フランス大統領選挙決選投票から一夜明けた当地。アフリカ各国からも様々な反応。フランス国際ラジオ放送(RFI)など外電記事が伝える論評声明に、ンボテ的解釈を。
■まずフランスとは切っても切れない国、わがコートジボワール。アラサン・ワタラ大統領はツイッターで祝意。「輝かしい勝利に祝意。フランスとコートジボワールの友好と協力の強化を約束する」。かつては社会党となった仏政権とのねじれ関係が議論となったこともあったが、親欧、親仏政策を進めるワタラ大統領、教科書どおりのコメント。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/55/c162591c86b0e176c34937c27900ec1a.jpg)
■次にセネガルのマッキー・サル大統領。直ちに祝意のレターを送付。「マクロン候補とフランス国民に祝意。大統領の任務の成功を祈念。これまで築き上げた特別な両国関係を一層発展、強化させるとの姿勢を喜ばしく思う。」こちらも全う。外さない言説のマッキー節。
■ギニアのアルファ・コンデ大統領、現在はアフリカ連合の議長国だ。「フランスとギニアの関係が、マクロン新大統領の導き(magistère)により強化されていくことを期待」。ギニアとフランスの過去の歴史からすれば複雑な響き。第一、ヨーロッパのAU支配を批判していたのはコンデ大統領自らでは?!いやいや、過去には彼はギニアで「フランス人」呼ばわりされたことも。ここは玉虫色の大統領の、美しきコメント。
■ トーゴのフォール・ニャシンベ大統領は、マクロン氏への祝意に加え、「フランスに一層強く、コミットメントを」と、少し踏み込んだメッセージ。
■ マリのイブラヒム・ブバカル・ケイタ大統領、通称IBK(イーベーカー)。マクロン候補の当選に「胸をなでおろした」(soulagé)。ルペン候補当選なら、仏軍バルカン作戦停止の上に、フランスへのマリ移民大量帰還が待っていた?!テロとの戦いの中、フランスとの距離感はいつもナーバスだ。
■ カメルーンに超長期政権を引く、ポール・ビヤ大統領もマクロン当選に熱いメッセージ。「一度たりともかき消されたことのなかった密接な関係、揺るぎない信頼を維持・発展」させるとともに、「新しい協力関係の創出と進歩」を希求するメッセージ。美しい言葉にはトゲが。「そりゃアンタ、一年のうち何ヶ月フランスで暮らしてんのさっ!?」「不当利権(biens mal acquis)もかの国にあるし!」なーんて話も聞こえてきそう。
■ お隣、チャドのイドリス・デビ大統領。3月には対抗候補、マリー・ルペン女史を出身地の地元に迎え入れたが、今回の選挙には安堵の念を表している、と報じられる。バルカン作戦の仏軍基地を受け入れるこの国は、フランスにとっても特別。他方、野党代表のサラ・ケブザボ氏は「フランサフリック(Françafrique)の終焉を」と注文。
■ ニジェールからはマハマドゥ・イスフ大統領が「伝統的な価値観、自由・平等・平和を支持」とツイッター。他方、市民社会からイッサ・ガルバ氏は「『前進!』の勝利に祝意。既存政党の支持を得ず当選し、アフリカの若者のモデルとなるに違いない。腐った、腐敗した古いシステムから脱却に名乗りをあげるべきなのだ。」と対抗。
■ コンゴ民主共和国は、フランスとの間ではカビラ大統領任期問題をめぐり、冷え込んだ関係。大統領与党を離党し、現在は国民対話プラットフォーム(G7)の議長のピエール・ルンビ氏。「マクロン候補は既存の枠組みに別れを告げたことこそが特別のビジョン。若きコンゴのリーダーがいま求めているものと重なるのだ。」
■同じく、大統領任期問題で孤立するブルンジ、ピエール・ンクルンジザ大統領も「強い関心を持って推移を見守る」とともに「当然の勝利」と述べ、マクロン候補に祝意。
■マダガスカルのエリ・ラジャオナリマムピアニーナ大統領は「彼の言説は経済に向いている。開発に向けてページをめくる大統領、つまりそれは未来に向かっていくということ。」と発言。さらにアフリカ諸国を主権国家として尊重し、対等な関係を構築するとの姿勢を歓迎した。そういえば、こちらの記事でも紹介したが、マクロン氏はアルジェリア訪問時にフランスの植民地支配を「人道に対する罪」と評し、物議となった。さてアフリカ政策は?
エマニュエル・マクロン大統領は、初の外遊はアフリカだ、と自ら述べたとされている。仏軍兵士への陣中見舞が目的で、マリ、チャド、ニジェールの名前が挙がっているという。
アフリカでは「知られていない」(inconnu)人物とされ、明確なアフリカ政策も示されていない。無色透明、日和見などとの声も聞くが、新大統領に向けられた言葉は、外交辞令か、真の祝意か。まもなく現実の踏み絵は始まる。
(おわり)
■まずフランスとは切っても切れない国、わがコートジボワール。アラサン・ワタラ大統領はツイッターで祝意。「輝かしい勝利に祝意。フランスとコートジボワールの友好と協力の強化を約束する」。かつては社会党となった仏政権とのねじれ関係が議論となったこともあったが、親欧、親仏政策を進めるワタラ大統領、教科書どおりのコメント。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/55/c162591c86b0e176c34937c27900ec1a.jpg)
■次にセネガルのマッキー・サル大統領。直ちに祝意のレターを送付。「マクロン候補とフランス国民に祝意。大統領の任務の成功を祈念。これまで築き上げた特別な両国関係を一層発展、強化させるとの姿勢を喜ばしく思う。」こちらも全う。外さない言説のマッキー節。
■ギニアのアルファ・コンデ大統領、現在はアフリカ連合の議長国だ。「フランスとギニアの関係が、マクロン新大統領の導き(magistère)により強化されていくことを期待」。ギニアとフランスの過去の歴史からすれば複雑な響き。第一、ヨーロッパのAU支配を批判していたのはコンデ大統領自らでは?!いやいや、過去には彼はギニアで「フランス人」呼ばわりされたことも。ここは玉虫色の大統領の、美しきコメント。
■ トーゴのフォール・ニャシンベ大統領は、マクロン氏への祝意に加え、「フランスに一層強く、コミットメントを」と、少し踏み込んだメッセージ。
■ マリのイブラヒム・ブバカル・ケイタ大統領、通称IBK(イーベーカー)。マクロン候補の当選に「胸をなでおろした」(soulagé)。ルペン候補当選なら、仏軍バルカン作戦停止の上に、フランスへのマリ移民大量帰還が待っていた?!テロとの戦いの中、フランスとの距離感はいつもナーバスだ。
■ カメルーンに超長期政権を引く、ポール・ビヤ大統領もマクロン当選に熱いメッセージ。「一度たりともかき消されたことのなかった密接な関係、揺るぎない信頼を維持・発展」させるとともに、「新しい協力関係の創出と進歩」を希求するメッセージ。美しい言葉にはトゲが。「そりゃアンタ、一年のうち何ヶ月フランスで暮らしてんのさっ!?」「不当利権(biens mal acquis)もかの国にあるし!」なーんて話も聞こえてきそう。
■ お隣、チャドのイドリス・デビ大統領。3月には対抗候補、マリー・ルペン女史を出身地の地元に迎え入れたが、今回の選挙には安堵の念を表している、と報じられる。バルカン作戦の仏軍基地を受け入れるこの国は、フランスにとっても特別。他方、野党代表のサラ・ケブザボ氏は「フランサフリック(Françafrique)の終焉を」と注文。
■ ニジェールからはマハマドゥ・イスフ大統領が「伝統的な価値観、自由・平等・平和を支持」とツイッター。他方、市民社会からイッサ・ガルバ氏は「『前進!』の勝利に祝意。既存政党の支持を得ず当選し、アフリカの若者のモデルとなるに違いない。腐った、腐敗した古いシステムから脱却に名乗りをあげるべきなのだ。」と対抗。
■ コンゴ民主共和国は、フランスとの間ではカビラ大統領任期問題をめぐり、冷え込んだ関係。大統領与党を離党し、現在は国民対話プラットフォーム(G7)の議長のピエール・ルンビ氏。「マクロン候補は既存の枠組みに別れを告げたことこそが特別のビジョン。若きコンゴのリーダーがいま求めているものと重なるのだ。」
■同じく、大統領任期問題で孤立するブルンジ、ピエール・ンクルンジザ大統領も「強い関心を持って推移を見守る」とともに「当然の勝利」と述べ、マクロン候補に祝意。
■マダガスカルのエリ・ラジャオナリマムピアニーナ大統領は「彼の言説は経済に向いている。開発に向けてページをめくる大統領、つまりそれは未来に向かっていくということ。」と発言。さらにアフリカ諸国を主権国家として尊重し、対等な関係を構築するとの姿勢を歓迎した。そういえば、こちらの記事でも紹介したが、マクロン氏はアルジェリア訪問時にフランスの植民地支配を「人道に対する罪」と評し、物議となった。さてアフリカ政策は?
エマニュエル・マクロン大統領は、初の外遊はアフリカだ、と自ら述べたとされている。仏軍兵士への陣中見舞が目的で、マリ、チャド、ニジェールの名前が挙がっているという。
アフリカでは「知られていない」(inconnu)人物とされ、明確なアフリカ政策も示されていない。無色透明、日和見などとの声も聞くが、新大統領に向けられた言葉は、外交辞令か、真の祝意か。まもなく現実の踏み絵は始まる。
(おわり)