレベルに達した。諸外国からも民主主義とよい統治のモデル国としての呼び名が高い。

この対照的な二カ国。サッカーでもこれまで直接対決があり、2009年3月には5-0でカーボベルデが圧倒している。ただし先述の通り、2012年のアフリカカップ共催を境に、赤道ギニアがサッカーで急進。どのような結果となるか、こちらも注目だ。

そしてここまでの結果はこちら。

(Wikipedia仏語版'Eliminatoires de la coupe du monde de football 2014 : zone Afrique'より引用。小さくてごめんなさい!!)

ここまで盛り上げておいて恐縮だが、結局チュニジアが格の違いを見せつけ、盤石相撲ならぬ、盤石サッカーで、最終戦を待たずに決勝リーグ進出、という結果となった。

ンボテ注目の「極小島嶼国」対決。初戦の赤道ギニア・マラボでのゲームは赤道ギニアが4-3で勝利。逆にカーボベルデ・プライアでのゲームではカーボベルデが2-1と、お互い、ホームゲームを譲らなかった。ゲームを生で見られた訳ではないが、ライバル国どおし(?)、エキサイティングな展開となった。



◆シリーズ「アフリカのサッカー事情」
第一話 ワールドカップ・アフリカ地区予選はこうなっている!
第二話 熱狂のアフリカカップ
第三話 死角を突く!
第四話 ワールドカップ予選(第一次ラウンド)
第五話 ワールドカップ予選(第二次ラウンド、E/F組)

◆ンボテ★飯村出演情報
JICAホームページ【ひと模様】ンボテ★アフリカ、トポ・ナ・コンゴ!
Japan Times TICAD V Special
ニコ生「藤岡みなみのI don't know Africa~発見アフリカ54の国~」(全編おまとめログ)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (エチオピアサポーター)
2013-06-19 19:34:05
試合前日のアディス・アベバ路上では、印刷がちょっとズレたナショナルチームのユニフォームが、150Birr(バス3Birrくらい、ランチ30ブルBirrくらい)で飛ぶように売られていました!
返信する
Re:Unknown (nbote)
2013-06-20 00:09:09
エチオピアサポーターさま、アジスアベバからの実況中継(?)、ありがとうございます!決勝進出はさぞビッグニュース、サプライズだったことでしょう!
それにしても安っぽいパチものサッカーユニフォームは、なぜアフリカでかくも若者の正装なんでしょうか??って、わたしもたくさん持ってます。路上で買った、中国製笑。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。